概要[編集]

韓国映画(かんこくえいが、한국 영화)とは、韓国(大韓民国)で製作される映画の総称である。1999年の『シュリ』以降に急成長し、『殺人の追憶』『オールド・ボーイ』などで国際的評価を確立、2020年には『パラサイト 半地下の家族』が非英語作品として初めてアカデミー作品賞を受賞した。

詳細[編集]

釜山国際映画祭の本拠地「映画の殿堂(Busan Cinema Center)」(撮影:399scout/Wikimedia Commons、CC BY-SA 4.0)

「1000万映画」が基準になる国[編集]

韓国映画を語るときに必ず出てくるのが「1000万映画(천만 영화)」という言葉。人口約5,100万人の国で観客動員1000万人を超えた作品のことで、単純計算で国民の5人に1人が劇場で観た計算になる。2004年の『シルミド』が初めてこのラインを越えて以来、20作以上が仲間入りしており、毎年夏休みと旧正月・秋夕(チュソク)の連休シーズンには「今年の1000万映画はどれか」がニュースの定番ネタになる。

韓国の興行成績は日本のような「興行収入(円)」ではなく「観客動員数(人)」で語られるのが特徴。韓国映画振興委員会(KOFIC)が運営する統合電算網が全国の劇場のチケット発券をリアルタイムで集計しており、公開初日から「何日で500万突破」「歴代最速」といった記録がすぐに報じられる。この数字文化が、作品同士の競争と話題づくりを加速させてきた。

ジャンル映画の強さ[編集]

韓国映画の看板は、ハリウッド顔負けの作り込みを見せるジャンル映画である。刑事もの・犯罪ノワール・復讐劇・ゾンビ・パニック・時代劇アクションといった娯楽ジャンルに、格差・権力・軍事政権時代の傷といった韓国社会の現実を混ぜ込むのがお家芸。笑えるシーンの直後に容赦ない暴力が来る「トーンの急変」も、海外の観客が韓国映画らしさとして挙げるポイントだ。

監督が脚本も書く「作家主義」の伝統が強いのも特徴で、ポン・ジュノ、パク・チャヌク、イ・チャンドンらはいずれも自分で脚本を書く。大手配給会社の資本で娯楽大作を作りながら、作家性を失わない監督が多いことが、カンヌやアカデミー賞での評価につながった。

ドラマ・配信との関係[編集]

同じ韓流コンテンツでも、テレビ・配信の韓国ドラマと映画は俳優・スタッフの行き来が非常に盛んだ。コン・ユは『トガニ 幼き瞳の告発』『新感染 ファイナル・エクスプレス』と映画で実績を積みながらドラマ『トッケビ』の主演も務め、イ・ビョンホンも映画『JSA』『インサイダーズ/内部者たち』と、ドラマ『ミスター・サンシャイン』『イカゲーム』の両方で代表作を持つ。2020年代にはNetflixなどのOTTが映画監督を起用してシリーズを作るケースも増え、映画とドラマの境界は年々薄くなっている。

歴史[編集]

植民地期:無声映画と『アリラン』[編集]

韓国映画の起点とされるのは、1919年10月27日にソウルの劇場・団成社で上映された『義理的仇討(의리적 구토)』である。舞台劇の合間に映像を流す「連鎖劇」形式の作品だったが、朝鮮人が製作した最初の映画とされ、韓国ではこの日が「映画の日」になっている。

1926年には羅雲奎(ナ・ウンギュ)が監督・主演した無声映画『アリラン』が公開され、日本統治下の民衆の鬱屈を描いた作品として熱狂的に迎えられた。1920年代後半は「無声映画の黄金期」と呼ばれ、70本以上の作品が作られた。1935年には李明雨(イ・ミョンウ)監督の『春香伝』が朝鮮初のトーキー映画として公開されている。一方、戦時体制が強まると映画は統制下に置かれ、宣伝映画の製作が強いられた時期もあった。

