| 塚原あゆ子 Ayuko Tsukahara | |
|---|---|
| 出身地 | 埼玉県久喜市 |
| 国籍 | 日本 |
| 学歴 | 淑徳与野高等学校、千葉大学文学部卒業 |
| 職業 | テレビドラマ演出家、映画監督 |
| 肩書 | TBSスパークル エンタテインメント本部ドラマ映画部 エグゼクティブクリエイター |
| 活動期間 | 1997年 - |
| 代表的な実績 | 『アンナチュラル』『MIU404』『最愛』『海に眠るダイヤモンド』演出、映画『ラストマイル』監督 |
| 受賞 | 芸術選奨新人賞(放送部門)、日本アカデミー賞優秀監督賞(2年連続)、東京ドラマアウォード2025演出賞 ほか |
| 事務所 | TBSスパークル |
| 関連活動 | 新井順子(プロデューサー)、野木亜紀子(脚本家)、奥寺佐渡子(脚本家)との協働 |
概要[編集]
塚原あゆ子とは、日本のテレビドラマ演出家・映画監督である。TBSテレビ系のドラマ制作会社TBSスパークルに所属し、『アンナチュラル』『MIU404』『最愛』『海に眠るダイヤモンド』などを手がけた。映画『ラストマイル』では興行収入59億円超のヒットを記録し、「ドラマ畑出身のヒットメーカー」として映画界でも存在感を示している。
詳細[編集]
埼玉県久喜市出身。淑徳与野高等学校から千葉大学文学部文学科に進み、卒業後の1997年に木下プロダクション(のちのドリマックス・テレビジョン、現・TBSスパークル)に入社した。そこから約10年間、ドラマの助監督として現場経験を積み、プロデューサー・監督へと転身。2005年の『夢で逢いましょう』で演出家デビューを果たした。
2010年代に入ると、湊かなえ原作の『夜行観覧車』(2013年)、『Nのために』(2014年)、野木亜紀子脚本の『アンナチュラル』(2018年)と話題作を連発し、TBSドラマの看板演出家の一人となる。2018年の『コーヒーが冷めないうちに』で映画監督デビューし、2023年以降は『わたしの幸せな結婚』『ラストマイル』『グランメゾン・パリ』『ファーストキス 1ST KISS』と、ほぼ毎年のように大作映画を送り出している。
現在の肩書はTBSスパークル エンタテインメント本部ドラマ映画部のエグゼクティブクリエイター。演出スタイルについては「細かく指示するというよりは、"場"を用意したうえで、俳優さんに自由にやっていただくタイプ」と語っている。2026年10月からは、奥寺佐渡子脚本・新井順子プロデュースのTBS金曜ドラマ『LOST10』の演出を務める。
主な演出作(テレビドラマ)[編集]
塚原の代表作の多くはTBSの金曜ドラマ枠・日曜劇場枠・火曜ドラマ枠で放送されている。
| 年 | 作品 | 備考 |
|---|---|---|
| 2005年 | 夢で逢いましょう | 演出デビュー作 |
| 2013年 | 夜行観覧車 | 湊かなえ原作 |
| 2014年 | アリスの棘 | |
| 2014年 | Nのために | 湊かなえ原作、奥寺佐渡子脚本 |
| 2016年 | 重版出来! | |
| 2017年 | リバース | 湊かなえ原作 |
| 2018年 | アンナチュラル | 野木亜紀子脚本、石原さとみ主演 |
| 2019年 | グランメゾン東京 | 日曜劇場、木村拓哉主演 |
| 2020年 | MIU404 | 野木亜紀子脚本、綾野剛・星野源主演 |
| 2021年 | 着飾る恋には理由があって | |
| 2021年 | 最愛 | 奥寺佐渡子ほか脚本 |
| 2023年 | 下剋上球児 | 日曜劇場、奥寺佐渡子脚本 |
| 2024年 | 海に眠るダイヤモンド | 日曜劇場、野木亜紀子脚本 |
| 2026年 | LOST10 | 金曜ドラマ、奥寺佐渡子脚本 |
湊かなえ作品[編集]
『夜行観覧車』『Nのために』『リバース』と、湊かなえのミステリー小説の映像化を続けて担当した。特に『Nのために』は脚本の奥寺佐渡子、プロデューサーの新井順子と組んだ作品で、のちの『最愛』『下剋上球児』『LOST10』へと続く「奥寺・塚原・新井」チームの原点となった。
アンナチュラルとMIU404[編集]
法医学ミステリー『アンナチュラル』と、機動捜査隊を描く刑事ドラマ『MIU404』は、いずれも野木亜紀子脚本・新井順子プロデュースの金曜ドラマ。塚原は、『アンナチュラル』での反省や手応えがそのまま『MIU404』の制作につながったと語っている。両作の世界観は映画『ラストマイル』で合流することになる。
グランメゾン東京[編集]
木村拓哉が三つ星を目指すシェフを演じた日曜劇場。映画『グランメゾン・パリ』へと続くシリーズとなり、ドラマ版はトルコと韓国でリメイクの開発が報じられた。
海に眠るダイヤモンド[編集]
2024年の日曜劇場。炭鉱の島・端島(軍艦島)と現代の東京を結ぶ70年の物語で、野木亜紀子の脚本と塚原の演出が再び組んだ。東京ドラマアウォード2025では連続ドラマ部門グランプリに輝き、塚原は演出賞を受賞した。
映画監督作[編集]
| 公開日 | 作品 | 備考 |
|---|---|---|
| 2018年9月21日 | コーヒーが冷めないうちに | 映画監督デビュー作 |
| 2023年3月17日 | わたしの幸せな結婚 | |
| 2024年8月23日 | ラストマイル | 野木亜紀子脚本、満島ひかり主演。興収59億6000万円 |
