綾野剛
Go_Ayano_20151028.jpg
2015年10月撮影(出典:Wikimedia Commons「Go Ayano 20151028.jpg」・CC BY 4.0)
出身地 岐阜県岐阜市
国籍 日本
職業 俳優
活動期間 2003年 -


概要[編集]

綾野剛(あやの ごう)とは、岐阜県岐阜市出身の日本の俳優である。2003年に『仮面ライダー555』の怪人役でデビューし、インディーズ映画で経験を積んだのち、陰のある役から爽やかな医師まで演じ分ける「カメレオン型俳優」として主演級に定着した。2025年には『愚か者の身分』で釜山国際映画祭最優秀俳優賞を共同受賞している。

詳細[編集]

綾野剛という俳優を一言で表すなら、「役に自分を持ち込まない人」である。本人は役を演じる際に「自分は必要ない」という姿勢で臨むと語っており、共演者からは「憑依型」と評される。表情筋の動きが大きく、作品ごとに顔つきを変える努力をしているという。

キャリアの転機は2010年の『Mother』。ここから一気に注目を集め、2012年の連続テレビ小説『カーネーション』、2013年の大河ドラマ『八重の桜』とNHKの看板枠を連続で経験した。映画では2014年の『そこのみにて光輝く』で主演男優賞を総なめにし、演技派としての地位を確立する。

ドラマでは『コウノドリ』の産婦人科医、『MIU404』の機捜隊員といった「優しさ」の役で広く愛される一方、映画では『日本で一番悪い奴ら』の悪徳刑事、『ヤクザと家族 The Family』のヤクザ、『カラオケ行こ!』の歌が下手なヤクザ、と裏社会の男を繰り返し演じている。この振れ幅そのものが彼の看板になっている。

なお、同じ事務所には小栗旬が所属し、2023年からは小栗が社長を務めている。

経歴[編集]

岐阜時代:陸上少年[編集]

中学・高校と陸上競技に打ち込んだ。中学時代には岐阜県中学校陸上競技大会の800mで優勝、高校でも県大会800mで準優勝している。自己ベストは800mで1分57秒71。幼少期は両親が家を空けがちで、押し入れにこもって好きなものを集め、一人で遊ぶ子どもだったという。

2000年代:バンドマンから俳優へ[編集]

高校卒業後の2000年、特に目的を定めないまま上京。バンド「mr.a(ミスター・ドット・エー)」で作詞・作曲を担当した。本人いわく20代は非常に孤独だったという。

2003年、『仮面ライダー555』に怪人役で出演し俳優デビュー。監督の石田秀範が、人生で初めて大人として自分に真剣に向き合ってくれたことに心を動かされ、役者の道を志した。以後はインディペンデント系の映画に出続け、2007年1月28日のライブを最後にmr.aは解散、俳優業に専念する。

2007年の映画『Life』で初主演(音楽監督も兼任)。2008年の『奈緒子』では陸上選手を演じ、元陸上部の脚力を発揮した。2009年には園子温監督の『愛のむきだし』、そして三池崇史監督の『クローズZERO II』(漆原凌役)に出演している。

2010年代前半:『Mother』からの急上昇[編集]

2010年の日本テレビ『Mother』で浦上真人を演じ、一気に注目株に。2012年には朝ドラ『カーネーション』で周防龍一を演じた。出演は約3週間だったが、強烈な印象を残した。同年は『ヘルタースケルター』『るろうに剣心』(外印役)にも出演。

2013年は大河『八重の桜』で会津藩主・松平容保を、フジテレビ『最高の離婚』で上原諒を演じた。映画『横道世之介』などで日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞している。

2014年、呉美保監督の『そこのみにて光輝く』で主演。キネマ旬報ベスト・テン、毎日映画コンクール、ヨコハマ映画祭などの主演男優賞を次々に受賞した。同年は実写版『ルパン三世』で石川五ェ門、『闇金ウシジマくん Part2』で戌亥、ドラマ『すべてがFになる』で犀川創平を演じている。

2010年代後半:主演俳優として[編集]

2015年、TBS『コウノドリ』で産婦人科医・鴻鳥サクラを演じ、連続ドラマ単独初主演。同年は映画『新宿スワン』でも主演した。

2016年は『日本で一番悪い奴ら』(白石和彌監督)で主演、『64 -ロクヨン-』、李相日監督の『怒り』と話題作が続き、報知映画賞助演男優賞などを受賞。初の声優作品『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』ではニックスの声を担当した。

