リュ・スンリョン
류승룡 / 柳承龍 / Ryu Seung-ryong
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2025年、ドラマ『ソウル自家に住む大企業勤めのキム部長の物語』制作発表会でのリュ・スンリョン(出典:Wikimedia Commons、作者:TV10、CC BY 3.0)
誕生日 1970年11月29日
年齢 55歳
出身地 大韓民国 ソウル特別市
国籍 大韓民国
学歴 ソウル芸術専門大学(現・ソウル芸術大学)演劇科
宗教 キリスト教
ジャンル 映画・ドラマ・舞台
活動期間 1986年 -
家族 妻(2004年結婚)、子ども2人
事務所 プレインTPC
代表作 『王になった男』『7番房の奇跡』『エクストリーム・ジョブ』『キングダム』『ムービング』『ソウル自家に住む大企業勤めのキム部長の物語』
関連活動 ノンバーバル・パフォーマンス『NANTA』(1997年 - 2002年頃)
その他 観客1000万人突破作に4本出演、百想芸術大賞で映画部門大賞(2013年)・テレビ部門大賞(2026年)


概要[編集]

リュ・スンリョン(류승룡、1970年11月29日 - )とは、韓国の俳優である。ノンバーバル劇『NANTA』の世界ツアーを経て30代で映画界に進み、『王になった男』『7番房の奇跡』『バトル・オーシャン 海上決戦』『エクストリーム・ジョブ』と観客1000万人突破作に4本出演。百想芸術大賞の映画・テレビ両部門で大賞を獲得した。

詳細[編集]

いじめられっ子が演劇部で見つけた居場所[編集]

ソウル出身。高校時代はいじめに苦しんだが、演劇部に入って居場所を見つけたと本人が語っている。1990年にソウル芸術専門大学(現・ソウル芸術大学)演劇科に入学。卒業公演は恩師カン・マンホン演出の舞台『道』で、同じ舞台にはファン・ジョンミンらも立っていた。のちに韓国映画界を背負う顔ぶれが、無名の学生として同じ板の上にいたわけである。

劇団・ビデ工場・NANTA[編集]

卒業後は劇団に入り、舞台で修業を積んだ。もちろん演劇だけで食べていけるはずもなく、インテリア施工、出前、市場の荷運び、そして同期のユ・ヘジンと一緒にビデ(温水洗浄便座)工場の組み立てラインと、アルバイトを渡り歩いた。1997年には恩師とともにニューヨークの実験劇場ラ・ママで前衛劇に出演。同年10月、台詞のない打楽器パフォーマンス『NANTA』を観て衝撃を受け、代役として参加。翌1998年から主要キャストとなり、「料理長」役でエディンバラ・フリンジ・フェスティバルなど20か国以上を回り、ブロードウェイ公演や米NBCの朝の番組にも出演した。

「口のきけない人みたいだった」[編集]

NANTAは世界中で大ヒットしたが、リュ・スンリョンは約5年で卒業する。理由は「台詞が一言もなく、自分が口のきけない人間のように感じた」から。こうして30代で台詞のある芝居、そして韓国映画の世界へ本格的に舵を切った。2004年にチャン・ジン監督の『아는 여자』で銀行強盗役の端役として映画デビュー。以後しばらくはチャン・ジン組の常連として『拍手する時に去れ』(2005年)などで経験を重ねていく。

遅咲きのブレイク:2011〜2014年[編集]

『神弓』と『高地戦』で一気に注目[編集]

40歳を迎えた2011年、リュ・スンリョンの名前が一気に広まる。朝鮮戦争の最前線を描いた『高地戦』では中隊長ヒョン・ジョンユン役、丙子胡乱を舞台にした弓術アクション『神弓-KAMIYUMI-』では清の猛将ジュシンタ役を演じ、後者で第32回青龍映画賞助演男優賞を受賞した。冷酷で圧倒的な敵将の存在感は、それまで「どこかで見た脇役」だった彼を「絶対に忘れない顔」に変えた。

『僕の妻のすべて』のカサノバ[編集]

2012年のロマンティック・コメディ『僕の妻のすべて』では、伝説のプレイボーイ、チャン・ソンギ役。強面の敵将から一転、キザで情熱的な色男を振り切って演じ、主役を食う存在感で「この人、何でもできるのでは」という評価を決定づけた。

