| 太陽を抱く月 해를 품은 달 / Moon Embracing the Sun | |
|---|---|
![]() 制作発表会でのイ・フォン役キム・スヒョン(2012年1月2日・出典:Wikimedia Commons/CC BY 2.0 KR) | |
| 略称 | ヘプムダル(해품달) |
| ジャンル | 時代劇・ファンタジーロマンス |
| 放送期間 | 2012年1月4日 - 2012年3月15日 |
| 放送時間 | 水・木 21:55 - |
| 話数 | 全20話(+特別編2本) |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 放送局 | MBC |
| 平均視聴率 | 最終回42.2%(AGBニールセン・全国) |
| 制作 | |
| 演出 | キム・ドフン、イ・ソンジュン |
| 制作 | パンエンターテインメント |
| 脚本 | チン・スワン |
| 出演者 | キム・スヒョン、ハン・ガイン、チョン・イル、キム・ミンソ |
| その他 | |
| 原作 | チョン・ウングォル『太陽を抱く月』(小説) |
概要[編集]
太陽を抱く月(たいようをいだくつき、해를 품은 달)とは、2012年1月4日から3月15日まで韓国MBCで放送された全20話のファンタジー時代劇である。架空の朝鮮王イ・フォンと、死んだはずの初恋の女性ヨヌ(巫女ウォル)の恋を描き、最終回で視聴率42.2%を記録して「国民ドラマ」と呼ばれた。
詳細[編集]
原作と企画[編集]
原作は作家チョン・ウングォルが2011年に発表した同名のロマンス小説で、累計100万部を超えるベストセラーとなった。チョン・ウングォルは『成均館儒生たちの日々』(ドラマ版『トキメキ☆成均館スキャンダル』の原作)でも知られ、朝鮮時代を舞台にした「史実の制約をゆるめた宮廷ロマンス」を得意とする作家である。
ドラマ版の脚本はチン・スワン、演出はキム・ドフンとイ・ソンジュン、制作はパンエンターテインメントが担当した。主人公の王は実在しない「架空の王」として設定されており、実在の王を描く正統派時代劇(イ・サン・トンイなど)と違って、史実との整合性に縛られずに恋愛と宮廷陰謀に振り切った構成をとっている。
タイトルの意味[編集]
劇中で王(イ・フォン)は「太陽」、記憶を失って巫女として生きるヨヌは「月(ウォル=월)」の名を与えられる。タイトルの「太陽を抱く月」は、王の陰に隠れながら王を守り続ける女性=月が、太陽である王を包み込むという二人の関係そのものを指している。略称の「ヘプムダル(해품달)」は放送当時の韓国で流行語のように使われた。
子役パートと大人パート[編集]
全20話のうち序盤6話ほどは少年少女時代を描く子役パートで、世子イ・フォンをヨ・ジング、ヨヌをキム・ユジョン、ユン・ボギョンをキム・ソヒョン、ヤンミョン君をイ・ミンホ(1993年生の俳優)、ヨヌの兄ホ・ヨムをイム・シワンが演じた。子役パートの時点で視聴率は20%台に乗り、「子役だけで成立している」と言われるほどの評判を得た。
第7話前後から大人パートに移り、キム・スヒョン(イ・フォン)、ハン・ガイン(ヨヌ/ウォル)、チョン・イル(ヤンミョン君)、キム・ミンソ(王妃ユン・ボギョン)に交代した。子役から大人への引き継ぎで視聴率が落ちるのが韓国ドラマのよくあるパターンだが、本作は交代後も数字が伸び続けた。
視聴率の推移[編集]
AGBニールセン・メディアリサーチ調べで、第1話は全国18.0%(ソウル首都圏19.7%)、TNmS調べでは15.0%だった。そこから右肩上がりに上昇を続け、最終第20話は全国42.2%、首都圏45.8%に達した。2010年代のミニシリーズ(週2回放送の連続ドラマ)で40%を超えた例は数えるほどしかなく、本作はその代表例として扱われる。
放送中のストライキと特別編[編集]
放送期間中の2012年1月末から、MBCでは労働組合による長期ストライキが始まり、演出のキム・ドフンも参加した。このため放送スケジュールに影響が出て、本編の合間に特別編2本が編成された。視聴率40%台のドラマを抱えたままストライキが続いたことは、当時のMBCの労使対立の大きさを示す出来事としても報じられた。
あらすじ[編集]
朝鮮王朝のある時代。世子イ・フォンは、学者の娘ホ・ヨヌと出会い、互いに惹かれ合う。ヨヌは世子嬪(世子の妃)に選ばれるが、ヨヌの存在を邪魔に思う外戚勢力が巫女を使って呪いをかけ、ヨヌは原因不明の病で倒れて死んだとされる。
8年後、王となったフォンは、初恋の死を引きずったまま王妃ボギョンとの冷えた夫婦関係を続けていた。ある夜、病を癒すための「厄受け」の巫女として宮中に送られてきたウォルに、フォンは死んだヨヌの面影を見る。ウォルこそ、仮死状態から救い出され記憶を失って生きてきたヨヌ本人だった。フォンは8年前の死の真相を追い、外戚勢力の陰謀と、ヨヌを想い続けてきた異母兄ヤンミョン君の存在が絡み合っていく。
