| The 8 Show 〜極限のマネーショー〜 더 에이트 쇼 / The 8 Show | |
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3階ことペ・ジンス役のリュ・ジュンヨル(2024年3月撮影/出典:Wikimedia Commons「20240319 Ryu Jun-yeol 류준열 01.jpg」・撮影:K-POPIT・CC BY 3.0) | |
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監督・脚本のハン・ジェリム(2022年カンヌ/出典:Wikimedia Commons「Han Jae-rim Cannes 2022.jpg」・提供:BH Entertainment・CC BY 3.0) | |
| 略称 | エイトショー |
| ジャンル | ブラックコメディ/密室サバイバル/スリラー |
| 放送シーズン | シーズン1(リミテッドシリーズ) |
| 放送期間 | 2024年5月17日(全話一挙配信) |
| 放送時間 | 1話あたり約46〜68分 |
| 話数 | 全8話 |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 配信 | Netflix |
| 制作 | |
| プロデューサー | ハン・ジェリム、クォン・ミギョン ほか |
| 演出 | ハン・ジェリム |
| 制作 | Studio N、マグナムナイン、ロッテカルチャーワークス |
| 脚本 | ハン・ジェリム |
| 撮影 | ナム・ドングン、イ・ジフン |
| 音楽 | チョン・ジフン |
| 出演者 | リュ・ジュンヨル、チョン・ウヒ、パク・ジョンミン、イ・ヨルム、パク・ヘジュン、イ・ジュヨン、ムン・ジョンヒ、ペ・ソンウ |
| その他 | |
| 原作 | ペ・ジンス『マネーゲーム』『パイゲーム』(NAVER WEBTOON) |
| 制作費 | 約240億ウォン |
| 外部リンク | Netflix作品ページ |
概要[編集]
The 8 Show 〜極限のマネーショー〜(더 에이트 쇼)とは、2024年5月17日にNetflixで全8話一挙配信された韓国ドラマである。映画『観相師』のハン・ジェリム監督が初めて手がけたシリーズ作品で、8階建ての密室に閉じ込められた8人が「時間がたつほどお金が増える」ショーに参加する姿を描くブラックコメディ。
詳細[編集]
「時間=お金」の悪魔的ショー[編集]
物語の舞台は、外界から完全に切り離された8階建ての謎の建物。借金や生活苦に追い詰められた8人の男女が、正体不明の招待状に導かれて集められる。ルールはシンプルで、建物の中にいるだけで1分ごとに賞金が積み上がるというもの。ただし共用スペースの壁には巨大なカウントダウン時計があり、これがゼロになった瞬間にショーは終了。参加者たちは「いかに時計を延ばすか」に知恵を絞ることになる。韓国Netflix公式YouTubeの配信日発表映像でも「8人が8層に分かれた秘密の空間に閉じ込められ、時間が積もればお金を稼ぐ甘くも危険なショーに参加する物語」と紹介されていた。
階が上がるほど時給が跳ね上がる[編集]
この作品最大の仕掛けが、階ごとに賞金額が違うという隠しルール。参加者は最初に部屋の番号を選ぶのだが、1階は1分あたり1万ウォン、8階は1分あたり34万ウォンと、実に34倍の格差がある。金額は1・2・3・5・8・13・21・34(万ウォン)とフィボナッチ数列で増えていき、8階の時給はなんと2040万ウォンに達する。最初は和気あいあいと協力していた8人が、この格差を知った瞬間から少しずつ壊れていく流れが、序盤最大の見どころだ。
生活必需品は「100倍価格」[編集]
