| ユ・ヘジン 유해진 / Yoo Hae-jin | |
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![]() 2025年12月、映画『王と生きる男』制作報告会でのユ・ヘジン(出典:Wikimedia Commons、作者:TV10、CC BY 3.0) | |
| 誕生日 | 1970年1月4日 |
| 年齢 | 56歳 |
| 出身地 | 大韓民国 忠清北道清原郡(現・清州市) |
| 国籍 | 大韓民国 |
| 学歴 | ソウル芸術専門大学(現・ソウル芸術大学)演劇科 |
| ジャンル | 映画・ドラマ・バラエティ |
| 活動期間 | 1997年 - |
| 事務所 | VASTエンターテインメント(2026年3月 -) |
| 代表作 | 『王の男』『タチャ イカサマ師』『黒く濁る村』『ベテラン』『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』『破墓/パミョ』『王と生きる男』 |
| 関連活動 | 『三食ごはん』シリーズ(tvN)、『1泊2日』(KBS) |
| あだ名 | 참바다(チャムバダ) |
| その他 | 観客1000万人突破作に5本出演、第62回百想芸術大賞 映画部門大賞 |
概要[編集]
ユ・ヘジン(유해진、1970年1月4日 - )とは、韓国の俳優である。韓国映画界で端役と脇役から20年以上キャリアを積み上げた「名バイプレイヤー」の代表格で、2026年の主演作『王と生きる男』で韓国映画歴代2位の大ヒットと百想芸術大賞映画部門大賞を手にした。
詳細[編集]
清州の少年、一人芝居に撃ち抜かれる[編集]
忠清北道清原郡(現在の清州市)出身。俳優を志したきっかけは中学2年生のとき、名優チュ・ソンウンの一人芝居を観たことだった。子どものころから清州の文化会館にこっそり潜り込んで公演を眺めていたという筋金入りの演劇少年で、高校2年生の1988年には地元・清州の劇団に入団している。とはいえ芸術高校への進学は、家計の事情と保守的な両親の反対でかなわなかった。高校卒業後はいったん服飾系の専門大学に進むが、在学中も頭の中は演劇のことでいっぱい。そして兵役を終えたあと、1995年にソウル芸術専門大学(現・ソウル芸術大学)の演劇科に入学し、ここで初めて体系的に演技を学んだ。
「顔のせいで脇役ばかり」からのスタート[編集]
本人が繰り返し語ってきたように、駆け出しのころは容姿への偏見から主役に縁がなく、与えられるのはチンピラ、悪党、親日派といった役ばかりだった。大学卒業後は劇団「木花(モクファ)レパートリーカンパニー」に所属して舞台に立ちながら、映画では1997年の『ブラックジャック』で正式デビュー。1999年の『スパイ リ・チョルジン』では「肩2」という役名からしてわかるとおりの端役だった。2000年代に入ると『アタック・ザ・ガス・ステーション!』『新羅の月夜』『公共の敵』などに顔を出し、出てくるたびに場面をさらう「シーンスティーラー」として業界内で名前が知られるようになっていく。
脇役の帝王から「1000万俳優」へ[編集]
潮目が変わったのは2005年の『王の男』。旅芸人一座のユク・ガプを演じ、作品は観客1000万人を超える社会現象になった。翌2006年の『タチャ イカサマ師』では主人公の相棒コ・グァンニョルを演じ、コミカルで人間くさいキャラクター像を確立。その後も『黒く濁る村』『パイレーツ』『ベテラン』と、出る作品出る作品で強烈な印象を残し続けた。2016年の『LUCK-KEY/ラッキー』で事実上初の単独主演を務めて約697万人を動員すると、以降は主演級として作品を背負う立場に。出演作のうち観客1000万人を突破した作品は『王の男』『ベテラン』『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』『破墓/パミョ』『王と生きる男』の5本にのぼり、その合計は5000万人を超える。
