概要[編集]

百想芸術大賞(ひゃくそうげいじゅつたいしょう、ペクサンげいじゅつたいしょう、Baeksang Arts Awards)とは、1965年に創設された韓国の総合芸術賞である。テレビ・映画・演劇(2026年からはミュージカルも)を一つの授賞式で表彰するのが最大の特徴。ドラマと映画のスターが一堂に会する、韓国エンタメ界で最も注目度の高い授賞式の一つとされる。

詳細[編集]

1965年、韓国日報の創業者・張基栄(チャン・ギヨン)が、韓国の大衆文化の発展と芸術家の士気向上を目的に創設した。賞の名前「百想(ペクサン)」は張基栄の雅号に由来する。長く韓国日報系のスポーツ紙『日刊スポーツ』が主催してきたが、2022年以降は中央日報・JTBCを擁するJoongAngグループ系が運営を担い、授賞式はJTBCで生中継されている。2022年からはグッチがスポンサーを務める。

韓国の映画賞としては青龍映画賞や大鐘賞、テレビの賞としては各放送局の演技大賞が有名だが、放送局ごとの演技大賞が「自局作品だけ」を対象とするのに対し、百想は地上波・ケーブル・Netflixなどの配信作品までを横断して選ぶ。そのため「局の垣根を越えた、その年いちばんの韓国ドラマが分かる賞」として日本の韓ドラファンからも注目されている。

授賞式は毎年4〜5月ごろ、ソウル・江南のCOEX(コエックス)で開催されるのが近年の定番。司会は放送人のシン・ドンヨプ、女優・歌手のペ・スジ、俳優のパク・ボゴムの3人が長年務めており、この顔ぶれ自体が「百想の風物詩」として親しまれている。

部門と主な賞[編集]

テレビ部門[編集]

ドラマだけでなく、バラエティや教養番組も対象になる。主な賞は以下のとおり。

  • 大賞:部門全体の最高賞。個人(俳優・脚本家・PD・バラエティ出演者)にも、作品そのものにも贈られる。
  • 作品賞(ドラマ/バラエティ/教養)
  • 演出賞・脚本賞・芸術賞
  • 最優秀演技賞(男女)、助演賞、新人演技賞
  • 男女芸能賞(バラエティ部門)

映画部門[編集]

  • 大賞:個人(監督・俳優・撮影監督など)か作品に贈られる。
  • 作品賞・監督賞・新人監督賞・脚本賞・芸術賞
  • 最優秀演技賞(男女)、助演賞、新人演技賞

演劇・ミュージカル部門[編集]

演劇部門では、その年を代表する舞台作品に「百想演劇賞」が贈られる。2026年の第62回では、韓国ミュージカル60周年を記念してミュージカル部門が新設された。

人気賞・特別賞[編集]

視聴者投票による人気賞のほか、グッチがスポンサーとなってからは、社会に影響を与えた作品を選ぶ「グッチインパクトアワード」が設けられている。

近年の大賞受賞者[編集]

年 回 テレビ部門大賞 映画部門大賞
2015 第51回 ナ・ヨンソク(PD、『花よりおじいさん』) チェ・ミンシク(『バトル・オーシャン 海上決戦』)
2016 第52回 『太陽の末裔 Love Under The Sun』 イ・ジュニク(監督、『空と風と星の詩人 〜尹東柱の生涯〜』『王の運命 -歴史を変えた八日間-』)
2017 第53回 キム・ウンスク(脚本家、『トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜』) パク・チャヌク(監督、『お嬢さん』)
2018 第54回 『秘密の森』 『1987、ある闘いの真実』
2019 第55回 キム・ヘジャ(『まぶしくて』) チョン・ウソン(『無垢なる証人』)
2020 第56回 『椿の花咲く頃』 ポン・ジュノ(監督、『パラサイト 半地下の家族』)
2021 第57回 ユ・ジェソク(バラエティ) イ・ジュニク(監督、『茲山魚譜 -チャサンオボ-』)
2022 第58回 『イカゲーム』 リュ・スンワン(監督、『モガディシュ 脱出までの14日間』)
2023 第59回 パク・ウンビン(『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』) 『別れる決心』
2024 第60回 『ムービング』 キム・ソンス(監督、『ソウルの春』)
2025 第61回 『白と黒のスプーン〜料理階級戦争〜』 ホン・ギョンピョ(撮影監督、『ハルビン』)
2026 第62回 リュ・スンリョン(『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』) ユ・ヘジン(『王と生きる男』)

ドラマ作品賞の近年の受賞作[編集]

  • 2019年:『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』
  • 2020年:『ストーブリーグ』
  • 2021年:『怪物』
  • 2022年:『D.P. -脱走兵追跡官-』
  • 2023年:『ザ・グローリー 〜輝かしき復讐〜』
  • 2024年:『恋人』
  • 2025年:『おつかれさま』
  • 2026年:『ウンジュンとサンヨン』