解放・朝鮮戦争から1960年代の黄金期[編集]

1945年の解放直後には、独立運動を題材にした「光復映画」が作られ、崔寅奎(チェ・インギュ)監督の『自由万歳』(1946年)がその代表とされる。朝鮮戦争(1950〜1953年)期は製作環境が極度に悪化したが、休戦後の1955年にイ・ギュファン監督の『春香伝』が大ヒットして復興の口火を切り、製作本数は1959年には111本にまで増えた。

1960年代は「韓国映画の第一黄金期」と呼ばれる。キム・ギヨン監督の『下女』(1960年)は中産階級の家に入り込んだ家政婦が一家を崩壊させるサスペンスで、のちにポン・ジュノが『パラサイト』の着想源の一つとして挙げたことで再注目された。ユ・ヒョンモク監督の『誤発弾』(1961年)は戦後ソウルの貧困を描いたリアリズムの傑作とされる。この時期は年間200本前後が製作され、映画は大衆娯楽の王様だった。

検閲と映画法の時代(1960〜80年代)[編集]

1961年の軍事クーデター以降、映画は国家の強い統制下に入る。1962年制定の映画法により、製作会社は登録制となり、脚本と完成作品の両方に事前検閲がかけられた。反共・国策映画が奨励される一方、政権批判や性的表現は厳しく削除された。1966年の映画法改正(翌1967年施行)では、劇場に一定日数の韓国映画上映を義務づける「スクリーンクォータ制」が導入されている。

1970年代にはテレビの普及で観客が急減し、検閲と相まって韓国映画は長い停滞期に入った。1980年代の全斗煥政権期は「3S政策」と呼ばれる娯楽緩和策のもと、成人向けのエロティック映画が量産された時代でもある。一方で1984年には韓国映画アカデミーが設立され、のちにポン・ジュノらを輩出する人材育成の土台が作られた。イム・グォンテク監督のように、検閲下でも韓国の伝統と民衆を描き続けた作家もこの時代に評価を高めている。

1990年代:財閥資本と検閲撤廃[編集]

1990年代に入ると、サムスン、大宇、そして現在のCJグループ(当時の第一製糖)といった財閥系企業が映画・ビデオ事業に参入し、企画・投資・配給を一体化したスタジオ型の産業構造が生まれた。1993年にはイム・グォンテク監督の『風の丘を越えて/西便制』がソウルで韓国映画として初めて100万人を動員している。

決定的だったのが1996年10月の憲法裁判所判決で、公演倫理委員会による映画の事前審議が「検閲にあたる」として違憲と判断された。同じ1996年には釜山国際映画祭(BIFF)が創設され、アジア最大級の映画祭へと成長していく。表現の自由・資本・人材の三つがそろったところに登場したのが、1999年の『シュリ』だった。

1999年『シュリ』とコリアン・ニューウェーブ[編集]

カン・ジェギュ監督の『シュリ』(1999年)は、南北分断を背景にしたハリウッド型アクション大作で、全国約620万人を動員して『タイタニック』の記録を塗り替えた。日本でも2000年に公開され、韓国映画として異例のヒットを記録している。翌2000年にはパク・チャヌク監督の『JSA』が続き、「韓国映画は面白い」という認識が国内外に広がった。

2000年代前半は「韓国映画ルネサンス」と呼ばれる。2001年には国内市場での韓国映画のシェアが50%を超え、2003年に『殺人の追憶』『オールド・ボーイ』が公開。『シルミド』(2003年12月公開)と『ブラザーフッド』(2004年、チャン・ドンゴン・ウォンビン主演)が相次いで1000万人を突破した。2004年には『オールド・ボーイ』がカンヌ国際映画祭で審査員特別グランプリを受賞し、韓国の作家映画が世界の映画祭の常連になっていく。2006年にはポン・ジュノの『グエムル -漢江の怪物-』が約1300万人を動員し、当時の歴代1位となった。

