| サロン・ド・ホームズ 살롱 드 홈즈(Salon de Holmes) | |
|---|---|
![]() ヘッドランプ姿で手がかりを探すコン・ミリ役のイ・シヨン(出典:スポーツ京郷 2025年5月19日付記事掲載のスチール画像、©ENA) | |
| ジャンル | コミック・アクション、推理、ミステリー、ウーマンス(女性同士の友情) |
| 放送シーズン | シーズン1 |
| 放送期間 | 2025年6月16日 - 2025年7月15日 |
| 放送時間 | 毎週月・火曜 22:00(韓国時間) |
| 話数 | 全10話 |
| 放送国家 | 大韓民国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 放送局 | ENA |
| 配信 | 韓国=ジニーTV、クーパンプレイ/海外=OnDemandKorea ほか。日本での配信は執筆時点で未確認 |
| 平均視聴率 | 2.7%(全国・ニールセンコリア有料世帯)、最高3.6%(第10話) |
| 制作 | |
| 演出 | ミン・ジンギ、チョン・ヒョンナム |
| 制作 | アーティストカンパニー、エイトゥジエンターテインメント、ネオエンターテインメント |
| 脚本 | キム・ヨンシン、アン・ヨンジン |
| 出演者 | イ・シヨン、チョン・ヨンジュ、キム・ダソム、ナム・ギエ、オ・デファン、チョン・サンフン、イ・スジ、パク・チア ほか |
| その他 | |
| 原作 | チョン・ゴヌの小説『サロン・ド・ホームズ』(2019年、モンシルブックス刊) |
| 関連番組 | 前番組:『あなたの味』 |
| エンディング曲 | OST Part.1「きれいな英雄(예쁜 영웅)」チョン・ヨンジュ、Part.2「いつの間にか(어느새)」ムン・ソヨン |
概要[編集]
サロン・ド・ホームズ(原題:살롱 드 홈즈、Salon de Holmes)とは、2025年6月から7月にかけて韓国のケーブル局ENAで放送された全10話のテレビドラマである。古い団地「光善(クァンソン)住公アパート」に暮らす4人の女性が、迷惑住人や事件の犯人たちを次々に懲らしめていくコミカルな推理活劇で、日常のモヤモヤを1話ごとにスッキリ解決していく痛快さが持ち味だ。
詳細[編集]
団地に生まれた「主婦探偵団」[編集]
物語の舞台は、築年数を重ねた団地・光善住公アパート。新しくこの団地に引っ越してきたコン・ミリ(イ・シヨン)は、小さな手がかりも見逃さない観察眼と、しつこいまでの粘り強さを持つ「名探偵ホームズ」タイプの主婦だ。彼女のもとに、元エース刑事の主婦、元保険王のスーパー経営者、バイト掛け持ちのシングルマザーが集まり、団地の住人たちを悩ませる「ヴィラン」たちに立ち向かうことになる。
扱う事件は、階間騒音、ゴミの不法投棄、駐車トラブル、不倫、学校のいじめ、窃盗など、マンション暮らしなら誰でも一度は出くわしそうなものばかり。こうした身近な揉め事が、回を追うごとに本格的なミステリーへと広がっていく構成になっている。
1話完結型+連続殺人鬼の縦軸[編集]
基本はオムニバス形式で、多くの事件は1話前後で決着がつく。第1話はスーパーでの人質事件と不倫騒動、第2話は迷惑駐車の常習犯、第3話は近所の高校のいじめ問題といった具合に、毎回違うタイプの悪役が登場しては主婦たちに成敗される。
一方で第4話あたりからは、現場にリボンを残す連続殺人犯「リボンマン」の影が物語全体を覆い始める。コメディの皮をかぶりつつ、終盤はスリラーとしての緊張感が一気に高まり、最終話では廃病院を舞台にした決死の救出劇が描かれた。韓国の批評家からは「生活密着型のジャンル百貨店」と評されるほど、笑い・涙・アクション・サスペンスが詰め込まれた作品である。
原作は推理作家チョン・ゴヌの小説[編集]
原作は、ミステリー・ホラー・スリラーを得意とする韓国の作家チョン・ゴヌ(전건우)が2019年に発表した同名小説。出版社はモンシルブックスで、「個人としての名前を失いかけた主婦たちが、素人探偵となって犯人を追う」という物語だ。
