| パク・ジョンミン 박정민 / 朴正民 / Park Jeong-min | |
|---|---|
![]() 2025年、第50回トロント国際映画祭でのパク・ジョンミン(出典:Wikimedia Commons、撮影:John Sears、CC BY-SA 4.0) | |
| 誕生日 | 1987年3月24日 |
| 年齢 | 39歳 |
| 出身地 | 大韓民国(京畿道安山市とする資料と忠清北道忠州市とする資料がある) |
| 国籍 | 大韓民国 |
| 学歴 | 高麗大学校人文学部中退、韓国芸術総合学校演劇院演技科中退 |
| ジャンル | 映画・ドラマ・演劇 |
| 活動期間 | 2011年 - |
| 身長 / 体重 | 178 cm / ― kg |
| 事務所 | SEM COMPANY(샘컴퍼니) |
| 代表作 | 『BLEAK NIGHT 番人』『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』『それだけが、僕の世界』『ただ悪より救いたまえ』『密輸 1970』『ハルビン』『顔 -かお-』 |
| 関連活動 | 出版社「無題(MUZE)」代表、エッセイスト、映画監督(短編) |
| あだ名 | 「低予算映画のソン・ガンホ」「無冠の帝王」(本人談) |
| その他 | 第62回百想芸術大賞 映画部門 最優秀演技賞(男性) |
| リンク | 出版社 無題 公式サイト |
概要[編集]
パク・ジョンミン(박정민、1987年3月24日 - )とは、韓国の俳優である。独立映画『BLEAK NIGHT 番人』でデビューし、『ただ悪より救いたまえ』『ハルビン』『顔 -かお-』などで評価を高めた「演技派」の代表格。出版社「無題(MUZE)」の代表という、もう一つの顔も持つ。
詳細[編集]
高麗大を蹴って芸術学校へ[編集]
中学生のころ、旅先の江原道で偶然出会った俳優パク・ウォンサンに「今度『ワイキキ・ブラザーズ』という映画が公開されるから観に来て」と頼まれ、律儀にその映画を観たことが演技に惹かれるきっかけになったと本人がインタビューで語っている。高校は全国から生徒を集める寮制の学校で、近くに演技塾がなかったため、独学できる「演出」を3年間勉強。韓国芸術総合学校(韓芸綜)映像院映画科を受験するも不合格となり、いったんは名門・高麗大学校人文学部に入学した。
しかし「演技をちゃんとやりたい」という思いが勝ち、数か月で自主退学を決意。翌年、改めて韓芸綜映像院映画科に合格する。ちなみに最初の受験の面接では「ここに落ちたらソウル大に行きます」と宣言していたという逸話がある。高麗大というブランドをあっさり手放したこの選択は、のちに彼の「職人肌」を語るうえで欠かせないエピソードになった。
映画科から演劇院へ、前例のない転科[編集]
韓芸綜で映画演出を学びながらも、演技への渇きは消えなかった。ところが学科ごとの色が強い韓芸綜では、映画科から演劇院への転科は前例がなく、周囲の目も冷ややかだったとされる。そこで彼はまず演劇を副専攻にし、演劇科の授業をすべて受講。副専攻の試験でオールA+を取って教授陣の信頼を勝ち取り、転科試験の受験にこぎつけた。
この「準備の鬼」っぷりは、のちの役作りにもそのまま受け継がれている。演出を学んだ経験は、2021年にオムニバス映画『UNFRAMED/アンフレームド』の一編「学級委員長選挙」で監督・脚本を務めるという形でも実を結んだ。
デビュー作『BLEAK NIGHT 番人』[編集]
2011年、ユン・ソンヒョン監督の独立映画『BLEAK NIGHT 番人』でスクリーンデビュー。高校生ペク・ヒジュン(愛称ベッキ)を演じた。観客動員は約2万人と小規模ながら、韓国インディー映画の傑作として語り継がれる一本で、のちにブレイクする若手俳優を輩出したことでも知られる。
公開当時、彼は映画の宣伝用ブログで「かわいいベッキの日記」というコーナーを担当し、撮影の裏話を連載。これが妙に面白いと評判になり、「文章の書ける俳優」として名前が知られる最初のきっかけになった。
出世作と受賞ラッシュ[編集]
『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』(2016年)[編集]
