| トンイ 동이(同伊) / Dong Yi | |
|---|---|
![]() トンイ役のハン・ヒョジュ(2024年・出典:Wikimedia Commons/CC BY 3.0) | |
| ジャンル | 時代劇、ロマンス |
| 放送期間 | 2010年3月22日 - 2010年10月12日 |
| 放送時間 | 月・火 21:55(韓国時間) |
| 話数 | 全60話 |
| 放送国家 | 韓国 |
| 言語 | 韓国語 |
| 放送局 | MBC |
| 平均視聴率 | 23.0%(AGBニールセン全国・最高29.1%) |
| 制作 | |
| プロデューサー | キム・ホヨン、アン・スンガク(製作総指揮) |
| 演出 | イ・ビョンフン、キム・サンヒョプ |
| 制作 | Lydus Contents Company、AStory |
| 脚本 | キム・イヨン |
| 出演者 | ハン・ヒョジュ、チ・ジニ、イ・ソヨン、ペ・スビン、パク・ハソン、キム・ユジョン |
| その他 | |
| オープニング曲 | 「夢見る道を歩く」(チャン・ナラ) |
概要[編集]
トンイ(동이)とは、2010年に韓国のMBCで放送された全60話の時代劇。朝鮮王朝第19代王・粛宗の側室で、第21代王・英祖の生母となった淑嬪崔氏(スクピン・チェシ)をモデルに、賤民の少女トンイが宮廷で頭角を現していく姿を描く。演出は『宮廷女官チャングムの誓い』『イ・サン』のイ・ビョンフン、主演はハン・ヒョジュ。
詳細[編集]
企画と制作[編集]
脚本は『イ・サン』に続いてイ・ビョンフン監督と組んだキム・イヨン、演出はイ・ビョンフンとキム・サンヒョプの共同。撮影はMBCが京畿道龍仁市に持つ時代劇用オープンセット「龍仁大長今パーク」を中心に行われた。この施設は『太陽を抱く月』など多くのMBC時代劇の撮影にも使われている。
イ・ビョンフン作品の特徴である「身分の低い女性が知恵と努力で道を切り開く」という骨格は本作でも共通しており、医女を描いた『チャングム』、王を描いた『イ・サン』に続いて、王の母となる女性を主役に据えた。オープニング曲はチャン・ナラが歌う「夢見る道を歩く(Walking on a Dreamy Road)」。
あらすじ[編集]
賤民の身分に生まれたトンイは、剣契(コムゲ)と呼ばれる賤民の秘密結社に関わる父と兄を、陰謀によって処刑されてしまう。真相を突き止めるため、トンイは身分を隠して宮中に入り、楽器を扱う掌楽院の下働きから、宮中の不正を調べる監察府(カムチャルブ)の女官へと進んでいく。
聡明さと度胸で宮中の事件を次々と解き明かすトンイは、身分を隠してお忍びで歩く粛宗と出会い、やがて王の寵愛を受けて側室となる。物語の中盤以降は、王妃の座をめぐる張禧嬪(チャン・ヒビン)との対立、西人と南人の党争、わが子・延礽君(ヨニングン、後の英祖)の王位継承をめぐる攻防が中心となる。
作品の構成と見どころ[編集]
前半は、監察府の女官となったトンイが宮中で起きる盗難や不正、陰謀を推理で解き明かしていく「事件もの」の性格が強く、数話ごとに事件が区切られていく。トンイの父と兄の死の真相という縦軸の謎が、その間を通して少しずつ明らかになる。
中盤以降は、トンイが粛宗の側室となったことで物語の重心が宮中の政治劇へ移り、王妃の座、党派の対立、王子の後継問題が絡み合う。チャン・オクチョンの側にも兄チャン・ヒジェや南人の官僚たちがつき、トンイの側にも西人の重臣や仁顕王后が立つため、個人の対立がそのまま朝廷の勢力争いと重なっていく構図になっている。終盤はトンイの息子・延礽君の成長と世子をめぐる攻防が描かれ、王の母となるまでの一代記として締めくくられる。
主な登場人物[編集]
- トンイ/淑嬪崔氏(演:ハン・ヒョジュ、少女時代:キム・ユジョン)…賤民出身のヒロイン。監察府の女官を経て粛宗の側室となる。
- 粛宗(演:チ・ジニ)…朝鮮王朝第19代王。お忍びで宮廷の外に出る気さくな一面を持つ。
- チャン・オクチョン/禧嬪張氏(演:イ・ソヨン)…粛宗の寵愛を受けて王妃の座に上り詰める女性。トンイの最大のライバル。
- 仁顕王后閔氏(演:パク・ハソン)…粛宗の正室。トンイの後ろ盾となる。
- チャ・チョンス(演:ペ・スビン)…トンイの兄の親友で、のちに王の護衛を務める武官。トンイを陰から守り続ける。
- ソ・ヨンギ(演:チョン・ジニョン)…捕盗庁の従事官で、トンイの父と兄の事件に関わる人物。
- オ・テソク(演:チョン・ドンファン)…西人派の重鎮。
- チャン・ヒジェ(演:キム・ユソク)…チャン・オクチョンの兄。
- ヨンダル(演:イ・グァンス)…掌楽院の楽士で、トンイの味方となるコミカルな人物。
- 延礽君(演:イ・ヒョンソク)…トンイの息子で、のちの英祖。
史実との関係[編集]