スクリーンクォータ縮小と2010年代の大作時代[編集]

スクリーンクォータは1985年以降、年間146日(約4割)の韓国映画上映を義務づけてきたが、米国との自由貿易協定(FTA)交渉の過程で2006年7月から年間73日に半減された。映画人による大規模な抗議デモが起きたが、韓国映画はその後もシェアを維持し、「保護がなくても戦える」ことを示す結果になった。

2010年代はシネコンの拡大とともに大作志向が加速した。2014年の『バトル・オーシャン/海上決戦』は約1761万人を動員して歴代1位となり、『国際市場で逢いましょう』『ベテラン』『暗殺』『神と共に』など1000万映画が毎年のように生まれた。2019年は『エクストリーム・ジョブ』が約1626万人を動員したほか、ポン・ジュノの『パラサイト 半地下の家族』がカンヌ国際映画祭で韓国映画初のパルムドールを受賞した。

『パラサイト』のアカデミー賞とコロナ後[編集]

2020年2月、『パラサイト』はアカデミー賞で作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4冠を獲得した。英語以外の言語の映画が作品賞を受賞したのは史上初めてである。翌2021年にはユン・ヨジョンが『ミナリ』でアカデミー助演女優賞を受賞し、2022年のカンヌではソン・ガンホが是枝裕和監督の韓国映画『ベイビー・ブローカー』で男優賞、パク・チャヌクが『別れる決心』で監督賞を受賞した。

一方、新型コロナウイルスの流行は劇場に深刻な打撃を与えた。チケット代は平日1万4,000ウォン前後まで値上がりし、観客はOTTへ流れた。2022年には韓国映画の国内シェアが11年ぶりに50%を割り込んでいる。それでも『犯罪都市』シリーズ、『ソウルの春』(2023年、約1312万人)、オカルト・スリラー『破墓/パミョ』(2024年、約1191万人)などのヒットが続き、2026年にはチャン・ハンジュン監督の時代劇『왕과 사는 남자(王と生きる男)』が1600万人を超えて歴代2位に食い込んだ。

主要監督[編集]

ポン・ジュノ[編集]

ポン・ジュノは1969年生まれ、韓国映画アカデミー出身。『ほえる犬は噛まない』(2000年)でデビューし、実在の華城連続殺人事件を題材にした『殺人の追憶』(2003年)で一躍トップ監督となった。『グエムル』(2006年)、『母なる証明』(2009年)、ハリウッド資本の『スノーピアサー』(2013年)、Netflix作品『オクジャ』(2017年)を経て、『パラサイト』で世界の頂点に立った。2025年にはロバート・パティンソン主演のSF『ミッキー17』を発表している。社会の階層構造を「上下の空間」で描く演出は「ポン・ジュノ・ジャンル」と呼ばれることもある。

パク・チャヌク[編集]

パク・チャヌクは『JSA』(2000年)で大ヒットを飛ばした後、『復讐者に憐れみを』(2002年)、『オールド・ボーイ』(2003年)、『親切なクムジャさん』(2005年)の「復讐三部作」で世界的カルト監督となった。『オールド・ボーイ』は日本の漫画(土屋ガロン原作・嶺岸信明作画)の映画化で、2013年にはスパイク・リー監督によるハリウッド・リメイクも作られている。その後も『渇き』(2009年、カンヌ審査員賞)、『お嬢さん』(2016年)、『別れる決心』(2022年、カンヌ監督賞)と、様式美あふれる作品を撮り続けている。

イ・チャンドン[編集]

小説家出身のイ・チャンドンは、『グリーンフィッシュ』(1997年)、『ペパーミント・キャンディー』(1999年)、『オアシス』(2002年、ヴェネツィア国際映画祭監督賞)で評価を確立した。2003〜2004年には盧武鉉政権の文化観光部長官を務めたという異色の経歴を持つ。復帰後の『シークレット・サンシャイン』(2007年)ではチョン・ドヨンがカンヌ女優賞、『ポエトリー アグネスの詩』(2010年)でカンヌ脚本賞を受賞し、村上春樹の短編を原作にした『バーニング 劇場版』(2018年)も高く評価された。寡作だが、一作ごとに世界の映画祭が注目する存在である。