俳優としてのキャリア[編集]
下積み時代(1997〜2004年)[編集]
映画デビュー作『ブラックジャック』(1997年)以降、しばらくは役名すら満足にない端役が中心だった。それでも『アタック・ザ・ガス・ステーション!』(1999年)、『新羅の月夜』(2001年)、『MUSA -武士-』(2001年)、『公共の敵』(2002年)と、ヒット作に次々と顔を出していく。2002年にはチャン・ハンジュン監督のデビュー作『ライターをつけろ』にも出演しているが、この縁が24年後に大爆発することになるとは、当時は誰も知らない。テレビではSBSの大河ドラマ『土地』(2004〜2005年)にも出演した。
『王の男』『タチャ』で一気にブレイク(2005〜2009年)[編集]
2005年の『王の男』でユク・ガプを演じ、大鐘賞の助演男優賞を受賞。2006年の『タチャ イカサマ師』では、主人公コニの相棒となるイカサマ師コ・グァンニョルを演じた。シリアスな賭博映画のなかで飄々とした笑いを生み出すこの役は大当たりし、2014年の続編『タチャ-神の手-』にも同じ役で再登場している。2009年の『チョン・ウチ 時空道士』では、主人公チョン・ウチ(カン・ドンウォン)に付き従う犬が人間に化けたチョレンイを演じ、コメディセンスを全開にした。
演技派としての評価を固める(2010〜2015年)[編集]
2010年の『黒く濁る村』では、閉鎖的な村を牛耳る村長の腹心キム・ドクチョンを演じ、青龍映画賞の助演男優賞を受賞。同年の『生き残るための3つの取引』にも出演している。2014年の時代活劇『パイレーツ』では、海賊団から山賊団に転がり込んだ元海賊チョルボンを演じ、百想芸術大賞の映画部門助演男優賞などを受賞した。2015年の『ベテラン』では、財閥3世の右腕として事件のもみ消しに奔走するチェ常務を演じ、ファン・ジョンミン演じる刑事と対峙する冷徹な悪役ぶりを見せた。
主演俳優へ(2016〜2019年)[編集]
2016年の『LUCK-KEY/ラッキー』では、銭湯で転んで記憶を失った殺し屋ヒョンウクを演じた単独主演作で、約697万人を動員するヒットに。2017年は『コンフィデンシャル/共助』で北朝鮮から来た刑事(ヒョンビン)と組む南の刑事カン・ジンテ、『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』で光州のタクシー運転手ファン・テスル、『1987、ある闘いの真実』で看守ハン・ビョンヨン(キム・テリ演じるヨニの叔父)と、話題作が立て続けに公開された。『タクシー運転手』では韓国映画評論家協会賞の助演男優賞を受賞している。2018年の『完璧な他人』、2019年の『マルモイ ことばあつめ』(文字の読めない男キム・パンスを演じ、ユン・ゲサンと共演)、『鳳梧洞戦闘』でも主演・主要キャストを務めた。
声の出演から王様役まで(2020〜2025年)[編集]
2021年のNetflix配信映画『スペース・スウィーパーズ』では、宇宙ゴミ清掃船「勝利号」に乗る作業ロボット「업동이(オプトンイ、英語版ではBubs)」の声を担当した。2022年には『梟 -フクロウ-』で朝鮮王朝の王・仁祖を演じ、キャリア初の王様役に挑戦。同年の『コンフィデンシャル/共助2:インターナショナル』はその年の韓国映画興行3位となった。2023年はキム・ヒソンと共演したロマンティック・コメディ『달짝지근해: 7510』で初の本格ラブコメに挑み、2024年は『DOG DAYS 君といつまでも』(ユン・ヨジョンらと共演)、そして『破墓/パミョ』に出演。2025年の犯罪アクション『野党(야당)』では、デビュー以来初となる検事役ク・グァンヒを演じ、同作は約301万人を動員した時点で『ミッキー17』を抜き、当時の2025年公開作の興行1位に立った。