| 2024年12月30日 | グランメゾン・パリ | 木村拓哉主演。興収40億円突破 |
| 2025年2月7日 | ファーストキス 1ST KISS | 坂元裕二脚本。初登場1位 |
ラストマイル[編集]
巨大物流倉庫から配送される荷物が爆発する連続爆破事件を描くサスペンス。『アンナチュラル』『MIU404』と同じ世界で起きる「シェアード・ユニバース・ムービー」として話題を呼んだ。企画のきっかけは、購入後の荷物の扱われ方について塚原が野木亜紀子と話したことだったという。塚原は本作が勧善懲悪ではない理由として「私たちが生きている現実はそうではない」と語り、個人の悪役ではなく組織や仕組みが生む圧力を描いた。
2025年のヒット連発[編集]
2024年8月の『ラストマイル』から、同年末の『グランメゾン・パリ』、2025年2月の『ファーストキス 1ST KISS』まで、約半年で3本の監督作が公開され、いずれもヒットした。『ファーストキス』は松たか子と松村北斗が夫婦を演じるタイムトラベルもので、塚原は「同じシーンが何度も登場する中で、どう変化をつけるかを徹底的に計算しました」と述べている。坂元裕二の脚本については「自分のスタイルに引き込むのではなく、スタッフ全員で向かっていく姿勢で参加しました」と語った。
新井順子・野木亜紀子とのチーム[編集]
塚原のキャリアを語る上で欠かせないのが、プロデューサーの新井順子との長年のコンビである。『Nのために』『アンナチュラル』『MIU404』『最愛』『海に眠るダイヤモンド』『ラストマイル』など、代表作の多くが「新井プロデュース×塚原演出」で作られてきた。2023年の『下剋上球児』は、二人にとって初の日曜劇場での共同制作となった。
ここに脚本家の野木亜紀子が加わった「新井・塚原・野木」トリオは、『アンナチュラル』『MIU404』『海に眠るダイヤモンド』、そして映画『ラストマイル』を生み出した。一方、奥寺佐渡子とは『Nのために』『最愛』『下剋上球児』『LOST10』で組んでおり、TBSのドラマにおける二つの主要な制作チームの中心に塚原がいる形になっている。
塚原自身は、俳優のキャスティングより先に腕のあるスタッフを集めることを重視し、制作全体を対等なチームとして捉えていると語る。仕事を受けるかどうかの決め手は「今やる意味があるかどうか」で、社会がいま求めているものと、自分がいま挑戦したいことの二つを基準にしているという。
作風[編集]
主題歌の使い方[編集]
塚原作品の代名詞とされるのが、主題歌を物語の感情の核として使う演出である。『アンナチュラル』では米津玄師の「Lemon」がクライマックスでイントロなしに歌い出し、登場人物の悲しみを代弁するように流れる。『MIU404』では米津の「感電」のホーンセクションが主人公コンビのグルーヴ感と重なり、『最愛』では宇多田ヒカルの「君に夢中」が物語に奥行きを与えた。
『着飾る恋には理由があって』では、星野源の主題歌「不思議」を本編冒頭と、予告後の「サイドB」パートの2回流す構成を採用し、ファンの間で「追い源」と呼ばれた。新井によれば「主題歌を全部かけるために、一回頭からかけて、途中で一旦止めて、サイドBでもう一回かける」という発想だったという。
制作面では、台詞と主題歌が被らないよう編集やMA(音声仕上げ)の段階で何度も調整し、歌詞の意味が場面と呼応するタイミングを計算しているとされる。塚原は現場で主題歌をエンドレスで流しながらカット割りを決めることもあり、「主題歌が聞こえないような使い方が好きではない」と語っている。
俳優への演出[編集]
細かな指示で型にはめるのではなく、場を整えて俳優に自由に演じてもらうスタイルを取る。予算の制約の中でも観客の想像力を信頼し、映像で見せすぎない工夫をするとも語っている。また、「新しいことに挑戦しているように見せることが大事」として、過去の成功の再生産を避ける姿勢を示している。
ドラマと映画[編集]
ドラマは「1週間ごとに話が展開し、全体で約10時間の尺」があるのに対し、映画は「映画館の中で2時間くらい集中して観ることで深く掘り下げていける面白さ」があると、両者の違いを語っている。
受賞[編集]
- 2014年:ザテレビジョンドラマアカデミー賞 監督賞(『Nのために』)
- 2018年:ザテレビジョンドラマアカデミー賞 監督賞(『アンナチュラル』)
- 2020年:ザテレビジョンドラマアカデミー賞 監督賞(『グランメゾン東京』)
- 令和2年度:芸術選奨新人賞(放送部門)
- 2025年:第48回日本アカデミー賞 優秀監督賞(『ラストマイル』)
- 2025年:東京ドラマアウォード2025 演出賞(『海に眠るダイヤモンド』)
- 2026年:第49回日本アカデミー賞 優秀監督賞(『ファーストキス 1ST KISS』)
余談[編集]
- 入社から演出デビューまで、約10年を助監督として過ごしている。
- 「追い源」は『着飾る恋には理由があって』の主題歌が星野源であったことから生まれた造語で、「追い星野源」の略とされる。
- 『グランメゾン・パリ』は公開63日で興行収入40億円を突破し、台湾・タイでも公開された。
- 『LOST10』の主演俳優発表は、ドラマの告知から10日後の2026年7月31日に行われるなど、段階的な情報解禁が行われた。
- 日本アカデミー賞では『ラストマイル』『ファーストキス 1ST KISS』で2年連続の優秀監督賞となった。