デビュー後は『ダンシング・クィーン』『フィスト・オブ・レジェンド』『FLU 運命の36時間』などで脇役を重ねたが、ブレイクの決定打になったのはイ・ジュニク監督の『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』(原題『東柱』)。詩人・尹東柱のいとこで独立運動家の宋夢奎(ソン・モンギュ)を演じ、役作りのために大幅な減量をしたことでも話題になった。
この一作で、青龍映画賞・百想芸術大賞・黄金撮影賞・ディレクターズカット・アワードなど主要映画賞の新人男優賞を総なめにした。とくに第37回青龍映画賞の新人男優賞は審査員満場一致だったとされる。
『応答せよ1988』の10分[編集]
同じ時期、ドラマ『応答せよ1988』に特別出演。登場時間は10分ほどだったが、確かな演技で強い印象を残し、「あの俳優は誰?」と視聴者の検索を誘った。端役でも爪痕を残すスタイルは、この頃から一貫している。
助演男優賞の「三冠」[編集]
2020年の『ただ悪より救いたまえ』では、第41回青龍映画賞助演男優賞、第57回百想芸術大賞 映画部門 男性助演賞、韓国映画評論家協会賞などを獲得。新人賞に続き、助演賞でも主要賞を制覇した。
代表作でたどるパク・ジョンミン[編集]
『それだけが、僕の世界』(2018年)[編集]
サヴァン症候群のピアノの天才オ・ジンテを演じ、元ボクサーの兄役イ・ビョンホンと共演した。半年にわたりピアノを猛特訓し、劇中の演奏シーンを自らこなしたとされる。役作りのために特別支援教育の現場にも足を運んだという。イ・ビョンホンからは「努力する天才」と評された。観客動員は約342万人。
『サンセット・イン・マイ・ホームタウン』(2018年)[編集]
原題『辺山』。故郷を離れてラッパーを目指す青年ハクス(ラッパー名「シムポク」)を演じ、キム・ゴウンと共演。劇中で披露したラップは「本職顔負け」と話題になり、サウンドトラック・アルバム『Byunsan Monologue』(2018年7月4日リリース、全9曲)では全曲の作詞に参加した。この作品で釜山映画評論家協会賞を受賞している。
『ただ悪より救いたまえ』(2020年)[編集]
ファン・ジョンミン・イ・ジョンジェ主演のハードボイルド・アクション。パク・ジョンミンはタイ・バンコクで暮らすトランスジェンダー女性のユイを演じ、物語の後半を大きく動かす役どころを担った。登場するたびに空気を変える存在感が絶賛され、「主演二人を食った」とまで言われた。ファン・ジョンミンとは同じ事務所SEM COMPANYの先輩・後輩の関係でもある。
『密輸 1970』(2023年)[編集]
リュ・スンワン監督の海洋犯罪アクション。キム・ヘス、ヨム・ジョンアらと共演し、どこか抜けたチンピラ、チャン・ドリをコミカルに演じた。観客動員は500万人を超え、彼のフィルモグラフィーの中でも屈指のヒット作になった。
『ハルビン』(2024年)[編集]
ウ・ミンホ監督の歴史大作『ハルビン』では、ヒョンビン演じる安重根の同志で、実在の独立運動家・禹徳淳(ウ・ドクスン)を演じた。モンゴルでのロケについて「80年ぶりの大雪で気温が氷点下40度まで下がった」と回想している。観客動員は約491万人。
『顔 -かお-』(2025年)[編集]
ヨン・サンホ監督が自身のグラフィックノベルを実写化したミステリー。視覚障害を持ちながら篆刻家として名を成した父と、その息子の一人二役(息子イム・ドンファンと若き日の父イム・ヨンギュ)に挑んだ。もともと監督から原作漫画を贈られた際に「映画化するならぜひ僕を出してください」と頼んでいたのが実現した形で、キャスティング後には父親役も自分にやらせてほしいと申し出たという。
製作費は約2億ウォンという超低予算で、パク・ジョンミンはノーギャラで出演したと報じられた。それでも興行収入は約110億ウォンに達し、「投資額の50倍」と話題に。第50回トロント国際映画祭のスペシャル・プレゼンテーション部門でワールドプレミア上映され、第62回百想芸術大賞では映画部門の最優秀演技賞(男性)を受賞した。日本でも2026年に公開され、監督とともに来日舞台挨拶を行った。
ドラマ・配信作品[編集]
『地獄が呼んでいる』(2021年)[編集]