『王と生きる男』と百想大賞[編集]
24年越しの再タッグ[編集]
2026年2月4日に公開された『王と生きる男』(原題:왕과 사는 남자)は、チャン・ハンジュン監督による時代劇。1457年、叔父に王位を奪われ江原道寧越の清泠浦(チョンニョンポ)へ流された若き廃王・端宗と、その地の村長オム・フンドの交流を描く。ユ・ヘジンはタイトルロールにあたるオム・フンドを演じ、端宗役はWanna One出身のパク・ジフンが務めた。ほかにユ・ジテらが出演。チャン・ハンジュン監督とは監督デビュー作『ライターをつけろ』(2002年)以来、約24年ぶりの再会だった。
韓国映画歴代2位の大ヒット[編集]
公開後は旧正月連休をきっかけに口コミが爆発し、公開31日目で観客1000万人を突破。ユ・ヘジンにとっては5本目の「1000万映画」となり、チャン・ハンジュン監督にとってはデビュー24年目にして初の1000万突破作となった。公開50日で1500万人、67日目の4月には約1628万人に達して『極限職業』を抜き、韓国映画の歴代観客動員2位に浮上。5月中旬時点では約1685万人まで伸び、1位の『鳴梁』に迫った。累計売上は韓国映画史上最高額と報じられている。ロケ地となった寧越郡では、公開後4週間で小規模事業者の1日平均売上が35.7%増えたという集計も出るなど、地域経済にまで影響が及んだ。
リュ・スンリョンと同じ夜に大賞[編集]
2026年5月8日の第62回百想芸術大賞で、ユ・ヘジンは『王と生きる男』により映画部門大賞を受賞。同じ夜、テレビ部門大賞を受賞したのが、下積み時代からの盟友リュ・スンリョンだった。ユ・ヘジンは受賞スピーチで「映画で食べていければいいと思っていたのに、助演賞までもらって、45歳くらいまでできればと思っていたらここまで続けることになった」と語り、故アン・ソンギから聞いた「作品がないときの過ごし方が大事だ」という言葉を大切にしてきたと明かした。
リュ・スンリョンとの「ビデ・デュオ」[編集]
ニューヨークでポスター貼り[編集]
ユ・ヘジンとリュ・スンリョンは同い年で、1990年代に同じ劇団で下積みを共にした仲である。1997年には大学の恩師カン・マンホン教授とともに渡米し、ニューヨークの実験劇場ラ・ママで公演に参加。2人で街頭にポスターを貼って回った。百想芸術大賞の受賞スピーチでリュ・スンリョンが「30年前にニューヨークで一緒にポスターを貼っていた」と振り返ったのは、このときのことだ。
ビデ工場で1か月[編集]
大学卒業後、ユ・ヘジンは生活のためにビデ(温水洗浄便座)工場でアルバイトを始め、のちにリュ・スンリョンも誘い込んだ。2人は世宗市・鳥致院(チョチウォン)近郊で部屋を借り、1か月間ひたすらビデを組み立てたという。このエピソードはユ・ヘジン本人がテレビ番組で明かしたもので、のちに2人の鉄板ネタになった。
SNSでの「ビデ・デュオ」投稿[編集]
百想芸術大賞でそろって大賞を受賞した直後、リュ・スンリョンは自身のSNSにユ・ヘジンとのツーショット写真を投稿し、2人を「ビデ・デュオ」と呼んで喜びを分かち合った。見つめ合って笑う2人の写真は大きな反響を呼び、「無名時代の相棒が30年後に同じ夜の大賞」というドラマのような展開が韓国のネットで大いに語られた。
バラエティでの「참바다」[編集]
『1泊2日』レギュラー[編集]
2013年3月から11月まで、KBSの旅バラエティ『1泊2日』シーズン2にレギュラー出演した。趣味の登山や旅行を楽しめることが出演を決めた理由とされる。映画での脇役イメージとはまた違う、素朴で気さくな素顔が知られるきっかけになった。