ドラマ化にあたっては原作にないエピソードが追加され、各キャラクターの背景も大きく膨らまされた。放送終了時点で原作小説の第2弾も年内刊行予定と報じられており、ドラマと小説の両方でシリーズが広がっていく形になっている。
制作陣と放送データ[編集]
放送局はENA。演出は、軍隊コメディ『新兵』シリーズや『青い巨塔』で知られるミン・ジンギと、チョン・ヒョンナムの2人。脚本は、日日ドラマ(毎日放送の連続ドラマ)を中心に活動してきたキム・ヨンシンと、コント番組『SNLコリア』出身のアン・ヨンジンが担当した。キム・ヨンシンにとってはこれが初のミニシリーズ(短期連続ドラマ)執筆作である。
放送はENAの月火ドラマ枠で、2025年6月16日から7月15日まで毎週月・火曜22時に放送。全10話、韓国での視聴等級は15歳以上。韓国国内ではジニーTVとクーパンプレイで見逃し配信された。主なロケ地は江原道春川市の団地で、これが劇中の光善住公アパートのモチーフになったとされる。
あらすじ[編集]
光善住公アパートに引っ越してきたコン・ミリは、引っ越し早々、近所のスーパーで起きた拳銃を使った人質事件に巻き込まれる。さらに彼女は、SNSの投稿や中古取引アプリの出品履歴を手がかりに、とある住人の不倫を見抜いてしまう。この一件をきっかけに、ミリの推理力は団地中に知れ渡っていく。
元エース刑事のチュ・ギョンジャ、スーパーの女主人で元保険王のチョン・ジヒョン、アルバイトを5つも掛け持ちするパク・ソヒと手を組んだミリは、迷惑駐車、いじめ、不法投棄など、団地にはびこる「ヴィラン」を次々と成敗していく。ところがミリが入居した部屋には、過去に孤独死があったという因縁が隠されていた。
やがて団地の周辺では、被害者にリボンを残す連続殺人犯「リボンマン」の事件が浮上する。ご近所トラブルの解決屋だった4人は、本物の凶悪犯と対峙することになる。最終話では、リボンマンに拉致された女性を救うため、火の手が上がる廃病院に4人が突入。ミリと夫のスンホが炎をくぐり抜けて救出に成功し、犯人は警察に逮捕される。ラストでは、かつて人質事件を起こした過去を持つ女性チェ・ヤンヒが新メンバーとして加わり、シーズン2を予感させる余韻で幕を閉じた。
登場人物[編集]
主婦探偵団の4人[編集]
- コン・ミリ(演:イ・シヨン)
- 主人公。光善住公アパートの新入居者で、ささいな手がかりも見逃さない推理力の持ち主。劇中のあだ名は「名探偵ホームズ」。卵を投げつけたり、ゴミ捨て場をあさったりと、体当たりのコメディ演技が話題になった。
- チュ・ギョンジャ(演:チョン・ヨンジュ)
- 元エース刑事。後輩の刑事ノ・ガンシクと結婚して警察を退職したが、今も署内では伝説扱いされている。あだ名は「女版マ・ドンソク」で、腕っぷしと行動力で探偵団の武闘派を担う。
- パク・ソヒ(演:キム・ダソム)
- 5つの仕事を掛け持ちする20代のシングルマザー。病気の息子の治療費を稼ぐため働きづめで、バイクで町中を走り回って情報を集める「バイトの女王」。
- チョン・ジヒョン(演:ナム・ギエ)
- 団地の噂がすべて集まる「光善スーパー」の女主人で、元保険王。あだ名は「竹林(テナムスプ)」で、王様の耳はロバの耳よろしく、誰もが秘密を打ち明けに来る存在。わが子を亡くした悲しみを抱えている。
家族・住人たち[編集]
- ノ・ガンシク(演:オ・デファン)
- ギョンジャの夫で現役の警察官。かつてはギョンジャの後輩だった。
- パク・スンホ(演:チョン・サンフン)
- ミリの夫で、職業はジムのトレーナー。最終話では妻とともに炎の中へ飛び込む。
- チェ・ソンジャ(演:パク・チア)
- 光善住公アパートの婦人会長。団地の資産価値を守ることに執念を燃やし、序盤の事件の流れに大きく関わる。息子への執着ぶりも強烈な印象を残した。
- そのほか、イ・スジ、シヒョン、チェ・ユソル、イ・ファギョム、カン・ジウ、イ・ジェギョンらが住人や事件関係者として出演。最終話ではキム・グムスンが演じるチェ・ヤンヒが新たに探偵団に加わる。
キャストと過去作[編集]
イ・シヨン[編集]
