| 犬神家の一族 The Inugami Family | |
|---|---|
![]() 原作者・横溝正史(出典:ウィキメディア・コモンズ、パブリックドメイン) | |
| 監督 | 市川崑 |
| 製作 | 角川春樹、市川喜一 |
| 脚本 | 長田紀生、日高真也、市川崑 |
| 原作 | 横溝正史『犬神家の一族』 |
| 出演 | 石坂浩二、高峰三枝子、あおい輝彦、島田陽子、坂口良子、三國連太郎 ほか |
| 撮影 | 長谷川清 |
| 音楽 | 大野雄二 |
| ジャンル | 推理・ミステリー |
| 制作会社 | 角川春樹事務所 |
| 配給 | 東宝 |
| フォーマット | カラー、35mmスタンダード撮影(東宝ワイド1.5:1上映) |
| 劇場公開 | 1976年10月16日 |
| 配信 | U-NEXT、Hulu、FOD ほか(2026年10月時点) |
| 上映時間 | 146分 |
| 製作費 | 約2億2000万円(角川1億5000万円+東宝7000万円とされる) |
| 興行収入 | 配給収入15億6000万円(1976年度邦画2位) |
| 言語 | 日本語 |
| 次作 | 『人間の証明』(角川映画第2作、1977年) |
概要[編集]
犬神家の一族(いぬがみけのいちぞく)とは、横溝正史が1950年から1951年にかけて雑誌『キング』に連載した長編推理小説、およびそれを原作とする映画・テレビドラマ群である。名探偵・金田一耕助シリーズの代表作で、信州の湖畔に君臨する犬神財閥の遺産相続をめぐって連続殺人が起きる。1976年に市川崑が監督した映画は角川映画の第1作となり、「湖から突き出た逆さの両脚」と「白いゴムマスクのスケキヨ」は日本人なら誰でも知るアイコンになった。
詳細[編集]
原作小説の誕生[編集]
原作は講談社の大衆誌『キング』1950年1月号から1951年5月号まで連載された。横溝正史は戦前から探偵小説を書き、雑誌『新青年』の編集長として江戸川乱歩とも深く関わった作家で、戦後は『本陣殺人事件』(1946年)で金田一耕助を登場させ、本格ミステリーの第一人者となっていた。本作は『獄門島』『八つ墓村』に続く時期に書かれた金田一ものの長編である。
単行本は1951年5月、講談社の『傑作長編小説全集5』に『八つ墓村』とともに収録されたのが最初。その後1972年6月に角川文庫から「金田一耕助ファイル5」として刊行され、これが現在まで読み継がれる定番の版になっている。2020年には英国の出版社Pushkin Vertigoから英訳版『The Inugami Curse』も出版され、海外でも「日本の古典ミステリー」として改めて紹介された。
物語の骨格[編集]
舞台は昭和20年代、信州・那須湖畔の那須市。製糸業で巨万の富を築いた「信州財界の巨頭」犬神佐兵衛が81歳で死去する。佐兵衛には3人の娘(いずれも母親が違う)松子・竹子・梅子と、それぞれの息子である3人の孫・佐清(すけきよ)、佐武(すけたけ)、佐智(すけとも)がいた。
ところが公開された遺言状は、犬神家の全財産と家宝「斧(よき)・琴(こと)・菊(きく)」の三種の相続権を、血縁ではない恩人の孫娘・野々宮珠世に与え、しかも珠世が3人の孫の中から配偶者を選ぶことを条件とする、という一族を真っ二つに割る内容だった。遺言の公開を前に、弁護士事務所の若林が金田一耕助に調査を依頼する手紙を出すが、金田一の到着直後に若林は毒殺されてしまう。
さらに、戦地から復員した長男・佐清は顔に大けがを負ったとして白いゴムマスクで顔を覆っており、本当に佐清本人なのかという疑惑が一族を揺さぶる。やがて佐武、佐智が次々と殺され、その死体は家宝の「斧・琴・菊」になぞらえた「見立て」の形で発見される。
角川映画第1作としての1976年版[編集]
本作を一躍国民的な作品に押し上げたのが、1976年10月16日公開の映画版である。出版社・角川書店の若き社長だった角川春樹が設立した角川春樹事務所の第1回作品で、当初は横溝の『八つ墓村』を映画化しようとしたが、松竹が製作することになったため断念し、東宝の配給で本作を企画したとされる。
