| カジノ 카지노(英題:Big Bet) | |
|---|---|
![]() 主人公チャ・ムシクを演じたチェ・ミンシク(2009年、第44回カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭にて。出典:Wikimedia Commons、ライセンスはCommonsのファイルページ記載に準拠) | |
| ジャンル | 犯罪・アクション・ノワール |
| 放送期間 |
シーズン1:2022年12月21日 - 2023年1月25日 シーズン2:2023年2月15日 - 2023年3月22日 (MBC地上波放送:2025年7月4日 - 2025年9月14日) |
| 放送時間 | 毎週水曜日に1話ずつ公開(各シーズン初回は3話同時公開) |
| 話数 | 全16話(シーズン1・2 各8話) |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 放送局 | MBC(2025年の地上波放送) |
| 配信 | Disney+(日本・韓国ほか)、Hulu(アメリカ) |
| 平均視聴率 | MBC放送時 第1話4.5%(ニールセンコリア・全国) |
| 制作 | |
| 演出 | カン・ユンソン、ナム・ギフン |
| 制作 | アークメディア、B.A.エンターテインメント、C-JeS STUDIO |
| 脚本 | カン・ユンソン |
| 音楽 | ユン・イルサン |
| 出演者 |
チェ・ミンシク ソン・ソック イ・ドンフィ ホ・ソンテ イ・ヘヨン ソン・ウンソ ホン・ギジュン |
| その他 | |
| 原作 | なし(オリジナル脚本) |
| 制作費 | 約200億ウォン |
概要[編集]
カジノ(카지노、英題:Big Bet)とは、2022年12月から2023年3月にかけてDisney+で配信された韓国ドラマである。フィリピンで「カジノ王」に成り上がった男チャ・ムシクの栄光と転落、そして命を懸けた最後の勝負を描く犯罪ノワールで、チェ・ミンシクが約25年ぶりにドラマへ復帰した作品として大きな話題を呼んだ。
詳細[編集]
企画の経緯[編集]
企画が最初に報じられたのは2020年11月。韓国メディアは、チェ・ミンシクが『カジノ』(仮題)への出演を検討中で、映画『犯罪都市』のカン・ユンソン監督が脚本と演出を担当すると伝えた。当時は新型コロナウイルスの流行で映画業界が打撃を受け、ファン・ジョンミンなど映画界の大物俳優が次々にドラマへ戻ってくる流れがあり、本作もその象徴的な一本と見なされた。
カン・ユンソン監督にとっては本作が初のドラマ演出作。原作のあるドラマではなく、取材をもとに一から書き上げたオリジナル脚本である。監督自身、のちに「『カジノ』は原作なしで取材を通じて書いたシナリオなので、描きたい場面はすべて描けた」と振り返っている。
配信プラットフォームとシーズン構成[編集]
本作はDisney+の韓国オリジナルシリーズとして制作された。2022年12月1日にシンガポールのマリーナベイ・サンズで開かれた「ディズニー・コンテンツ・ショーケース2022」で主要キャストがお披露目され、カン監督は「Disney+が快く制作を決めてくれた」と語っている。
全16話をシーズン1・2の8話ずつに分ける形で、シーズン1は2022年12月21日に第1〜3話を同時公開し、以降は毎週水曜日に1話ずつ公開。シーズン2も2023年2月15日に第1〜3話を公開し、3月22日に完結した。アメリカでは英題『Big Bet』としてHuluで配信された。
実話なのか[編集]
フィリピンを舞台に韓国人のカジノ業者や「コリアンデスク」(フィリピンに派遣された韓国警察官)が登場するため、実在の事件がモデルではないかとよく言われる。日本の紹介記事でも「実話ベース」と書かれることがあるが、監督本人は「原作なしで取材を通じて書いたシナリオ」と説明しており、特定の人物や事件をそのまま映像化したとは公表されていない。現地の実情を取材して作り上げたフィクションと見るのが妥当である。
あらすじ[編集]
シーズン1[編集]
物語は、フィリピンのカジノ王チャ・ムシクが逮捕され、記者会見に引き出される場面から始まる。そこから時間をさかのぼり、彼の半生が描かれる。
貧しく荒れた家庭で育ったムシクは、持ち前の度胸を武器に軍の特殊部隊や英語講師などを経て生き抜いてきた。2000年代に入るとカジノバーの経営に手を出すが、国税庁の取り締まりに追われ、フィリピンへ逃亡する。