2017年は『フランケンシュタインの恋』で“怪物”役、映画『亜人』で不死身のテロリスト・佐藤を演じた。2018年にはテレビ朝日版『ハゲタカ』で鷲津政彦役の主演を務めている。

2020年代:MIU404、そして裏社会の男たち[編集]

2020年、TBS『MIU404』で星野源とダブル主演。機動捜査隊の伊吹藍を演じ、脚本・野木亜紀子の人気作となった。2021年には藤井道人監督の『ヤクザと家族 The Family』で主演。共演の舘ひろしは綾野を「愛に飢えたような目をされる役者さん」と評している。同年はドラマ『恋はDeepに』(石原さとみとダブル主演)、フジテレビ『アバランチ』でも主演した。2022年はスポーツマネジメントを描く『オールドルーキー』で主演。

2022年12月31日に女優の佐久間由衣と結婚し、翌2023年元日に発表。2024年3月には第1子の誕生が発表された。

2023年は岡田准一との共演作『最後まで行く』に出演。2024年は当たり年で、山下敦弘監督の『カラオケ行こ!』で合唱部の中学生に歌を習うヤクザ・成田狂児を演じ、X JAPANの「紅」を裏声で歌うシーンが話題に。この作品で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞した。7月にはNetflixシリーズ『地面師たち』(大根仁監督)で、地面師グループの交渉役・辻本拓海を演じ、豊川悦司らと共演。配信直後に日本のNetflix週間TOP10(シリーズ)で1位を獲得した。さらに『MIU404』とユニバースを共有する映画『ラストマイル』で伊吹藍を再演、『本心』『劇場版ドクターX FINAL』にも出演している。

2025年〜:『でっちあげ』と釜山での快挙[編集]

2025年6月27日、三池崇史監督の『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』が公開。福田ますみのルポルタージュを原作に、児童への体罰・いじめを告発され「殺人教師」と呼ばれた小学校教諭・薮下誠一を主演した。共演は柴咲コウ、亀梨和也、木村文乃ら。

同年10月24日公開の『愚か者の身分』(永田琴監督)では、北村匠海演じるタクヤの“兄貴分”梶谷を演じた。公開に先立つ第30回釜山国際映画祭のメインコンペティション部門で、北村匠海、林裕太と3人そろって最優秀俳優賞を受賞。審査員は3人の演技が若々しいエネルギーを吹き込んでいたと評した。

12月19日には、荒井晴彦監督・脚本、吉行淳之介原作のR18+映画『星と月は天の穴』で主演。結婚に失敗し、女を愛することを恐れながら愛されたい欲望を抱える40代の小説家・矢添克二を演じた。

2026年は、𠮷田恵輔監督の映画『mentor』(10月16日公開)に出演。磯村勇斗と末澤誠也のダブル主演作で、火災で妻子を失い全身に火傷を負った“メンター”埜本潤を演じる。監督は「柔らかな人物像でありながら、カリスマ性を持ち合わせ、時に狂気も垣間見える」人物として綾野を起用したと語っている。

主な出演作 / 作品[編集]

テレビドラマ[編集]

  • 2003年 - 『仮面ライダー555』 - 怪人役(デビュー作)
  • 2010年 - 『Mother』 - 浦上真人役
  • 2012年 - 『カーネーション』 - 周防龍一役
  • 2013年 - 『八重の桜』 - 松平容保役
  • 2013年 - 『最高の離婚』 - 上原諒役
  • 2014年 - 『S -最後の警官-』 - 蘇我伊織役
  • 2014年 - 『すべてがFになる』 - 犀川創平役(武井咲とダブル主演)
  • 2015年 - 『コウノドリ』 - 鴻鳥サクラ役(主演)
  • 2017年 - 『フランケンシュタインの恋』 - “怪物”役
  • 2018年 - 『ハゲタカ』 - 鷲津政彦役(主演)
  • 2020年 - 『MIU404』 - 伊吹藍役(ダブル主演)
  • 2021年 - 『恋はDeepに』 - 蓮田倫太郎役(ダブル主演)
  • 2021年 - 『アバランチ』 - 羽生誠一役(主演)
  • 2022年 - 『オールドルーキー』 - 新町亮太郎役(主演)
  • 2024年 - 『地面師たち』(Netflix) - 辻本拓海役

