ソン・ソック
손석구(Son Suk-ku)
Son_Suk-ku_211123.png
2021年11月のソン・ソック(出典:ウィキメディア・コモンズ「Son Suk-ku 211123.png」)
本名 孫錫久(ソン・ソック)
誕生日 1983年2月7日
年齢 43歳
出身地 大韓民国・大田広域市
国籍 大韓民国
学歴 シカゴ美術館附属美術大学(映画専攻・中退)、バンクーバー・インスティテュート・オブ・メディア・アーツ(演技)
ジャンル 映画、テレビドラマ、配信ドラマ、演劇
活動期間 2014年 -
家族 弟
身長 / 体重 178.7cm(とされる) cm / ― kg
血液型 B型(とされる)
事務所 スタナム(個人の制作会社、2024年設立)
代表作 『D.P. -脱走兵追跡官-』、『私の解放日誌』、『犯罪都市 THE ROUNDUP』、『殺人者のパラドックス』、『君は天国でも美しい』
関連活動 短編映画の監督・脚本、映画プロデュース
あだ名 ク氏、ソックさん
その他 2005年、兵役中にザイトゥーン部隊の一員としてイラクに派遣


概要[編集]

ソン・ソックとは、大韓民国の俳優である。中学時代から北米で暮らし、映画監督志望からバスケットボール選手志望を経て俳優になったという異色の経歴を持つ。30代後半で『D.P. -脱走兵追跡官-』『私の解放日誌』『犯罪都市 THE ROUNDUP』が立て続けにヒットし、2022年の韓国で「最も旬な俳優」と呼ばれる遅咲きのブレイクを果たした。

詳細[編集]

生い立ち[編集]

1983年2月7日、大田広域市中区の生まれ。日本語版の一部資料では1982年生まれとされることがあるが、韓国・英語圏の資料はいずれも1983年生としている。大田の小学校を出たあと、内向的な性格を変えるためもあって中学生のうちにアメリカへ留学した。ミネソタ州などで暮らしたのち、シカゴ美術館附属美術大学に進み、映画やニューメディアを学んだ。当初の夢は俳優ではなく、ドキュメンタリー監督だったという。

家族については両親と2歳下の弟がいると報じられている。韓国のネット上では実家の家業について話題になることもあるが、本人が積極的に語っている話ではない。

兵役とイラク派遣[編集]

大学を休学して韓国で兵役に就き、2005年には自ら志願して、イラク北部アルビルに展開していた韓国軍の平和・復興支援部隊「ザイトゥーン部隊」に派遣された。限られた枠を勝ち取っての派遣だったとされる。

のちに『D.P. -脱走兵追跡官-』で軍隊の理不尽な階級文化を体現する将校を演じた際、実際の軍経験があることも演技のリアリティの一因として語られた。

海外生活と俳優への転身[編集]

除隊後はカナダのバンクーバーへ移り、一時はバスケットボール選手を目指していた。今でも特技にバスケットボールや陸上を挙げるほどの運動好きである。しかし選手の道は諦め、そこから演技に方向転換。バンクーバー・インスティテュート・オブ・メディア・アーツで演技を学び、北米で舞台に立ち始めた。

つまり俳優としての基礎は韓国の演劇界や芸能事務所ではなく、英語圏で作られている。英語はネイティブ級で、海外制作の作品に出演できたのもこの経歴があったからだ。

舞台経験[編集]

俳優になって最初に経験したのは演劇だった。のちに本人は、舞台で愛を囁く場面でも観客に聞こえるよう大きな声を出す演技に違和感を覚え、それが映像作品に移るきっかけになったと語っている(この発言は後に論争を呼んだ。後述)。

2023年には韓国で演劇『木の上の軍隊』に出演し、久しぶりに舞台へ戻った。同作は日本の劇作家・井上ひさしの構想をもとにした作品で、沖縄戦のさなか、木の上に隠れて終戦を知らずに暮らした兵士2人の物語。ソン・ソックは新兵役を務め、チケットは争奪戦になった。

遅咲きのブレイク[編集]

2014年の映画『マダム・ペンドク』(原題直訳)で端役として韓国映画に初登場し、2016年の『黒い石』で本格的に映画デビュー。2017年にはウォシャウスキー姉妹が手がけたNetflixシリーズ『センス8』シーズン2にソウル編の刑事役で出演し、ドラマデビューを飾った。

2018年は日本ドラマのリメイク『マザー 無償の愛』で、主人公の少女を虐待する母の恋人という強烈な役を演じて顔が知られるようになり、同じく日本ドラマのリメイク『最高の離婚』で初めて主演級を務めた。2019年には『サバイバー:60日間の大統領』で大統領府の報道官チャ・ヨンジン役を演じ、ここで「あの俳優は誰?」という声が増え始める。