キャストと人物[編集]
主要人物[編集]
- イ・フォン(キム・スヒョン/子役:ヨ・ジング):架空の朝鮮王。冷静沈着だが、ヨヌのこととなると感情を抑えきれない。コミカルな場面と切ない場面の振り幅が大きく、キム・スヒョンの出世作となった。
- ホ・ヨヌ/ウォル(ハン・ガイン/子役:キム・ユジョン):聡明な学者の娘。世子嬪に選ばれた直後に「死亡」し、記憶を失った巫女ウォルとして生き延びる。
- ヤンミョン君(チョン・イル/子役:イ・ミンホ):フォンの異母兄。自由奔放にふるまいながらヨヌを想い続ける、いわゆる「切ない二番手」の役どころ。
- ユン・ボギョン(キム・ミンソ/子役:キム・ソヒョン):外戚ユン氏の娘で、ヨヌに代わって世子嬪、のちの王妃となる。
周辺人物[編集]
- ホ・ヨム(ソン・ジェヒ/子役:イム・シワン):ヨヌの兄で、王の側近となる若き学者。
- キム・ジェウン(ソン・ジェリム):王の護衛を務める武官。寡黙なキャラクターで女性人気が高かった。
- 大王大妃ユン氏(キム・ヨンエ):外戚勢力の中心にいる王室の最年長者。
- チャン・ノギョン(チョン・ミソン):国巫(国の筆頭巫女)。ヨヌの「死」と「生存」の両方に深く関わる。
受賞[編集]
| 年 | 賞 | 部門 | 受賞 |
|---|---|---|---|
| 2012 | 第48回百想芸術大賞 | テレビ部門 作品賞 | 太陽を抱く月 |
| 2012 | 第48回百想芸術大賞 | テレビ部門 最優秀演技賞(男性) | キム・スヒョン |
| 2012 | 上海テレビ祭 | 海外ドラマ部門 銀賞 | 太陽を抱く月 |
| 2012 | コリアドラマアワード | OST賞 | Lyn「時間を遡って」 |
| 2012 | MBC演技大賞 | 今年のドラマ賞 | 太陽を抱く月 |
| 2012 | MBC演技大賞 | 最優秀演技賞 | キム・スヒョン、ハン・ガイン |
音楽[編集]
挿入歌のうち、歌手Lynが歌うバラード「時間を遡って(시간을 거슬러)」は放送当時の音源チャートで上位に入り、コリアドラマアワードのOST賞を受賞した。ドラマの名場面とセットで記憶されている曲で、韓国ドラマOSTの定番として後年も挙げられることが多い。
日本での放送・展開[編集]
日本ではNHKのBSプレミアムで2013年1月20日から6月23日まで、日曜21時台に日本語吹替版が放送された。NHKでの放送により、冬のソナタ・宮廷女官チャングムの誓い以来の「NHKで見る韓国時代劇」の系譜に位置づけられ、中高年層にも視聴者を広げた。日本ではNHK出版からDVDも発売されている。
海外では日本・タイ・香港・シンガポール・台湾・マレーシア・インドネシア・フィリピンなどアジア各国に放映権が販売され、2015年には米国のNetflixでも配信された。
舞台化[編集]
2013年7月6日から31日まで、ソウル芸術の殿堂でミュージカル版が初演され、2014年にも再演された。2014年の再演では少女時代のソヒョンがヨヌ役を務めた。日本でも2014年から2015年にかけてミュージカル版が上演され、超新星のソンモがイ・フォン役を演じた。
評価と影響[編集]
本作の成功要因としてよく挙げられるのは、(1)ベストセラー原作による固定読者、(2)子役パートで視聴者をつかんでから大人パートに引き継ぐ構成、(3)架空の王という設定で史実に縛られずに恋愛に振り切れたこと、の3点である。とくに(3)は、その後の雲が描いた月明かり(2016年)やトッケビなど、ファンタジー要素を強めたロマンス作品の流れにもつながったと見られている。
出演者のその後への影響も大きい。キム・スヒョンは本作の翌年に星から来たあなた(2013〜2014年)でアジア全域のトップスターとなり、のちに涙の女王(2024年)でも主演を務めた。子役のヨ・ジング、キム・ユジョン、キム・ソヒョンはいずれも成人後に主演級の俳優となり、本作は「子役の見本市」と呼ばれることがある。キム・ユジョンは雲が描いた月明かりで再び時代劇ロマンスのヒロインを演じている。
余談[編集]
- 子役パートの評判が高すぎて、大人キャストへの交代時に「子役ロス」が話題になったと言われる。
- 子役のイ・ミンホは、『花より男子』で知られる同名の俳優イ・ミンホとは別人(1993年生)。
- ホ・ヨムの子役を演じたイム・シワンは、当時アイドルグループZE:Aのメンバーで、本作が本格的な演技活動の出発点になった。
- 主演のキム・スヒョンの「架空の王」役はコミカルな場面の評判もよく、制作発表会の写真が今も作品紹介でよく使われる。
- 視聴率42.2%という数字は、同じMBCの時代劇イ・サンやトンイを上回るものだった。