主演のイ・シヨンは、2009年の『花より男子〜Boys Over Flowers』のオ・ミンジ役で注目を集めた女優。2010年代にはボクシングのアマチュア大会で優勝を重ね、2013年には国家代表に選ばれたこともある異色の経歴を持つ(2015年に競技から引退)。2020年からはNetflixの『Sweet Home -俺と世界の絶望-』で、特殊部隊出身の消防士ソ・イギョンを演じて世界的に知られるようになった。
本作は彼女にとって放送局のドラマとしては約6年ぶりの復帰作で、制作発表会では「もともとコミカルなジャンルが好きなので、久しぶりに気楽に楽しいドラマができてうれしい」と語っている。これまでの検事・刑事役のクールなイメージとは違う、親しみやすい主婦役が新鮮だと好評を得た。
チョン・ヨンジュ[編集]
チョン・ヨンジュは1971年生まれのベテラン女優で、舞台を中心に長く活動しながら、ドラマでも『マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜』『社内お見合い』『ソンジェ背負って走れ』など話題作で印象的な脇役を演じてきた。
バラエティ番組で「韓国の女版マ・ドンソクをやってみたい」と話していたことがあり、本作でまさにそのイメージの役が回ってきた。制作発表会では「女性アクション俳優たちにとってうれしいニュースになれば」と語っている。本作OSTのPart.1「きれいな英雄」は彼女自身が歌っている。
キム・ダソム[編集]
キム・ダソムは、ガールズグループSISTARの元メンバーダソムとして知られる人物。グループ活動と並行して女優業にも取り組み、本作ではシングルマザーという難しい役に挑んだ。制作発表会では「病気の息子のために懸命に生きる姿に心を動かされて出演を決めた」と明かし、撮影現場は笑い声と歌声が絶えなかったと振り返っている。
ナム・ギエ[編集]
ナム・ギエは1961年生まれ。1998年に舞台でデビューし、テレビドラマには2015年から本格的に出演するようになった遅咲きの実力派。ソン・ヘギョ主演の『ボーイフレンド (韓国ドラマ)』や、2025年の『明日はきっと』などにも出演している。本作の撮影については「終わった瞬間にシーズン2をやりたいと思うほど幸せだった」と語った。
パク・チアの遺作[編集]
婦人会長チェ・ソンジャを演じたパク・チアは、2024年9月に脳梗塞の闘病の末に亡くなっており、本作が遺作となった。2002年の映画『海岸線』でデビューし、映画『奇談』『コンジアム』などのホラー作品や、Netflixの『ザ・グローリー』で主人公ムン・ドンウンの母親チョン・ミヒ役を演じたことで知られる。制作陣は「いつも謙虚な姿勢で、画面の一瞬のために努力を惜しまない俳優だった」と追悼のコメントを寄せた。
見どころ[編集]
「ウーマンス」が主役のドラマ[編集]
本作最大の特徴は、女性同士の連帯を描く「ウーマンス(워맨스)」を真正面から打ち出した点だ。演出のミン・ジンギは制作発表会で「女性による、女性のための、女性が主人公のドラマ」と明言し、女性主人公の作品が世に出るまでには紆余曲折があったとも打ち明けている。
4人はそれぞれ、職を手放した元刑事、子どもを亡くした母、病気の子を抱えるシングルマザー、過去に因縁のある部屋に越してきた主婦と、何かしらの痛みを抱えている。その傷が4人を結びつける接着剤になっている点が、単なるドタバタ劇で終わらない深みを生んでいる。
ご近所ヴィランを成敗する爽快感[編集]
階間騒音、迷惑駐車、ゴミの不法投棄といった題材は、韓国のマンション暮らしの「あるある」そのもの。視聴者が日頃抱えている小さなイライラを、主婦たちが知恵と腕力で痛快に晴らしてくれるため、「サイダー(スカッとする展開)ドラマ」として受け止められた。いじめのような重い社会問題も、暗くなりすぎない軽やかなタッチで描かれている。
『新兵』の監督が描く女性版群像劇[編集]