監督には市川崑を起用し、金田一耕助役には石坂浩二を抜擢。製作側には「二枚目過ぎる」との反対もあったが市川が押し切ったという。結果として、原作どおりのよれよれの着物と袴、もじゃもじゃ頭の金田一像が映像で初めて定着し、以後の「金田一耕助のビジュアル」の基準になった。
宣伝では、角川文庫の「横溝正史フェア」と連動し、映画の広告入りしおりを1000万冊以上の文庫に挟み込む、日本映画として初めてテレビスポットCMを大々的に打つ、サントラLPを映画公開と同時に発売する、といった手法が取られた。「読んでから見るか、見てから読むか」で知られる、本・映画・音楽を連動させる角川流メディアミックスの原点である。
その後の展開[編集]
映画は配給収入15億6000万円で1976年度の邦画2位を記録し(角川春樹自身は後年、約350万人動員・配収17億5000万円と語っている)、横溝正史の文庫本は爆発的に売れて「横溝ブーム」が起きた。1977年にはTBSテレビ系で古谷一行主演の連続ドラマ版が放送され、テレビでも金田一ものが定番化する。
2006年には、市川崑と石坂浩二のコンビが30年ぶりに同じ作品をセルフリメイク。以後もフジテレビで稲垣吾郎版(2004年)、加藤シゲアキ版(2018年)、NHKで吉岡秀隆版(2023年)が作られるなど、半世紀にわたって繰り返し映像化され続けている。2026年は角川映画誕生50周年にあたり、記念企画の起点としてあらためて本作がクローズアップされている。
登場人物[編集]
犬神家は「3人の異母姉妹とその息子たち」という構図が基本。名前に「佐」の字が付いているのが佐兵衛の孫である。
| 人物 | 立場 | 1976年版 | 2006年版 |
|---|---|---|---|
| 金田一耕助 | 私立探偵 | 石坂浩二 | 石坂浩二 |
| 犬神佐兵衛(さへえ) | 犬神財閥の創始者。物語冒頭で死去 | 三國連太郎 | 仲代達矢 |
| 犬神松子 | 佐兵衛の長女。佐清の母 | 高峰三枝子 | 富司純子 |
| 犬神竹子 | 佐兵衛の次女。佐武・小夜子の母 | 三条美紀 | 松坂慶子 |
| 犬神梅子 | 佐兵衛の三女。佐智の母 | 草笛光子 | 萬田久子 |
| 犬神佐清(すけきよ) | 松子の息子。復員後ゴムマスクを着ける | あおい輝彦 | 尾上菊之助 |
| 犬神佐武(すけたけ) | 竹子の息子 | 地井武男 | 葛山信吾 |
| 犬神佐智(すけとも) | 梅子の息子 | 川口恒 | 池内万作 |
| 犬神小夜子 | 竹子の娘。佐智の恋人 | 川口晶 | 奥菜恵 |
| 犬神寅之助 | 竹子の夫 | 金田龍之介 | 岸部一徳 |
| 犬神幸吉 | 梅子の夫 | 小林昭二 | 螢雪次朗 |
| 野々宮珠世(たまよ) | 佐兵衛の恩人・野々宮大弐の孫娘。遺言の鍵を握る美女 | 島田陽子 | 松嶋菜々子 |
| 猿蔵 | 珠世に仕える大男 | 寺田稔 | 永澤俊矢 |
| 青沼菊乃 | 佐兵衛のかつての愛人 | 大関優子 | 松本美奈子 |
| 古館恭三 | 犬神家の顧問弁護士 | 小沢栄太郎 | 中村敦夫 |
| 署長 | 那須警察署長(1976年版は橘、2006年版は等々力) | 加藤武 | 加藤武 |
| はる | 那須ホテルの女中 | 坂口良子 | 深田恭子 |
| 那須ホテルの主人 | 金田一の宿の主人 | 横溝正史(特別出演) | 三谷幸喜 |
| 琴の師匠 | 宮川香琴 | 岸田今日子 | 草笛光子 |
| 大山神官 | 那須神社の神官 | 大滝秀治 | 大滝秀治 |
- 1976年版で梅子を演じた草笛光子が、2006年版では琴の師匠として再登場している。2006年版の琴の師匠は当初、旧作と同じ岸田今日子が予定されていたが、病気療養のため草笛に代わった。
