イ・サン
이산 / Yi San(英題:Lee San, Wind of the Palace)
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主演のイ・ソジン(2024年、出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY 3.0)
ジャンル 時代劇(朝鮮王朝もの)
放送期間 2007年9月17日 - 2008年6月16日
放送時間 月・火曜 21:55 -(韓国時間)
話数 全77話(当初60話予定から延長)
放送国家 韓国
言語 韓国語
放送局 MBC
配信 U-NEXT、Hulu、DMM TVほか(日本・2026年時点、時期により変動)
平均視聴率 26.4%(韓国全国)
制作
企画 チョ・ジュンヒョン
演出 イ・ビョンフン、キム・グノン
制作 MBC
脚本 キム・イヨン
音楽 イム・セヒョン
出演者 イ・ソジン、ハン・ジミン、イ・ジョンス、イ・スンジェ、ハン・サンジン、キム・ヨジン ほか
その他
関連番組 トンイ、宮廷女官チャングムの誓い

概要[編集]

イ・サン(原題:이산)とは、2007年から2008年にかけて韓国・MBCで放送された全77話の時代劇ドラマで、朝鮮王朝第22代国王・正祖(諱は李祘=イ・サン)の少年期から晩年までを描いた作品である。演出は『宮廷女官チャングムの誓い』のイ・ビョンフン、主演はイ・ソジンとハン・ジミン。

詳細[編集]

企画と制作[編集]

MBCの月火ドラマ枠(21:55〜)で2007年9月17日にスタートし、2008年6月16日に完結した。当初は全60話の予定だったが、高視聴率を受けて17話延長され全77話となった。脚本はキム・イヨン、演出はイ・ビョンフンとキム・グノンの共同。撮影の中心は京畿道龍仁市にあるMBCのオープンセット「ドラミア」である。劇中音楽はイム・セヒョンが担当し、イ・ビョンフン作品の常連として『トンイ』の音楽も手掛けている。

史実の正祖とドラマの違い[編集]

正祖は18世紀後半に在位した実在の王で、学問所「奎章閣」の設置、身分にとらわれない人材登用、父の墓所の移転と水原華城の築城などで知られ、朝鮮後期の「文芸復興」の中心人物とされる。ドラマはこうした史実の大枠を骨格にしつつ、幼なじみの宮女ソン・ソンヨン(ソン・ヨン)、護衛武官パク・テスとの三人の友情と恋を物語の軸に据えた。ソンヨンを図画署の女性画員として描く設定、テスの活躍、老論派を一貫した陰謀勢力として描く構図などはドラマ独自の脚色で、韓国ではこの点を「歴史劇というより宮廷ヒューマンドラマ」と評する声もある。史実の年表を知っていても先の読めない展開が続くのは、このフィクション部分の厚みによるところが大きい。

イ・ビョンフン時代劇の系譜[編集]

イ・ビョンフンは『ホジュン 宮廷医官への道』(1999年)、『商道』(2001年)、『宮廷女官チャングムの誓い』(2003年)と、身分の低い主人公が才能と努力で道を切り開く「成功物語型」時代劇でMBCの看板演出家となった。本作は同監督が初めて国王そのものを主人公に据えた作品で、宮廷政治の比重が大きい一方、ソンヨンが画員として成長する職業ドラマの要素も残し、従来の作風と王朝劇を融合させている。続く『トンイ』(2010年)では正祖の曽祖母にあたる淑嬪崔氏を主人公にしており、放送順とは逆に物語の時代をさかのぼる形となった。

主演俳優[編集]

主演のイ・ソジンは本作でMBC演技大賞の男性最優秀賞を受賞し、時代劇俳優としての評価を確立した。「罪人の息子」と蔑まれながら耐え忍ぶ世孫から、改革を断行する国王へと変わっていく長丁場を演じ切った。ヒロインのハン・ジミンも同賞で女性優秀賞を受け、少女期のソンヨンを演じた子役イ・ハンナからバトンを受け取って物語後半の主軸を担った。英祖役の大御所イ・スンジェは、孫を愛しながら息子を死なせた老王の複雑さを体現し、同年の時代劇部門「黄金の演技賞」を受賞している。

あらすじ[編集]

幼少期[編集]

18世紀半ばの朝鮮。国王・英祖の孫である幼い世孫イ・サンは、父・思悼世子が老論派の陰謀と英祖との確執の末に米びつに閉じ込められて死ぬという悲劇を目の当たりにする。父の無実を信じるサンは、宮中で知り合った図画署の茶母(下働き)の少女ソンヨン、宦官見習いの少年パク・テスと固い友情で結ばれるが、事件の余波で三人は離れ離れになってしまう。

世孫時代[編集]

