キム・ヘス
김혜수 / 金憓秀 / Kim Hye-soo
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キム・ヘス(2018年10月撮影、出典:ウィキメディア・コモンズ)
誕生日 1970年9月5日
年齢 56歳
出身地 韓国・釜山広域市東莱区
国籍 大韓民国
学歴 東国大学校 演劇映画学科
ジャンル 映画、テレビドラマ、配信ドラマ、司会
活動期間 1986年 -
身長 / 体重 170cm(資料により168cmとも) cm / ― kg
事務所 호두앤유엔터테인먼트(ホドゥ&ユーエンターテインメント)
代表作 『初恋』『タチャ イカサマ師』『10人の泥棒たち』『シグナル』『ハイエナ』『未成年裁判』『シュルプ』『密輸 1970』『TRIGGER トリガー』
関連活動 青龍映画賞 司会(1993年 - 2023年)
あだ名 青龍の女人、青龍の女神
その他 青龍映画賞 主演女優賞3回受賞(史上最多タイ・最年少受賞記録保持者)


概要[編集]

キム・ヘス(김혜수、金憓秀、1970年9月5日 - )とは、韓国の女優である。10代でデビューしてから40年、映画・ドラマの両方で主演を張り続け、青龍映画賞の司会を30年務めた「韓国映画界の顔」。50代になっても強い女性役で新作がヒットし続けている。

詳細[編集]

10代デビューの「下敷きスター」[編集]

釜山広域市東莱区の生まれ。1985年、ネスレの飲料「マイロ」のCMモデルに抜擢されて芸能界入りし、チョー・ヨンピルのミュージックビデオにも出演した。翌1986年、映画『カンボ』(깜보)で高校1年生役を演じてスクリーンデビューし、この作品で百想芸術大賞の新人演技賞を受賞している。

1980年代後半は、学生の文房具(下敷き)に写真が印刷されるような「책받침 스타(下敷きスター)」の代表格として人気を集めた。1990年代にはキム・ヒソン、シム・ウナと並び「90年代のトロイカ」と呼ばれる。大学は東国大学校演劇映画学科に進んだ。

23歳で青龍映画賞主演女優賞[編集]

1993年、映画『初恋』(첫사랑)で青龍映画賞主演女優賞を受賞。当時23歳で、これは同賞の史上最年少記録として今も破られていない。しかも同じ年から授賞式の司会も始めており、「司会をしながら自分が主演女優賞を受け取る」という前代未聞の夜になった。

その後1995年に『ドクター・ポン』、2006年に『タチャ イカサマ師』で同賞の主演女優賞を受賞し、通算3回。往年の名女優ユン・ジョンヒと並ぶ最多受賞タイ記録を持つ。ノミネートは10回を数える。

「強い女」専門と言われるまで[編集]

1990年代はラブコメやホームドラマのヒロイン役が多かったが、2000年代以降は役柄の幅を一気に広げた。KBSの大河時代劇『張禧嬪(チャン・ヒビン)』(2002 - 2003年)で悪女として名高い張禧嬪を演じ、映画『タチャ イカサマ師』では賭博場の女ボス「チョン・マダム」を演じて大ブレイク。

2010年代以降は、冷静な刑事(『シグナル』)、勝つためなら手段を選ばない弁護士(『ハイエナ』)、少年犯を嫌う判事(『未成年裁判』)、息子たちを守るため王宮を駆け回る王妃(『シュルプ』)、現場に突っ込んでいく調査報道PD(『TRIGGER トリガー』)と、「仕事ができて肝が据わった女性」を演じることが圧倒的に多い。いわば韓国ドラマ界の「ボス女優」的ポジションである。

2025〜2026年の近況[編集]

2025年1月、Disney+オリジナル『TRIGGER トリガー』(트리거)で主演。2026年7月31日からはクーパンプレイオリジナル『いま不倫が問題じゃない』(지금 불륜이 문제가 아닙니다、仮訳)に主演し、同サービスで3週連続1位を記録するヒットとなった。さらに10年ぶりの続編『두 번째 시그널(セカンド・シグナル)』も撮影済みで、放送待ちの状態にある(後述)。

経歴[編集]

1980〜90年代:アイドル女優から実力派へ[編集]

デビュー直後からKBS『TV文学館』やMBCの大作ドラマに次々と出演。1988年のソウル五輪特集ドラマでは『春香伝』の春香役に抜擢されるなど、10代にして「国民的ヒロイン」扱いだった。1990年代は映画『初恋』『ドクター・ポン』、MBCのシットコム的ホームドラマ『짝(パートナー)』(1994 - 1998年)などで人気を不動のものにした。

1993年には舞台『アグネス』(神のアグネス)のアグネス役で全国8都市を巡演しており、舞台経験もある。

2000年代:タチャで「女優キム・ヘス」が完成[編集]

