| キングダム 킹덤 / Kingdom | |
|---|---|
![]() Netflix版『キングダム』のタイトル画面(出典:Wikimedia Commons/パブリックドメイン) | |
| ジャンル | 時代劇・ポリティカルスリラー・ゾンビホラー |
| 放送シーズン | シーズン1・2+特別編 |
| 放送期間 | 2019年1月25日(S1)/ 2020年3月13日(S2)/ 2021年7月23日(特別編『アシンの物語』) |
| 話数 | 各シーズン全6話+特別編1本(92分) |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 配給 | Netflix |
| 配信 | Netflix独占配信 |
| 制作 | |
| プロデューサー | イ・サンベク(製作総指揮)、イ・ソンジュン |
| 演出 | キム・ソンフン(S1・特別編)、パク・インジェ(S2) |
| 制作 | AStory(S1・S2)/スタジオドラゴンほか(特別編) |
| 脚本 | キム・ウニ |
| 音楽 | モク・ヨンジン(S1)、タルパラン(S2) |
| 出演者 | チュ・ジフン、ペ・ドゥナ、リュ・スンリョン、キム・ソンギュ、キム・ヘジュン、チョン・ジヒョン |
| その他 | |
| 原作 | ウェブトゥーン『神の国』(作:キム・ウニ/画:ヤン・ギョンイル) |
| 制作費 | 2シーズン計約350億ウォン |
概要[編集]
キングダム(킹덤、英題:Kingdom)とは、2019年に配信が始まったNetflixオリジナルの韓国ドラマ。朝鮮王朝を舞台にした「時代劇×ゾンビ」という前代未聞の組み合わせで世界を驚かせた。脚本は『シグナル (韓国ドラマ)』のキム・ウニ。Netflixが初めて本格制作した韓国オリジナルシリーズとしても知られ、後のイカゲームや地獄が呼んでいる、今、私たちの学校はに繋がる「K-コンテンツ×Netflix」路線の先駆けとなった。
シーズン1(2019年1月25日)・シーズン2(2020年3月13日)が各6話で配信され、2021年7月23日には前日譚にあたる特別編『キングダム:アシンの物語』が公開された。2026年10月時点でシーズン3の正式発表はない。
詳細[編集]
企画の経緯[編集]
脚本家キム・ウニがこの物語を構想したのは2011年頃とされる。「時代劇の衣装を着せて、現代社会の不安を描く」という発想が出発点で、まずは2014年に作画家ヤン・ギョンイルと組んだウェブコミック『神の国』(신의 나라)として発表された。ウェブトゥーン版とドラマ版は基本設定を共有するだけで、展開や人物造形はかなり異なる。
当初は地上波・ケーブル局での映像化も検討されたが、ゾンビの残酷描写や莫大な制作費がネックになり実現しなかった。そこへ韓国市場への本格参入を狙っていたNetflixが手を挙げ、2017年3月にシリーズ化が正式決定。シーズン1の配信前からシーズン2の制作も決まっていた。
制作規模[編集]
2シーズン分の制作費は約350億ウォンとされ、1話あたりに換算すると約178万ドル(約20億ウォン)以上という、当時の韓国ドラマとしては破格の予算だった。撮影はソウル・京畿道・慶尚北道の各地で2018〜2019年にかけて行われ、特別編は2020年に済州島などで撮影された。当初は各シーズン8話の構想だったが、予算超過により6話ずつに短縮されたとされる。
制作過程では事故も相次いだ。2018年1月には美術スタッフが過労で亡くなり、2019年3月にはシーズン2撮影中のスタッフが交通事故で死亡している。2021年1月には撮影用のセットの城郭で火災も起きた(負傷者なし)。
各シーズンのテーマ[編集]
キム・ウニはインタビューで、各シーズンに別々のテーマを込めたと語っている。シーズン1は「飢え」と権力者による搾取、シーズン2は「血」と血統への執着、そして次に描くべきものは「恨(ハン)」だという。ゾンビは単なる怪物ではなく、腐敗した政治が生む災厄の象徴として描かれている。
ゾンビ描写の特徴[編集]
本作のゾンビは「昼は眠り、夜に動く」「温度が上がると活動する」など独自のルールを持ち、シーズンが進むごとにそのルールが変化していく。ゾンビの動きは振付師が設計しており、関節を無視したような不気味な動作はスタントと舞踊のハイブリッド。疫病の起源が「生死草(せいしそう)」という草にあり、その裏に人間の欲望が絡むという設定も秀逸。シーズン2は籠城戦・冬の氷上戦などスケールの大きいアクションが見どころとなっている。