映画[編集]

  • 2007年 - 『Life』 - 田北勇役(初主演)
  • 2008年 - 『奈緒子』 - 黒田晋役
  • 2009年 - 『愛のむきだし』
  • 2009年 - 『クローズZERO II』 - 漆原凌役
  • 2012年 - 『ヘルタースケルター』 - 奥村伸一役
  • 2012年 - 『るろうに剣心』 - 外印役
  • 2013年 - 『横道世之介』 - 加藤雄介役
  • 2013年 - 『ガッチャマン』 - ジョージ浅倉役
  • 2014年 - 『そこのみにて光輝く』 - 佐藤達夫役(主演)
  • 2014年 - 『闇金ウシジマくん Part2』 - 戌亥役
  • 2014年 - 『ルパン三世』 - 石川五ェ門役
  • 2015年 - 『新宿スワン』 - 白鳥龍彦役(主演)
  • 2015年 - 『天空の蜂』 - 雑賀役
  • 2016年 - 『64 -ロクヨン-』 - 諏訪役
  • 2016年 - 『日本で一番悪い奴ら』 - 諸星要一役(主演)
  • 2016年 - 『怒り』 - 大西直人役
  • 2017年 - 『武曲 MUKOKU』 - 矢田部研吾役(主演)
  • 2017年 - 『亜人』 - 佐藤役
  • 2019年 - 『楽園』 - 中村豪士役
  • 2019年 - 『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』 - チュウさん役
  • 2020年 - 『影裏』 - 今野秋一役(主演)
  • 2020年 - 『ドクター・デスの遺産 -BLACK FILE-』 - 犬養隼人役(主演)
  • 2021年 - 『ヤクザと家族 The Family』 - 山本賢治役(主演)
  • 2021年 - 『ホムンクルス』 - 名越進役(主演)
  • 2023年 - 『最後まで行く』 - 矢崎役
  • 2024年 - 『カラオケ行こ!』 - 成田狂児役(主演)
  • 2024年 - 『ラストマイル』 - 伊吹藍役
  • 2024年 - 『まる』 - 横山役
  • 2024年 - 『本心』 - 中尾役
  • 2024年 - 『劇場版ドクターX FINAL』 - 河野明彦役
  • 2025年 - 『でっちあげ 〜殺人教師と呼ばれた男』 - 薮下誠一役(主演)
  • 2025年 - 『愚か者の身分』 - 梶谷役
  • 2025年 - 『星と月は天の穴』 - 矢添克二役(主演)
  • 2026年 - 『mentor』 - 埜本潤役

声の出演[編集]

  • 2016年 - 『KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV』 - ニックス役

人物・エピソード[編集]

  • 見た目と中身のギャップ。スタッフからは「芸術家を思わせる静かな雰囲気で謙虚で温和」と評され、松坂桃李も「尖ってるように見えて、会ってみると本当に優しい」と語っている。本人は自分の性格を「臆病」だと認識している。
  • 自分は作品を支える「裏方の一人」というのが基本スタンス。役以外での露出は好まないが、作品の宣伝となると協力的になる。
  • 「歩く傷」。『怒り』を観たポン・ジュノ監督は、李相日監督に綾野について「あの方自体が『歩く傷』みたいな俳優」と語ったという。
  • アイデアマン。『八重の桜』で松平容保が御家訓をぼそぼそ呟く場面はアドリブ。『そこのみにて光輝く』の殴る芝居、『天空の蜂』で雑賀が親指を切り落とす芝居も本人の発案だった。
  • 楽器は弾けるようにして現場へ。『カーネーション』では三味線、『コウノドリ』ではピアノを練習し、実際に曲を弾ける状態で撮影に臨んだ。
  • ガチの陸上経験者。『奈緒子』の撮影では時速25〜30キロで長時間走らされても平然としていた。箱根駅伝が大好きで、正月は初詣と駅伝観戦、テレビの前で号泣するのが恒例。
  • ゲーマー。サガ、聖剣伝説、ファイナルファンタジーシリーズを愛好し、『ファイナルファンタジーVI』のティナに恋をしていたと明かしている。のちに『FF XV』の映画版で声優を務めることになった。
  • メタル好き。L'Arc〜en〜Ciel、LUNA SEA、THE YELLOW MONKEYから入り、ニルヴァーナ、マリリン・マンソン、スリップノット、さらにデスメタルへ。シガー・ロスやレディオヘッドも好む。
  • 2012年から2019年まで、山田孝之、内田朝陽とバンド「THE XXXXXX」で活動した。
  • 好物はコハダ、イチゴタルト、ヒレカツ。ヒレカツは番組アンケートに毎回書くのに話題にならないことを不満に思っていた。パクチーや辛い物は苦手。
  • 尾野真千子について「自分にとってターニングポイントとなる作品には必ずいてくれる存在」と語る。『Mother』『カーネーション』『最高の離婚』『ヤクザと家族』で繰り返し共演している。
  • 妻夫木聡とは役作りのために同居したことがあり、妻夫木の寝起きの悪さを暴露している。
  • 汗をかく場面では通常霧吹きを使うが、綾野は自分の意志で汗を出せるという。