2001年の『新羅の月夜』、2002年の『YMCA野球団』とヒット作が続き、2005年にはホラー『赤い靴』、2004年には官能サスペンス『顔のない女』にも挑戦。そして2006年、チェ・ドンフン監督の『タチャ イカサマ師』で妖艶な賭博師チョン・マダムを演じ、3度目の青龍主演女優賞を手にした。

2009年にはSBSドラマ『スタイル』でファッション誌の鬼編集次長を演じ、ドラマでも「カリスマ上司」路線を確立している。

2010年代:映画とドラマの二刀流[編集]

2012年、チェ・ドンフン監督と再タッグを組んだ『10人の泥棒たち』で金庫破りの「ペプシ」を演じ、キム・ユンソク、イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョンらと共演。観客動員1,300万人近い歴代級の大ヒットとなった。

2013年は映画『観相師』でソン・ガンホと共演、ドラマ『オフィスの女王』(직장의 신)では日本ドラマ『ハケンの品格』のリメイクで、資格を山ほど持つ最強の契約社員「ミス・キム」を演じた。篠原涼子が演じた大前春子の韓国版である。

2015年『コインロッカーの女』ではキム・ゴウンを育てる冷酷な裏社会の「ママ」、2018年『国家が破産する日』ではIMF危機を予見する韓国銀行のチーム長ハン・シヒョンを演じた。

2016年:『シグナル』で百想大賞[編集]

2016年のtvNドラマ『シグナル』で、長期未解決事件を追う刑事チャ・スヒョンを演じた。過去と現在をつなぐ無線機というアイデアと、チョ・ジヌン、イ・ジェフンとの共演で社会現象級のヒットとなり、第52回百想芸術大賞テレビ部門の女性最優秀演技賞を受賞した。

この作品は日本でも『シグナル 長期未解決事件捜査班』(2018年、坂口健太郎主演)としてリメイクされ、のちに劇場版も作られている。

2020年代:配信時代の主役[編集]

2020年、SBS『ハイエナ』でチュ・ジフンとW主演。2022年はNetflix『未成年裁判』とtvN『シュルプ』が同じ年に放送され、どちらも大ヒット。特に『未成年裁判』は非英語作品のグローバルランキングで上位に入り、世界の視聴者に「キム・ヘス」の名を知らしめた。

2023年、リュ・スンワン監督の映画『密輸 1970』でヨム・ジョンアとW主演。海女たちが海底の密輸品を引き揚げる痛快犯罪アクションで、同年の青龍映画賞で最優秀作品賞を獲得した。キム・ヘス自身は春史国際映画祭の主演女優賞を受賞している。

主な出演作品[編集]

映画[編集]

年 邦題(原題) 役 備考
1986 カンボ(깜보) ナヨン デビュー作
1993 初恋(첫사랑) パク・ヨンシン 青龍映画賞主演女優賞
1995 ドクター・ポン(닥터 봉) ファン・ヨジン 青龍映画賞主演女優賞
2001 新羅の月夜(신라의 달밤) ミン・ジュラン
2002 YMCA野球団(YMCA 야구단) ミン・ジョンリム
2004 顔のない女(얼굴없는 미녀) ジス
2005 赤い靴(분홍신) ソンジェ
2006 タチャ イカサマ師(타짜) チョン・マダム 青龍映画賞主演女優賞
2008 モダンボーイ(모던보이) チョ・ナンシル 劇中で歌唱
2012 10人の泥棒たち(도둑들) ペプシ
2013 観相師(관상) ヨンホン
2015 コインロッカーの女(차이나타운) マ・ウヒ(ママ)
2016 グッバイ・シングル(굿바이 싱글) ジュヨン
2017 修羅の華(미옥) ナ・ヒョンジョン
2018 国家が破産する日(국가부도의 날) ハン・シヒョン
2020 ひかり探して(내가 죽던 날) ヒョンス
2023 密輸 1970(밀수) チョ・チュンジャ 春史国際映画祭主演女優賞

テレビドラマ・配信ドラマ[編集]

年 邦題(原題) 役 放送・配信
1994 - 1998 パートナー(짝) チャ・ヘスン MBC
2002 - 2003 張禧嬪(장희빈) チャン・ヒビン KBS2
2009 スタイル(스타일) パク・キジャ SBS
2013 オフィスの女王(직장의 신) ミス・キム(キム・ジョムソン) KBS2
2016 シグナル(시그널) チャ・スヒョン tvN
2017 浪漫ドクター キム・サブ(낭만닥터 김사부) イ・ヨンジョ SBS、特別出演
2020 ハイエナ(하이에나) チョン・グムジャ SBS
2022 未成年裁判(소년심판) シム・ウンソク Netflix
2022 シュルプ(슈룹) 王妃イム・ファリョン tvN
2025 TRIGGER トリガー(트리거) オ・ソリョン Disney+
2026 いま不倫が問題じゃない(지금 불륜이 문제가 아닙니다、仮訳) パク・キョンヒ クーパンプレイ
未定 セカンド・シグナル(두 번째 시그널、仮訳) チャ・スヒョン tvN(放送日未定)

