| オ・ジョンセ 오정세 / Oh Jung-se | |
|---|---|
![]() 2024年11月、Netflix『Mr.プランクトン』制作発表会でのオ・ジョンセ(出典:Wikimedia Commons、作者:K-POPIT 케이팝잇、CC BY 3.0) | |
| 誕生日 | 1977年2月26日 |
| 年齢 | 49歳 |
| 出身地 | 大韓民国 慶尚南道 宜寧郡 |
| 国籍 | 大韓民国 |
| 学歴 | 宣文大学校(新聞放送学専攻) |
| ジャンル | 映画・テレビドラマ |
| 活動期間 | 1997年 - |
| 家族 | 妻(2006年結婚)、子ども2人 |
| 身長 / 体重 | 174 cm / ― kg |
| 事務所 | プレインTPC |
| 代表作 | 『椿の花咲く頃』『ストーブリーグ』『サイコだけど大丈夫』『悪鬼』『グッドボーイ』『ワイルド・シング』 |
| あだ名 | 하찮미(ハチャンミ)、シーンスティーラー |
| その他 | 百想芸術大賞TV部門男性助演賞を2020年・2021年に2年連続受賞 |
概要[編集]
オ・ジョンセ(오정세、Oh Jung-se、1977年2月26日 - )とは、韓国の俳優である。端役「客2」でデビューしてから20年以上、100本を超える作品に出続けた末に『椿の花咲く頃』『サイコだけど大丈夫』で百想芸術大賞を2年連続受賞した、韓国きっての「シーンスティーラー」である。
詳細[編集]
宜寧生まれ、城南育ち[編集]
1977年2月26日、慶尚南道宜寧郡で生まれ、幼い頃に京畿道城南市へ移って育った。大学は宣文大学校で新聞放送学を専攻している。もともと俳優志望だったが、本人いわく極度の舞台恐怖症で、オーディション会場に入ると緊張で吐き気が止まらなくなり、落ち続けたという。のちに『ユ・クイズ ON THE BLOCK』などのトーク番組でこの時期を振り返り、数えきれないほどオーディションに落ちた経験を明かしている。
「客2」から始まった長い下積み[編集]
映画デビューは1997年の『父(아버지)』で、役名は「客2」。そこから10年以上、名前もろくにない役を渡り歩き、作品によっては画面に映るのが1秒程度ということもあったとされる。それでも「主役か脇役か、役の大きさは問わない。やりたい作品なら通行人役でも出る」というスタンスは一貫しており、気づけば出演作は100本を超えていた。この「本数の多さ」が、のちの受賞スピーチの伏線になる。
30代後半でようやく顔が売れる[編集]
大衆的に名前が知られ始めたのは2013年の映画『男の取扱説明書(남자사용설명서)』。だらしなくて自己中心的なトップスター役をコミカルに演じ、映画ファンの注目を集めた。その後も『操作された都市』(2017年)の悪役、『スウィング・キッズ』(2018年)、そして観客1600万人を超えるメガヒットとなった『エクストリーム・ジョブ』(2019年)のテッド・チャン役など、主役のすぐ横で強烈な印象を残す役が続く。いわゆる「信じて見る脇役」のポジションを固めたのがこの時期である。
『椿の花咲く頃』と「ハチャンミ」ブーム[編集]
ノ・ギュテという「しょうもない男」[編集]
ブレイクの決定打となったのが、2019年にKBS2で放送された『椿の花咲く頃』。コン・ヒョジン演じるトンベクが暮らす港町オンサンで、見栄っ張りで浮気性、どこか小物感が抜けない男ノ・ギュテを演じた。本来なら視聴者に嫌われてもおかしくない役どころだが、オ・ジョンセはこの人物の本質を「孤独」と解釈し、寂しいから出会う人や物に次々と惹かれてしまう男として造形した。
小道具と衣装にまで込めた設定[編集]