成長したサンは「罪人の息子」として重臣たちや貞純王后(大妃)一派から命を狙われる日々を送る。宮中に戻ったソンヨンは図画署で画員を目指し、テスは武官としてサンを護衛する立場となり、三人は再会を果たす。サンは才気あふれる若手官僚ホン・グギョンを腹心に得て数々の陰謀をかわし、年老いた英祖の信頼を少しずつ勝ち取りながら、王位継承への険しい道を進んでいく。

即位後[編集]

英祖の死後に即位したサンは「私は思悼世子の息子である」と宣言し、改革政治に乗り出す。奎章閣の設置や人材登用、父の名誉回復、そして水原華城の建設へと理想を形にしていく一方、権勢を握りすぎたホン・グギョンの失脚、反対勢力との対立など、王としての孤独も深まっていく。ソンヨンとは長い回り道の末に結ばれ、彼女は側室・宜嬪(ウィビン)となって世子を産むが、幸福は長くは続かない。最終盤では華城に託した夢と、王として生き抜いたサンの最期が描かれる。

登場人物[編集]

役名 俳優 説明
イ・サン(正祖) イ・ソジン(子役:パク・チビン) 主人公。英祖の孫で思悼世子の息子。世孫として命を狙われ続け、のち第22代国王に即位する。
ソン・ソンヨン(宜嬪成氏) ハン・ジミン(子役:イ・ハンナ) 図画署の茶母から画員を目指す女性。サンの幼なじみで、のちに側室・宜嬪となる。
パク・テス イ・ジョンス(子役:クォン・オミン) サンとソンヨンの幼なじみ。武芸に秀で、サンの護衛として生涯仕える。
英祖 イ・スンジェ 第21代国王。サンの祖父。孫を愛する一方、息子の思悼世子を死に追いやった過去を抱える。
思悼世子 イ・チャンフン サンの父。老論派との対立の末、米びつに閉じ込められて絶命する。
恵慶宮洪氏 キョン・ミリ サンの母。夫を失った悲しみを抱えつつ、息子の即位を願う。
貞純王后(大妃) キム・ヨジン 英祖の継妃。サンと対立する勢力の中心人物。
和緩翁主 ソン・ヒョナ 英祖の娘でサンの叔母。サンの即位を阻もうと画策する。
孝懿王后 パク・ウネ サンの正室。控えめで思慮深い王妃。
ホン・グギョン ハン・サンジン サンの腹心となる切れ者の官僚。権勢を強めるにつれ道を外れていく。
チョン・フギョム チョ・ヨヌ(子役:イ・インソン) 和緩翁主の養子。サンの敵対勢力として立ちはだかる。
チェ・ジェゴン ハン・インス 良識派の重臣。サンの改革を支える。
チョン・ヤギョン ソン・チャンウィ 若き実学者。華城建設などでサンの右腕となる。
元嬪洪氏 チ・ソンウォン ホン・グギョンの妹。サンの側室として入宮する。

史実との関係[編集]

主要な王族・重臣の多くは実在の人物で、思悼世子の死(1762年)、正祖の即位(1776年)、洪国栄の失脚、水原華城の築城(1794〜1796年)といった大きな出来事は史実に沿っている。思悼世子の死に至る経緯は、恵慶宮洪氏が晩年に著した回想録『閑中録』でも知られるが、その解釈には諸説あり、ドラマは「世子は陰謀の犠牲者」という立場を強く打ち出している。

ヒロインのソンヨンは、正祖の側室・宜嬪成氏がモデルである。宜嬪成氏は宮女出身で正祖の寵愛を受け、長男・文孝世子を産んだが、世子は幼くして亡くなり、彼女自身もほどなく世を去った。一方、彼女が図画署の画員として活躍するという描写はドラマの創作で、当時の図画署に女性の画員がいたわけではない。パク・テスもドラマ上の役割が大きく脚色された人物である。

また、貞純王后や老論派を一貫した敵役として描く構図は、分かりやすい対立軸を作るためのドラマ的な整理であり、史学上の評価はより複雑である。いわば「史実の骨格にフィクションの肉付け」をした作品であり、見終わったあとに正祖の実像を調べてみると、二度楽しめる。

視聴率と受賞[編集]

韓国での全国平均視聴率は26.4%。最高視聴率は全国で35%台、ソウル首都圏では38%台を記録した。数字は調査会社(TNmS/AGBニールセン)や集計地域によって異なり、日本語の紹介では「最高38.9%」とされることが多い。この好調を受けて当初60話の予定が77話まで延長された。