フィリピンでのムシクは、類まれな機転でカジノ業界の大物ミン会長(ミン・ソクチュン)の信頼を勝ち取り、カジノ事業を拡大していく。金の力で現地の警察や政財界を味方につけ、やがて誰もが認める「カジノ王」へと上り詰める。右腕のヤン・ジョンパルを従え、韓国から来る大口客を相手にしたローリング(賭け金の仲介)ビジネスで巨富を築いていくが、恩人であるミン会長が殺害される事件が起き、ムシクは犯人の濡れ衣を着せられてしまう。
一方、韓国警察庁から現地の「コリアンデスク」に派遣されたオ・スンフンは、フィリピンで相次ぐ韓国人絡みの事件を追ううちに、ムシクという巨大な存在に行き当たる。シーズン1はサトウキビ畑での殺人事件、拉致事件と緊張が一気に高まったところで幕を閉じる。
シーズン2[編集]
すべてを失い逃亡者となったムシクの周囲では、かつての仲間たちが次々に裏切りを始め、新たな殺人事件も起こる。誰がムシクを裏切り、ミン会長殺しの罪を着せたのか。ムシクは強制送還で韓国に戻されて裁判を受け、無罪判決を勝ち取る。
その後再びフィリピンへ戻ったムシクは、ミン会長殺害の真犯人を追い、自分を陥れた者たちへの復讐に乗り出す。最終的に黒幕の一人であるラウルを始末するが、ムシクの最期は思わぬ形で訪れる。最も信頼していた右腕ヤン・ジョンパルが放った一発の銃弾によって、カジノ王の人生は幕を閉じるのである。
エピソード一覧[編集]
| シーズン | 話 | 原題 | 日本語訳 |
|---|---|---|---|
| 1 | 1 | 카지노 바 | カジノバー |
| 2 | 세금폭탄 | 税金爆弾 | |
| 3 | 10년 묵은 채권 | 10年越しの債権 | |
| 4 | 롤링 | ローリング | |
| 5 | 설계 | 設計 | |
| 6 | 코리안데스크 | コリアンデスク | |
| 7 | 사탕수수밭 살인사건 | サトウキビ畑殺人事件 | |
| 8 | 납치 | 拉致 | |
| 2 | 1 | 돌아올 수 없는 강 | 戻れない川 |
| 2 | 암살자들 | 暗殺者たち | |
| 3 | 하룻밤 인생 | 一夜の人生 | |
| 4 | 누명 | 濡れ衣 | |
| 5 | 마지막 판결수 | 最後の決め手 | |
| 6 | 복귀 | 復帰 | |
| 7 | 죽느냐 사느냐 | 死ぬか生きるか | |
| 8 | 강제송환 | 強制送還 |
※日本語訳は原題の直訳で、Disney+日本版の表記とは異なる場合がある。
登場人物・キャスト[編集]
登場人物は名前のある役だけで約170人にのぼるとされ、韓国人俳優に加えてフィリピンの俳優も多数出演している。
主要人物[編集]
- チャ・ムシク(演:チェ・ミンシク/青年期:イ・ギュヒョン)
- 主人公。フィリピンのカジノ業界を牛耳る「カジノ王」。どん底から這い上がり、度胸と機転と金で権力者を手なずけてきた男。チェ・ミンシクは「平凡だったが、カジノの世界に足を踏み入れ、果てしない欲望に向かって疾走する人物」と説明している。
- オ・スンフン(演:ソン・ソック)
- 韓国警察庁の外事3チーム長(警監)。フィリピンの「コリアンデスク」に派遣され、ムシクを追う。ソン・ソックは「毎日会社に通う会社員のマインドで出勤する、ごく普通の人」と役柄を語っている。
- ヤン・ジョンパル(演:イ・ドンフィ)
- ムシクの右腕としてカジノの実務を担う男。忠実だが軽率なところもある。口ひげを蓄えた風貌の役作りが話題になり、ソン・ソックからは「韓国のジョニー・デップ」と評された。
カジノ関係者[編集]
| 役名 | キャスト | 役柄 |
|---|---|---|
| ミン・ソクチュン(ミン会長) | キム・ホンパ | カリズホテルのオーナー。ムシクを引き立てた恩人で、その殺害が物語の軸となる |
| ソ・テソク | ホ・ソンテ | 韓国から逃げてきた男で、ムシクと敵対するライバル |
| コ・ヨンヒ | イ・ヘヨン | 企業「パステラ」の会長。カジノの大口客 |
| キム・ソジョン | ソン・ウンソ | 元客室乗務員のボルトンホテルのホテリア |
| イ・サング | ホン・ギジュン | ボルトンホテルのカジノエージェント |
| フィリップ・トーレス | イ・ヘウ | ボルトンホテルのカジノエージェント |
| チョン・ソグ | チェ・ホンイル | 中小企業の社長。ムシクの賭博の罠にかかる |
