ユ・ジェミョン
유재명 / Yoo Jae-myung
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2020年1月30日、JTBC『梨泰院クラス』制作発表会でのユ・ジェミョン(出典:Wikimedia Commons「200130 유재명 (1).jpg」、作者:NewsInStar、CC BY 3.0)
誕生日 1973年6月3日
年齢 53歳
出身地 大韓民国 釜山広域市
国籍 大韓民国
学歴 釜山大学校(生命工学系)
ジャンル 演劇・映画・ドラマ
活動期間 1990年代(釜山の演劇界) - 、2001年(映画) -
家族 妻(2018年結婚、一般人)、息子1人
身長 / 体重 183 cm / ― kg
事務所 エースファクトリー
代表作 『応答せよ1988』『秘密の森』『梨泰院クラス』『声もなく』『ハルビン』『幸福の国』『北極星』『ラブ・ミー』
関連活動 劇団「俳優、観客、そして空間(ペグァンゴン)」創設(2004年)
あだ名 チャン会長、カメレオン俳優
その他 第61回百想芸術大賞 映画部門助演男優賞(2025年、『幸福の国』)


概要[編集]

ユ・ジェミョン(유재명、Yoo Jae-myung、1973年6月3日 - )とは、韓国・釜山出身の俳優である。釜山の小劇場で十数年を過ごした演劇人で、40代で出演した『応答せよ1988』でブレイク。『秘密の森』の検察幹部や『梨泰院クラス』のチャン・デヒ会長で強烈な印象を残した遅咲きの名脇役。

詳細[編集]

生命工学部から演劇の沼へ[編集]

1973年6月3日、釜山生まれ。地元の高校を出て釜山大学校に進み、専攻はまさかの生命工学系。俳優とは無縁のコースだったが、大学の演劇サークル「극예술연구회(劇芸術研究会)」に入ったのが運の尽き、もとい運命の始まりだった。舞台の面白さにどっぷりハマり、卒業後もそのまま演劇の道へ。韓国版ウィキペディアによれば1997年に釜山の劇団「열린무대(ヨルリン舞台)」に入団し、喜劇『서툰 사람들(不器用な人たち)』で舞台に立ったのが本格的なキャリアの出発点とされる。

釜山の小劇場で15年[編集]

以後およそ15年、彼は釜山の演劇界にとどまり続けた。俳優として舞台に立つだけでなく演出も手がけ、2004年には自ら劇団「배우, 관객, 그리고 공간(俳優、観客、そして空間)」を旗揚げする。頭文字を取った略称は「배관공(ペグァンゴン)」、つまり韓国語で「配管工」。ダジャレのセンスは当時から健在だった。2005年にはスイスの劇作家デュレンマットの戯曲を韓国で初演するなど、地方劇団ながら意欲的な活動を続けた。映画デビュー自体は2001年の『黒水仙』(The Last Witness)の脱走捕虜役と早かったが、その後もしばらくは「端役がメイン、本業は舞台」という生活が続いた。

一度は挫折したソウル進出[編集]

2016年のテンアジアのインタビューによると、彼は30代前半に一度ソウルへ出て映画チームを立ち上げたものの、うまくいかずに釜山へ戻っている。その後は学生に演技を教える講師業もこなし、自分のことを「隣のおじさんみたいな先生」と表現していた。2018年のインタビューでは「ソウルに拠点を移して5年ほど」と語っており、本格的な上京は40歳前後。転機になったのは2009年の釜山映画『風(바람)』での1人2役の演技で、これがのちに『応答せよ』シリーズのシン・ウォンホPDの目に留まったとされる。

ブレイク作『応答せよ1988』[編集]

2015年、tvN『応答せよ1988』で演じたのは、ドンリョン(イ・ドンフィ)の父親で、主人公たちが通う高校の教練の先生リュ・ジェミョン。怒鳴り散らすけれど根は情に厚い、どこの学校にも一人はいた「怖い先生」をリアルに演じ、ケーブルテレビ史に残る大ヒット作の顔ぶれに名を連ねた。

面白いのは、この役が最初から大役だったわけではないこと。2025年12月、シン・ドンヨプのYouTubeチャンネル「짠한형(ジャナニョン)」に出演した本人いわく、当初は第2・4・6・8話に1〜2シーンずつ出て退場する予定で、家もなく家族関係もなく「妻のキャラクターすら存在しなかった」。ところが花札(カードゲーム)の場面をきっかけに脚本家や監督、共演のソン・ドンイルと話し合ううちに出番が膨らみ、気づけば全18話に出演。妻や長男の設定は撮影が進む中で急きょ追加されたという。同じ回にゲスト出演したユン・セアは「本当に生きている人みたいだった」「だから作家さんたちももっと役を膨らませたかったんだと思う」とコメントしている。

本人はこの頃を振り返り、劇中の妻と踊ったことや、貧しかった下積み時代にカードゲームを練習した思い出を「いちばん懐かしい」と語っている。

『秘密の森』と「ユ・ジェミョン=信頼の脇役」[編集]