『王になった男』の許筠[編集]

同じ2012年、イ・ビョンホン主演の時代劇『王になった男』で、王の影武者を仕立てる側近・許筠(ホ・ギュン)を演じる。観客動員は約1230万人に達し、リュ・スンリョンにとって初の「1000万映画」となった。ちなみに2014年のドラマ『星から来たあなた』第19話にも、なぜか同じ「許筠」としてカメオ出演しており、ファンの間では小ネタとして知られている。

『7番房の奇跡』で百想大賞[編集]

2013年の『7番房の奇跡』では、知的障害を持つ父親イ・ヨング役で主演。無実の罪で刑務所に入れられた父と、幼い娘の再会を描いた物語は約1280万人を動員する社会現象となり、第49回百想芸術大賞で映画部門大賞、第50回大鐘賞で主演男優賞を受賞した。純粋で不器用な父親像は「国民の涙腺を壊した」と言われ、のちにトルコなど各国でリメイクもされている。

『バトル・オーシャン 海上決戦』の来島通総[編集]

2014年の『バトル・オーシャン 海上決戦』(原題:鳴梁)では、チェ・ミンシク演じる李舜臣と対峙する日本水軍の武将・来島通総を演じた。同作は約1760万人を動員し、韓国映画の歴代興行1位を記録。これでリュ・スンリョンは3本目の1000万映画を手にした。

『エクストリーム・ジョブ』とチキン伝説[編集]

麻薬班がチキン屋を開業[編集]

2019年1月23日公開の『エクストリーム・ジョブ』(原題:極限職業、監督:イ・ビョンホン)で、リュ・スンリョンは成績不振の麻薬捜査班を率いるコ班長を演じた。張り込みのためにフライドチキン店を買い取った刑事たちが、なぜか店を大繁盛させてしまうというコメディで、コ班長は12回刺されても生き延びたことから「ゾンビ」の異名を持つ男という設定。退職金をつぎ込んでチキン屋を守ろうとする中年刑事の悲哀が笑いと共感を呼んだ。

1626万人、韓国映画史に残る大ヒット[編集]

同作は公開15日目で観客1000万人を突破し、最終的に約1626万人を動員。韓国映画の歴代興行で『バトル・オーシャン 海上決戦』に次ぐ2位となった。リュ・スンリョンは本作で「主演・出演作のうち4本が1000万人を突破した初めての韓国俳優」となった。ハリウッドでのリメイク企画も2019年に発表され、ケヴィン・ハートの参加が報じられた。

「今までこんな味はなかった」[編集]

劇中でコ班長が口にする「今までこんな味はなかった。これはカルビか、チキンか」は、公開直後から韓国の国民的流行語になった。SNSでは無数のパロディが生まれ、新聞の見出しでも「今までこんな映画はなかった」「今までこんな売上はなかった」と使い回されたほどである。

『キングダム』の領議政[編集]

2019年1月にNetflixで配信が始まった『キングダム』で、リュ・スンリョンは朝鮮の領議政であり、海原趙氏の当主チョ・ハクジュを演じた。王妃の父として、まだ生まれていない王妃の子を王位に就けようと画策し、チュ・ジフン演じる世子イ・チャンの政敵となる冷酷な権力者だ。

シーズン1では疫病の秘密を握りながら権力を固めようとし、シーズン2(2020年3月配信)では自らもゾンビに噛まれるが、水に浸かることで感染が治まるという意外な展開を経る。しかし最後は、娘である王妃の手で毒殺されてしまう。底知れない強欲と、娘に裏切られる哀れさの両方を見せたこの役は、ゾンビと政治劇を融合させた本作の「政治パート」の要となった。『キングダム』はNetflix初の韓国ドラマオリジナル作品として、のちの『イカゲーム』へと続くK-コンテンツ世界進出の先駆けとなった作品でもある。

『ムービング』の不死身の父[編集]

2023年8月からDisney+で配信された『ムービング』では、怪力と驚異的な再生能力を持つチャン・ジュウォンを演じた。元は暴力団の用心棒で、のちに国家安全企画部のブラック・オプス要員(コードネーム「九龍浦」)となった男。現代パートではチキン店を営みながら、再生能力を受け継いだ高校生の娘ヒス(コ・ユンジョン)を一人で育てている。

