| Kiyoshi Kurosawa Kiyoshi Kurosawa | |
|---|---|
![]() 黒沢清(出典:映画.com 人物ページ) | |
| 本名 | 黒沢清 |
| 誕生日 | 1955年7月19日 |
| 年齢 | 71歳 |
| 出身地 | 兵庫県神戸市 |
| 国籍 | 日本 |
| 学歴 | 六甲学院高等学校、立教大学社会学部 |
| 職業 | 映画監督、脚本家、映画批評家、小説家 |
| 肩書 | 元東京藝術大学大学院映像研究科教授 |
| 活動期間 | 1983年 - |
| 代表的な実績 | 『CURE』『回路』『トウキョウソナタ』『岸辺の旅』『スパイの妻』『Cloud クラウド』『黒牢城』 |
| 受賞 | カンヌ国際映画祭「ある視点」部門 監督賞(2015年)、ヴェネツィア国際映画祭 銀獅子賞(2020年)、芸術選奨文部科学大臣賞、芸術文化勲章オフィシエ(2024年)ほか |
| 関連活動 | ディレクターズ・カンパニー、パロディアス・ユニティ |
概要[編集]
黒沢清(くろさわ きよし)とは、日本の映画監督・脚本家である。1955年神戸市生まれ。立教大学の8ミリ映画サークル出身で、ピンク映画でデビューした後、1997年の『CURE』で世界的な評価を獲得した。『回路』『トウキョウソナタ』『岸辺の旅』『スパイの妻』などで世界三大映画祭の常連となった、日本を代表する「怖い映画の巨匠」。2026年には初の時代劇『黒牢城』を発表した。
詳細[編集]
「もう一人のクロサワ」[編集]
名字の読みが同じため海外では「もう一人のクロサワ」と呼ばれがちだが、黒澤明とは血縁関係が一切ない。表記も「黒澤」ではなく「黒沢」である。ホラー、サスペンス、家族ドラマ、ラブストーリー、SF、さらには時代劇まで、ジャンルを横断しながら一貫して「日常のすぐ隣にある得体の知れない何か」を撮り続けてきた監督として知られる。
ニューヨーク・タイムズは彼を「心理的恐怖におけるデヴィッド・クローネンバーグ」と評したことがあり、海外の映画ファンからは「Jホラー」の代表的な作家の一人として認知されている。一方で本人は作風を固定したくないと語っており、作品ごとにジャンルの「型」を借りつつ、そこからはみ出す映像を作ることに執着している。
教育者としての顔[編集]
2005年から2023年3月まで東京藝術大学大学院映像研究科の教授を務めた。同時期に北野武も同研究科の教授に就任しており、当時は大きな話題となった。教え子には、のちに『ドライブ・マイ・カー』でアカデミー国際長編映画賞を受賞する濱口竜介らがいる。
濱口とは師弟関係にとどまらず、『スパイの妻』では濱口と野原位が脚本を共同執筆するなど、創作上のパートナーにもなっている。2026年のカンヌでは、師弟がそろって新作を出品するという胸アツな展開も見られた。
批評家・著述家としての顔[編集]
映画監督であると同時に、映画批評家としても長く活動している。著書には『黒沢清の映画術』などがあり、映画論を語らせると止まらないタイプの監督である。また自作『回路』や『CURE』(『キュア』)のノベライズを自ら手がけるなど、小説家としての顔も持つ。
経歴[編集]
生い立ちと立教大学・8ミリ時代[編集]
1955年7月19日、兵庫県神戸市に生まれる。六甲学院高等学校を卒業後、立教大学社会学部に進学し、1980年に卒業した。大学在学中から8ミリ映画の制作を始め、自主映画製作集団「パロディアス・ユニティ」に所属。同集団には後にドキュメンタリー作家となる森達也や、映画監督の塩田明彦らも在籍していた。
立教時代に最も大きな影響を受けたのが、映画評論家蓮實重彦の講義「映画表現論」である。画面に映るあらゆる要素を意識的に設計すべきだという蓮實の教えは、黒沢の映画作りの根幹となった。この時期の立教からは周防正行、万田邦敏、青山真治らも輩出されており、のちに「立教ヌーヴェルヴァーグ」とも呼ばれる一大潮流になった。
