| クァク・ドウォン 곽도원 / Kwak Do-won | |
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![]() 2014年、映画『海にかかる霧』のVIP試写会に来場したクァク・ドウォン(出典:Wikimedia Commons、作者:ItsNEWKorea、CC BY 3.0) | |
| 本名 | 곽병규(クァク・ビョンギュ) |
| 誕生日 | 1973年5月17日 |
| 年齢 | 53歳 |
| 出身地 | 大韓民国 ソウル特別市 |
| 国籍 | 大韓民国 |
| ジャンル | 映画・ドラマ・演劇 |
| 活動期間 | 1992年 - |
| 身長 / 体重 | 177cm cm / ― kg |
| 事務所 | 마다엔터테인먼트(Mada Entertainment) |
| 代表作 | 『悪いやつら』『弁護人』『タチャ 神の手』『哭声/コクソン』『アシュラ』『鋼鉄の雨』『KCIA 南山の部長たち』『消防士』 |
| その他 | 2022年の飲酒運転摘発後、約3年間活動を休止 |
概要[編集]
クァク・ドウォン(곽도원、1973年5月17日 - )とは、韓国の俳優である。14年近い舞台下積みを経て、『悪いやつら』の検事役や『弁護人』の拷問警官役で「憎たらしい悪役」の名手として知られるようになり、2016年の哭声/コクソンで映画初主演を果たした。
詳細[編集]
舞台から始まった遅咲きのキャリア[編集]
本名は곽병규(クァク・ビョンギュ)。ソウル出身で、1992年に唱劇(韓国の伝統的な歌劇)の俳優として演技の世界に入った。その後は劇団での舞台活動が中心となり、韓国の報道によれば1990年代は年収がほとんどない状態での下積みが長く続いたという。名前が一般に知られるようになったのは2010年代に入ってからで、デビューから実に20年近くかかった典型的な「遅咲き」タイプである。いわゆるイケメン枠でもアイドル出身でもなく、ずっしりした体格と低い声、そして一度見たら忘れられない顔つきで勝負してきた叩き上げの俳優だ。
劇団「演戯団コリペ」と映画への転身[編集]
舞台時代の主な所属先は、密陽(ミリャン)を拠点に活動していた劇団「演戯団コリペ(연희단거리패)」。本人は2018年のインタビュー報道で、新聞広告を見て密陽の演劇ワークショップに参加したのが始まりで、劇団には約7年在籍したと語っている。退団の理由については「先輩に食ってかかってクビになった」と明かしている。ソウルに戻ったあとは大学路(テハンノ)の演劇界にもなかなかツテがなく、同じ劇団の先輩だった俳優オ・ダルスに相談したところ「短編映画を撮ってみろ」と助言されたという。こうして撮った短編がミジャンセン短編映画祭に出品され、そこから映画スタッフの目に留まり、商業映画の現場へとつながっていった。
脇役で積み上げた2000年代[編集]
映画は2003年のオムニバス『もし、あなたなら ~6つの視線』あたりから小さな役で出演を重ね、2008年には『グッド・バッド・ウィアード』、2009年にはポン・ジュノ監督の母なる証明、2010年にはウォンビン主演のアジョシと、話題作に次々と顔を出した。どれも出番は多くないが、この時期の出演リストを見返すと「あ、この人ここにも出てたのか」という発見が多い。2010年の『哀しき獣』では大学教授キム・スンヒョン役を演じ、この現場で出会ったのが、のちに彼を主演に抜擢するナ・ホンジン監督だった。
「悪役の名手」としてのブレイク[編集]
『悪いやつら』の検事チョ・ボムソク[編集]
ブレイクのきっかけは2012年のユン・ジョンビン監督作『悪いやつら』(原題『범죄와의 전쟁: 나쁜놈들 전성시대』)。チェ・ミンシク演じる元税関職員と、ハ・ジョンウ演じる暴力団ボスを追い詰める検事チョ・ボムソクを演じた。正義の側の人間なのに目的のためなら手段を選ばない、どこか粘着質な検事像が強烈な印象を残し、同年の青龍映画賞・釜日映画賞の助演男優賞にノミネートされた。ここから「クァク・ドウォンが出てくると何か嫌なことが起きる」というイメージが定着し始める。
『弁護人』の拷問警官チャ・ドンヨン[編集]