- 加藤武は市川崑が撮った金田一映画すべてに署長・警部役で出演した唯一の俳優で、「よし、わかった!」と早合点する名物キャラクターとして親しまれた。
1976年版の製作[編集]
脚本と演出[編集]
脚本は長田紀生が初稿を書いたが、オカルト色が強まったことに角川春樹が不満を抱き、監督に招いた市川崑が日高真也とともに原作を組み立て直した。市川は横溝から一任を取り付けており、金田一を「アメリカ帰りの名探偵」ではなく「名もない風来坊」として描き、ラストで見送りを避けて一人で去っていく演出も市川の判断である。金田一が探偵料の領収書を書くくだりや、食事の注文を聞かれて「生卵」と答える場面は原作になく、角川のアイデアだったという。
市川演出の特徴である細かいカット割り、光と影の強いコントラスト、明朝体の大きなタイトル文字はこの作品で一つの完成形を見せ、後のテレビドラマやアニメにまで影響を与えた。金色の襖の反射が弱いと美術セットを作り直させたという逸話もある。
スケキヨのマスクと逆さの両脚[編集]
佐清の白いゴムマスクは、あおい輝彦の顔から型を取って東宝の特殊美術課が制作し、市川の要望で3度作り直されたという。原作では「佐清の顔そっくりに作られた精巧なマスク」とされるが、映画ののっぺりした無表情なマスクの不気味さが強烈だったため、以後の映像化でも「白いのっぺりしたマスク」が定番になった。
湖面から突き出た逆さの両脚は長野県の青木湖で撮影され、美術助手の足の型から作った脚に重りを付けて沈めたものである。ポスターにも使われたこの絵は日本映画史上屈指の有名カットとなり、プールや海で逆立ちして両脚を水面から出す「犬神家ごっこ」が子どもや若者の間で流行した。
音楽「愛のバラード」[編集]
音楽は、当時まだ劇映画の経験がなかったジャズピアニストの大野雄二。音楽費は当時の相場の約10倍とされ、哀切なテーマ曲「愛のバラード」はシングルカットされた。本作の成功で大野は映画・テレビ音楽の第一線に躍り出る。角川春樹は後年、インストゥルメンタルだったことを反省点に挙げ、次作『人間の証明』では歌入りの主題歌を用意して大ヒットさせた。
評価と受賞[編集]
公開当時、マスコミには「本屋の坊々が道楽で映画を作った」といった揶揄もあったが、作品は批評・興行の両面で成功した。第50回キネマ旬報ベスト・テンで日本映画5位・読者選出1位、第31回毎日映画コンクールで日本映画ファン賞・撮影賞・音楽賞・録音賞、第19回ブルーリボン賞で高峰三枝子が助演女優賞を受賞。第1回報知映画賞では作品賞に輝いた。キネマ旬報は、本作のヒットを機に製作費・宣伝費をかけた邦画大作路線が本格化したと評している。
| 賞 | 部門・結果 |
|---|---|
| 第1回報知映画賞 | 作品賞、録音賞 |
| 第50回キネマ旬報ベスト・テン | 日本映画5位、読者選出日本映画1位、読者選出日本映画監督賞 |
| 第31回毎日映画コンクール | 日本映画ファン賞、撮影賞(長谷川清)、音楽賞(大野雄二)、録音賞 |
| 第19回ブルーリボン賞 | 助演女優賞(高峰三枝子)、特別賞(角川春樹とスタッフ) |
2006年版(セルフリメイク)[編集]
2006年12月16日、東宝配給で公開。プロデューサーの一瀬隆重が市川にリメイクを持ちかけ、市川は「金田一役は石坂浩二以外にしない」ことを条件に引き受けた。珠世役の松嶋菜々子は一瀬が強く求めた配役とされる。脚本は旧作と同じ市川崑・日高真也・長田紀生の3人連名で、カット割りも旧作をかなり忠実になぞっている。第19回東京国際映画祭のクロージング作品としてプレミア上映された。上映時間は136分。
主な違いは、佐兵衛役を老けメイクの三國連太郎(当時53歳)から実年齢73歳の仲代達矢に替えたこと、佐清と珠世のラブストーリー色を強めたこと、旧作で矛盾していた青沼菊乃の消息を「病死」と整理したこと、ラストを金田一が田園の中を歩き去る場面に変えたことなど。音楽は谷川賢作が大野雄二の旧作スコアを新録音し、「愛のバラード」は原曲のまま使われた。