1981年、8ミリ作品『しがらみ学園』がぴあフィルムフェスティバルに入選。その縁もあって長谷川和彦に誘われ、『太陽を盗んだ男』に制作助手として参加した。さらに相米慎二監督の『セーラー服と機関銃』では助監督を務め、プロの現場で映画作りを学んでいった。
ピンク映画デビューとディレクターズ・カンパニー[編集]
長谷川和彦、相米慎二ら若手監督が中心となって設立した制作会社「ディレクターズ・カンパニー」に参加。1983年、同社制作のピンク映画『神田川淫乱戦争』で商業映画監督としてデビューした。タイトルはインパクト抜群だが、中身はジャン=リュック・ゴダールばりの実験精神にあふれた作品として知られる。
1984年にはにっかつロマンポルノとして『女子大生・恥ずかしゼミナール』を撮影。ところが完成品を見たにっかつ側が「これはロマンポルノではない」と納品を拒否するという事件が起きる。黒沢は追加撮影を行って作品を再編集し、『ドレミファ娘の血は騒ぐ』と改題して1985年に一般映画として公開した。洞口依子と伊丹十三が出演した本作は、今ではカルト的な人気を誇る初期の代表作である。
スウィートホームと不遇の時代[編集]
1989年、伊丹十三製作総指揮のホラー映画『スウィートホーム』が東宝系で公開され、初のメジャー作品となった。同作はカプコンによってファミリーコンピュータ用ゲームにもなり、このゲームが後の『バイオハザード』の原点となったことはゲームファンの間でもよく知られている。
しかしその後、劇場映画を撮る機会はなかなか巡ってこなかった。1992年に松重豊が殺人鬼を演じたホラー『地獄の警備員』を発表したものの、1990年代前半の黒沢は主にテレビドラマやビデオ映画の世界で腕を磨くことになる。テレビでは『学校の怪談』シリーズなどの演出を担当し、ここで後のJホラーにつながる恐怖演出を確立していった。
Vシネマ期[編集]
1990年代半ばの黒沢を語る上で欠かせないのが、Vシネマでの仕事である。とくに哀川翔と前田耕陽がコンビを組む『勝手にしやがれ!!』シリーズ(1995〜1996年)は全6作が制作され、低予算・短期間という制約の中で軽快な犯罪コメディを量産した。タイトルはもちろんゴダールの『勝手にしやがれ』へのオマージュである。
ほかにも『893タクシー』(1994年)や、競輪を題材にした『打鐘 男たちの激情』(1994年)などを監督。1997年には哀川翔主演の『復讐 運命の訪問者』『復讐 消えない傷痕』、1998年には『蛇の道』『蜘蛛の瞳』を撮っている。この時期の「早く・安く・面白く」撮る経験は、のちの手際の良い現場運営にも生きているとされる。
CUREでの世界的ブレイク[編集]
1997年、役所広司主演、萩原聖人共演のサイコ・サスペンス『CURE』を発表。被害者の首をX字に切り裂く連続殺人事件と、催眠術を操る謎の青年を描いた本作は、東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、役所広司が男優賞を受賞した。
海外でも紹介されると、その静かでじわじわ来る恐怖演出は大きな衝撃を与え、黒沢の名は一気に世界に広まった。以後、役所広司は『ドッペルゲンガー』『叫』『トウキョウソナタ』など多くの黒沢作品に出演し、黒沢映画の「顔」ともいえる存在となっていく。
1999年には『カリスマ』がカンヌ国際映画祭監督週間、『ニンゲン合格』がベルリン国際映画祭フォーラム部門、『大いなる幻影』がヴェネツィア国際映画祭に出品され、1年のうちに世界三大映画祭すべてに監督作が出品されるという快挙を成し遂げた。
Jホラーの旗手へ[編集]
2001年、インターネットを通じて死者の世界が侵食してくるホラー『回路』を発表。加藤晴彦、麻生久美子らが出演した本作はカンヌ国際映画祭「ある視点」部門で国際映画批評家連盟賞を受賞した。中田秀夫の『リング』、清水崇の『呪怨』と並び、Jホラーを世界に知らしめた作品の一つとされる。