ミン・ジンギ監督はこれまで、軍隊を舞台にした男性中心のコメディを得意としてきた。韓国メディアでは、本作をその手法を女性の連帯物語に置き換えた作品と分析する声があり、『新兵』シリーズや『SNLコリア』で縁のある俳優たちがあちこちに顔を出すのも楽しいポイントだ。イ・スジは『新兵』シリーズにも出演しており、のちの『新兵4:サボタージュ』にも名を連ねている。
評価・反響[編集]
1%台から右肩上がりの視聴率[編集]
第1話の視聴率はニールセンコリア全国有料世帯基準で1.3%と、前番組『あなたの味』の初回1.6%を下回る静かなスタートだった。しかし放送直後からネット上で「面白い」という口コミが広がり、第2話で2.2%、第6話で3.4%と数字を伸ばしていった。
最終第10話では全国3.6%を記録して自己最高を更新し、瞬間最高は4.5%に達したと報じられた。全10話の全国平均は約2.7%。同じ月火の時間帯ではtvNの『牽牛と仙女(견우와 선녀)』と視聴率を競い合い、ケーブル局のドラマとしては健闘した部類に入る。視聴率の推移は以下のとおり(全国、ニールセンコリア)。
| 話数 | 放送日 | 全国視聴率 |
|---|---|---|
| 第1話 | 2025年6月16日 | 1.3% |
| 第2話 | 2025年6月17日 | 2.2% |
| 第3話 | 2025年6月23日 | 2.0% |
| 第4話 | 2025年6月24日 | 2.5% |
| 第5話 | 2025年6月30日 | 2.6% |
| 第6話 | 2025年7月1日 | 3.4% |
| 第7話 | 2025年7月7日 | 2.7% |
| 第8話 | 2025年7月8日 | 3.3% |
| 第9話 | 2025年7月14日 | 3.2% |
| 第10話 | 2025年7月15日 | 3.6% |
配信ランキングとシーズン2[編集]
韓国国内ではクーパンプレイの人気ランキングで1位を獲得したと報じられ、放送中から「シーズン2をお願いします」という声がネット上にあふれた。その声に応えるように、最終回翌日の2025年7月16日、制作会社アーティストスタジオがシーズン2の制作を確定したと報じられた。演出は引き続きミン・ジンギ監督が担当するとされている。
当初は2026年の放送を目標にしていると伝えられたが、放送時期は未定のままとされ、海外のドラマデータベースでは2027年作品として登録されている例もある。主要キャストの続投が有力視されている。
批評家の評価[編集]
韓国の大衆文化評論家からは、キャラクターコメディ、メロドラマ、スリラー、ヒューマン、アクションを1本に詰め込んだ「生活密着型のジャンル百貨店」と評された。また『オク氏夫人伝』など、女性が中心となってチームを組むドラマが相次いだ流れの中に位置づけ、韓国ドラマにとって興味深い挑戦だとする論評も出ている。キャスト面では、イ・シヨンのコミカルな演技と母性を感じさせる芝居、チョン・ヨンジュのアクションが特に好評だった。
余談[編集]
- タイトルの「サロン」は、団地の女性たちが集まっておしゃべりする場所のイメージ、「ホームズ」はもちろん名探偵シャーロック・ホームズから。主人公ミリの劇中のあだ名も「名探偵ホームズ」だ。
- チョン・ヨンジュの「女版マ・ドンソク」というキャッチコピーは、本人がバラエティで口にした願望がそのまま役になった形。制作発表会では「ウーマンスという言葉だけでは足りない、笑いと涙と温かい教訓がある作品」とアピールした。
- ナム・ギエが演じる役名「チョン・ジヒョン」は、韓国のトップ女優チョン・ジヒョンとまったく同じ名前(ハングル表記も同じ전지현)。日本の視聴者が見ると少し驚く役名だ。
- イ・シヨンは元アマチュアボクシングの国家代表という経歴の持ち主だが、本作では拳ではなく推理で戦う役。代わりにアクションを担うのはチョン・ヨンジュというのが面白い配役だ。
- 第1話の放送後、韓国のネット記事には「女版マ・ドンソクが4人出てくる」という見出しが躍り、初回1%台ながら口コミで反応が爆発したと報じられた。
- 制作陣は放送開始前の記者会見で、女性が主人公の作品が企画から放送までこぎつけるには苦労が多かったと明かしており、ミン・ジンギ監督は「女性視聴者が動いてこそ作品が成功する」とも語っている。