役作りでは、孤独をテーマにした小説を小道具として置いてほしいと自ら提案したほか、虚勢を張る男らしく、服のボタンのほつれやシワなど「詰めの甘さ」を衣装に仕込んだという。取調室で妻に愛を告白する場面では、台本にない「あなただけを愛してる」というセリフをアドリブで加え、二人の成長を見せたかったと語っている。
「하찮미」というあだ名[編集]
このノ・ギュテ役から生まれたのが「하찮미(ハチャンミ)」というあだ名。「하찮다(取るに足らない、しょうもない)」に「美」をくっつけた造語で、「しょうもないのに愛おしい魅力」くらいの意味である。本人はインタビューで「そのあだ名が一番気に入っている」と答えており、まんざらでもない様子だった。この役で2019年のKBS演技大賞助演賞を受賞し、翌年の百想芸術大賞へとつながっていく。
百想芸術大賞2年連続受賞[編集]
2020年:「自分だけのトンベクに出会える」[編集]
2020年6月5日、コロナ禍のため無観客で開かれた第56回百想芸術大賞で、『椿の花咲く頃』によりTV部門男性助演賞を受賞。同作はTV部門大賞を含む4冠を達成した。このときのスピーチは韓国でいまも語り草になっている。要約すると「100本を超える作品に、どれも同じ気持ちで同じように一生懸命取り組んできた。振り返れば、うまくいったのは自分が上手だったからでも、失敗したのは自分が下手だったからでもなかった。だから自分を責めないでほしい。続けていれば、いつも通りやっていたのに、それまで得られなかった慰めと報いが訪れる。自分にとってはそれがトンベクだった。皆さんもきっと自分だけのトンベクに出会える」という内容で、無名時代の長い俳優が語ったからこその説得力で大きな反響を呼んだ。
2021年:『サイコだけど大丈夫』で連覇[編集]
翌2021年5月13日の第57回百想芸術大賞では、『サイコだけど大丈夫』で再びTV部門男性助演賞を受賞し、同部門2年連続受賞という快挙を成し遂げた。受賞の挨拶では、こんなに愛されていいのかと思うほど愛された、と作品への感謝を述べ、助演は主演を助ける役割だとして共演者への謝意も示した。「サイコだけど大丈夫で百想受賞」という話はよく見かけるが、正確には2020年が『椿の花咲く頃』、2021年が『サイコだけど大丈夫』である。
『サイコだけど大丈夫』のムン・サンテ[編集]
自閉スペクトラム症の兄という難役[編集]
2020年にtvNで放送された『サイコだけど大丈夫』では、キム・スヒョン演じる主人公ガンテの兄で、自閉スペクトラム症を持つ絵の好きな青年ムン・サンテを演じた。主演のキム・スヒョンとソ・イェジの熱演とともに、オ・ジョンセの演技も国内外で高い評価を受け、作品はNetflixを通じて世界的な人気を得た。
「演技の材料」ではなく観察として[編集]
役作りにあたっては、発達障害のある人たちが通う施設を訪ね、当事者の姿を観察したとされる。コラムニストからは、「演技の材料」を拾いに行くのではなく、自然なふるまいを理解するための訪問だったと評された。また、彼は1シーンにつき10通り前後の解釈を用意して監督に選んでもらうタイプだとも紹介されている。
同じ夏の「2テ」[編集]
同じ2020年の夏、JTBC『模範刑事』では冷酷なサイコパスのオ・ジョンテを演じており、ほぼ同時期に「サンテ」と「ジョンテ」という正反対の人物を見せたことから、韓国メディアでは「2テ(두 태)」の夏と呼ばれた。純粋な兄と、蛇のように冷たい悪役を同じシーズンに演じ分けたことで、「千の顔を持つ俳優」という評価が定着した。
ドラマで光る悪役・怪人たち[編集]
『ストーブリーグ』のクォン・ギョンミン[編集]