2006年にはハリウッドで『パルス』としてリメイクされた。さらに2026年9月には、『回路』が再びハリウッドでリメイクされる企画が進んでいると海外メディアで報じられた。報道によればプロデュースはパーカー・フィンらが手がけるとされ、四半世紀を経てもなお世界の映画人を惹きつけていることがわかる。
2000年代前半には、オダギリジョーと浅野忠信が出演した青春映画『アカルイミライ』(2003年、カンヌ国際映画祭コンペティション部門出品)、『ドッペルゲンガー』(2003年)、中谷美紀主演の『LOFT ロフト』(2006年)、役所広司主演の『叫』(2007年)などを立て続けに発表した。
トウキョウソナタと国際的評価の確立[編集]
2008年、リストラされたことを家族に言い出せない父親と、バラバラになっていく家族を描いた『トウキョウソナタ』を発表。香川照之、小泉今日子らが出演した本作は、カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で審査員賞を受賞し、アジア・フィルム・アワードでは作品賞に輝いた。ホラーではない家族ドラマで評価されたことで、「ホラーの人」というイメージを大きく広げた一作である。
2012年には湊かなえ原作の連続ドラマ『贖罪』(WOWOW)を監督し、東京ドラマアウォードで演出賞を受賞。2013年には佐藤健、綾瀬はるか主演の『リアル〜完全なる首長竜の日〜』を公開し、前田敦子主演の『Seventh Code』ではローマ国際映画祭の最優秀監督賞を受賞した。
岸辺の旅でカンヌ監督賞[編集]
2015年、湯本香樹実の小説を原作とした『岸辺の旅』を発表。3年前に失踪した夫が幽霊となって帰ってきて、妻とともに旅に出るという物語で、深津絵里と浅野忠信が夫婦を演じた。本作は第68回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で監督賞を受賞した。同年には川喜多賞も受賞している。
2016年には西島秀俊、竹内結子、香川照之が出演したサイコスリラー『クリーピー 偽りの隣人』がヒット。同年、全編フランスで撮影した初の海外作品『ダゲレオタイプの女』も公開し、東京国際映画祭SAMURAI賞と毎日芸術賞を受賞した。2017年には長澤まさみ、松田龍平主演のSF『散歩する侵略者』を発表し、芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。2019年には前田敦子主演でウズベキスタンを舞台にした『旅のおわり世界のはじまり』を撮っている。
スパイの妻でヴェネツィア銀獅子賞[編集]
2020年、NHKの8Kドラマとして制作された『スパイの妻』を劇場版として公開。太平洋戦争前夜の神戸を舞台に、国家機密を知ってしまった夫と、夫を信じ抜こうとする妻を描いた歴史サスペンスで、蒼井優と高橋一生が主演した。
本作は第77回ヴェネツィア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を受賞。キネマ旬報ベスト・テンでは、濱口竜介、野原位との共同脚本が脚本賞を受賞した。日本人監督のヴェネツィア監督賞は北野武の『座頭市』以来17年ぶりの快挙として大きく報じられた。
2024年の三連発(Chime・蛇の道・Cloud)[編集]
2024年の黒沢は、なんと1年で3本の新作を世に送り出した。まず映像配信プラットフォーム「Roadstead」のオリジナル作品第1弾として、45分の中編『Chime』を発表。料理教室の講師が、生徒の「チャイムのような音で誰かがメッセージを送ってくる」という言葉をきっかけに狂気へ滑り落ちていく物語で、黒沢作品の常連脇役だった吉岡睦雄が初主演を務めた。第74回ベルリン国際映画祭ベルリナーレ・スペシャル部門で上映され、全上映回が完売した。
続いて6月には、1998年の自作『蛇の道』をフランスでセルフリメイクした『蛇の道』が公開。オリジナルで哀川翔が演じた謎の協力者を、柴咲コウ演じる精神科医の女性に置き換え、柴咲はほぼ全編をフランス語で演じた。KADOKAWAとフランスのCINEFRANCE STUDIOSによる日仏共同製作で、西島秀俊、青木崇高も出演している。