代表作の見どころと日本での見方[編集]

ハイエナ(2020年)[編集]

裏道から這い上がった型破りな弁護士チョン・グムジャと、エリート街道まっしぐらの弁護士ユン・ヒジェ(チュ・ジフン)が、敵対しながらも惹かれ合うリーガルドラマ。勝つためなら盗聴も変装もやるグムジャのはっちゃけぶりは、キム・ヘスの「強い女」路線の決定版と言われる。日本ではNetflixで『ハイエナ -弁護士たちの生存ゲーム-』として配信されている。

未成年裁判(2022年)[編集]

少年犯罪を担当する判事シム・ウンソクが主人公のNetflixオリジナル。初登場シーンの「私は少年犯を嫌悪します」(저는 소년범을 혐오합니다)というセリフはSNSで大量に引用され、作品の顔となった。共演はキム・ムヨル、イ・ソンミンら。重いテーマながら全10話で一気見しやすい。

シュルプ(2022年)[編集]

タイトルは朝鮮王朝時代の言葉で「傘」の意味。問題児だらけの王子たちを守るため、品格も体面もかなぐり捨てて走り回る王妃イム・ファリョンを演じた。時代劇なのに「教育ママ奮闘記」としても見られるコミカルさが受け、tvNで高視聴率を記録。日本ではNetflixで『シュルプ』として配信。

TRIGGER トリガー(2025年)[編集]

放送局の調査報道チーム「トリガー」を率いる熱血PDオ・ソリョンが主人公。チーム解散の危機の中、20年前に失踪した俳優の謎を追う。共演はチョン・ソンイル、チュ・ジョンヒョク。監督は『悪霊狩猟団: カウンターズ』のユ・ソンドン。2025年1月15日から2月19日まで全12話がDisney+で公開され、日本でもDisney+で視聴できる。公開時の記事には「キム・ヘスではありません、オ・ソリョンPDです」という見出しが躍るほど役にハマっていた。

シグナル(2016年)[編集]

韓国ドラマ史に残る名作サスペンス。過去の刑事と無線機でつながる現代のプロファイラー(イ・ジェフン)と、キム・ヘス演じる刑事チャ・スヒョンが未解決事件に挑む。日本ではU-NEXTやAmazonプライム・ビデオなどで配信されることが多い(配信状況は時期により変わる)。

映画作品[編集]

『タチャ イカサマ師』『10人の泥棒たち』『観相師』『密輸 1970』などは日本でも劇場公開・ソフト化されており、各種動画配信サービスでレンタル・見放題になることがある。『密輸 1970』は2024年7月12日に日本公開された(配給:KADOKAWA)。

青龍映画賞の司会伝説[編集]

30年間「青龍の顔」[編集]

韓国の映画賞の中でも特に権威のある青龍映画賞で、キム・ヘスは1993年の第14回から2023年の第44回まで司会を務めた。途中で代役が立った年がわずかにあるだけで、ほぼ30年間、毎年11月の授賞式の顔だった。そのため「青龍の女人」「青龍そのもの」と呼ばれる。

男性側の相方は時代とともに入れ替わり、イ・ドクファ、パク・チュンフン、ムン・ソングン、イ・ビョンホン、チョン・ジュノ、イ・ボムス、ユ・ジュンサン、イ・ソンギュン、そして最後のパートナーとなったユ・ヨンソクまで9人。相方が変わってもキム・ヘスだけは変わらなかった。

ドレスも毎年の話題[編集]

1993年の初司会では肩を出したドレスで登場し、当時としては露出が多いと苦情が殺到した。以来、授賞式の翌日は「今年のキム・ヘスのドレス」がニュースになるのが恒例で、韓国ではレッドカーペットのファッションを語るうえで欠かせない存在になった。

受賞者への神対応[編集]

司会としての評価が高かった理由は、華やかさだけでなく「受賞者への寄り添い方」。緊張で言葉に詰まった新人や、感極まって泣き出した受賞者に温かい言葉をかけ、場を和ませる場面が何度も話題になった。同業者からも尊敬を集め、最後の年には映画人たちが次々と感謝のメッセージを寄せた。

2023年の勇退[編集]