個室では欲しいものを注文できるが、値段は世間の相場のなんと100倍で、代金は自分の賞金から差し引かれる。しかも個室で買ったものは外に持ち出せず、ルール違反をすれば賞金の半分が没収されるという鬼仕様。水一本、食事一回にも「誰が払うのか」という問題がつきまとい、食料をどう分け合うかが早々に参加者同士の駆け引きの火種になっていく。
8人全員が主人公[編集]
ハン・ジェリム監督は制作発表で「8人全員が毎話の主人公で、見る人によって感情移入する相手が違っていい」と語っている。劇中で参加者たちは互いを本名ではなく「3階」「8階」のように階の番号で呼び合い、誰が善人で誰が悪人かという単純な構図も用意されていない。監督自身も「無条件の善と悪は存在しない」と説明しており、観る側の立場によって評価が大きく割れる人物ばかりが揃っている。
あらすじ[編集]
序盤:招待状と「楽なバイト」[編集]
主人公の3階ことペ・ジンスは、9億ウォンもの借金を抱えて人生のどん底にいる男。そんな彼のもとに「あなたの時間を買いたい」という奇妙なメッセージが届き、半信半疑のまま謎の建物へ足を踏み入れる。そこにいたのは同じように招待された7人。最初は「ただいるだけでお金がもらえるなんて最高」と浮かれ、食べ物を分け合うルールを作るなど平和なスタートを切る。
中盤:時間を延ばすための「見世物」[編集]
やがて参加者たちは、階段を駆け上がったり、何か「面白いこと」をしたりすると時計の残り時間が増えることに気づく。つまり、見えない主催者=観客を楽しませた分だけショーが延長されるのだ。ここからタレントショーや王様ゲームなど、時間稼ぎのための出し物がどんどんエスカレート。上の階と下の階の間には自然と上下関係が生まれ、支配と反乱、裏切りが繰り返されていく。
終盤:ショーの「本当の終わらせ方」[編集]
「参加者の誰かが死ねばショーは終わる」というルールが重くのしかかる中、刺激を求める主催者の欲望と、金を手放したくない参加者の欲望が噛み合い、建物の中は地獄の様相を帯びていく。最終話では8人それぞれがなぜこのショーに参加したのか、その事情も明かされる。結末はネタバレになるので伏せるが、ラストシーンにはショーそのものの「入れ子構造」を感じさせる皮肉な仕掛けが用意されている。
登場人物とキャスト[編集]
劇中ではほぼ全員が階の番号で呼ばれる。以下、主要8人。
- 3階(ペ・ジンス):リュ・ジュンヨル
- 本作の語り手的存在。9億ウォンの借金を抱えた平凡な男で、ヒーローらしさとは無縁。監督は「平凡でナイーブな主人公」を意図的に据えたと語っている。演じるリュ・ジュンヨルは『応答せよ1988』のジョンファン役でブレイクした人気俳優。
- 8階:チョン・ウヒ
- 最上階に住む、最も稼ぎの多い参加者。無邪気な顔で狂気を振りまき、他人の苦痛すら楽しんでしまうトリックスター。チョン・ウヒはインタビューで「主催者の意図を一番よく理解している人物」と分析し、「髪を振り乱して思い切り遊んでみようと思った」と役作りを振り返っている。当初はIUが演じる予定だった役でもある(後述)。
- 7階:パク・ジョンミン
- 「面白い見世物をすると時間が増える」というショーの仕組みをいち早く推理した頭脳派。中盤では上の階が下の階を支配する序列づくりに関わる一方、事態が行き過ぎると密かに流れを変える行動にも出る。パク・ジョンミンは『地獄が呼んでいる』などNetflix作品でもおなじみ。
- 4階:イ・ヨルム
- 4階の参加者。予告編では、疲れ切った3階・7階とは対照的に比較的余裕のある表情を見せていた。演じるイ・ヨルムはドラマ『わかっていても』などに出演。
- 6階:パク・ヘジュン
- 腕力で場を制圧する男で、中盤以降は暴力によって参加者間のパワーバランスを一変させていく。演じるパク・ヘジュンは『夫婦の世界』で強烈な印象を残した俳優。
- 2階:イ・ジュヨン
- 下の階の住人で、物語後半に部屋を施錠するなど要所で大胆な行動に出る人物。イ・ジュヨンは『梨泰院クラス』のマ・ヒョニ役で知られる。