主人公のモデルである淑嬪崔氏は実在の人物だが、宮廷に入る前の経歴を伝える記録はほとんど残っていない。「トンイ」という名前を含め、宮廷入り前のエピソードの大半はドラマのための創作である。父と兄が剣契に関わっていたという設定や、監察府での活躍もフィクションに当たる。
一方で、粛宗の時代に王妃の座が張氏と閔氏の間で入れ替わったことは史実である。1689年の己巳換局で西人が失脚して仁顕王后が廃され、張氏が王妃に立てられたが、1694年の甲戌換局で南人が退けられると閔氏が王妃に復位し、張氏は嬪に降格された。張禧嬪は1701年、仁顕王后の死後に呪詛の嫌疑をかけられて死を賜っている。ドラマ後半の政争は、この党派の交代劇を下敷きにしている。
また、張禧嬪の産んだ王子がのちに第20代王・景宗となり、淑嬪崔氏の息子・延礽君が第21代王・英祖として跡を継いだことも史実に沿っている。英祖の孫が『イ・サン』の主人公である第22代王・正祖であるため、淑嬪崔氏は正祖の曽祖母にあたる。
張禧嬪は韓国時代劇では繰り返し描かれてきた人物で、作品ごとに悪女として描かれたり、悲劇のヒロインとして描かれたりと解釈が大きく分かれる。本作では物語の構図上、トンイと対立する側に置かれている。
視聴率と受賞[編集]
AGBニールセン全国基準で最高29.1%、最終回24.3%、全話平均23.0%を記録した(TNmS基準では最高33.1%・平均24.5%)。
2010年のMBC演技大賞では、ハン・ヒョジュが大賞(最高賞)を受賞したほか、チ・ジニが男性最優秀賞、イ・ソヨンが女性優秀賞、パク・ハソンが女性新人賞、チョン・ドンファンが男性助演賞、キム・ユソクが黄金演技賞、キム・ユジョンとイ・ヒョンソクが子役賞を受け、作品自体も視聴者が選ぶ今年のドラマ賞に選ばれた。イ・ビョンフン監督には功労賞が贈られている。翌2011年には香港のケーブルテレビの賞でも作品賞・主演男優賞・主演女優賞を受けた。
日本での放送[編集]
日本ではNHKのBSプレミアムで2011年4月10日から2012年6月17日まで日本語吹替版が放送され、続いてNHK総合テレビでも2013年1月20日から2014年5月4日まで放送された。NHKで放送された韓国ドラマの中でも高い視聴率を記録したとされる。
その後も民放での放送が続き、テレビ東京(2015年1月から)、CBCテレビ(2015年2月から)、BSジャパン(2015年12月から)、BS日テレ(2021年5月から)などで繰り返し放送されている。『チャングム』と並んで、日本の韓流時代劇ファンの入口になった作品のひとつである。
視聴ガイド[編集]
トンイは全何話?[編集]
全60話で、韓国での放送は1話あたり約70分。
トンイは実在の人物?[編集]
モデルは粛宗の側室・淑嬪崔氏で実在の人物だが、「トンイ」という名前や宮廷に入る前の物語はドラマの創作である。
トンイの息子は誰?[編集]
延礽君で、のちの朝鮮王朝第21代王・英祖である。英祖の孫が正祖にあたる。
『イ・サン』とのつながりは?[編集]
同じイ・ビョンフン監督・キム・イヨン脚本の作品で、『イ・サン』の主人公・正祖はトンイ(淑嬪崔氏)のひ孫にあたる。トンイ→英祖→思悼世子→正祖と4代を隔てた物語として見ることができる。
子役は誰?[編集]
少女時代のトンイを演じたのはキム・ユジョンで、のちに『雲が描いた月明り』『マイ・デーモン』『親愛なるX』などで主演する女優になった。
撮影場所は?[編集]
京畿道龍仁市にあるMBCの時代劇オープンセット「龍仁大長今パーク」が主な撮影地で、見学施設としても公開されている。
張禧嬪は悪役?[編集]
本作ではトンイと対立する立場で描かれるが、韓国時代劇の中では張禧嬪の描き方は作品ごとに大きく異なり、悲劇の女性として主役に据えた作品もある。
余談[編集]
- チ・ジニは『宮廷女官チャングムの誓い』でも主人公の相手役ミン・ジョンホを演じており、イ・ビョンフン作品への出演は本作で2度目となる。
- ヨンダル役のイ・グァンスは、のちにバラエティ番組『ランニングマン』のメンバーとしてアジア全域で知られるようになった。
- 全60話と長いため、日本では地上波・BSでの再放送が繰り返されており、「気づくとどこかのチャンネルでトンイをやっている」と言われることもある。
- 淑嬪崔氏(1670年〜1718年)の息子である英祖は、在位52年と朝鮮王朝で最も長く王位にあった王として知られる。
- 淑嬪崔氏から正祖までは4代にわたるため、『トンイ』と『イ・サン』を続けて見ると、同じ王家の100年近い歴史をたどることになる。
- ハン・ヒョジュは本作で大賞を受賞したのち、映画やドラマで活躍を続け、2023年のディズニープラスのドラマ『ムービング』にも出演している。
関連項目[編集]
- 宮廷女官チャングムの誓い:同じイ・ビョンフン監督の金字塔
- イ・サン:同監督による正祖の物語。世界観が地続き
- 太陽を抱く月:同じMBCの大ヒット時代劇