そして2021年の『D.P. -脱走兵追跡官-』、2022年の『犯罪都市 THE ROUNDUP』『私の解放日誌』の3連打で一気にトップ俳優へ。デビューから8年、39歳での大ブレイクだった。

経歴[編集]

D.P.での飛躍(2021年)[編集]

2021年8月にNetflixで配信された『D.P. -脱走兵追跡官-』では、憲兵隊の脱走兵追跡組(D.P.)を率いる大尉イム・ジソプを演じた。主演のチョン・ヘインやク・ギョファンを上から見下ろしつつ、出世のために組織の論理に乗る中間管理職的な将校を、嫌味と哀愁の両方で見せた。原作はウェブトゥーンで、韓国の軍隊問題をえぐる作品として社会的な議論を呼び、ほぼ同時期に世界的ヒットとなった『イカゲーム』とともに、韓国配信ドラマの存在感を世界に示した一本となった。2023年のシーズン2にも続投している。

犯罪都市 THE ROUNDUPの悪役(2022年)[編集]

2022年5月公開の『犯罪都市 THE ROUNDUP』では、マ・ドンソク演じる怪物刑事マ・ソクトと対決するベトナムの凶悪犯カン・ヘサンを演じた。役作りのため10kg以上増量し、約1年にわたって肌を焼き続けたと本人が語っている。

前作の悪役チャン・チェン(演:ユン・ゲサン)が強烈な人気を得ていたため比較は避けられなかったが、本人は「前作の悪役との差別化は考えず、脚本のキャラクターだけに集中した」とインタビューで述べている。結果、映画はコロナ禍明けの韓国で観客動員1,200万人を超え、2022年の韓国映画で最大のヒットとなった。この役で韓国映画評論家協会賞の新人男優賞を受賞している。マ・ドンソクからは「お前は自分と同じ血だ。いずれ監督も脚本も制作もやれ」と言われたという。

私の解放日誌と「ク氏」現象(2022年)[編集]

同じ2022年の4月から放送された韓国ドラマ『私の解放日誌』では、ソウル郊外の田舎町に流れ着き、名前も過去も語らず毎日酒を飲み続ける謎の男「ク氏(ク・ジャギョン)」を演じた。ヒロインのミジョン(演:キム・ジウォン)から「私を崇めて」と頼まれる関係を軸に、無口で無愛想な男が少しずつ心を開いていく姿が大反響を呼んだ。

放送中、ドラマ出演者の話題性ランキングで5週連続1位を記録し、韓国では「ク氏シンドローム」「ク氏廃人」などの言葉が生まれた。のちのトーク番組で本人は、作品で一番気を配ったのはキャラクターの衣装だったと明かし、ドラマ全体を「二度と行けない素晴らしい場所への旅」と表現している。

主演俳優としての定着(2023〜2025年)[編集]

ブレイク後はジャンルを選ばずに出演を重ねた。ディズニープラスの『カジノ』ではチェ・ミンシクと共演し、事件を追う刑事オ・スンフン役。2024年2月配信の『殺人者のパラドックス』では、偶然殺人を犯した大学生(演:チェ・ウシク)を執拗に追う刑事チャン・ナンガムを演じた。こちらも原作はウェブトゥーンである。同年の映画『コメント部隊』(原題直訳)では、世論操作の闇を追う記者を演じた。

2025年はJTBCの『君は天国でも美しい』で、80歳の妻(演:キム・ヘジャ)を天国で待つ、30代の姿に若返った夫コ・ナクジュン役で主演。イ・ジョンウン、ハン・ジミンらも出演し、同時間帯1位を続けた。大先輩キム・ヘジャとの共演について本人は、演技への向き合い方が「はるかに執拗で、広くなった」と語っている。続くディズニープラス『ナインパズル』では、首に大きなタトゥーを入れビーニーを被った型破りな刑事キム・ハンセムを演じ、キム・ダミと共演した。

2026年の最新作[編集]

2026年に入ってからの最大の話題は、Netflixの日韓合作シリーズ『Road』(仮題)である。日本の永山瑛太とダブル主演を務め、ソウルと東京で起きる、手足がねじ曲げられた遺体と謎のメッセージが残る連続殺人事件を、国境を越えて追う2人の刑事の物語。ソン・ソックは韓国の刑事カン・チョンド役とされる。監督は『D.P.』のハン・ジュニで、撮影は2026年1月に終了。英題は『Blue Road』とも報じられ、2026年11月の配信予定、第31回釜山国際映画祭での先行上映が発表された。