2017年のtvN『秘密の森』では、検察幹部イ・チャンジュンを演じた。主人公ファン・シモク(チョ・スンウ)の上司でありながら、財閥と検察の癒着の中心にいる複雑な人物で、善悪では割り切れない「腐った正義」を重厚な低音ボイスで体現。第54回百想芸術大賞のテレビ部門助演男優賞にノミネートされ、2020年のシーズン2にもゲスト出演している。

この時期の出演ラッシュはすさまじく、2016年の『グッドワイフ』『嫉妬の化身』『花郎』、2017年の『力の強い女 ト・ボンスン』、『刑務所のルールブック』(主人公キム・ジェヒョクの代理人役)などに立て続けに顔を出した。2018年にはJTBC『ライフ』で、病院に乗り込んできた総括社長ク・スンヒョ(チョ・スンウ)と対峙する医師チュ・ギョンムン役を演じ、APANスターアワード助演男優賞を受賞。チョ・スンウとは『秘密の森』『ライフ』と2作続けての共演で、本人はラジオで「年を取っても一緒に仕事を続けたい」と語っている。

『梨泰院クラス』のチャン・デヒ会長[編集]

日本での知名度を決定づけたのが、2020年のJTBC『梨泰院クラス』。パク・ソジュン演じるパク・セロイの宿敵、外食大手「長家(チャンガ)」の創業者チャン・デヒ会長だ。屋台から一代で大企業を築いた叩き上げで、息子の不祥事をもみ消すためなら他人の人生を平気で踏みつぶす冷酷な権力者。実年齢40代後半で70代の老人を演じるため、深いシワと乾いた肌の特殊メイクを施して撮影に臨んだ。

2020年2月の記者懇談会では、司会者に「実際に見ると若いでしょう?」とおどけてみせ、メイクのせいで肌がかなり傷んだので「パックをたくさんしている」と告白。さらに、チャン会長に対しては「汚い」などかなりひどい悪口が書き込まれていると明かしつつ、それだけ物語が面白い証拠だと前向きに受け止めていた。

演技については、どのシーンも緊張感をもって撮らなければならず、セリフを軽く言うことはできない、深い闇を表現する必要があると説明。終盤の記者会見で涙ながらに謝罪する場面については、危機回避の意図が見えた瞬間に逆風を食らうため、告白と涙は「絶対に『真実』でなければならない」、つまり「完璧な嘘」として演じたと語っている。セロイについては単なる敵ではなく、若い頃の自分を見るような「新たな挑戦であり、運命のような人物」だと分析した。この役で第56回百想芸術大賞テレビ部門助演男優賞にノミネートされた。

映画俳優としての顔[編集]

ドラマで売れてからも映画への出演は途切れない。2018年の時代劇『明堂(ミョンダン)』では「シナリオよりもよく仕上がった、贈り物のような作品」と語り、2019年には『悪人伝』(The Gangster, The Cop, The Devil)、『ビースト』、『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』などに出演。

2020年の『声もなく(소리도 없이)』では、ユ・アイン演じる口のきけない青年と組み、犯罪組織の死体処理を請け負いながら卵を売り歩く信心深い男チャンボクを演じた。善良さと罪深さが同居する奇妙な人物像は高く評価され、第57回百想芸術大賞映画部門助演男優賞にノミネートされている。

2022年は『キングメーカー』(ソル・ギョング主演)、『宇宙+人(외계+인)』、『ハント』(特別出演)と大作が続き、2024年には『消防士(소방관)』、ウ・ミンホ監督の『ハルビン』(ヒョンビン主演)で独立運動家チェ・ジェヒョンを演じた。

『幸福の国』で百想助演賞[編集]

キャリアの大きな勲章となったのが、2024年8月公開の『幸福の国(행복의 나라)』。1979年の朴正煕大統領暗殺事件(10・26事件)後の裁判を描いた作品で、ユ・ジェミョンは合同捜査団長チョン・サンドゥを演じた。モデルは明らかに全斗煥で、同じ人物をモデルにした『ソウルの春』のファン・ジョンミンと比べられる宿命の役どころだった。主演はチョ・ジョンソクと、これが遺作の一つとなったイ・ソンギュン。暗殺事件そのものを描いた『KCIA 南山の部長たち』の「その後」にあたる時代を扱っている。

THE FACTのインタビューによると、最初に台本を受け取ったときは人物像が「霧の中にいるよう」でつかめず、一度は出演を断ったという。しかし読み直すうちに「あの時代の象徴」だと気づき、熱く積極的に表現したいと考えを改めた。『ソウルの春』との比較については、それぞれの作品が異なる視点から時代を見つめており、違うエネルギーと質感で勝負していると強調。実在人物に寄せるため実際に生え際を剃り上げ、撮影のない日も現場に通い、監督とともにひとつの場面を「10通りのバージョンで撮ったこともある」と明かした。

この熱演が実り、2025年の第61回百想芸術大賞で映画部門助演男優賞を受賞。舞台出身の遅咲き俳優が、ついに韓国の総合芸術賞のトロフィーを手にした瞬間だった。

2025年以降の主な出演作[編集]

