青龍映画賞
청룡영화상 / Blue Dragon Film Awards
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第46回(2025年)青龍映画賞に出席したソン・イェジン(出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:티비텐 TV10、CC BY-SA 4.0)
国 韓国
分野 映画(韓国映画)
創設 1963年
主催 朝鮮日報(創設時)→ スポーツ朝鮮(1990年の復活以降)
会場 ソウル・汝矣島のKBSホール(近年)
中継 KBS 2TV(近年)
最新回 第46回(2025年11月19日)
最新の作品賞 『しあわせな選択』(パク・チャヌク監督)
司会 ハン・ジミン、イ・ジェフン(2024年・2025年)
関連 青龍シリーズアワード(2022年〜)

概要[編集]

青龍映画賞(せいりゅうえいがしょう、청룡영화상、Blue Dragon Film Awards)とは、韓国の新聞社系列が主催する、韓国映画を対象とした映画賞である。1963年創設で、大鐘賞・百想芸術大賞と並ぶ韓国三大映画賞の一つとされる。

詳細[編集]

始まりは1963年、朝鮮日報が創設[編集]

青龍映画賞は1963年、韓国の大手新聞・朝鮮日報が「韓国映画の発展」を掲げて創設した。第1回の作品賞はキム・スヨン監督の『血脈』(혈맥)。1960年代はキム・スヨン、ユ・ヒョンモクといった巨匠の作品が作品賞を競い合い、韓国映画の黄金期を彩った。ところが1973年の授賞を最後に賞は途絶え、そこから16年間にわたって中断。このブランクのせいで、同じ時期に続いていた大鐘賞に比べて権威の面で後れを取ったと言われている。

1990年にスポーツ朝鮮が復活させる[編集]

長い沈黙を破ったのが1990年。朝鮮日報の系列スポーツ紙「スポーツ朝鮮」が主催を引き継いで賞を復活させ、以後は毎年開催されている。復活後の第11回(1990年)の作品賞はパク・グァンス監督の『그들도 우리처럼』(英題:Black Republic)。ここから韓国映画のニューウェーブ期と歩調を合わせるように存在感を高め、今では「俳優が他の予定をずらしてでも出席する授賞式」として知られる。受賞者がそろって会場に現れる“出席率の高さ”は、受賞者の欠席が話題になりがちな他の映画賞と比べられるポイントでもある。

どうやって選ばれる?[編集]

候補作・候補者は、観客によるオンライン投票と映画専門家の意見をもとに決まり、最終的な受賞者は実行委員会が推薦した審査委員会が選ぶ。審査の透明性を重視する方式をとっているとされる一方、ネット投票の扱いなどをめぐって公正性に疑問の声が上がった年もある。人気スター賞のように観客・ファンの声が強く反映される賞もあり、レッドカーペットと並ぶ「お祭り要素」になっている。

授賞式は毎年11月ごろ[編集]

授賞式はおおむね毎年11月下旬に開かれ、近年はソウル・汝矣島のKBSホールが会場。テレビ中継は約10年単位で地上波3局の間を移ってきたとされ、2011〜2020年はSBS、現在はKBS 2TVが中継している。2019年の第40回は仁川のパラダイスシティで開かれ、新型コロナウイルスの影響を受けた第41回は年をまたいで2021年2月9日に開催された。

部門[編集]

主要部門[編集]

  • 最優秀作品賞:その年の最高の一本に贈られる看板賞。
  • 監督賞・新人監督賞
  • 主演男優賞・主演女優賞
  • 助演男優賞・助演女優賞
  • 新人男優賞・新人女優賞
  • 脚本賞・撮影照明賞・編集賞・美術賞・音楽賞・技術賞

観客・ファン系の賞[編集]

  • 人気スター賞:毎年4人前後が選ばれる。主演級スターが並ぶため、授賞式の「華」になる部門。
  • 最多観客賞:その年いちばん観客を集めた作品に贈られる。
  • 青龍シリーズアワード:映画賞とは別に、2022年からはドラマ・配信シリーズを対象にした姉妹賞「青龍シリーズアワード」も開かれている。第1回では『イカゲーム』などが受賞した。

歴代の主な受賞[編集]

1990年の復活以降の、最優秀作品賞・主演男優賞・主演女優賞をまとめた。作品名は日本公開題が定着しているものは邦題、それ以外は原題(ハングル)で記した。

1990年〜2009年[編集]

