概要
韓国ドラマ(かんこくドラマ)とは、韓国で制作されるテレビドラマおよび配信ドラマの総称である。日本では2000年代の『冬のソナタ』を起点に「韓流」ブームを生み、2020年代にはNetflixなどの配信サービスを通じて『愛の不時着』『イカゲーム』が世界的ヒットとなり、今や日本の視聴者にとって最も身近な海外ドラマのジャンルとなっている。
詳細
韓国ドラマの特徴は、まず「1シーズン完結型」の構成にある。地上波やケーブル局の連続ドラマは全16話前後(1話60〜70分)が基本で、脚本家が最初から結末までを設計するため、伏線の回収やキャラクターの成長が一本の物語として楽しめる。加えて、日本の連ドラでは珍しい「放送しながら撮影する」半生放送に近い制作体制が長く続いており、視聴者の反応を見ながら展開を調整する柔軟さが、熱狂的なファン文化を生んできた。
ジャンルの幅も広い。財閥の御曹司と庶民の娘の恋を描くラブコメ、復讐劇、法廷もの、医療もの、歴史を舞台にした時代劇(史劇)、そして近年はゾンビ・スリラー・ノワールなど、かつては「韓国ドラマといえば純愛」というイメージだったものが、2010年代後半以降は大きく塗り替えられた。もう一つの供給源がウェブトゥーンで、『梨泰院クラス』『今、私たちの学校は』『鉄槌教師』など、LINEマンガやピッコマで読める人気作の実写化がヒット作の定番ルートになっている。
日本での受容にも独特の歴史がある。2003年にNHK BSで放送された『冬のソナタ』が翌年地上波に進出して社会現象となり、「ヨン様」ブームとともに中高年女性を中心とした第1次韓流ブームが起きた。その後、K-POPの人気と連動した第2次・第3次ブームを経て、2020年のコロナ禍で『愛の不時着』『梨泰院クラス』がNetflixで爆発的に視聴され、若い世代にも一気に広がった。この「第4次韓流ブーム」以降、韓国ドラマは特定の層の趣味ではなく、配信サービスの主力コンテンツとして定着している。
歴史
黎明期と「純愛ドラマ」の時代(1990年代 - 2000年代前半)
韓国で連続ドラマの人気が国民的な現象になったのは1990年代のことで、1995年の『砂時計』は放送時間帯に街から人が消えたことから「帰家時計」と呼ばれる伝説的な視聴率を記録した。2000年代初頭には『天国の階段』『冬のソナタ』など、運命的な恋と別れ、記憶喪失や出生の秘密といった要素をふんだんに盛り込んだメロドラマが量産され、これらがアジア各国に輸出されて「韓流」という言葉が生まれた。
日本では2004年、『冬のソナタ』の地上波放送でブームが本格化。主演のペ・ヨンジュンが「ヨン様」として熱狂的に迎えられ、ロケ地巡りツアーが組まれるほどだった。続いて2004年から2005年にかけてNHKで放送された時代劇『宮廷女官チャングムの誓い』も大ヒットし、韓国ドラマ=メロドラマというイメージに「史劇」という新しい柱が加わった。
ケーブル局の台頭とジャンルの多様化(2010年代)
2010年代に入ると、地上波3局(KBS・MBC・SBS)に加えてケーブル局のtvNやJTBCが良質なドラマを次々に制作するようになった。『応答せよ1988』のようなノスタルジー路線、『太陽の末裔』『トッケビ』といった大型ファンタジーロマンス、『SKYキャッスル』『秘密の森〜深い闇の向こうに〜』のような社会派サスペンスが登場し、「韓国ドラマは面白い」という評価がアジアを越えて広がった。ソン・ジュンギとソン・ヘギョ、コン・ユといったスターの誕生もこの時期である。
配信時代と世界的ヒット(2020年代)
2020年、Netflixで配信された『愛の不時着』(ヒョンビン、ソン・イェジン主演)と『梨泰院クラス』(パク・ソジュン主演)が日本で長期間ランキング上位を独占し、第4次韓流ブームの起点となった。翌2021年の『イカゲーム』はNetflix史上最多視聴の作品となり、韓国ドラマは「世界で最も観られるドラマ」の一角に躍り出た。2022年には『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、2023年には『ザ・グローリー』、2024年にはキム・スヒョン主演の『涙の女王』がtvN史上最高視聴率を更新するなど、毎年のように話題作が生まれている。
同時に、Netflixオリジナルとしての制作も本格化した。『D.P. -脱走兵追跡官-』『今、私たちの学校は』『鉄槌教師』『更生島』など、地上波では放送しにくいバイオレンスや社会批判を正面から描く作品が生まれ、ジャンルの幅はさらに広がった。韓国国内でもTVING・Wavve・Coupang Playといった自国のOTTが独自ドラマを制作しており、日本ではこれらの作品がU-NEXTやディズニープラスを通じて配信されるケースが増えている。
放送形態と制作の仕組み