| ウ社長 | キム・ジュンベ | ムシクに客を奪われる現地のカジノ業者 |
在比韓国人社会[編集]
| 役名 | キャスト | 役柄 |
|---|---|---|
| チョ・ユンギ | イム・ヒョンジュン | フィリピン駐在の韓国領事 |
| チェ・チルグ | ソン・ヨンギュ | 財閥2世で建設会社の常務 |
| チン・ヨンヒ | キム・ジュリョン | 現地で韓国料理店を営む女性 |
| イ・ジュング | オ・ダルス | 現地の韓人会長 |
| キム・ギョンヨン(チャーリー) | イ・ソク | 当局に追われる詐欺師 |
| カン・ミンジョン | リュ・ヒョンギョン |
ムシクの家族・過去の人物[編集]
| 役名 | キャスト | 役柄 |
|---|---|---|
| チャ・ギョンドク | キム・ルェハ | ムシクの父。暴力的な人物 |
| イ・スクチャ | ペ・ヘソン | ムシクの母 |
| ソ・ジンソク | チン・ソンギュ | ムシクの過去に関わる人物 |
| キム係長 | チョ・ハンチョル |
フィリピンの人物[編集]
| 役名 | キャスト | 備考 |
|---|---|---|
| ダニエル | ベンボル・ロコ | 政財界を動かす「キングメーカー」 |
| ラウル | エピ・キゾン | シーズン2の重要人物 |
| カルロス | ロニー・ラザロ | |
| マーク | ニコ・アントニオ | |
| フィリピン警察庁長官 | アート・アクーニャ |
制作[編集]
フィリピンロケ[編集]
撮影は2022年2月から8月初めにかけて、韓国とフィリピンで行われた。物語の大半を占めるフィリピンのシーンは現地ロケで撮影されており、韓国メディアでは「フィリピン100%ロケ」と紹介されたこともある。制作費は約200億ウォンとされ、Disney+の韓国オリジナルとしては大型の部類に入る。
チェ・ミンシクは渡航直前に新型コロナウイルスに感染し、現地入りが遅れた。本人は「後遺症がひどかった」と語っており、空港に着いた時点で強い倦怠感や声のかすれに悩まされていたという。製作発表会でも、コロナからの回復、フィリピンの暑さ、そして16話という長丁場をこなす苦労を挙げている。撮影期間中、カン監督はソン・ソックとイ・ドンフィを「アドバイザー」のように扱い、毎日ホテルの部屋で台本について議論を重ねたという。イ・ドンフィは「名誉をもってフィリピンに帰りたい」と現地への愛着を語った。
演出スタイル[編集]
カン・ユンソン監督は俳優にセリフの自由を大きく与えるタイプで、台本どおりに演じる俳優はほとんどいなかったという。チン・ヨンヒ役のキム・ジュリョンは「誰も台本どおりにやらないので最初はとても戸惑った」「監督はあまり口出しせず、目立った瞬間を整えるだけ」と証言している。
ムシクの若い頃のシーンには、若い俳優の起用に加えてディエイジング(若返り)技術も使われた。カン監督は「何度もパイロットテストを行い、データを抽出して場面を作った」と説明している。
チョン・ソグ役のチェ・ホンイルは、ギャンブル依存症をドキュメンタリーや取材で研究し、フィリピンのカジノで数日間客を観察した(自分では一切賭けなかった)うえで、毎日チップの扱いを練習したという。
スタッフ[編集]
- 演出:カン・ユンソン、ナム・ギフン
- 脚本:カン・ユンソン
- 音楽:ユン・イルサン
- 制作:アークメディア、B.A.エンターテインメント、C-JeS STUDIO
チェ・ミンシク25年ぶりのドラマ復帰[編集]
本作最大のトピックが、韓国映画界を代表する名優チェ・ミンシクのドラマ復帰である。チェ・ミンシクは1990年のKBS『野望の歳月』でブレイクし、1994年のMBC『ソウルの月』などに出演したが、1997年のMBC『愛と別れ』を最後にドラマから遠ざかり、その後は『シュリ』『オールド・ボーイ』『悪魔を見た』『新しき世界』『バトル・オーシャン/海上決戦』など映画一本で活躍してきた。
そのため本作は「25年ぶりのドラマ復帰」と大々的に報じられた。数え方によって「24年ぶり」「26年ぶり」とする記事もあり、2025年のMBC地上波放送の際には「26年ぶりのドラマ復帰作」と紹介されている。
2022年12月14日にソウルで開かれた製作発表会で、チェ・ミンシクはドラマを選んだ理由について「長い呼吸(の演技)が恋しかった」と語った。海外メディアのインタビューでは「今のドラマは放送前にすべて撮り終える事前制作。昔は撮影当日に台本が届くこともあった」「OTTでは表現できることがはるかに多い」と、四半世紀でのドラマ制作環境の変化にも触れている。