キム・ギドク[編集]

キム・ギドクは独学で映画を学び、暴力と性、救済を極端な形で描く作風で知られた。『サマリア』(2004年)でベルリン国際映画祭銀熊賞(監督賞)、『うつせみ』(2004年)でヴェネツィア監督賞、『嘆きのピエタ』(2012年)で韓国映画初のヴェネツィア金獅子賞を受賞し、三大映画祭すべてで受賞歴を持つ。一方、2018年に撮影現場での性暴力疑惑が報じられて韓国映画界から事実上追放され、2020年12月に滞在先のラトビアで新型コロナウイルス感染症により死去した。

ナ・ホンジン[編集]

ナ・ホンジンは長編デビュー作『チェイサー』(2008年)で連続殺人犯を追う元刑事の執念を描き、新人ながら大鐘賞など主要映画賞を席巻した。続く『哀しき獣』(2010年)、田舎の村で起こる怪死事件と祈祷師を描いたオカルト・スリラー『哭声/コクソン』(2016年)で、ジャンル映画の作家として国際的評価を得た。日本人俳優の國村隼が『哭声』で青龍映画賞の男優助演賞と人気スター賞を受賞したことも話題になった。

リュ・スンワン[編集]

リュ・スンワンは「韓国のアクション職人」と呼ばれる監督で、自主映画出身から『生き残るための3つの取引』(2010年)、『ベテラン』(2015年、約1341万人)でヒットメーカーとなった。ソマリア内戦下の大使館員脱出劇『モガディシュ 脱出までの14日間』(2021年)、1970年代の海女の密輸団を描いた『密輸 1970』(2023年)、続編『ベテラン2』(2024年)と、実話ベースの題材と肉体派アクションを組み合わせた作品を量産している。

その他の監督たち[編集]

このほか、日常会話劇を淡々と撮り続けベルリンで何度も銀熊賞を受賞したホン・サンス、『新感染 ファイナル・エクスプレス』でアニメから実写へ転じたヨン・サンホ、『10人の泥棒たち』『暗殺』で1000万映画を2本持つチェ・ドンフン、『神と共に』二部作のキム・ヨンファ、『ソウルの春』のキム・ソンスなどが現代韓国映画を支えている。

ジャンル的特徴[編集]

復讐・犯罪ノワール[編集]

韓国映画の代名詞といえば復讐劇と犯罪ノワール。『オールド・ボーイ』『悪魔を見た』(キム・ジウン監督、2010年)のような徹底的な復讐譚、『新しき世界』(2013年)や『アシュラ』(2016年)のような警察と組織の癒着を描くノワールが次々と作られた。悪徳刑事・腐敗検事・財閥・政治家が絡み合う構図は、韓国社会の権力への不信を反映しているとよく指摘される。

刑事アクションと「マブリー」[編集]

娯楽路線の頂点がマ・ドンソク主演の『犯罪都市』シリーズである。第1作(2017年)でユン・ゲサンが演じた朝鮮族ギャングのボス、チャン・チェンが強烈な印象を残し、続く『THE ROUNDUP』(2022年)、『NO WAY OUT』(2023年)、『PUNISHMENT』(2024年)が3作連続で1000万人を突破した。拳一発で悪人を沈めるマ・ドンソクは、英語名Ma Dong-seokと「ラブリー」をかけて「マブリー」の愛称で親しまれている。

ゾンビ・パニック・オカルト[編集]

『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016年)は高速鉄道KTXを舞台にしたゾンビ映画で、約1156万人を動員。ゾンビ映画が1000万に届いたことで、韓国ではゾンビものがメジャージャンルに昇格し、ドラマ『キングダム』『今、私たちの学校は』へと続く流れを作った。『哭声』『破墓』のように、シャーマニズム(巫俗)や風水を取り入れたオカルト・ホラーも近年の得意分野である。