第62回(2026年)の結果[編集]

第62回百想芸術大賞は2026年5月8日、ソウルのCOEX Dホールで開催され、JTBCで生中継された。

  • テレビ部門大賞:リュ・スンリョン(JTBC『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』)
  • 映画部門大賞:ユ・ヘジン(『王と生きる男』)
  • ドラマ作品賞:『ウンジュンとサンヨン』(Netflix)
  • テレビ演出賞:パク・シヌ(『未知のソウル』)
  • テレビ最優秀演技賞:ヒョンビン(『メイド・イン・コリア』、Disney+)、パク・ボヨン(『未知のソウル』)
  • 映画監督賞:ユン・ガウン(『世界の主人』)
  • 映画最優秀演技賞:パク・ジョンミン(『顔』)、ムン・ガヨン(『サヨナラの引力』)

リュ・スンリョンは2013年に映画『7番房の奇跡』で映画部門大賞を受賞しており、今回のテレビ部門大賞で「映画・テレビ両部門の大賞を受賞した史上初の人物」になったと報じられた。映画部門大賞のユ・ヘジンとは同い年で、1990年代に同じ劇団で下積みをした旧知の仲。受賞スピーチでリュ・スンリョンがユ・ヘジンに感謝を述べ、同じ夜に2人がそろって大賞を手にした場面は大きな話題になった。

映画部門では、韓国で1600万人を超える観客を動員した『王と生きる男』と、パク・チャヌク監督の『しあわせな選択』が最多ノミネートを争った。

日本とのつながり[編集]

日本ではどこで見られる?[編集]

  • 授賞式:2026年の第62回は、NAVERの配信サービス「CHZZK(チジク)」で生配信とアーカイブ配信が行われ、日本からも無料で視聴できたと紹介された。ただし日本語字幕はない。過去にはKBS Worldの日本向けチャンネルで授賞式が放送された年もある。
  • 受賞作品:近年の受賞作の多くはNetflix、Disney+、U-NEXTなどで配信されている。2025年の第61回では『おつかれさま』『白と黒のスプーン』などNetflix作品が9部門を受賞し、「配信作品の強さ」を象徴する回として報じられた。

日本でリメイクされた受賞作[編集]

百想で作品賞を獲った韓国ドラマのなかには、日本でリメイクされたもの、逆に日本のドラマが原作のものもある。

  • 『グッド・ドクター』(2014年作品賞)→ 2018年に山﨑賢人主演で日本版がフジテレビで放送された。
  • 『シグナル』(2016年作品賞)→ 2018年に坂口健太郎主演で日本版『シグナル 長期未解決事件捜査班』が放送された。
  • 『マザー』(2018年作品賞)→ 坂元裕二脚本の日本テレビのドラマ『Mother』(2010年)の韓国リメイク。日本の作品を原作としたドラマが百想の作品賞を受賞した例として知られる。

よくある質問[編集]

百想芸術大賞とは何?
1965年に始まった韓国の総合芸術賞。テレビ・映画・演劇(2026年からミュージカルも)を一つの授賞式で表彰する。
「大賞」はいくつある?
テレビ部門と映画部門にそれぞれ1つずつ。俳優個人だけでなく、監督や脚本家、作品そのものが受賞することもある。
2026年の大賞は?
テレビ部門はリュ・スンリョン(『ソウルの家から大企業に通うキム部長の物語』)、映画部門はユ・ヘジン(『王と生きる男』)。
Netflixの作品も対象になる?
なる。2022年には『イカゲーム』、2025年には『白と黒のスプーン〜料理階級戦争〜』がテレビ部門大賞を受賞している。
授賞式は日本から見られる?
2026年はNAVERの配信サービス「CHZZK」で配信され、日本からも視聴できたと紹介されている(日本語字幕なし)。
司会は誰?
近年はシン・ドンヨプ、ペ・スジ、パク・ボゴムの3人が務めている。

余談[編集]

  • パク・ボゴムは兵役中だった2021年を除き、長年司会を続けている。ペ・スジ、シン・ドンヨプとの3人体制は2026年の第62回も続いた。
  • 2025年の第61回では、映画部門大賞が俳優や監督ではなく撮影監督(ホン・ギョンピョ、『ハルビン』)に贈られ、裏方の受賞として注目された。
  • 2021年の第57回では、バラエティ司会者のユ・ジェソクがテレビ部門大賞を受賞した。
  • 監督イ・ジュニクは2016年と2021年の2度、映画部門大賞を受賞している。

外部リンク[編集]

  • 百想芸術大賞 公式サイト
  • JTBC 百想芸術大賞 番組ページ

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