2013年のヤン・ウソク監督作『弁護人』では、ソン・ガンホ演じる税務弁護士と法廷で対峙する公安警察官チャ・ドンヨンを演じた。1980年代の軍事政権下で、大学生たちを「アカ」に仕立てるため拷問を指揮する役どころで、観客の憎悪を一身に集めた。本作は韓国で1000万人以上を動員する大ヒットとなり、クァク・ドウォンは釜日映画賞と韓国映画評論家協会賞の助演男優賞を受賞。悪役の憎たらしさがそのまま評価につながった、俳優冥利に尽きる一本である。
ドラマでも存在感[編集]
映画と並行してテレビドラマにも進出した。2012年のSBSドラマ『幽霊』では、ソ・ジソブと共演した刑事クォン・ヒョクジュ役でSBS演技大賞の特別演技賞と、コリアドラマアワードの優秀演技賞を受賞。2013年のKBSドラマ『グッド・ドクター』ではカン・ヒョンテ役を演じ、お茶の間にも顔が知られるようになった。2022年にはドラマ『ク・ピルスはいない』(原題『구필수는 없다』)でタイトルロールのク・ピルスを演じている。
『哭声/コクソン』で初主演[編集]
ナ・ホンジン監督の抜擢[編集]
キャリアの大きな転機となったのが、2016年5月公開の哭声/コクソンである。全羅南道の谷城(コクソン)で起きる連続怪死事件を描くオカルト・スリラーで、クァク・ドウォンは頼りない田舎の警察官ジョングを演じ、これが映画初主演となった。ナ・ホンジン監督は『哀しき獣』の撮影時に彼の演技を見て惚れ込み、本作の企画段階で直接出演を口説いたとされる。当時のクァクは「名前は知らないけど顔は知っている」脇役俳優で、主演起用には不安の声もあったが、監督は譲らなかったと伝えられている。
過酷な撮影と國村隼・ファン・ジョンミンとの共演[編集]
共演は祈祷師イルグァン役のファン・ジョンミン、謎のよそ者の日本人役の國村隼、白い服の女ムミョン役のチョン・ウヒ。撮影は予定より大幅に延び、1日に数カットしか撮れない日も珍しくない長丁場だったという。クァク本人は初主演に自信がなかったと振り返りつつ、体力の限界を精神力で乗り切ったと語っている。作品は韓国で約687万人を動員し、第69回カンヌ国際映画祭の非コンペティション部門でも上映された。
主演俳優としての評価[編集]
娘を救うため次第に常軌を逸していく平凡な父親という難役で、クァク・ドウォンは青龍映画賞・大鐘賞・釜日映画賞の主演男優賞に軒並みノミネートされた。受賞こそ逃したものの、韓国映画俳優協会の「コリアズ・トップスター賞」などを受賞し、「悪役専門の脇役」から「映画を背負える主演俳優」へと評価が一段上がった。小心者で汗だくのジョングは、観客が感情移入する「普通の人」の目線役でもあり、悪役のイメージとは真逆の芝居だったことも話題になった。
2016年以降の主な出演作[編集]
『アシュラ』の悪徳検事キム・チャイン[編集]
『哭声/コクソン』と同じ2016年に公開されたキム・ソンス監督のノワール『アシュラ』では、チョン・ウソン演じる汚職刑事を追い込む検事キム・チャインを演じた。ファン・ジョンミン、チュ・ジフンらとの共演で、出てくる人物が全員悪人という容赦ない作品の中でも、権力欲むき出しの検事像はひときわ不気味だった。
『鋼鉄の雨』と政治もの[編集]
2017年はチェ・ミンシク主演の『ザ・メイヤー 特別市民』で選挙参謀シム・ヒョクスを、年末公開のヤン・ウソク監督作『鋼鉄の雨』では大統領府の外交安保首席クァク・チョルウを演じた。北朝鮮のクーデターを題材にした『鋼鉄の雨』ではチョン・ウソンとダブル主演を務めた。2020年の続編(原題『강철비2: 정상회담』)では、一転して北朝鮮の護衛総局長パク・ジヌという敵役で出演した。
『KCIA 南山の部長たち』と『消防士』[編集]
2020年のウ・ミンホ監督作『KCIA 南山の部長たち』では、イ・ビョンホン演じるKCIA部長と対立する元KCIA部長パク・ヨンガクを演じた。実在の元KCIA部長キム・ヒョンウクをモデルにした役で、亡命先で権力の内幕を暴露しようとする男を生々しく演じている。同年には刑事コメディ『国際捜査!』でも主演。2024年12月公開のクァク・キョンテク監督作『消防士』(原題『소방관』)では、2001年のソウル・弘済洞の火災をモチーフにした物語で消防隊の班長役を演じた。
『ヴィランズ』[編集]
作品の概要[編集]