2023年11月24日の第44回授賞式を最後に司会を勇退。会場は総立ちの拍手で送り出し、本人は「皆さんと共にしたすべての瞬間が意味深く、大きな光栄でした」と挨拶した。相方のユ・ヨンソクは「青龍の権威はキム・ヘス先輩の30年の名司会があってこそ」と語っている。

勇退の理由について、本人は後に「22歳で始めた。長くやりすぎた」と率直に語った。後任にはハン・ジミンが起用され、キム・ヘスはラジオ番組で「ハン・ジミンさん、本当に上手だった」と後輩を絶賛している。

人物・エピソード[編集]

「白鳥」のような不安症[編集]

2026年9月のインタビューでは、デビュー41年目でも撮影現場では常に怖いと告白。「私は不安を隠すことに特化した白鳥。外からは平気そうに見えても、水面下ではずっと足をばたつかせている」と語った。自分の限界をよく知っているからこそ、重要な場面でしくじることが怖いのだという。

役作りは「何を足し、何を手放すか」[編集]

『いま不倫が問題じゃない』では、登録者100万人のインフルエンサーでインテリア会社の代表パク・キョンヒを演じるにあたり、実際のインフルエンサーを研究し、スタイリストと衣装を細かく作り込んだ。第6話以降に着たバーガンディのスリップドレスとレンガ色のサテントレンチは、キャラクターの崩壊を色で表すための選択で、バーガンディには「欲望、成熟、官能、不安、血の痕跡」を込めたと明かしている。

後輩思いの「メモ魔」[編集]

後輩俳優の面倒見の良さでも知られ、才能を感じた若手俳優について細かくメモを取り、制作陣に推薦することもあると伝えられている。

寄付の常連[編集]

2019年の江原道山火事、2020年の新型コロナ禍でのマスク支援、2022年の山火事・水害、2023年のトルコ・シリア地震や韓国の豪雨被害など、大きな災害のたびに1億ウォン単位の寄付を続けている。

年齢を感じさせない理由[編集]

2026年9月で56歳。それでも新作のたびに「本当に50代?」という記事が出るのがお約束になっている。2026年8月には、撮影現場のオフショットとしてグリーンのトップスに黒のサテンミニスカートとロングブーツを合わせた写真をInstagramに投稿し、韓国メディアに「ガールズグループと言われても信じる」と報じられた。

40年にわたって第一線に立ち続けたうえ、役柄に合わせて体型やファッションを作り込むストイックさが、「年齢を感じさせない」と言われる最大の理由だろう。本人は2025年1月のラジオ出演で「私の顔は平凡」と語り、共演者やリスナーから総ツッコミを受けている。

評価[編集]

  • 青龍映画賞主演女優賞3回(1993年・1995年・2006年)は史上最多タイ、1993年の23歳での受賞は史上最年少記録。
  • 百想芸術大賞では1987年に新人演技賞、2016年に『シグナル』でテレビ部門女性最優秀演技賞を受賞。その後も『グッバイ・シングル』『国家が破産する日』『ハイエナ』『ひかり探して』『未成年裁判』でたびたび主演女優賞候補に挙がっている。
  • 2023年、『密輸 1970』で春史国際映画祭の主演女優賞。
  • 10代でデビューした「アイドル女優」が、40年後も主演作を出し続けているケースは韓国でも珍しく、「キム・ヘス自体がジャンル」と言われることもある。

炎上とバズ[編集]

修士論文の盗用問題(2013年)[編集]

2013年、成均館大学校大学院で取得した修士論文「演技者のコミュニケーションに関する研究」に盗用があったと指摘され、本人が事実を認めて謝罪し、学位を返上した。

「私は少年犯を嫌悪します」のバズ[編集]

『未成年裁判』の冒頭のセリフは、作品の公開直後から韓国内外のSNSで切り抜き動画やミームとして拡散され、作品のグローバルヒットの起爆剤になった。

余談[編集]

  • 1993年の青龍映画賞は「司会者が主演女優賞を受賞する」という珍事になった。本人は司会台から受賞者席へ、という忙しい一夜を過ごしたことになる。
  • 『タチャ イカサマ師』の「私、梨花女子大を出た女よ」(나 이대 나온 여자야)というセリフは、韓国では今もパロディされ続ける名ゼリフ。
  • 映画『モダンボーイ』ではジャズシンガー役で歌も披露し、サウンドトラックに歌唱曲が収録された。『オフィスの女王』のOSTでも歌っている。
  • 日本ドラマ『ハケンの品格』のリメイク『オフィスの女王』に主演し、逆に自身の主演作『シグナル』は日本でリメイクされた。日韓双方向のリメイクに主演側で関わった珍しい女優である。
  • 2010年の青龍映画賞では、受賞資格のルールに戸惑った受賞者のソン・イェジンを機転の効いた説明でフォローし、「さすが青龍の女神」と話題になった。

外部リンク[編集]

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