受賞歴[編集]

  • 2014年 - 第37回日本アカデミー賞 新人俳優賞(『横道世之介』『夏の終り』)
  • 2014年 - 第36回ヨコハマ映画祭 主演男優賞(『そこのみにて光輝く』)
  • 2015年 - 第88回キネマ旬報ベスト・テン 主演男優賞(『白ゆき姫殺人事件』『そこのみにて光輝く』)
  • 2015年 - 第69回毎日映画コンクール 男優主演賞(『そこのみにて光輝く』)
  • 2015年 - 第29回高崎映画祭 最優秀主演男優賞(『そこのみにて光輝く』)
  • 2015年 - 第24回日本映画批評家大賞 主演男優賞(『そこのみにて光輝く』)
  • 2015年 - 第7回TAMA映画賞 最優秀男優賞(『新宿スワン』『天空の蜂』ほか)
  • 2016年 - 第15回ニューヨーク・アジア映画祭 ライジングスター賞(『日本で一番悪い奴ら』)
  • 2016年 - 第41回報知映画賞 助演男優賞(『リップヴァンウィンクルの花嫁』『64 -ロクヨン-』『怒り』)
  • 2017年 - 第40回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞(『日本で一番悪い奴ら』)
  • 2017年 - 第26回東京スポーツ映画大賞 助演男優賞(『怒り』)
  • 2017年 - 第6回ジャパンアクションアワード ベストアクション男優賞優秀賞
  • 2020年 - 第43回日本アカデミー賞 優秀助演男優賞(『閉鎖病棟 -それぞれの朝-』)
  • 2025年 - 第48回日本アカデミー賞 優秀主演男優賞(『カラオケ行こ!』)
  • 2025年 - 第30回釜山国際映画祭 最優秀俳優賞(『愚か者の身分』、北村匠海・林裕太と共同受賞)

炎上とバズ[編集]

  • 「紅」の裏声:『カラオケ行こ!』で披露した「紅」の裏声歌唱は大きな話題を呼び、日本アカデミー賞授賞式でも誕生秘話が語られた。
  • 『地面師たち』旋風:2024年7月の配信直後に日本のNetflix週間TOP10(シリーズ)で1位を獲得する大ヒットスタートを切った。
  • 「綾野5交差点」:岐阜県大垣市にある「綾野5」交差点がSNSで「綾野剛っぽい」と話題になり、“大垣の新名所”と呼ぶ人まで現れた。
  • 釜山で3人同時受賞:『愚か者の身分』の北村匠海・林裕太・綾野剛が、そろって最優秀俳優賞を受けるという珍しい形の受賞が話題になった。

余談[編集]

  • 小栗旬とは『クローズZERO II』『ルパン三世』で共演している。
  • 『MIU404』の伊吹藍は、映画『ラストマイル』で再登場した。同じ野木亜紀子脚本作品を横断する「シェアードユニバース」の一環である。
  • 陸上の自己ベストは50mで6秒10、800mで1分57秒71。
  • 2015年の『めちゃ×2イケてるッ!』の企画「ガリザップ」では1日7食を完食して3.5キロ増量。挑戦者が後に続かず、コーナーが半休止状態になった。
  • 同年の『オールスター感謝祭』ではアーチェリーで連続ど真ん中を射抜いた。
  • 全財産が数百円になったことはあるが、無一文になったことはないという。
  • 『愚か者の身分』のBlu-ray&DVDは2026年6月3日に発売された。

外部リンク[編集]

💬 みんなの声

この記事を読んだ人が、ひとことつぶやく場所です。