あらすじ[編集]
シーズン1[編集]
壬辰倭乱(文禄・慶長の役)から3年後の1601年頃。死んだはずの王が生きている——。王の病にまつわる不穏な噂の真相を追う世子イ・チャンは、調査の中で「死者が生き返る疫病」の存在を知る。飢饉と権力闘争にあえぐ朝鮮全土に疫病が広がる中、イ・チャンは医女ソビ、謎の狩人ヨンシンらとともに民を守るための逃亡と反撃を繰り返す。一方、王の外戚である領議政チョ・ハクジュと中殿チョ氏は、王位を奪うために疫病さえも利用しようとする。
シーズン2[編集]
疫病は都・漢陽へと迫り、王宮の内側でも生死草をめぐる陰謀が加速する。イ・チャンは血統と王位継承をめぐる争いに決着をつけるため宮廷へ乗り込み、ソビは疫病の正体と治療法を探る。ラストでは時間が飛び、北方の地で新たな人物アシンが登場して次章への伏線が張られる。
特別編『アシンの物語』[編集]
2021年配信の特別編『キングダム:アシンの物語』(92分)では、本編の鍵を握る謎の女性アシンの過去が描かれる。女真族の村に生まれたアシンは、対立する部族の襲撃で家族と村を失い、ただ一人生き残る。やがて生死草の秘密に辿り着いた彼女は、それを復讐の道具として使い、朝鮮と女真の双方に刃を向けていく。アシン役は『星から来たあなた』のチョン・ジヒョンが演じ、本編とは一転して台詞の少ない陰のある役柄を見せた。
登場人物とキャスト[編集]
- イ・チャン(世子):チュ・ジフン。王の病の真相を追い、疫病と陰謀の両方に立ち向かう。
- ソビ(医女):ペ・ドゥナ。疫病の正体を医学的に解き明かそうとする。
- チョ・ハクジュ(領議政):リュ・スンリョン。王妃の父で、王位を事実上掌握しようとする権力者。
- ヨンシン:キム・ソンギュ。虎狩りの名手でもある謎の男。
- 中殿チョ氏(王妃):キム・ヘジュン。王子出産に執着し、恐るべき手段に出る。
- ムヨン:キム・サンホ。イ・チャンの護衛。
- アン・ヒョン:ホ・ジュノ。イ・チャンの師で、名将として知られる。
- チョ・ボムパル:チョン・ソクホ。チョ家の一族で、臆病ながら憎めない地方官。
- ミン・チロク:パク・ビョンウン。シーズン2で登場する武官。
- アシン:チョン・ジヒョン。シーズン2ラストと特別編に登場。
- アイダガン:ク・ギョファン。特別編に登場する部族の長。
評価[編集]
批評サイトRotten Tomatoesではシーズン1が94%、シーズン2が100%の支持率を獲得し、海外メディアからも「政治スリラーとゾンビホラーの見事な融合」と評された。『ニューヨーク・タイムズ』はシーズン2を2020年の優れた海外ドラマの1本に選んでいる。
韓国国内では第56回百想芸術大賞で作品賞(ドラマ部門)などにノミネートされ、2020年の第2回アジアコンテンツアワードでは最優秀作品賞・主演男優賞(チュ・ジフン)・脚本賞(キム・ウニ)・技術賞を受賞した。
炎上とバズ[編集]
- 海外視聴者が劇中の朝鮮時代の帽子「カッ(笠)」に注目し、「kingdom hats」として海外通販サイトで検索・購入が急増する珍現象が起きた。「朝鮮は帽子の国」という海外ミームまで生まれたとされる。
- ゾンビものの本場である欧米からも「韓国が一番うまくゾンビを撮る」という声が上がり、映画『新感染』と並んで「Kゾンビ」というジャンル名が定着するきっかけになったとされる。
余談[編集]
- 世子役のチュ・ジフンは映画『神と共に』シリーズでも知られる大スター。医女ソビ役のペ・ドゥナは『センス8』など海外作品でも活躍する国際派。
- シーズン1の監督キム・ソンフンは、映画『最後まで行く』『トンネル 闇に鎖された男』でも知られる。
- シーズン3の制作は長らく正式発表がなく、ファンの間では「生死草より続報が欲しい」と語られ続けている。
- 本作のヒット以降、Netflixの韓国作品は『Sweet Home』『今、私たちの学校は』などゾンビ・クリーチャー系が続き、「Kゾンビ」はNetflix韓国オリジナルの定番ジャンルとなった。
- 同じ時代劇でも、『宮廷女官チャングムの誓い』『イ・サン』『太陽を抱く月』のような王道の宮廷劇とはまったく異なる路線で、「時代劇は中高年向け」というイメージを海外の若い視聴者層にまで広げた。