- 5階:ムン・ジョンヒ
- 上と下の階の対立のはざまで揺れ動き、周囲に利用されてしまう場面もある人物。
- 1階:ペ・ソンウ
- 最も賞金が少ない最下層の住人。序盤に「ショーをいつ終わらせるか」を決める役目を任されるなど、物語の後半で大きな鍵を握る存在になる。
原作ウェブトゥーンとの関係[編集]
『マネーゲーム』と『パイゲーム』の融合[編集]
原作はウェブトゥーン作家ペ・ジンスがNAVER WEBTOONで発表した『マネーゲーム』と『パイゲーム』の2作品。両作の累計閲覧数は全世界で3億回を超えるとされる人気シリーズで、日本でも『マネーゲーム』はLINEマンガで配信されている。ドラマ版はこの2作を1本の物語として再構成したオリジナル色の強い脚色になっている。
監督が惹かれた「誰も死んではいけない」ルール[編集]
ハン・ジェリム監督は『マネーゲーム』について「英雄のいないピカレスク・ブラックコメディという点が独特だった」と評価しつつ、誰かの死が他人の得になるサバイバル構造には限界を感じたという。むしろ惹かれたのは『パイゲーム』の「誰も死んではいけない」というルールで、これが「他のジャンルとの差別化になると感じた」と語っている。結果として本作は、殺し合いではなく「全員で生き延びながら、どこまで欲望に耐えられるか」を問う物語になった。
主人公の名前に隠された遊び心[編集]
主人公3階の本名「ペ・ジンス」は、原作者ペ・ジンスとまったく同じ名前。原作者の名前をそのまま主人公に背負わせた、遊び心のあるネーミングになっている。
制作[編集]
仮題は『マネーゲーム』だった[編集]
企画段階の仮題は原作と同じ『マネーゲーム』だったが、最終的に『The 8 Show』へ改題された。ハン監督によると「ゲーム」という単語がどうしてもサバイバルものを連想させるためで、新タイトルには8話・8人という構成と、無限の時間を求める欲望を込めたという。
豪華キャストの集結とIUの降板[編集]
キャスティングは2021年12月のリュ・ジュンヨル、ペ・ソンウから始まり、2022年1月にはIU(イ・ジウン)、パク・ジョンミン、パク・ヘジュンの出演が報じられた。4月にはムン・ジョンヒ、イ・ヨルム、イ・ジュヨンが合流。ところが同年5月、8階役に決まっていたIUがスケジュールの都合で降板し、代わってチョン・ウヒが起用された。日本のレビューでも「韓国ドラマ・映画好きなら一度は顔を見たことがある俳優ばかり」と評される布陣になっている。
7か月間、同じセットで撮影[編集]
撮影は2022年5月から同年12月23日まで行われた。制作費は約240億ウォン(約1800万〜2000万ドル)とされ、制作にはStudio N、マグナムナイン、ロッテカルチャーワークスが参加。物語の大半が1つの建物の中で進むため、俳優陣はおよそ7か月間ほぼ同じセットに通い続けた。チョン・ウヒは撮影後に思わず「脱出!」と叫びたくなったと笑い、現場ではパク・ヘジュンが率先して会食を仕切るムードメーカーだったと明かしている。
階段が象徴する「格差」[編集]
建物は8つの個室が縦に積み重なった構造で、参加者は階段を上り下りして共用スペースに集まる。監督は「階段を上るという行為が参加者たちの階級差をより鮮明に象徴する」と語っており、部屋割りの瞬間から不平等が組み込まれた、まさに縦に積み上がった格差社会の縮図だ。
テーマと演出[編集]
「社会実験劇」としてのブラックコメディ[編集]
監督は本作をサバイバルではなく「社会実験劇」と位置づけている。資本主義、階級、人間の欲望といった重いテーマを扱いながらも、トーンはあくまでブラックコメディ。間の抜けたやり取りや乾いた笑いが随所に挟まれ、だからこそ後半の残酷さが際立つ構成になっている。
主催者=観客という視点[編集]