結末について、チェ・ミンシクは「撃たれても生き返ったら格好悪いでしょう」と語り、ムシクの退場をすっぱり描くことに賛成した。最終話でしおれた花を置くよう提案したのも本人で、「花無十日紅」(どんな花も十日と赤くはない=権勢は長続きしない)という作品のテーマを象徴させたという。
評価[編集]
配信での反響[編集]
シーズン1は、公開初週の視聴時間でDisney+の韓国オリジナル作品として歴代最高を記録した。Disney+の韓国国内の月間利用者数も、公開前の2022年11月の約172万人から2023年1月には約217万人まで増えた。一方で、Netflix(約1150万人)やTVING、Coupang Playなどとの差は大きく、Disney+が韓国OTT市場で5位にとどまった点から「『カジノ』が当たってもDisney+は笑えない」と分析する記事も出た。
作品への評価[編集]
チェ・ミンシクの演技は「代わりのいない主演」と絶賛され、脇を固める俳優陣も高く評価された。日本のレビューでは「マーティン・スコセッシ監督のギャング映画のアジアドラマ版」と評されている。
一方、シーズン1は展開が遅く物語が散漫だという批判も受けた。特にソン・ソック演じるオ・スンフンがシーズン1第5話の終盤まで登場しないことから、「ソン・ソックが出てこない」という不満が噴出した。シーズン2では仲間同士の裏切りや新たな殺人事件で展開が加速し、評価を持ち直したとされる。IMDbのスコアは7.1/10、日本のFilmarksでは3.9/5.0程度となっている。
受賞・ノミネート[編集]
| 年 | 賞 | 部門 | 対象 | 結果 |
|---|---|---|---|---|
| 2023 | 百想芸術大賞 | テレビ部門 男性最優秀演技賞 | チェ・ミンシク | ノミネート |
| 第2回青龍シリーズアワード | ドラマ部門 最優秀作品賞 | カジノ | 受賞 | |
| ドラマ部門 男性助演賞 | イ・ドンフィ | 受賞 | ||
| 第18回ソウルドラマアワード | ゴールデンバード賞 作品賞 | カジノ | 受賞 | |
| ゴールデンバード賞 個人賞 | チェ・ミンシク | 受賞 |
MBCでの地上波放送[編集]
2025年7月4日から、MBCが本作を地上波で放送した。MBCがDisney+作品を放送するのは前年の『ムービング』に続く2作目で、シーズン1は金・土曜夜、シーズン2は7月27日から日曜夜に放送され、9月14日に終了。19歳以上視聴可の等級で放送された。
第1話の視聴率はニールセンコリア調べで全国4.5%、瞬間最高5.8%で同時間帯1位。第4話では首都圏5.7%を記録した。一方、MBCドラマ局の社員からは「MBCがDisney+の再放送チャンネルになる」と反発の声も上がった。
日本での配信[編集]
日本では邦題『カジノ』としてDisney+(ディズニープラス)で独占配信されている。シーズン1は韓国と同じ2022年12月21日に第1〜3話が配信され、シーズン2は2023年2月から配信された。日本語吹替版も用意されている。
2026年10月時点で、日本で定額見放題で視聴できるのはDisney+のみで、NetflixやU-NEXT、Amazon Prime Videoでは配信されていない。無料で見られる公式の手段はない。
余談[編集]
- チェ・ミンシク、ソン・ソック、イ・ドンフィの組み合わせについて、イ・ドンフィは「ハンバーガーとポテトとコーラのセットのよう」と例えた。
- ホ・ソンテはチェ・ミンシクの大ファンで、撮影現場で「ソンテ」と名前を呼ばれただけで鳥肌が立ったと明かしている。
- 「ホグ(カモ)」役のチェ・ホンイルは、カン監督と路上で何度も偶然出会ったことがきっかけで、脚本執筆中の監督からキャスティングされたという。視聴者から付いた「ホグ兄さん」というあだ名は気に入っているそう。
- カン・ユンソン監督は製作発表会で「映画よりも緊張して震える」と、初ドラマへの心境を語った。
- 2025年7月には、本作のMBC放送と同時期にカン監督の次作『파인: 촌뜨기들』(Pine)がDisney+で配信され、同じ監督の作品が2本同時に話題になった。
- チェ・ミンシクは本作の後、オカルト映画『破墓/パミョ』に出演している。