Netflixのヒット作『地獄が呼んでいる』では、生まれたばかりのわが子に「地獄行きの告知」が下される放送局プロデューサー、ペ・ヨンジェを演じた。シーズン1後半の主人公格であり、絶望と愛情の間で揺れる父親像が世界中の視聴者に刺さった。
『The 8 Show』(2024年)[編集]
Netflixの『The 8 Show』では、8階建ての奇妙な建物で行われる「時間を稼ぐショー」の参加者の一人、7階のフィリップを演じた。チョン・ウヒらと共演し、軽薄さと危うさが同居するキャラクターで強烈な印象を残している。
その他のドラマ[編集]
- 『ゴールデンタイム』(2012年)、『思春期メドレー』(2013年)、『君たちは包囲された!』(2014年)など、初期はテレビドラマにも多数出演。
- 『ミスター・サンシャイン』(2018年)では独立運動家・安昌浩(アン・チャンホ)役で特別出演。
- 2025年にはCoupang Playのゾンビ・ロマンス『ニュートピア』で主演を務めた。
2026年の新作と舞台[編集]
『HUMINT/ヒューミント』[編集]
2026年2月11日公開のリュ・スンワン監督のスパイアクション。北朝鮮・国家保衛省の組長パク・ゴンを演じ、任務でウラジオストクに派遣された冷徹な男が、偶然出会った女性チェ・ソンファ(シン・セギョン)によって揺らいでいく姿を見せる。監督は「パク・ジョンミンにしか出せない荒々しい野獣のような感じ」を狙ったと語り、「本当に初めて見るパク・ジョンミン」になると予告していた。本人も「子どもの頃から好きなジャンルで、オファーに驚いた」とコメントしている。
舞台『ライフ・オブ・パイ』[編集]
もともと舞台出身で、『キサラギ』『ロミオとジュリエット』(ロミオ役)などに出演してきた。2025年から2026年にかけては、韓国版『ライフ・オブ・パイ』で主人公パイを演じ、久々に舞台へ戻ってきた。
2025年は「演技休業」[編集]
2025年、ミュージシャンのチョン・ジェヒョンのYouTubeチャンネル『요정재형』に出演した際、「2025年は演技を休むと正式に決めた」と宣言し、オファーをすべて断ったことを明かした。人気の勢いに乗るより、自分にとって意味のある仕事を優先したいという姿勢が、かえって支持を集めた。
出版社「無題(MUZE)」[編集]
エッセイストとしての出発[編集]
大の読書家として知られ、2013年から4年間、雑誌『topclass』に「言喜(オニ)」名義でコラムを連載。ユーモアのある文章が評判を呼び、2016年に散文集『쓸 만한 인간(使える人間)』として書籍化された。本人は「文章を言葉にする仕事をしているうちに、言葉をまた文章で表現してみたくなった」と語っている。2019年から2021年にかけてはブックカフェ「책과 밤, 낮」も運営していた。
「タイトルのないもの」のための出版社[編集]
2019年末から2020年にかけて、出版社「無題(무제/MUZE)」を設立。「ある日床に寝転がっていて『出版社やってみようかな』と思い、本当にやった」というノリの良い始まりだったが、理念は真剣で、公式サイトには「世の中にはタイトルのない、名前のない、つまり疎外されたものが多い」という趣旨の言葉が掲げられている。最初の本は動物の権利をテーマにしたエッセイ『살리는 일(生かすこと)』。
「聴く小説」『첫 여름, 완주』[編集]
最初の本を出した頃、父親が視力を失った。「息子が作った初めての本を見せてあげられない」と落ち込んだことから、目の見えない人にも届く本を作ろうと企画したのが、作家キム・グミの『첫 여름, 완주(初めての夏、完走/完州)』である。通常の本とは逆に、まずオーディオで「聴く小説」として発表し、コ・ミンシ、ヨム・ジョンア、キム・ドフン、チェ・ヤンラクらが声で参加。「声優が読むオーディオブックなら2週間で作れるが、僕らは8か月かかった」と本人は語る。
紙の本は刊行1か月余りで17刷を記録し、オーディオ版は国立障害者図書館の人気ランキング1位に。2025年のソウル国際ブックフェアでは無題のブースに初日から100人以上が並び、在庫が完売した。2025年末には小説として書き直された紙の本とアートブックのセットも出ている。こうした取り組みが評価され、2026年の「障害者の日」には保健福祉部長官表彰を受けた。
「本業を損なうなら辞める」[編集]