2019年12月から2020年2月にかけてSBSで放送された『ストーブリーグ』では、弱小プロ野球球団の社長で、親会社会長の甥クォン・ギョンミンを演じた。ナムグン・ミン演じる新任団長の改革にことごとく立ちはだかる憎まれ役で、この役で2020年のSBS演技大賞ベストキャラクター賞を受けている。『椿の花咲く頃』の放送終了からわずか1か月後のスタートで、「ハチャンミ」の直後に「腹立つ社長」を見せる振り幅が話題になった。
『悪鬼』の民俗学教授[編集]
2023年のSBS『悪鬼』では、キム・テリと組み、悪鬼が見える民俗学教授ヨム・ヘサンを演じた。コミカルさを封印した抑えた芝居で、ホラーミステリーの「解説役」を担った。同じ2023年には、キム・ジウン監督の映画『クモの巣』での演技で大鐘賞助演賞を受賞している。
配信ドラマでの存在感[編集]
配信作品でも引っ張りだこで、Netflixの『Sweet Home -俺と世界の絶望-』シーズン2・3ではイム博士を、2024年の『Mr.プランクトン』ではイ・ユミ演じるジェミの婚約者で名門家の跡取りオ・フンを演じた。『Mr.プランクトン』ではウ・ドファン扮する主人公に花嫁を連れ去られる「憎めない花婿」として評判になった。2025年にはDisney+の『北極星』(チョン・ジヒョン・カン・ドンウォン主演)でチャン・ジュンサンを演じている。
『グッドボーイ』の巨悪ミン・ジュヨン[編集]
2025年のJTBC『グッドボーイ』では、パク・ボゴム率いる元メダリスト警察チームと対峙する街の黒幕ミン・ジュヨンを演じた。コミカルな役のイメージが強い視聴者ほど、その怪演ぶりに驚かされたという評判である。同年にはtvN『星がウワサするから』(イ・ミンホ、コン・ヒョジン主演)にも出演し、Global OTT Awardsでは助演賞を受賞した。
2026年の最新動向[編集]
1年に4作が並ぶ「オ・ジョンセ祭り」[編集]
2026年は出演作が立て続けに公開・放送され、韓国メディアは「オ・ジョンセ全盛時代」「千の顔」と書き立てた。まず3月から放送されたENAの月火ドラマ『クライマックス』(Genie TVオリジナル)では、チュ・ジフン演じるスター検事パン・テソプが権力のカルテルに飛び込む物語の中で、WRグループの長男クォン・ジョンウクを演じた。
『モジャムサ』と『オシップロ』[編集]
4月からはJTBC土日ドラマ『誰もが自分の無価値さと戦っている』(通称『モジャムサ』)に出演。『私のおじさん』『私の解放日誌』の脚本家パク・ヘヨンの新作で、成功した映画監督パク・ギョンセを演じ、主演ク・ギョファンとの「嫌い合い」の関係で笑いと苦みを同時に生んだ。共演はコ・ユンジョンらで、最終回の視聴率は5.3%(全国)だった。さらに5月22日からはMBC金土ドラマ『オシップロ(50プロ)』で、記憶を失い姪と暮らす北朝鮮の特殊工作員ポン・ジェスンを演じ、アクションコメディにも挑戦している。
映画『ワイルド・シング』で90年代バラード歌手に[編集]
6月3日公開の映画『ワイルド・シング』(ソン・ジェゴン監督)では、20年ぶりに再結成を目指す混成ダンスグループ「トライアングル」(カン・ドンウォン、オム・テグ、パク・ジヒョン)と共演する、永遠のチャート2位のバラード王子チェ・ソンゴンを演じた。劇中歌は音楽配信チャートにランクインし、チェ・ソンゴンの舞台映像は公開10日あまりで100万回再生を突破。ショートヘアにはにかんだ表情、キュートな振り付けがミームとしてSNSで拡散され、チャレンジ動画まで生まれた。
その先の予定[編集]
2026年5月には、『新兵』シリーズのミン・ジンギ監督によるTVINGオリジナルの新作で主演を務めることが報じられた。平凡な30〜40代の既婚男性たちが社会人野球団を通じて連帯していくコメディで、2027年公開予定とされる。また2026年には韓国ファーストブランド大賞の「俳優‐シーンスティーラー」部門にも選ばれている。