亡き妻ファン・ジヒとの出会いと別れを描いた「ジュウォン編」は、ドラマ全体の中でも屈指の名エピソードとして名高い。アクションの大半を自らこなしたとされ、50代とは思えない運動量も話題になった。本作でリュ・スンリョンは2023年のアジアコンテンツアワードで主演男優賞を受賞した。ちなみに『エクストリーム・ジョブ』に続いて、またもやチキン店の店主役である。

2026年には『ムービング』シーズン2の撮影が始まった。リュ・スンリョンによれば、同年5月にコ・ユンジョンと久しぶりに再会して初撮影を行い、撮影は翌年4月まで約1年続く予定。役作りのために酒とタバコを控え、毎日パーソナルトレーニングをこなしているという。

『キム部長の物語』と2度目の百想大賞[編集]

「ソウルに家があって大企業勤め」の崩壊劇[編集]

2025年10月25日から11月30日までJTBCで放送された『ソウル自家に住む大企業勤めのキム部長の物語』(全12話)は、ソン・ヒグの同名小説を原作とする作品。演出は『SKYキャッスル』などのチョ・ヒョンタク。Netflixでも配信された。リュ・スンリョンは、大企業の営業部長として順風満帆の人生を送ってきたはずのキム・ナクスを演じた。ソウルに持ち家があり、大企業に勤め、家族もいる――そんな「勝ち組」中年の足元が少しずつ崩れていく物語である。

妻パク・ハジン役はミョン・セビン、息子キム・スギョム役はチャ・ガンユン。視聴率は初回2.89%から右肩上がりで、最終回は7.57%と自己最高を更新し、放送期間を通じて同時間帯1位を守った。

13年ぶりの百想大賞[編集]

2026年5月8日、ソウル・COEXで開かれた第62回百想芸術大賞で、リュ・スンリョンは本作によりテレビ部門大賞を受賞した。2013年の映画部門大賞から13年ぶりの2度目の大賞で、映画・テレビの両部門で大賞を取った数少ない俳優の一人となった。同作のユ・スンモクも助演男優賞を受賞している。

受賞スピーチでは、役名「ナクス(落水)」にかけて「落ちる水はそこで終わりだと思っていたが、小川になり、川になり、海になっていった」と語り、最後に「全国のナクスたち、幸せになってください」と締めくくった。人生のつまずきを経験した中年たちへのエールとして、大きな反響を呼んだ。

その他の主な出演作[編集]

映画[編集]

  • 『拍手する時に去れ』(2005年)
  • 『熱血男児』(2006年) - イ・ミンジェ役
  • 『ファン・ジニ』(2007年) - ヒヨル役
  • 『7級公務員』(2009年) - ウォンソク役
  • 『シークレット』(2009年) - ジャッカル役
  • 『高地戦』(2011年) - ヒョン・ジョンユン役
  • 『神弓-KAMIYUMI-』(2011年) - ジュシンタ役
  • 『僕の妻のすべて』(2012年) - チャン・ソンギ役
  • 『王になった男』(2012年) - 許筠役
  • 『7番房の奇跡』(2013年) - イ・ヨング役
  • 『バトル・オーシャン 海上決戦』(2014年) - 来島通総役
  • 『サイコキネシス -念力-』(2018年) - ソクホン役
  • 『7年の夜』(2018年) - ヒョンス役
  • 『エクストリーム・ジョブ』(2019年) - コ班長役
  • 『茲山魚譜 チャサンオボ』(2021年) - カメオ出演
  • 『人生は、美しい』(2022年) - カン・ジンボン役
  • 『アマゾン活命水』(原題、2024年) - チョ・ジンボン役
  • 『비광』(原題、2026年9月公開) - チュング役

ドラマ[編集]

  • 『風の絵師』(2008年) - キム・ジョニョン役
  • 『アイリス』(2009年) - IRISの傭兵部隊リーダー役
  • 『個人の趣向』(2010年) - チェ・ドビン役
  • 『星から来たあなた』(2014年) - 許筠役(カメオ)
  • 『キングダム』(2019年 - 2020年) - チョ・ハクジュ役
  • 『ムービング』(2023年) - チャン・ジュウォン役
  • 『チキンナゲット』(2024年) - チェ・ソンマン役
  • 『パイン:田舎者たち』(2025年) - オ・グァンソク役
  • 『ソウル自家に住む大企業勤めのキム部長の物語』(2025年) - キム・ナクス役