作中で主催者は最後まで姿を見せない。監督はインタビューで「主催者は観客を象徴している」と説明しており、より刺激的な見世物を求めてしまう視聴者自身への問いかけが込められている。いわば「ドーパミン中毒の時代」のコンテンツ消費そのものを皮肉った作品とも言える。
あえて扇情的にしない[編集]
暴力描写が強まる後半について、監督は「観客が快感を覚えないように」扇情性を抑えることを意識したと語る。各シーンを入れるかどうかは「必要かどうか」で判断したといい、メディアの作り手としての責任にも言及している。
反響と評価[編集]
世界ランキングで首位に[編集]
配信開始から3日でNetflixグローバルTOP10(非英語テレビ部門)の7位に初登場し、翌週には視聴時間3320万時間・視聴数480万回で同部門の1位を獲得。3週連続でTOP10入りし、11か国でTOP10にランクインした。チョン・ウヒはインタビューで「社会の不平等というメッセージが世界中の視聴者に通じた」と手応えを語っている。
批評家の評価は賛否両論[編集]
イカゲーム以降の韓国サバイバルものとして世界中のメディアが取り上げ、Rotten Tomatoesでは批評家8人中75%が肯定的評価。海外レビューでは「Netflixで最高のリミテッドシリーズのひとつ」という絶賛がある一方、「キャラクターの掘り下げが足りずユーモアがちぐはぐ」「最も成功したNetflixドラマに便乗しようとする露骨な試み」といった辛口評価も出た。「『イカゲーム』より皮肉が効いていて笑える」という声もあり、まさに賛否が割れたタイプの作品だ。
韓国国内の反応[編集]
韓国のメディアでは、チョン・ウヒの予測不能な怪演が特に高く評価された。一方で、後半の過激な暴力描写や刺激的な内容が一部の視聴者を遠ざけかねない、という指摘もあった。一部の評論では、物語の深みでは『イカゲーム』を上回るとまで評された。
炎上とバズ[編集]
「また『イカゲーム』?」論争[編集]
配信前から「借金まみれの人々が謎のゲームに集められる」という設定が『イカゲーム』と比較され、海外メディアからは「便乗企画では」という厳しい声も上がった。これに対しハン監督は「『イカゲーム』では誰かが死ななければ自分が生きられないが、本作では誰も死んではいけない」と明確に違いを強調。日本の『今際の国のアリス』のような、閉鎖空間でゲームを強いられるタイプの作品とは「殺し合わない」点で一線を画している。
8階の怪演が話題に[編集]
配信後、8階を演じたチョン・ウヒの演技は韓国メディアのインタビューやレビューで大きく取り上げられた。本人は「嫌悪されるかもしれないと心配した」が、「非現実的に表現してこそ緊張感と劇的な面白さが生まれる」と考えて振り切ったと明かしている。
賞金にかかる税金まで試算される[編集]
韓国では、作中の賞金が現実ならどれだけ税金がかかるのかを試算する記事まで登場した。3階が手にした賞金をもとに、所得税の計算が真面目に解説されるという、いかにも話題作らしいバズり方をした。
余談[編集]
- ハン・ジェリム監督は韓国映画界のヒットメーカーで、長編デビューは2005年の『恋愛の目的』。その後『優雅な世界』、ソン・ガンホ主演の『観相師』、『ザ・キング』、ソン・ガンホやイ・ビョンホンが出演した『非常宣言』を手がけ、本作が初のシリーズ演出作となった。
- シリーズ作品を撮るにあたり、監督は「毎話のラストに引きを作り、人物を切り替えて飽きさせない」ことを意識したという。映画畑の監督らしい試行錯誤の跡が各話の構成に表れている。
- 1階役のペ・ソンウにとっては、2020年の飲酒運転騒動で活動を自粛して以来の復帰作として韓国内で注目された。
- NAVER WEBTOON発の作品をNetflixが韓国ドラマ化した例としては、ウェブトゥーン『Sweet Home』を原作とするドラマ版などがあり、本作もその系譜にある1本と言える。
- チョン・ウヒは役のために体重を大きく落としたが、結果的に本来の体型で映ったシーンの方が好評だったと笑って語っている。