主な受賞歴は以下のとおり。

  • 2007年 MBC演技大賞:男性最優秀賞(イ・ソジン)、女性優秀賞(ハン・ジミン)、時代劇部門黄金の演技賞(イ・スンジェ)、男性新人賞(ハン・サンジン)、子役賞(パク・チビン)、今年の作家賞(キム・イヨン)
  • 2008年 百想芸術大賞:TV部門演出賞(イ・ビョンフン)

なお、この年のMBC演技大賞の大賞は本作の出演者ではなく、イ・ソジンの受賞は最優秀賞である。

日本での放送・配信[編集]

日本ではまずCS放送の衛星劇場で2008年10月から字幕版が放送された。地上波・BSでのブレイクのきっかけとなったのがNHKでの放送で、NHK BS2で2009年8月から2011年2月まで日本語吹替版(毎週日曜21時台、1話約60分に再編集)、NHK BShiで2010年6月から2011年3月までノーカット字幕版が放送された。さらにNHK総合でも2011年4月から2013年1月まで吹替版が放送され、日曜夜の定番番組となった。

その後もテレビ東京、BS-TBS、BS日テレ、BS11、チャンネル銀河など多くの局で繰り返し再放送されており、韓国時代劇の中でも日本での放送回数が特に多い作品の一つである。DVDはバップから全7BOXのノーカット完全版が、NHKエンタープライズからも「コンパクトセレクション」版が発売されている。吹替版では川島得愛がイ・サン、花村さやかがソンヨン、大塚周夫が英祖の声を担当した。

視聴ガイド[編集]

イ・サンはどこで見れる?[編集]

2026年時点では、U-NEXT、Hulu、DMM TV、ABEMAプレミアム、FOD、TELASAなどで見放題配信が確認されており、Amazon Prime Videoでも有料チャンネル経由で視聴できる場合がある。ただし配信ラインナップは時期によって入れ替わるため、視聴前に各サービスで確認するのが確実である。BS・CSでの再放送も頻繁に行われている。

全何話?日本版は何話?[編集]

韓国での放送は全77話(特別番組を含めると80回とする数え方もある)。NHKの吹替版も全77回構成だが、BS2・総合での放送は1話約60分に再編集されていた。ノーカット版を見たい場合は、NHK BShiの字幕版を元にした放送やノーカット表記のあるDVD・配信を選ぶとよい。ノーカット版の1話は65分前後あり、総視聴時間は80時間を超える。

実話?[編集]

主人公の正祖をはじめ、英祖、思悼世子、恵慶宮、貞純王后、洪国栄、丁若鏞(チョン・ヤギョン)などは実在の人物で、思悼世子の死や水原華城の築城も史実である。一方、登場人物同士の関係や多くのエピソードは創作で、「実話をベースにした歴史ドラマ」と考えるのが正確である。

トンイとのつながりは?[編集]

『トンイ』の主人公・淑嬪崔氏は英祖の母で、正祖から見ると曽祖母にあたる(淑嬪崔氏→英祖→思悼世子→正祖)。両作とも演出はイ・ビョンフン、放送局はMBCである。物語上の直接の続編ではないが、時代順に『トンイ』→『イ・サン』と見ると王家の血筋がつながり、英祖の人物像を二作品で比べることもできる。

ソン・ヨンは実在した?[編集]

モデルは正祖の側室・宜嬪成氏で、実在の人物である。正祖との間に文孝世子をもうけたことも史実どおり。ただし、画員として活躍する設定や幼なじみとしての関係はドラマの創作である。

最終回はどうなる?[編集]

最終盤ではソンヨン(宜嬪)が病で世を去り、サンも華城に託した改革の夢を残したまま生涯を終える。幼なじみ三人の物語は、史実どおりの王の死とともに締めくくられる。

長いけど途中から見ても大丈夫?[編集]

前半(世孫時代)は陰謀とサスペンスが中心、後半(即位後)は改革政治と人間ドラマが中心と、雰囲気が大きく変わる。人物関係が幼少期の出来事に根ざしているため、序盤の子役編は見ておくと理解が深まる。

余談[編集]

  • 主人公・正祖は『トンイ』の主人公・淑嬪崔氏のひ孫。イ・ビョンフン監督作品としては『トンイ』が事実上の前日譚にあたる。
  • 全77話は同監督作の中でも最長クラスで、完走した視聴者には謎の達成感があると評判。
  • 水原華城は1997年にユネスコ世界遺産に登録されており、韓国の世界遺産観光の文脈でも本作が引用されがち。
  • 当初60話の予定が17話延長された結果、世孫時代の攻防にもたっぷり話数が割かれ、視聴者は長い「即位待ち」を味わうことになった。
  • 英祖役のイ・スンジェは韓国ドラマ界の重鎮で、イ・ビョンフン作品では『ホジュン』にも出演している。

関連項目[編集]

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