『三食ごはん』漁村編の大ヒット[編集]
お茶の間の人気を決定づけたのが、ナ・ヨンソクPDが手がけたtvNの『三食ごはん 漁村編』(2015年)。電気も十分にない離島・万才島(マンジェド)で、チャ・スンウォン、ソン・ホジュンと3食を自給自足する番組で、料理担当のチャ・スンウォンが「チャジュンマ」、釣りと道具作り担当のユ・ヘジンが「참바다(チャムバダ)さん」と呼ばれた。手先の器用さを活かして島の廃材から何でも作ってしまうDIY能力と、ぼそっとつぶやくダジャレ、そして大物を釣ったと言い張る「ホラ話」が名物。最終回では島の道具をかき集めて手作りの回転寿司台まで完成させた。チャ・スンウォンとは「夫婦のよう」と言われる掛け合いで人気を博した。
シリーズの常連として[編集]
漁村編はシーズン2(2015年)、高敞(コチャン)編(2016年)、漁村編5(2020年)と続き、2019年にはチャ・スンウォンらとスペインで巡礼者向けの宿を営む『スペイン下宿』にも出演。2024年には『三食ごはん Light』でチャ・スンウォンとの名コンビが再結成された。2022年にはtvNのキャンプ旅番組『テントの外はヨーロッパ』にも出演している。
人物[編集]
アドリブの職人[編集]
韓国メディアでは「アドリブ職人」と呼ばれることが多い。ただし本人は、似た役柄でも台詞ひとつの感触を前作と変えることを常に考えていると語る、職人肌のタイプでもある。『野党』の検事役では「野心をあからさまにではなく、静かに表現したかった」と話し、自身の母親が子どものころから成功を強調していたという個人的な記憶を役の心理に織り込んだことを明かしている。
山と犬と読書[編集]
趣味は読書、登山、旅行、音楽鑑賞、サッカー、マウンテンバイクなど。愛犬「キョウリ(겨울이、冬の意)」を溺愛していたことでも知られ、『DOG DAYS 君といつまでも』公開時のインタビューでは、キョウリが目の前で旅立ったときのつらさや、新しい犬を迎える気持ちになるまで3年ほどかかったことを語っている。
所属事務所[編集]
2023年11月にAwesome ENTと専属契約を結び、2026年3月6日にはヒョンビンが所属するVASTエンターテインメントへ移籍した。ヒョンビンとは『コンフィデンシャル/共助』シリーズで2度バディを組んだ仲である。
主な受賞歴[編集]
- 大鐘賞 助演男優賞(『王の男』)
- 2010年 青龍映画賞 助演男優賞(『黒く濁る村』)
- 2015年 百想芸術大賞 映画部門助演男優賞(『パイレーツ』)
- 2017年 韓国映画評論家協会賞 助演男優賞(『タクシー運転手 〜約束は海を越えて〜』)
- 2017年 納税者の日 大統領表彰
- 2026年 第62回百想芸術大賞 映画部門大賞(『王と生きる男』)
余談[編集]
- 1000万映画5本は、時代劇(『王の男』『王と生きる男』)、アクション(『ベテラン』)、実話ベースのドラマ(『タクシー運転手』)、オカルト(『破墓/パミョ』)とジャンルがバラバラ。特に時代劇での強さは韓国メディアで「史劇興行不敗」と評されている。
- 2002年の『ライターをつけろ』はチャン・ハンジュン監督のデビュー作。24年後に同じ監督と組んだ作品で歴代2位を記録したのだから、縁とはわからないものである。
- 『タクシー運転手』ではソン・ガンホ、『破墓/パミョ』ではチェ・ミンシク・キム・ゴウン・イ・ドヒョンと、韓国映画のトップ俳優たちと次々に共演している。
- 『ベテラン』で演じたチェ常務は冷酷な悪役だったが、同年の『三食ごはん』では「참바다さん」として親しまれており、スクリーンとテレビでまるで別人のような印象を与えた。
- 2017年には模範納税者として「納税者の日」に大統領表彰を受けている。