年 最優秀作品賞 主演男優賞 主演女優賞
1990 『그들도 우리처럼』 アン・ソンギ(『南部軍』) ウォン・ミギョン(『단지 그대가 여자라는 이유만으로』)
1991 『사의 찬미』 イム・ソンミン(『사의 찬미』) チャン・ミヒ(『사의 찬미』)
1992 『우리들의 일그러진 영웅』 ムン・ソングン(『경마장 가는 길』) カン・スヨン(『경마장 가는 길』)
1993 『風の丘を越えて/西便制』 キム・ミョンゴン(『風の丘を越えて/西便制』) キム・ヘス(『첫사랑』)
1994 『太白山脈』 ムン・ソングン(『너에게 나를 보낸다』) チェ・ミョンギル(『장밋빛 인생』)
1995 『아름다운 청년 전태일』 チェ・ミンス(『테러리스트』) キム・ヘス(『닥터 봉』)
1996 『祝祭』 ムン・ソングン(『꽃잎』) シム・ヘジン(『박봉곤 가출사건』)
1997 『グリーンフィッシュ』 ハン・ソッキュ(『グリーンフィッシュ』) シン・ウンギョン(『창』)
1998 『八月のクリスマス』 パク・シニャン(『약속』) シム・ウナ(『八月のクリスマス』)
1999 『인정사정 볼 것 없다』 イ・ジョンジェ(『태양은 없다』) チョン・ドヨン(『내 마음의 풍금』)
2000 『JSA』 ソル・ギョング(『ペパーミント・キャンディー』) イ・ミヨン(『물고기자리』)
2001 『春の日は過ぎゆく』 チェ・ミンシク(『ファイラン』) チャン・ジニョン(『소름』)
2002 『酔画仙』 ソル・ギョング(『公共の敵』) キム・ユンジン(『밀애』)
2003 『春夏秋冬そして春』 チェ・ミンシク(『オールド・ボーイ』) チャン・ジニョン(『싱글즈』)
2004 『シルミド』 チャン・ドンゴン(『ブラザーフッド』) イ・ナヨン(『아는 여자』)
2005 『親切なクムジャさん』 ファン・ジョンミン(『ユア・マイ・サンシャイン』) イ・ヨンエ(『親切なクムジャさん』)
2006 『グエムル -漢江の怪物-』 パク・チュンフン(『ラジオスター』) キム・ヘス(『타짜』)
2007 『優雅な世界』 ソン・ガンホ(『優雅な世界』) チョン・ドヨン(『シークレット・サンシャイン』)
2008 『私たちの生涯最高の瞬間』 キム・ユンソク(『チェイサー』) ソン・イェジン(『妻が結婚した』)
2009 『母なる証明』 キム・ミョンミン(『내 사랑 내 곁에』) ハ・ジウォン(『내 사랑 내 곁에』)

2010年〜2025年[編集]

年 最優秀作品賞 主演男優賞 主演女優賞
2010 『義兄弟 SECRET REUNION』 チョン・ジェヨン(『黒く濁る村』) ユン・ジョンヒ(『ポエトリー アグネスの詩』)
2011 『生き残るための3つの取引』 パク・ヘイル(『神弓 KAMIYUMI』) キム・ハヌル(『ブラインド』)
2012 『嘆きのピエタ』 チェ・ミンシク(『悪いやつら』) イム・スジョン(『僕の妻のすべて』)
2013 『ソウォン/願い』 ファン・ジョンミン(『新しき世界』) ハン・ヒョジュ(『監視者たち』)
2014 『弁護人』 ソン・ガンホ(『弁護人』) チョン・ウヒ(『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』)
2015 『暗殺』 ユ・アイン(『王の運命 -歴史を変えた八日間-』) イ・ジョンヒョン(『誠実な国のアリス』)
2016 『インサイダーズ/内部者たち』 イ・ビョンホン(『インサイダーズ/内部者たち』) キム・ミニ(『お嬢さん』)
2017 『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』 ソン・ガンホ(『タクシー運転手』) ナ・ムニ(『アイ・キャン・スピーク』)
2018 『1987、ある闘いの真実』 キム・ユンソク(『1987、ある闘いの真実』) ハン・ジミン(『미쓰백』)
2019 『パラサイト 半地下の家族』 チョン・ウソン(『無垢なる証人』) チョ・ヨジョン(『パラサイト 半地下の家族』)
2020 『KCIA 南山の部長たち』 ユ・アイン(『声もなく』) ラ・ミラン(『正直政治家 チュ・サンスク』)
2021 『モガディシュ 脱出までの14日間』 ソル・ギョング(『茲山魚譜 -チャサンオボ-』) ムン・ソリ(『세자매』)
2022 『別れる決心』 パク・ヘイル(『別れる決心』) タン・ウェイ(『別れる決心』)
2023 『密輸 1970』 イ・ビョンホン(『コンクリート・ユートピア』) チョン・ユミ(『スリープ』)
2024 『ソウルの春』 ファン・ジョンミン(『ソウルの春』) キム・ゴウン(『破墓/パミョ』)
2025 『しあわせな選択』 ヒョンビン(『ハルビン』) ソン・イェジン(『しあわせな選択』)