実話・現代史もの[編集]

軍事政権・民主化運動・未解決事件といった現代史を題材にした実話映画も大きな柱。光州事件を外国人記者とタクシー運転手の視点で描いた『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017年、約1218万人)、1987年の民主化闘争を描いた『1987、ある闘いの真実』、1979年の粛軍クーデターを描いた『ソウルの春』などが大ヒットした。『殺人の追憶』のモデルとなった華城連続殺人事件は、映画公開から16年後の2019年に真犯人が特定され、映画とともに再び注目を集めた。

社会派ドラマと格差[編集]

『パラサイト』に代表される格差・階級の物語も韓国映画の大きなテーマ。聴覚障害児への性暴力事件を告発した『トガニ 幼き瞳の告発』(2011年)は、公開後に世論が動いて関連法の改正(いわゆる「トガニ法」)につながったことで知られる。映画が社会を動かす例として、韓国映画の影響力の大きさを示すエピソードになっている。

興行記録[編集]

観客動員ランキング[編集]

韓国映画振興委員会の統計による、韓国国内での観客動員数の上位作品は次の通り(2026年時点、概数)。

  • 1位:『バトル・オーシャン/海上決戦』(2014年、キム・ハンミン監督)約1762万人
  • 2位:『왕과 사는 남자』(2026年、チャン・ハンジュン監督)約1690万人
  • 3位:『エクストリーム・ジョブ』(2019年、イ・ビョンホン監督)約1626万人
  • 4位:『神と共に 第一章:罪と罰』(2017年、キム・ヨンファ監督)約1441万人
  • 5位:『国際市場で逢いましょう』(2014年、ユン・ジェギュン監督)約1427万人
  • 6位:『ベテラン』(2015年、リュ・スンワン監督)約1341万人
  • 7位:『ソウルの春』(2023年、キム・ソンス監督)約1313万人
  • 8位:『グエムル -漢江の怪物-』(2006年、ポン・ジュノ監督)約1302万人
  • 9位:『10人の泥棒たち』(2012年、チェ・ドンフン監督)約1298万人
  • 10位:『7番房の奇跡』(2013年、イ・ファンギョン監督)約1281万人

このほか『暗殺』『犯罪都市 THE ROUNDUP』『王になった男』『王の男』『神と共に 第二章:因と縁』も1200万人台に入っている。なお『エクストリーム・ジョブ』のイ・ビョンホン監督は、俳優のイ・ビョンホンとは同名の別人である。

『パラサイト』の数字[編集]

『パラサイト 半地下の家族』の韓国国内動員は約1000万人で、ランキング上位の大作に比べると控えめだが、海外での興行と受賞歴が段違い。日本では2020年1月に公開され、アカデミー賞受賞の追い風もあって興行収入40億円を超え、日本で公開された韓国映画として歴代最高を記録した。主演のソン・ガンホ、長男役のチェ・ウシクらの知名度も一気に上がった。

配給会社と映画賞[編集]

大手配給会社とシネコン[編集]

韓国の映画産業は、投資・配給・劇場を同じグループが握る垂直統合型である。最大手はCJ ENMで、CJグループは1995年に米ドリームワークスへ出資して映画事業に参入し、1998年にはシネコンチェーン「CGV」の1号店をソウル・江辺に開業した。『バトル・オーシャン』『エクストリーム・ジョブ』『国際市場で逢いましょう』『ベテラン』『パラサイト』など、歴代上位作の多くがCJの配給作品である。