そして9月には、菅田将暉主演のサスペンス『Cloud クラウド』が公開された。転売で稼ぐ青年が、ネット上の見えない憎悪によって命を狙われていく物語で、古川琴音、奥平大兼、窪田正孝、荒川良々らが共演。第81回ヴェネツィア国際映画祭でプレミア上映され、トロント国際映画祭でも上映、さらに第97回アカデミー賞国際長編映画賞の日本代表作品に選ばれた。釜山国際映画祭ではアジア映画人賞を受賞している。同年にはフランス政府から芸術文化勲章オフィシエも受章した。
黒牢城で時代劇に初挑戦(2026年)[編集]
2026年、米澤穂信の直木賞受賞作を映画化した『黒牢城』を発表し、キャリア初の時代劇に挑んだ。織田信長に反旗を翻して有岡城に籠城した荒木村重が、城内で起きる怪事件の謎を、地下牢に幽閉した黒田官兵衛とともに解き明かしていく戦国ミステリーである。主演の荒木村重役は本木雅弘、黒田官兵衛役は菅田将暉、村重の妻・千代保役は吉高由里子。ほかに青木崇高、宮舘涼太(Snow Man)、柄本佑、オダギリジョー、ユースケ・サンタマリアらが出演する、主演級がずらりと並ぶ豪華キャストとなった。
撮影は京都・太秦の松竹京都撮影所で行われ、配給は松竹。本人は取材に対し「時代劇といえばちゃんばら。ただ今回は心理劇のような時代劇」と語り、本木と「全く新しい時代劇映画の古典」を目指したとしている。
本作は第79回カンヌ国際映画祭のカンヌ・プレミア部門に出品され、黒沢にとってカンヌ公式部門への出品は6度目となった。5月の公式上映ではスタンディングオベーションで迎えられたと報じられている。上映時間147分で、2026年6月19日に全国公開。公開後にはモノクロ版の上映も決まり、7月には興行収入10億円を突破して黒沢清監督作品の歴代最高記録を更新したと報じられた。
作風[編集]
「何かがおかしい」日常[編集]
黒沢作品の最大の特徴は、ありふれた日常の風景の中に、説明のつかない違和感や不穏さがじわじわと染み出してくる感覚である。派手なショック描写やジャンプスケアに頼るのではなく、カメラは引き気味に静かに据えられ、画面の奥や端で「何か」が起こる。観客はその「何か」が何なのか最後まではっきりとはわからないまま、居心地の悪さだけを持ち帰ることになる。
登場人物も感情をあまり表に出さず、淡々とした台詞回しで会話が進むことが多い。そのため、ふとした瞬間の表情や沈黙が異様な緊張感を帯びる。ストーリーやテーマに映像を従属させず、ワンシーンそのものの力で観客をつかむ演出だと評されることも多い。
カーテン・風・廃墟[編集]
黒沢作品には、ファンや批評家の間で「黒沢印」として語られるおなじみのモチーフがある。代表的なのが風に揺れるカーテンや半透明のビニールシートで、窓から吹き込む風がカーテンを不自然に大きくはためかせる描写は、多くの作品に登場する。何も起きていないのに、カーテンが揺れるだけで「何かがいる」と思わせる、黒沢流恐怖演出の真骨頂である。
また、廃墟や取り壊し寸前の建物、がらんとした工場や倉庫といった空間も繰り返し登場する。研究者の間ではこうした荒廃した空間が、社会や環境への批評として読み解かれることもある。さらに、車の走行シーンで背景をスクリーンに映写する古典的な合成手法「スクリーンプロセス」をあえて使うことでも知られ、『Cloud クラウド』でもこの手法を思わせる場面が話題になった。
影響を受けた作家[編集]
師である蓮實重彦の影響に加え、ゴダール、アルフレッド・ヒッチコック、小津安二郎らを自身の映画観を形作った存在として挙げている。とりわけドン・シーゲル、サム・ペキンパー、リチャード・フライシャー、トビー・フーパーといったアメリカのジャンル映画の職人監督たちへの愛は深い。
『Cloud クラウド』の後半で繰り広げられる本格的な銃撃戦は、本人が長年「やってみたい」とほのめかしてきた1970年代風のガンアクションを実現したものだという。普通の人々が銃撃戦に巻き込まれていく作品として、ペキンパーの『わらの犬』を引き合いに出している。