※2020年度分(第41回)は新型コロナの影響で2021年2月に授賞式が行われた。

1963年〜1973年の作品賞[編集]

中断前の作品賞は以下のとおり。

  • 1963年:『혈맥』(キム・スヨン監督)
  • 1964年:『잉여인간』(ユ・ヒョンモク監督)
  • 1965年:『저 하늘에도 슬픔이』(キム・スヨン監督)
  • 1966年:『시장』(イ・マニ監督)
  • 1967年:『산불』(キム・スヨン監督)
  • 1969年:『카인의 후예』(ユ・ヒョンモク監督)
  • 1970年:『독 짓는 늙은이』(チェ・ハウォン監督)
  • 1971年:英題『When a Woman Breaks Her Jewel Box』(キム・スヨン監督)
  • 1972年:『석화촌』(チョン・ジヌ監督)
  • 1973年:『삼일천하』(シン・サンオク監督)

記録[編集]

主演男優賞の最多受賞[編集]

主演男優賞の最多受賞は3回で、チェ・ミンシク、ファン・ジョンミン、ムン・ソングン、シン・ヨンギュン、ソン・ガンホ、ソル・ギョングの6人が並んでいる。ソン・ガンホはノミネート回数でも16回とトップを走り、「青龍の常連」ぶりは群を抜く。ファン・ジョンミンは2005年、2013年、2024年と、およそ20年がかりで3冠に到達した。

主演女優賞の最多受賞[編集]

主演女優賞はキム・ヘスとユン・ジョンヒがそれぞれ3回で最多。キム・ヘスは司会者としても長年ステージに立っていたため、「司会者」と「受賞者」の両方で青龍の歴史に名を刻んだ人物と言える。ソン・イェジンは2008年『妻が結婚した』に続き、2025年『しあわせな選択』で2度目の主演女優賞を手にした。

監督・作品の強さ[編集]

パク・チャヌクは2025年の監督賞で、2000年・2003年・2022年に続く4度目の監督賞受賞となった。作品賞でも『JSA』『親切なクムジャさん』『別れる決心』『しあわせな選択』と4本が選ばれている。ポン・ジュノも『グエムル』『母なる証明』『パラサイト』で3度作品賞を受賞。リュ・スンワン監督は2011年、2021年、2023年と作品賞の常連だ。

名物司会者キム・ヘス[編集]

青龍映画賞を語るうえで欠かせないのが、女優キム・ヘス。1993年から2023年の第44回まで約30年にわたって女性司会を務め、「青龍の女神」などと呼ばれた。毎年のドレス姿は授賞式の名物で、受賞者以上に話題になることも珍しくなかった。

2023年の第44回が最後の司会となり、本人は「後悔なく、忠実だった30年」と振り返った。「22歳のときから、年末に生放送がない年は初めて」と語った別れのあいさつも報じられ、会場の俳優たちから「青龍=キム・ヘス」と惜しむ声が相次いだ。

後任には2024年の第45回からハン・ジミンが就任し、イ・ジェフンとのコンビで2025年の第46回も司会を務めた。

近年の授賞式[編集]

第46回(2025年)[編集]

2025年11月19日、ソウルのKBSホールで開催。司会はハン・ジミンとイ・ジェフン。パク・チャヌク監督の『しあわせな選択』(原題:어쩔수가없다)が最多12部門にノミネートされ、最優秀作品賞・監督賞・主演女優賞(ソン・イェジン)・助演男優賞(イ・ソンミン)・音楽賞・技術賞の6冠を獲得した。