映画では、主演とプロデューサーを兼ねたアメリカのインディペンデント映画『Bedford Park』が2026年のサンダンス映画祭で上映され、米国ドラマ部門の長編デビュー作特別審査員賞を受賞した。ニュージャージーを舞台に、母親の交通事故をきっかけに出会った韓国系アメリカ人女性と、事故を起こした元レスラーの男イーライ(ソン・ソック)の関係を描く作品で、のちにソニー・ピクチャーズ・クラシックスが世界配給権を獲得したと報じられた。さらにパク・ボヨンとの共演映画の撮影も伝えられている。

監督・制作活動[編集]

もともと監督志望だったこともあり、俳優業と並行して作る側の仕事にも手を伸ばしている。2021年には、俳優たちが短編映画を監督するプロジェクト『アンフレームド』で短編『再放送』(原題直訳)の監督・脚本を担当した。2024年には現代自動車と組んだ短編『Night Fishing』に出演し、2026年の『Bedford Park』はその現代自動車が初めて出資した長編映画として、同社とソン・ソックの2度目の協業になった。

2023年に前の所属事務所との契約を終え、2024年1月に株式会社スタナムを設立した。報道によれば、いわゆる個人マネジメント会社ではなく制作会社として登記されており、今後は監督や脚本家との契約にも力を入れる方針とされる。

人物[編集]

独特の発言とスタンス[編集]

インタビューでは、決まった答えをなぞるのを嫌い、自分の言葉で話すタイプとして知られる。演技についても「正解っぽい定型の演技」を強いられることへの違和感を繰り返し口にしており、その率直さが魅力でもあり、ときに火種にもなる。

MBTIはINFJと公表している。特技としてバスケットボール、陸上、書道、絵画、英語、ボクシング、文章を書くことなどが挙げられている。

インタビューでの哲学[編集]

ブレイク後のトップ俳優は露出を絞って「神秘主義」で希少価値を高めることが多いが、ソン・ソックは逆に、ドラマ・映画・配信・演劇・海外インディーと、ジャンルも規模も問わず出演を続けている。韓国メディアからは「安住を拒むトップスター」と評された。

本人は「俳優の人生がそのまま演技ににじむべきだ」という趣旨の考えを語っており、キム・ヘジャとの共演を経てその思いを強くしたという。

「ク氏」ブーム[編集]

『私の解放日誌』以降、韓国では理想のタイプを語るネット上の定番ネタとしてソン・ソックの名前が使われるようになった。日本でも同作の配信をきっかけにファンが急増し、2022年には『ELLE』日本版の「韓流ベスト俳優」企画で1位に選ばれている。2023年にはフォーブス・コリアの「パワー・セレブリティ40」で7位に入った。

主な出演作[編集]

映画[編集]

公開年 作品名 役名 備考
2014 マダム・ペンドク(原題直訳) カジノの手下 端役
2016 黒い石 中尉
2017 ウェディング(原題直訳) ソンフン
2019 スピード・スクワッド ひき逃げ専門捜査班 キ・テホ 百想芸術大賞 新人演技賞ノミネート
2021 恋愛の抜けたロマンス パク・ウリ 主演
2021 アンフレームド「再放送」 - 監督・脚本
2022 犯罪都市 THE ROUNDUP カン・ヘサン 韓国映画評論家協会賞 新人男優賞
2024 コメント部隊(原題直訳) イム・サンジン 主演
2025 ウイルス(原題直訳) ナム・スピル 特別出演
2026 Bedford Park イーライ 主演・プロデューサー

テレビドラマ・配信[編集]

年 作品名 役名 備考
2017 センス8 シーズン2 ムン刑事 Netflix、ドラマデビュー
2018 マザー 無償の愛 ソラク tvN
2018 SUITS/スーツ〜運命の選択〜 デビッド・キム KBS2
2018 最高の離婚 イ・ジャンヒョン KBS2、初主演級
2019 サバイバー:60日間の大統領 チャ・ヨンジン tvN
2019 メロが体質 キム・サンス 特別出演
2021・2023 D.P. -脱走兵追跡官- イム・ジソプ Netflix、シーズン1・2
2021 智異山 イム・チョルギョン 特別出演
2022 私の解放日誌 ク・ジャギョン(ク氏) JTBC
2022〜2023 カジノ オ・スンフン ディズニープラス
2024 殺人者のパラドックス チャン・ナンガム Netflix
2025 君は天国でも美しい コ・ナクジュン JTBC、主演
2025 ナインパズル キム・ハンセム ディズニープラス
2026(予定) Road(仮題) カン・チョンド Netflix、永山瑛太とダブル主演

演劇・その他[編集]

  • 2023年 演劇『木の上の軍隊』 - 新兵役
  • 2019年 歌手Gummyの楽曲「ひとり」(原題直訳)のミュージックビデオに出演

受賞歴[編集]