『ヴィランズ』は、偽造100ドル紙幣「スーパーノート(スーパーダラー)」をめぐり、悪人同士が血みどろの騙し合いを繰り広げるクライム・ドラマ。全8話で、2025年12月18日からTVINGで配信され、地域によってはHBO Maxや日本のDisney+でも配信された。演出はチン・ヒョク、パク・ジニョン。
キャストと役柄[編集]
クァク・ドウォンが演じるのは主要人物の一人チャン・ジュンヒョク。共演はユ・ジテ(J役)、イ・ボムス(チャ・ギテ役)、イ・ミンジョン(ハン・スヒョン役)と豪華な顔ぶれで、撮影自体は2022年に終わっていた。つまり視聴者が見たのは約3年前のクァク・ドウォンであり、作品の宣伝でも本人の露出は抑えられた。
炎上とバズ[編集]
2022年の飲酒運転[編集]
2022年9月25日午前5時ごろ、済州市涯月邑の路上で、クァク・ドウォンが運転してきた車を止めたまま車内で眠っているのが見つかり、警察に摘発された。住民の通報で駆けつけた警察が確認したところ、血中アルコール濃度は0.158%で、免許取り消し基準(0.08%)の約2倍だったと報じられている。約10kmを運転したとされる。検察は2023年4月に道路交通法違反(飲酒運転)で略式起訴し、同年6月、裁判所は罰金1000万ウォンの略式命令を出した。
出演作の公開延期と各方面への影響[編集]
この件で、すでに撮影を終えていた映画『消防士』と、ドラマ『ヴィランズ』(原題『빌런즈』)の公開が大きく遅れた。『消防士』は当初2022年公開予定だったが、最終的に2024年12月4日の公開となり、宣伝でもクァク・ドウォンの露出は最小限に抑えられた。クァク・キョンテク監督は公務員である消防士を演じた俳優の行動として「憎く、恨めしい」という趣旨の心境を率直に語っている。それでも映画は約385万人を動員するヒットとなった。また、KBSは2022年12月に一時的な出演制限措置を取り、出演していた公的キャンペーン映像は非公開となって出演料の返還が求められたと報じられている。
3年ぶりの復帰と賛否[編集]
活動休止から約3年後の2025年には舞台『欲望という名の電車』への出演が伝えられたが、約1か月で降板。同年12月18日にTVINGで配信が始まった『ヴィランズ』でようやく画面に戻ってきた。配信翌日の12月19日には報道各社に向けたコメントを出し、2022年の飲酒運転を「重大な過ち」と認めて謝罪したうえで、「許しを急いで求めることはしない、言葉ではなく生き方で証明したい」という趣旨の決意を述べた。ただし謝罪のタイミングが復帰作の配信翌日だったことから、韓国メディアでは「遅すぎる謝罪」「なぜ今」と厳しい論調も目立ち、視聴者の反応は割れている。
2018年の劇団関連騒動[編集]
2018年、韓国演劇界の#MeToo運動の中で、かつて所属していた演戯団コリペの元代表をめぐる事件が大きく報じられた。その流れで、ネット掲示板にクァク・ドウォンを示唆するような匿名の告発投稿が出たが、事務所は「当該時期にはすでに劇団を離れていた」として否定し、投稿も削除された。続いて事務所側の弁護士が「元代表の事件の告訴人の一部から金品を要求された」と主張し、告訴人側がこれを否定する形で双方の言い分が対立した。クァク本人は「後輩たちの過ちを許す」「#MeToo運動の意味が色あせないでほしい」という趣旨のコメントを出しており、その後この件で法的な決着が報じられることはなかった。
余談[編集]
- 悪役のイメージが強いが、実際の出演作リストを見ると刑事・検事・警察官・政府高官といった「権力側の人間」の役が異様に多い。本人の重量感ある風貌と声が、それだけ「権力者らしさ」を感じさせるということだろう。
- Xの投稿は映画祭や旅先での仲間との写真、新年のあいさつなどが中心で、絵文字「^♡^」を多用するお茶目な文面だった。強面の役柄とのギャップが大きい。
- 舞台時代の先輩オ・ダルスの「短編を撮れ」という一言がなければ、今の映画俳優クァク・ドウォンは存在しなかったかもしれない。
- 済州島に生活の拠点を置いていた時期があり、飲酒運転の摘発も済州市内でのことだった。
- 『アジョシ』や『母なる証明』での出演はごく短いので、今見返すと「探す楽しみ」がある。
- 『弁護人』と『鋼鉄の雨』はどちらもヤン・ウソク監督作。悪役と政府高官、真逆の立場で同じ監督に起用されている。