主演男優賞は『ハルビン』のヒョンビン。妻ソン・イェジンの主演女優賞と合わせ、夫婦そろっての主演賞受賞は青龍映画賞史上初と報じられた。ソン・イェジンは「結婚して子どもの母になり、さまざまな感情や世界を見る目が変わったのを感じる」とスピーチ。助演女優賞は『ヒドゥン・フェイス』のパク・ジヒョン、最多観客賞は『ゾンビ娘』だった。

第45回(2024年)[編集]

2024年11月29日開催。『ソウルの春』が最優秀作品賞・主演男優賞(ファン・ジョンミン)など4冠を獲得。主演女優賞は『破墓/パミョ』のキム・ゴウン、監督賞は同作のチャン・ジェヒョンが受賞した。

第44回(2023年)[編集]

『密輸 1970』が最優秀作品賞・助演男優賞(チョ・インソン)・新人女優賞・音楽賞の4冠。主演男優賞はイ・ビョンホン、主演女優賞はチョン・ユミ。キム・ヘスの最後の司会回でもあった。

第40回(2019年)[編集]

仁川のパラダイスシティで開催。『パラサイト 半地下の家族』が最優秀作品賞、監督賞(ポン・ジュノ)、主演女優賞(チョ・ヨジョン)、助演女優賞(イ・ジョンウン)、美術賞の5冠に輝いた。この年は闘病を経たキム・ウビンが公の場に復帰し、「多くの応援のおかげで病気を克服できた」と語ったことも大きな話題になった。

日本とのつながり[編集]

受賞作の多くは日本でも劇場公開・配信されており、『パラサイト 半地下の家族』『オールド・ボーイ』『別れる決心』などは日本でもヒットや話題を呼んだ。2022年の第43回では、是枝裕和監督が韓国で撮った『ベイビー・ブローカー』(原題:브로커)に出演したIUが人気スター賞を受賞。IUは授賞式後、自身のInstagramに受賞トロフィーを手にした写真を投稿し、「青龍映画祭の人気賞ときれいな写真、全部ありがとうございます」とつづった。

炎上とバズ[編集]

  • 「お膳にスプーンを乗せただけ」:2005年、『ユア・マイ・サンシャイン』で主演男優賞を受賞したファン・ジョンミンが、「60人ほどのスタッフと俳優がすてきなお膳を用意してくれて、自分はそれを食べただけなのに、スポットライトを浴びて申し訳ない」という趣旨のスピーチをした。スタッフへの感謝を表したこの言葉は韓国の授賞式史に残る名スピーチとして語り継がれている。
  • 興行1位を抑えての6冠:2025年の第46回では、観客563万人を集めた『ゾンビ娘』が最多観客賞にとどまり、約293万人の『しあわせな選択』が主要賞を総なめにしたことが「会場騒然」と報じられた。
  • 私生活報道の渦中での登壇:2024年の第45回では、私生活をめぐる報道が続いていたチョン・ウソンが『ソウルの春』のチームとして登壇し、「映画に迷惑がかからないことを願う」「父親として子どもへの責任を最後まで果たす」と述べ、会場から拍手が起きた。
  • ネット投票への疑問:近年はネット投票の手法や受賞者選定の公正性をめぐって、ファンや映画ファンから批判が出たこともあるとされる。

余談[編集]

  • 主催のスポーツ朝鮮は朝鮮日報の系列紙。保守系新聞のグループであることから、政治的な立場を理由に距離を置く映画人もいるとされる。
  • 1965年の第3回のポスターは、ソウル歴史博物館の所蔵品としてウィキメディア・コモンズで公開されている。
  • 2014年には、低予算のインディーズ映画『ハン・ゴンジュ 17歳の涙』のチョン・ウヒが主演女優賞を射止め、大作のスター女優を抑えたサプライズとして話題を集めた。
  • 2016年には『お嬢さん』でデビューしたキム・テリが新人女優賞を受賞。新人賞はのちのスターの登竜門にもなっている。
  • キム・ヘスは1993年、司会を始めたその年に『첫사랑』で主演女優賞も受賞している。

外部リンク[編集]

  • 青龍映画賞 公式サイト(blueaward.co.kr)
  • スポーツ朝鮮

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