ほかにロッテグループ系のロッテエンターテインメント(劇場はロッテシネマ)、オリオン系として始まったショーボックス、『7番房の奇跡』『新感染』を手がけたNEW(Next Entertainment World)、メガボックス系のプラスエム・エンターテインメントが主要配給会社として知られる。劇場はCGV・ロッテシネマ・メガボックスの3社が大半のスクリーンを占めており、大作が公開初週に全スクリーンの半分以上を占める「スクリーン独占」はたびたび批判の的になっている。

三大映画賞[編集]

韓国の主要映画賞として、次の三つがよく挙げられる。

  • 大鐘賞(대종상):1962年創設。政府主導で始まった最も歴史の長い映画賞だが、2010年代には審査の公正性をめぐる騒動で権威が揺らいだ。
  • 青龍映画賞(청룡영화상):1963年創設。スポーツ朝鮮が主催し、毎年秋〜冬の授賞式は俳優たちのドレス姿も含めて大きな話題になる。現在は最も権威ある映画賞と見なされることが多い。
  • 百想芸術大賞(백상예술대상):1965年創設。映画とテレビの両部門を持つ総合賞で、ドラマファンにもおなじみ。

国際的には、釜山国際映画祭が毎年10月に開催され、アジアの新人監督の登竜門として機能している。

日本での受容[編集]

『シュリ』から韓流ブームへ[編集]

日本で韓国映画が一般観客に広がったきっかけは2000年公開の『シュリ』だった。続いて『JSA』『猟奇的な彼女』(2003年日本公開)がヒットし、2004年の『冬のソナタ』をきっかけとする第1次韓流ブームの中で、『私の頭の中の消しゴム』(2005年日本公開)が興行収入約30億円の大ヒットとなった。この記録は『パラサイト』が登場するまで、日本での韓国映画の最高記録だった。

その後、第2次・第3次ブームはK-POPと韓国ドラマが主役となるが、映画も『新感染』『タクシー運転手』『犯罪都市』シリーズなどが安定した人気を集めている。近年はNetflixやU-NEXTなどの配信サービスで旧作を含めて手軽に観られるようになり、劇場公開を経ずに配信で話題になるケースも増えた。

日本リメイク[編集]

韓国映画は日本でのリメイク元としても人気が高い。主な例は次の通り。

  • 『8月のクリスマス』(1998年)→ 日本版『8月のクリスマス』(2005年、山崎まさよし主演)
  • 『怪しい彼女』(2014年)→『あやしい彼女』(2016年、多部未華子主演)
  • 『殺人の告白』(2012年)→『22年目の告白 -私が殺人犯です-』(2017年、入江悠監督)
  • 『サニー 永遠の仲間たち』(2011年)→『SUNNY 強い気持ち・強い愛』(2018年、大根仁監督)
  • 『ただ君だけ』(2011年)→『きみの瞳が問いかけている』(2020年、三木孝浩監督)

逆に日本の漫画・小説を韓国で映画化する例も多く、『オールド・ボーイ』や『バーニング』はその代表格である。

余談[編集]

  • 韓国では10月27日が「映画の日」。1919年に最初の韓国映画とされる『義理的仇討』が上映された日にちなんでいる。
  • ポン・ジュノはアカデミー賞の授賞式で、監督賞のスピーチ中にマーティン・スコセッシへの敬意を語り、会場がスタンディングオベーションに包まれた。
  • 『エクストリーム・ジョブ』は麻薬捜査班がフライドチキン店を偽装経営するコメディで、劇中のカルビ味チキンが「本当にあったら食べたい」と話題になった。
  • 『哭声/コクソン』の國村隼は、外国人俳優として初めて青龍映画賞を受賞した。
  • 『犯罪都市』シリーズのマ・ドンソクは、腕っぷしのイメージとは裏腹に、韓国で「かわいいおじさん」としてCMやバラエティでも人気が高い。
  • 韓国では観客数の速報が毎朝ニュースになるため、配給会社が「何日目で何万人」の記録をポスター画像にして発表するのが恒例になっている。

外部リンク[編集]

💬 みんなの声

この記事を読んだ人が、ひとことつぶやく場所です。