復讐と「境界」のモチーフ[編集]
『蛇の道』『蜘蛛の瞳』のように、子どもを殺された父親の復讐を描く作品も多い。また『回路』『岸辺の旅』のように、生者と死者の境界があいまいになる物語も繰り返し描かれる。黒沢映画における幽霊は、恐ろしい存在であると同時に、どこか寂しく、生きている人間と地続きの存在として描かれることが多い。
人物[編集]
定時で帰る監督[編集]
黒沢組の現場は、撮影が予定どおりに終わることでも知られている。『黒牢城』の公開記念イベントでは、本木雅弘が黒沢監督の「定時上がり」の概念に衝撃を受けたと明かし、黒沢本人は「社会人として当たり前」と返したと報じられた。撮影現場の取材記事でも、通常は数時間かかることもある照明の切り替えを黒沢組では15分程度で済ませていると紹介されている。
Vシネマ時代に培った「限られた時間で撮り切る」技術が、現在の効率的な現場運営につながっているとも言われる。
俳優たちとの関係[編集]
役所広司、西島秀俊、香川照之、哀川翔、前田敦子など、何度も起用する俳優が多い。西島秀俊は2024年の『蛇の道』で黒沢監督と5度目のタッグとなった。菅田将暉は『Cloud クラウド』で初めて黒沢組に参加した際に緊張していたと語っており、『黒牢城』で2度目のタッグを組んだ。
オダギリジョーは『黒牢城』の舞台あいさつで「なるべく黒沢組には参加したくない」と冗談めかして語り、黒沢作品に出ることへの緊張と喜びを表現した。吉高由里子は黒沢監督との相性の良さを話題にし、会場を沸かせた。俳優陣から敬意と同時に、どこか畏れられている存在でもある。
温厚な語り口[編集]
作品の不穏さとは裏腹に、インタビューやトークイベントでの語り口は穏やかで理知的。自作の解説も論理的かつユーモラスで、映画ファンの間ではトークの面白さにも定評がある。濱口竜介との対談では、カンヌの公式上映について、拍手が起きる一方で作品を否定して批判を語り合う人もいる「恐ろしい場所」だと語っている。
評価[編集]
世界三大映画祭の常連[編集]
1999年に1年で三大映画祭すべてに出品を果たして以降、カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンの常連監督となった。カンヌでは『回路』(国際映画批評家連盟賞)、『トウキョウソナタ』(ある視点部門審査員賞)、『岸辺の旅』(ある視点部門監督賞)と受賞を重ね、ヴェネツィアでは『スパイの妻』で銀獅子賞を獲得した。
日本の映画監督の中でも、国際映画祭での受賞歴の厚さは是枝裕和や濱口竜介らと並ぶトップクラスである。
後進への影響[編集]
東京藝術大学で18年近くにわたって教鞭をとり、濱口竜介をはじめとする次世代の監督を育てた。教え子が国際的な賞を次々に受賞するようになったことで、黒沢は「日本映画の名伯楽」としての評価も確立している。
また『CURE』『回路』は海外のホラー映画作家にも大きな影響を与えたとされ、2026年の『回路』再リメイク企画も、その影響力の大きさを物語っている。
余談[編集]
- 『スウィートホーム』をもとにしたカプコンのゲーム版は、のちに『バイオハザード』シリーズの源流となったことで知られる。黒沢はある意味、世界的ゲームシリーズの「遠いご先祖」に関わった人物でもある。
- 『CURE』の小説版は黒沢自身が執筆し、1997年に徳間文庫から刊行された。『回路』も自らノベライズしている。
- 自身の作品だけでなく、白石晃士監督のフェイクドキュメンタリー『オカルト』などに本人役で出演したこともある。
- 1998年版『蛇の道』で娘を殺された父親を演じたのは香川照之、協力者を演じたのは哀川翔だった。2024年のリメイクでは協力者が女性に変更されたため、「セルフリメイクなのにまったく別物」と話題になった。
- 撮影助手として参加した『太陽を盗んだ男』は、2026年10月に4Kデジタルリマスター版の公開が予定されている。