演技スタイルと評価[編集]

敵将から父親まで、振り幅の怪物[編集]

リュ・スンリョンの最大の武器は振り幅の広さだ。『神弓』の冷酷な清の将軍、『僕の妻のすべて』の伝説のプレイボーイ、『7番房の奇跡』の純粋な父親、『エクストリーム・ジョブ』のダメ刑事、『キングダム』の強欲な権力者、『ムービング』の不死身の父親と、キャラクターの方向性が見事にばらばら。それでいて、どの役も「リュ・スンリョンにしかできない」と思わせる説得力がある。

「父親役」の第一人者[編集]

特に2010年代後半以降は、父親役で観客を泣かせる場面が増えた。『7番房の奇跡』のイ・ヨング、『サイコキネシス -念力-』で娘のために超能力を使う父、『ムービング』のジュウォン、Netflix『チキンナゲット』で娘がチキンナゲットになってしまう会社社長と、娘を思う父親を何度も演じてきた。2026年公開の映画『비광』でも、娘を守るためにすべてを懸ける元野球スターの父親を演じている。

『チキンナゲット』の怪演[編集]

2024年3月15日にNetflixで配信された『チキンナゲット』は、『エクストリーム・ジョブ』のイ・ビョンホン監督と再タッグを組んだ作品。原作はNAVERウェブトゥーン。謎の機械に入った娘(キム・ユジョン)がチキンナゲットになってしまい、父のチェ・ソンマンが娘に想いを寄せるインターンとともに娘を人間に戻そうと奮闘するという、ぶっ飛んだ設定のコメディである。またもやチキン絡みの作品に出たことで、「リュ・スンリョンとチキンは切っても切れない」というネタがさらに強化された。

CMと社会活動[編集]

「広告モデル・オブ・ザ・イヤー」[編集]

1000万映画を連発した2013〜2014年頃は、CM界でも引っ張りだこだった。サムスン生命、公文、SKテレコムなど大手企業のCMに出演し、2014年には韓国広告大賞で今年の広告モデルに選ばれている。チキンブランドの広告では、特定ラインの売上を約5倍に伸ばしたと報じられた。

後進育成と寄付[編集]

母校ソウル芸術大学演技芸術学科の兼任教授も務めている。2015年には独立映画に1000万ウォンを寄付し、2020年9月にはパク・ジニとともに国際環境NGOグリーンピースの気候危機キャンペーンに参加した。

炎上とバズ[編集]

「ビデ・デュオ」が30年越しに大賞[編集]

百想芸術大賞でユ・ヘジンとそろって大賞を受賞した直後、リュ・スンリョンは自身のInstagramにユ・ヘジンとのツーショットなど授賞式の舞台裏写真を投稿し、「ビデ・デュオ、一緒に作品を作った宝石のような方々」と綴った。受賞スピーチでも30年前の鳥致院のビデ工場でのアルバイトを振り返っており、「工場のバイト仲間が30年後に同じ夜の大賞」というドラマのような展開は、韓国の報道で「ビデ工場のバイト生たちがやってのけた」と大きく取り上げられた。

自分の顔の餅を食べる動画[編集]

2022年11月には、『チキンナゲット』の撮影現場から、自分の顔が描かれたペクソルギ(白い蒸し餅)を食べようとして笑いをこらえきれなくなる動画をInstagramのストーリーズに投稿。背景には撮影現場への差し入れのコーヒーカーが写り込んでおり、ファンの間でちょっとした話題になった。

余談[編集]

  • 特技として採血、木剣術、水泳、歌、木工などが挙げられている。俳優の特技欄に「採血」があるのはなかなか珍しい。
  • NANTAは厨房を舞台に包丁や鍋を打楽器にする作品で、リュ・スンリョンが演じたのはその「料理長」役だった。
  • 『エクストリーム・ジョブ』『ムービング』『チキンナゲット』と、チキンにまつわる作品への出演が妙に多い。
  • 『王になった男』と『星から来たあなた』の2作品で、別の作品なのに同じ歴史上の人物・許筠を演じている。
  • 2026年の百想芸術大賞の受賞後、SNSでNANTA、ソウル芸大の同期、『パイン:田舎者たち』『アマゾン活命水』の共演者らにも感謝の言葉を送った。

外部リンク[編集]

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