演技スタイルと評価[編集]
コメディと狂気の振り幅[編集]
オ・ジョンセの最大の武器は、同じ顔で「笑える小物」と「ゾッとする悪人」を往復できる振り幅である。『エクストリーム・ジョブ』や『ワイルド・シング』の笑い、『模範刑事』や『グッドボーイ』の冷たさ、『サイコだけど大丈夫』の繊細さが同じ俳優から出てくることが、「千の顔」と呼ばれるゆえんだ。
準備の量[編集]
前述のように、1シーンに複数の演じ方を用意して現場に臨むことで知られる。GQコリアのインタビューでは、テクニックより「本当に存在しているように見える人物」を目指していると語り、何もしない演技の難しさについても触れている。インディー音楽好きで、良い曲を聴くとそのミュージシャンのライブ日程を調べてしまうという一面もある。
韓国映画振興委員会の「韓国俳優200」[編集]
2021年には韓国映画振興委員会(KOFIC)が選ぶ「韓国俳優200」に名を連ね、同年には文化体育観光部長官表彰も受けた。かつての「客2」が、国が選ぶ代表的俳優の一人になったわけである。
主な受賞歴[編集]
| 年 | 賞 | 部門 | 作品 |
|---|---|---|---|
| 2019年 | KBS演技大賞 | 助演賞 | 椿の花咲く頃 |
| 2020年 | 第56回百想芸術大賞 | TV部門男性助演賞 | 椿の花咲く頃 |
| 2020年 | SBS演技大賞 | ベストキャラクター賞 | ストーブリーグ |
| 2021年 | 第57回百想芸術大賞 | TV部門男性助演賞 | サイコだけど大丈夫 |
| 2021年 | APAN STAR AWARDS | 助演賞 | - |
| 2023年 | 大鐘賞 | 助演賞 | クモの巣 |
| 2023年 | コリアドラマアワード | 最優秀賞 | - |
| 2025年 | Global OTT Awards | 助演賞 | - |
| 2026年 | 韓国ファーストブランド大賞 | 俳優‐シーンスティーラー | - |
炎上とバズ[編集]
「自分だけのトンベク」スピーチ[編集]
2020年の百想スピーチは、受賞から何年経っても「名スピーチ」としてSNSやまとめ記事で繰り返し拡散されている。長い下積みの末に報われた俳優の言葉として、努力が報われずに悩む人を励ます言葉としてたびたび引用され、スピーチ動画も大きな再生数を記録している。
チェ・ソンゴン「恩返し」事件[編集]
2026年、『ワイルド・シング』公開時に、リュ・スンリョンがチェ・ソンゴンのカツラをかぶって歌う動画をSNSに上げて応援した。するとオ・ジョンセは9月3日、所属事務所プレインTPCの公式SNSで、カツラ・メイク・衣装まで完全再現したチェ・ソンゴン姿で、リュ・スンリョンの新作映画『비광(ピグァン)』を応援する映像を公開。「니가 '비광'이라서 좋아(君が『ピグァン』だから好き)」というメッセージ付きで、韓国メディアには「恩返ししたチェ・ソンゴン」として取り上げられた。
余談[編集]
- デビュー作『父』での役名は「客2」。下積み時代は「1秒しか映らない」役もあったとされる。
- 『エクストリーム・ジョブ』ではリュ・スンリョン、チン・ソンギュらと共演。のちに2026年の『ワイルド・シング』でリュ・スンリョンと「SNS応援合戦」を繰り広げることになる。
- 『椿の花咲く頃』(2019年11月終了)と『ストーブリーグ』(同年12月開始)は放送時期が連続しており、「しょうもない夫」から「腹立つ球団社長」へ間を置かずに切り替わった。
- 2026年はドラマ3本(『クライマックス』『モジャムサ』『オシップロ』)と映画1本(『ワイルド・シング』)が上半期にほぼ連続して世に出た。