市川崑は撮影時90歳前後で、これが最後の長編劇映画となり、2008年に92歳で死去した。また旧作・新作の両方で琴の師匠役に予定されていた岸田今日子は、本作封切りの翌日、2006年12月17日に死去している。旧作にノンクレジットで刑事役出演していた角川春樹の役どころは、新作では仙波刑事(尾藤イサオ)という新しい役に置き換えられた。柏屋の夫婦役で林家木久蔵と中村玉緒が出演しているのも見どころの一つ。
映像化・舞台化一覧[編集]
映画[編集]
| 公開 | タイトル | 監督 | 金田一耕助 | 製作・配給 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1954年 | 犬神家の謎 悪魔は踊る | 渡辺邦男 | 片岡千恵蔵 | 東映 | 千恵蔵の金田一は洋装にソフト帽の二枚目探偵 |
| 1976年 | 犬神家の一族 | 市川崑 | 石坂浩二 | 角川春樹事務所/東宝 | 角川映画第1作 |
| 2006年 | 犬神家の一族 | 市川崑 | 石坂浩二 | 製作委員会/東宝 | 1976年版のセルフリメイク |
テレビドラマ[編集]
| 放送 | 局・枠 | 金田一耕助 | 主なキャスト | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 1970年 | 日本テレビ「火曜日の女シリーズ」 | (登場せず) | — | 『蒼いけものたち』の題で全6回。金田一は出ない翻案 |
| 1977年 | TBS系「横溝正史シリーズI」 | 古谷一行 | 珠世:四季乃花恵、佐清:田村亮 | 毎日放送・角川・大映京都の制作。古谷の金田一第1作で、最高視聴率40.2%を記録したとされる |
| 1990年 | テレビ朝日「横溝正史傑作サスペンス」 | 中井貴一 | 珠世:財前直見、松子:岡田茉莉子、佐清:石黒賢 | 白いスーツに鳥打帽という異色の金田一 |
| 1994年 | フジテレビ「金曜エンタテイメント」 | 片岡鶴太郎 | — | 舞台を岡山県に移すなど大胆に改変 |
| 2004年 | フジテレビ「金田一耕助シリーズ」 | 稲垣吾郎 | 珠世:加藤あい、松子:三田佳子、佐清:西島秀俊 | 稲垣版シリーズ第1作。演出の星護は市川版を参考にしたと語る |
| 2018年 | フジテレビ(スペシャルドラマ) | 加藤シゲアキ(NEWS) | 珠世:高梨臨、松子:黒木瞳、佐清:賀来賢人 | 年末の2時間スペシャル |
| 2020年 | NHK BSプレミアム「シリーズ横溝正史短編集II」 | 池松壮亮 | 珠世:久保田紗友、松子:坂井真紀 | 約29分の超短縮版。台詞はすべて原作の文章から |
| 2023年 | NHK BSプレミアム・BS4K(前後編) | 吉岡秀隆 | 珠世:古川琴音、松子:大竹しのぶ、佐清:金子大地 | ラストが原作と異なり大きな反響を呼んだ |
舞台[編集]
- 2017年4月、劇団ヘロヘロQカムパニー第34回公演(全労済ホール/スペース・ゼロ)。金田一役は声優の関智一で、盆や映像を使った大がかりな装置でほぼ原作どおりに上演された。
- 2018年11月、劇団新派の十一月新派特別公演として大阪松竹座・新橋演舞場で上演。金田一役は喜多村緑郎。
漫画[編集]
- JETの作画による漫画版が講談社から刊行されている(講談社プラチナコミックス版は2014年8月)。JETは横溝作品のコミカライズを多数手がけてきた作家である。
ネタバレ注意[編集]
以下は原作および主要な映像化作品の真相に触れる。未見・未読の人は注意。
- 連続殺人の犯人は、佐清の母・犬神松子である。わが子・佐清に珠世を娶らせて犬神家を継がせるため、若林、佐武、佐智を次々に殺害した。
- ゴムマスクの「佐清」は本物ではなく、佐兵衛の愛人・菊乃の息子である青沼静馬が成り代わっていた。本物の佐清もまた、ひそかに日本へ帰ってきていた。