意外なことに、大ブレイクの割に大型授賞式のトロフィーは多くない。ノミネート常連型の俳優である。

  • 2018年 KBS演技大賞 新人演技賞ノミネート(『最高の離婚』)
  • 2019年 第55回百想芸術大賞 映画部門・テレビ部門の新人演技賞にダブルノミネート(『スピード・スクワッド』『最高の離婚』)
  • 2021年 『シネ21』「2022年に注目すべき新人俳優」1位
  • 2022年 第42回韓国映画評論家協会賞 新人男優賞 受賞(『犯罪都市 THE ROUNDUP』)
  • 2022年 ブランド・オブ・ザ・イヤー 俳優部門 受賞
  • 2022年 APAN STAR AWARDS 優秀演技賞・人気スター賞・ベストカップル賞ノミネート(『私の解放日誌』)
  • 2022年 青龍シリーズアワード 助演男優賞ノミネート
  • 2023年 第59回百想芸術大賞 テレビ部門 男性最優秀演技賞ノミネート(『私の解放日誌』)。同部門はイ・ソンミンが受賞し、チェ・ミンシク、イ・ビョンホンらとの激戦だった
  • 2024年 『シネ21』「韓国映画NEXT 50」俳優部門に選出

バラエティ・話題になった発言[編集]

トーク番組[編集]

バラエティ出演は多くないが、出るたびに話題になる。2022年11月にはtvNのトーク番組『ユ・クイズ ON THE BLOCK』に出演し、「私を崇めて」というセリフが当初は賛否両論だったことを認めつつ「自分は違和感がなかった。それだけキャラクターが苦しい状況にいたということ」と説明、「こんなに話題になるとは思わなかった」と語った。

2024年3月にはチャン・ドヨンがホストを務めるウェブ番組『サロンドリップ2』に出演。1対1のトーク番組は初めてだと緊張を見せつつ、理想のタイプを「相変わらず、明るくて面白い人」と答えた。ゲーム中のやり取りで「娘は2人で」と返して笑いを取る場面もあり、切り抜きが拡散された。

「偽物の演技」発言の論争[編集]

2023年6月27日、演劇『木の上の軍隊』の記者懇談会で、映画やドラマに移ったきっかけについて「舞台で愛を囁く場面ならマイクを付ければいいのに、なぜ偽物の演技をさせるのかと思った」という趣旨の発言をした。

これに対し、ベテラン俳優ナム・ミョンリョルがSNSで「舞台俳優も客席に届く囁きの技術を使っている」「すべての演技は虚構で、本物の演技を定義すること自体が矛盾」と批判し、ネット上で大論争に発展した。ナム・ミョンリョルは議論の過熱を受けてSNSのコメント欄を閉じている。

ソン・ソックは2023年7月23日にJTBC『ニュースルーム』に出演し、「俳優仲間と話すときに気軽に口にする未熟な言葉が混ざって、誤解を招く文章になった」と反省を表明。ナム・ミョンリョルには手紙を書いて謝罪し、返事ももらったと明かした。一方で、駆け出しの頃に「定型化された正解に近い演技を強要されている感覚があった」こと自体は撤回していない。

余談[編集]

  • 2018年の出演作には『マザー 無償の愛』『最高の離婚』という日本ドラマのリメイクが2本、アメリカドラマのリメイク『SUITS/スーツ』が1本含まれている。リメイク作品で地道に知名度を上げてきたタイプである。
  • 2023年の舞台『木の上の軍隊』も原点は日本の井上ひさし作品、2026年の『Road』は日本の俳優との共演と、何かと日本に縁がある。
  • 『Road』の監督ハン・ジュニは『D.P. -脱走兵追跡官-』の監督でもあり、ソン・ソックにとってはブレイクのきっかけを作った監督との再会になる。
  • 『恋の通訳、できますか?』の主人公役はもともとソン・ソックに打診されていたとされ、本人が英語・スペイン語・日本語を操る通訳者を演じていた可能性もあった、という話がファンの間で語られている。
  • 本人のInstagramは、クールなパブリックイメージとは裏腹に「おじさん臭い」と言われがち。誕生日に写真へ文字を入れて投稿した際には、俳優チョン・ジョンソから「写真に文字を入れるのはやりすぎ、おじさんの匂いがする」とツッコまれ、韓国メディアに取り上げられた。
  • 2026年8月には、キャップにサングラス姿で会社員に紛れて歩く写真に「出勤は徒歩に限る」と添えて投稿し、その自然体ぶりが記事になっている。

外部リンク[編集]

💬 みんなの声

この記事を読んだ人が、ひとことつぶやく場所です。