本人は「僕の本業は俳優なので、出版の仕事が本業を損ないそうになったら諦めるつもりでやっている」と明言している。無題の情報は公式Instagram(@booksmuze)や公式サイトで発信されており、新刊や連載の告知が中心になっている。
演技スタイルと素顔[編集]
準備の鬼[編集]
ピアノ半年、ラップ、減量と、役に合わせて技能も体も作り込むのがパク・ジョンミン流。2018年には韓国メディアから「低予算映画のソン・ガンホ」と称され、作家としての評価も併せて報じられた。
個人SNSはやらない[編集]
個人のSNSアカウントは持っていない。理由を問われ「夜にお酒を飲みながらライブ配信してしまいそうで心配」と答えている。かつて運営していた書店のInstagramでは、コメントに答える際も声ではなく紙に書いて見せていたという。近況は事務所や出版社の公式アカウント、インタビューで知るのが基本。
バラエティでの素顔[編集]
『ランニングマン』には複数回ゲスト出演し、『나 혼자 산다(私は一人で暮らす)』『ユ・クイズ ON THE BLOCK』などにも登場。真面目さと自虐ギャグのバランスが絶妙で、作品とは違う一面を見せている。
主な受賞歴[編集]
- 2016年:第37回青龍映画賞 新人男優賞、第52回百想芸術大賞 映画部門 男性新人演技賞、第36回黄金撮影賞 新人男優賞、第16回ディレクターズカット・アワード 今年の新人男性演技賞(いずれも『空と風と星の詩人〜尹東柱の生涯〜』)
- 2017年:第22回春史映画賞 助演男優賞
- 2018年:第19回釜山映画評論家協会賞(『サンセット・イン・マイ・ホームタウン』)
- 2020年:第40回韓国映画評論家協会賞(『ただ悪より救いたまえ』)
- 2021年:第41回青龍映画賞 助演男優賞、第57回百想芸術大賞 映画部門 男性助演賞(いずれも『ただ悪より救いたまえ』)
- 2025年:第34回釜日映画賞 助演男優賞、第45回韓国映画評論家協会賞 主演男優賞(『顔 -かお-』)
- 2026年:第62回百想芸術大賞 映画部門 最優秀演技賞(『顔 -かお-』)
炎上とバズ[編集]
青龍映画賞「Good Goodbye」事件[編集]
2025年11月19日の第46回青龍映画賞で、ファサ(MAMAMOO)が祝賀ステージで「Good Goodbye」を披露。白いドレスに裸足のファサが客席に降りてくると、客席にいたパク・ジョンミンと目が合い、二人で最後の歌詞をマイクで歌う一幕が生まれた。実はパク・ジョンミンは同曲のMVに出演して「元恋人」的なストーリーを演じていたため、MVの物語が授賞式で「再会」した形になった。裸足のファサに「靴履いて」と気遣う一言も添えられた。
この場面と居合わせた俳優たちのリアクション映像はネットで拡散し、関連動画は合計1000万回超を記録。すでに活動を終えていた曲がMelonのデイリーチャートで4日連続1位に返り咲く「逆走」が起き、MVは2026年1月に再生1億回を突破したと報じられた。パク・ジョンミンには「元カレのアイコン」というあだ名まで付いた。
百想での「無冠の帝王」スピーチ[編集]
2026年の第62回百想芸術大賞で最優秀演技賞を受けた際、「ここ数年は賞をもらえず“無冠の帝王”なんて呼ばれていたけど、またもらったら欲が出てしまいそう」と会場を笑わせ、最後は「お母さん愛してるよ!…お父さんも愛してます」と締めくくった。飾らないスピーチとしてSNSで好意的に拡散された。
余談[編集]
- 高校・大学の同期で俳優のチョ・ヒョンチョルとは長年の親友である。
- 30代半ばを過ぎても高校生役のオファーが来るほどの童顔として知られる。
- 寝る前にYouTubeの「침착맨」チャンネルを見るのが習慣だと語っている。
- MV出演が多く、ファサのほか、IU、イ・スンファン、BIBI、(G)I-DLEなどのMVにも登場している。
- 出身地は資料によって京畿道安山市とも忠清北道忠州市ともされる。2026年には忠州市の広報大使に就任した。
- 2018年の映画『辺山』のプロモーションでは、劇中のラッパー「シムポク」名義でライブ形式のシネコンサートも行った。
- 『別れる決心』(パク・チャヌク監督)にも特別出演しており、短い出番でも存在感を残す「カメオ職人」としても知られる。