- 本物の佐清は、母の犯行を知ってかばおうとし、死体を「斧・琴・菊」の見立てに仕立てた。湖の逆さの両脚は、「スケキヨ」という名前を逆さにし、下半身だけを見せることで「ヨキ(斧)」を表すという判じ物である。ただし映像化作品では凶器や演出が変わり、この判じが成立しなくなっている版も多い。
- 湖の死体の正体は佐清ではなく静馬であり、奉納手形との照合が身元判明の決め手になる。
- 珠世は実は佐兵衛の血を引く孫娘であり、遺言は最初から犬神家の正統な後継者を指し示していた。
- 真相が明らかになった後、松子は自ら命を絶つ。佐清は罪を償うことを決め、珠世は彼を待つことを誓う。
視聴方法[編集]
2026年10月時点で、1976年版はU-NEXT、Hulu、FOD、KADOKAWAチャンネル(Amazon Prime Videoチャンネル)などで見放題配信されており、Amazon VideoやApple TVではレンタルもできる。配信状況は変わりやすいので、各サービスで最新の情報を確認したい。
ソフト面では、2021年にKADOKAWAから1976年版の4Kデジタル修復版Ultra HD Blu-rayが発売された。初公開時の資料を参考に市川が意図した色味を再現し、東宝ワイド(1.5:1)の画面比率で仕上げている。この4K版は同年11月の角川映画祭(所沢市・ところざわサクラタウン)で世界初上映され、会場の池には高さ約80センチの「逆さ足」のオブジェが出現して撮影スポットになった。
2025年には国際交流基金の巡回上映プログラムでイギリスの映画館でも上映され、2026年9月には英国のRadiance Filmsから4K修復版を使った限定ブルーレイ(3,000枚限定)が発売されるなど、海外でも再評価が進んでいる。国内では2026年、角川映画50周年記念の「角川映画祭」が5月1日から角川シネマ有楽町ほかで開催され、第1作である本作も上映ラインナップに入った。
影響とパロディ[編集]
- 「湖から突き出た逆さの両脚」は、コント、バラエティ番組、漫画、CMなどで数えきれないほどパロディにされてきた。水に頭から突っ込んで足だけ出すポーズは、それだけで「犬神家」と通じるほどである。
- 白いゴムマスクの佐清も定番のネタで、ハロウィンの仮装やフィギュアなどの立体物にもなっている。角川春樹は1976年版の完成披露パーティーで、自らマスクをかぶって棺桶から登場する演出をしたという。
- 横溝の文庫本は映画公開後に累計1800万部を売り上げたとされ、角川映画は以降『人間の証明』『野性の証明』、薬師丸ひろ子主演作など、出版と映画を連動させる大作路線を突き進んだ。
- 金田一耕助は後世のミステリーにも大きな影響を与え、漫画『金田一少年の事件簿』の主人公・金田一一(はじめ)は「名探偵・金田一耕助の孫」という設定になっている。
余談[編集]
- 1976年版では原作者の横溝正史本人が那須ホテルの主人役で特別出演している。2006年版では同じ役を三谷幸喜が演じた。
- 1976年版のテレビCMのキャッチコピーは「金田一さん、事件ですよ」。
- 1976年版の撮影中、高峰三枝子は血のりのアクシデントを境に演技が一段と冴え、市川は先に撮ったテイクを撮り直したという話がある。高峰は当初、松子役のオファーを断っていたとされる。
- 1976年版には角川春樹自身がノンクレジットで刑事役として出演している。
- 1977年のテレビドラマ版で金田一を演じた古谷一行は、以後も長年にわたって金田一役を演じ続け、映画の石坂浩二と並ぶ「もう一人の定番金田一」として親しまれた。
- 2006年版の「岬の警官」役は台本が最後まで白紙のまま決まらず、特機スタッフが演じることになったという。
- 2021年の角川映画祭で設置された「逆さ足」は、クレームも覚悟のうえだったが、実際には親子連れや年配の夫婦にも喜ばれる「映えスポット」になったと報じられた。
- 角川映画50周年記念プロジェクトでは、2027年に『時をかける少女』『セーラー服と機関銃』が乃木坂46のメンバー主演で舞台化されることも発表されている。