2025年9月にはDisney+の大作『北極星』(英題:Tempest)に出演。チョン・ジヒョン、カン・ドンウォン主演の政治スリラーで、国家情報院長のウンハクを演じた。

同年秋からはJTBC金曜シリーズ『ラブ・ミー(러브 미)』(全12話)で主人公の一人、ソ・ジンホを担当。妻を脳出血で亡くした父親と2人の子どもが、それぞれ新しい恋と人間関係を見つけていく物語で、娘のソ・ジュンギョン役はソ・ヒョンジン。メディアの評では、序盤の自己嫌悪に陥った妻にすべてを合わせて重荷を背負う夫から、恋のお相手との初々しく可愛らしいケミストリーまで、幅広い感情を見せたと評価されている。強面の悪役イメージを持つ視聴者には、なかなか新鮮な姿だったはず。

ほかにも2023年のNetflix『Song of the Bandits』(原題:도적: 칼의 소리、キム・ナムギル主演)でチェ・ソンス役、2024年のDisney+『ノー・ウェイ・アウト:ザ・ルーレット』でキム・グクホ役と、配信ドラマにも積極的に出ている。2021年にはソン・ジュンギ主演の『ヴィンチェンツォ』でホン・チャヨンの父ホン・ユチャン役、『賢い医師生活』シーズン2にもカメオ出演した。

2026年の最新動向[編集]

2026年は映画の当たり年になりそう。まず10月公開のコメディ映画『Ugly Duckling Ms. Maeng』(撮影時の仮題『修能、出題の秘密』)では、韓国の大学修学能力試験(修能)の国語出題委員長ムン・ジュヨルを演じる。地方の国語講師メン・ボラム(イ・ソンビン)が手違いで出題委員に選ばれ、外部と隔絶された合宿所で40日間「問題のない問題」作りに挑むというドタバタ劇で、2026年9月には出演者が受験生への応援メッセージを公開。ユ・ジェミョンは「かっこよく挑戦してみよう」とエールを送った。

さらに、2026年10月6日開幕の第31回釜山国際映画祭では、イ・フビン監督の長編デビュー作となるスリラー『サピエンス(사피엔스)』が「特別上映」部門に選ばれた。財閥3世の誘拐事件の容疑者をめぐり、食い違う証言の中から真犯人を探す物語で、チョン・ソンイルと容疑者・弁護士の関係で対峙する。イ・フビン監督は『ノー・ウェイ・アウト:ザ・ルーレット』の演出家でもあり、ユ・ジェミョンとは再タッグとなる。故郷・釜山の映画祭で新作がお披露目されるのは、釜山の舞台から出発した彼にとってなかなかエモい展開だ。

また、2023年に撮影を終えたまま公開が延期されていたウォン・シニョン監督のSF映画『王を探して(왕을 찾아서)』(ク・ギョファン主演、1980年夏の非武装地帯の村に巨大な謎の客が現れる物語)も、2026年下半期の公開を目指していると報じられている。ユ・ジェミョンは村人チュボク役で出演している。

演技スタイルと評価[編集]

ナムウィキでは「重厚で格好いい音色と、固い発声」が特徴として挙げられ、特に専門職キャラクターの演技に定評があるとされる。検察幹部、病院長、財閥会長、国家情報院長、出題委員長と、肩書きのある役がやたら多いのはそのためだ。

一方で『応答せよ1988』の口うるさい先生や、『声もなく』の卵売り、『ラブ・ミー』の恋するお父さんのような庶民的な役もこなし、日本のメディアでは「カメレオン俳優」とも紹介されている。舞台出身らしく役作りは徹底型で、『梨泰院クラス』の老けメイクや『幸福の国』の生え際を剃る役作りなど、外見ごと役に寄せていくのが持ち味。

2018年のインタビューでは、出演依頼が殺到する状況を「嬉しい悲鳴をあげている」と表現しつつ、「中心を失ってはいけない」と自戒。将来は小さな劇団を作ってまた演劇をやりたいとも語っていた。

私生活[編集]

2018年10月21日に結婚。報道によれば相手は12歳年下の一般女性で、彼が演出を務めていた舞台を通じて知り合い、約5年交際したとされる。翌2019年8月に息子が誕生した。

社会活動としては、2018年から青少年の暴力予防に取り組む「プルンナム財団」の青少年守護広報大使を務めている。所属事務所はエースファクトリー。

余談[編集]

  • 大学の専攻は生命工学系。理系出身の演劇人という、ちょっと珍しい経歴。
  • 自ら創設した劇団の略称「배관공」は韓国語で「配管工」。
  • 『応答せよ1988』の役名「リュ・ジェミョン」は本人の名前(유재명)とほぼ同じで、韓国語では「류」と「유」の違いしかない。
  • 身長183cmと長身。70代の老人役だったチャン会長のイメージで見ると、実物の若々しさに驚くことになる。
  • 2025年から2026年にかけて、『応答せよ1988』10周年企画にキャストとして参加した。

外部リンク[編集]

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