韓国ドラマは大きく「ミニシリーズ」「連続劇(日日ドラマ・週末ドラマ)」「OTTオリジナル」に分けられる。ミニシリーズは平日夜に週2話ずつ放送される全16話前後の作品で、日本で人気の作品のほとんどがこの形式にあたる。一方、平日の朝や夕方に放送される日日ドラマは100話を超える長期作品が多く、家族の愛憎や嫁姑問題を描く「マクチャン(ドロドロ)」路線が根強い人気を持つ。KBSの週末ドラマも全50話前後の大家族ものが定番で、国民的な視聴率を取るのはむしろこちらである。
制作は放送局と制作会社の分業で、脚本家の地位が非常に高いのが韓国ドラマ界の特徴とされる。ヒット作を持つ脚本家は俳優以上の存在感を持ち、「誰が書いたか」で作品への期待値が決まる。また、OSTと呼ばれる挿入歌は作品と一体のコンテンツで、K-POPアーティストが歌う主題歌がチャートを賑わせることも多い。BTSのメンバーを含む人気アイドルが俳優として出演するケースも増え、ドラマとK-POPは互いの市場を押し上げる関係にある。
ジャンルの傾向
- ラブコメディ・ロマンス:『社内お見合い』『ロマンスは別冊付録』『わたしの完璧な秘書』のようなオフィスラブ、『よくおごってくれる綺麗なお姉さん』のような大人の恋愛まで、最も層の厚いジャンル。
- 復讐劇・サスペンス:『ザ・グローリー』『ヴィンチェンツォ』『財閥家の末息子』など、社会の不正に立ち向かう痛快さが人気。
- ヒューマンドラマ:『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』『私の解放日誌』『賢い医師生活』『その年、私たちは』のように、派手さより日常の機微を描く作品が根強く支持される。
- スリラー・ゾンビ・ノワール:『イカゲーム』『今、私たちの学校は』『アンダーカバーハイスクール』『殺し屋たちの店』など、配信時代に伸びたジャンル。
- 時代劇(史劇):『宮廷女官チャングムの誓い』以来の定番。近年はファンタジー要素を混ぜたフュージョン史劇が主流。
- 青春・学園もの:『マイ・ユース』『良いが悪い、ドンジェ』など、若手俳優の登竜門。
日本での視聴方法
日本で韓国ドラマを観る手段は、この10年で「テレビ放送」から「配信」へ完全に移った。Netflixは『愛の不時着』以降、韓国ドラマを最も強力なコンテンツの一つと位置づけており、オリジナル作品に加えて地上波・ケーブル作品の同時配信も多い。U-NEXTは韓国ドラマの見放題本数が国内最大級で、KBSやtvNの旧作から最新作まで幅広く揃え、独占配信作も多い。ディズニープラスの「スター」枠、Amazonプライム・ビデオ、Leminoも独占作を持っており、「どこで見れる」が作品ごとに違うのが、韓国ドラマ視聴の悩みどころである。
テレビでは、専門チャンネルのKNTV・Mnet・DATVなどが日本初放送を担い、BS放送でも旧作を中心に放送が続いている。近年は『カマキリ』『主役の初夜、私が奪っちゃいました』『その恋、断固お断りします』のように、放送・配信済みの作品が後追いで日本上陸するケースも多く、宇宙wikiでは各作品ページに日本での配信状況を記載している。
よくある質問
- 韓国ドラマはなぜ16話が多いのか?
- ミニシリーズは平日の同じ曜日に週2話、8週間で完結させる編成が基本だったため。近年は12話や10話の作品も増えている。
- 韓国ドラマの視聴率はなぜ高いのか?
- 韓国ではケーブル局の視聴率とニールセン集計の全国視聴率が別に発表され、ケーブルで10%を超えれば大ヒット、20%を超えれば歴史的な数字とされる。『涙の女王』の最終回24.9%はtvN歴代最高とされる。
- 日本語吹き替えはあるのか?
- Netflixやディズニープラスの多くの作品には日本語吹き替えが用意されているが、U-NEXTやKNTVでは字幕のみの作品も多い。
- 韓国ドラマの原作はどこで読める?
- ウェブトゥーン原作の作品は、LINEマンガやピッコマで日本語版が読めることが多い。
余談
- 韓国ドラマの「放送しながら撮影する」体制は、撮影が放送に追いつかず最終回付近で放送が延期される事故を何度も生んできた。近年は事前制作(全話撮り終えてから放送)の作品が増え、Netflixオリジナルはすべて事前制作である。
- 「ヨン様」ブームの2004年、ペ・ヨンジュンが来日した際には羽田空港に数千人のファンが集まり、当時の小泉純一郎首相が「ヨン様」に言及したことも報じられた。
- 『イカゲーム』の世界的ヒットで、韓国では作中に登場する「タルゴナ(カルメ焼き)」の屋台に行列ができ、日本でも100円ショップでタルゴナキットが売られる現象が起きた。
- イ・ミンホ、ハン・ソヒ、ハン・ジミン、イ・ジュニョクなど、宇宙wikiでは俳優個人のページから出演作へたどれるようになっている。