| 名探偵コナン 緋色の弾丸 Detective Conan: The Scarlet Bullet | |
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作中の「真空超電導リニア」のモチーフとなった超電導リニアの試験車両L0系(山梨リニア実験線、2013年撮影)(出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY-SA 3.0) | |
| 監督 | 永岡智佳 |
| 製作 | 近藤秀峰、米倉功人、石山桂一(プロデューサー)ほか |
| 脚本 | 櫻井武晴 |
| 原作 | 青山剛昌『名探偵コナン』 |
| 出演 | 高山みなみ、山崎和佳奈、小山力也、池田秀一、日髙のり子、田中敦子、森川智之、置鮎龍太郎、平野綾、鈴村健一、楠大典、浜辺美波 ほか |
| 音楽 | 大野克夫 |
| ジャンル | アニメ映画、ミステリー、アクション |
| 制作会社 | トムス・エンタテインメント(TMS/V1 Studio)、制作協力:CloverWorks |
| 配給 | 東宝 |
| フォーマット | 2D、IMAX、4DX、MX4D、ドルビーシネマ |
| 劇場公開 | 2021年4月16日(当初予定は2020年4月17日) |
| 上映時間 | 110分 |
| 興行収入 | 76.5億円(日本) |
| 言語 | 日本語 |
| レイティング | G |
| 前作 | 名探偵コナン 紺青の拳(2019年) |
| 次作 | 名探偵コナン ハロウィンの花嫁(2022年) |
| リンク | https://www.conan-movie.jp/ |
概要[編集]
名探偵コナン 緋色の弾丸(めいたんていコナン ひいろのだんがん)とは、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』を原作とする劇場版アニメ第24作である。FBI捜査官・赤井秀一とその家族「赤井一家」が劇場版で初めて勢ぞろいし、時速1000kmで走る真空超電導リニアと、15年前にボストンで起きた連続拉致事件をめぐる謎が描かれる。コロナ禍によりシリーズ初の公開延期を経て、2021年4月16日に公開された。
詳細[編集]
作品の位置付け[編集]
劇場版『名探偵コナン』は1997年の『時計じかけの摩天楼』以来、毎年4月に新作が公開されてきたシリーズである。本作は令和に入って最初に公開された劇場版でもあり、前作『紺青の拳』(2019年)が興行収入93.7億円の大ヒットを記録した直後の作品として大きな注目を集めた。
監督は『紺青の拳』に続いて2作連続の登板となる永岡智佳、脚本は『絶海の探偵』『ゼロの執行人』などを手がけた櫻井武晴。音楽はシリーズ第1作から劇伴を担当してきた大野克夫で、結果的に本作が大野にとって最後の劇場版コナンとなった(次作からは菅野祐悟が担当)。
赤井一家の集結[編集]
本作最大の売りは、赤井秀一、羽田秀吉、世良真純、そして母メアリーという「赤井一家」が初めて一本の映画で揃うことである。原作でも家族全員が同じ場面に顔をそろえたことはなく、公開前から「ファミリー映画」として宣伝された。2019年11月末には「FAMILY」の文字を1日1つずつ明かしていくカウントダウン企画も行われている。
赤井秀一が劇場版でメインを張るのは2016年の『純黒の悪夢』以来5年ぶり、世良真純は2014年の『異次元の狙撃手』以来7年ぶりの劇場版登場である。また、沖矢昴の正体が赤井であることが原作で明かされた後に、沖矢として劇場版に登場するのは本作が初めてとなった。脚本の櫻井によれば、当初は「赤井秀一」の映画として企画されていたものが、打ち合わせの中で「赤井一家」の物語へと膨らんでいったとされる。
舞台とテーマ[編集]
物語の舞台は、東京で開催される4年に一度の世界的スポーツ大会「WSG(ワールド・スポーツ・ゲームス)」と、その開会式にあわせて開業する「真空超電導リニア」。名古屋と東京を結ぶこのリニアは、真空状態のチューブ内を最高時速1000kmで走る夢の乗り物という設定で、作中の新名古屋駅から東京側の芝浜駅までを一気に結ぶ。
当初の公開予定は2020年4月で、同年夏に予定されていた東京オリンピックを強く意識した企画だったことは明らかである。WSGという架空の大会名や、スポンサー企業が狙われるという事件の構図にも、五輪イヤーらしい時事性が込められていた。ところが現実ではオリンピックも映画もそろって1年延期となり、奇しくも作品と現実がシンクロする形となった。
あらすじ[編集]
前半(ネタバレなし)[編集]
4年に一度の世界的スポーツの祭典・WSGが東京で開催されることになり、開会式にあわせて世界初の真空超電導リニアが開業しようとしていた。WSGのスポンサー企業が集うパーティーに、江戸川コナン、毛利蘭、毛利小五郎、鈴木園子らが参加するが、その会場で停電が起き、大手スポンサー企業の重役が何者かに拉致されるという事件が発生する。
事件を調べるうちにコナンは、15年前にアメリカ・ボストンで開催されたWSGの際にも、スポンサー企業のトップが次々と拉致される事件が起きていたことを知る。当時その事件を指揮していたのはFBIで、現在の国際WSG協会会長アラン・マッケンジーは、15年前には現職のFBI長官だった人物である。
一方、自動車メーカー「日本コード」のCEOでイギリス人のジョン・ボイドは、次に狙われるのは自分ではないかと恐れ、身辺警護を依頼する。その裏では、イギリスのMI6の任務を帯びたメアリーと世良真純が、そしてFBIの赤井秀一やジェイムズ・ブラック、ジョディ・スターリング、アンドレ・キャメルらが、それぞれ独自に動き始めていた。
中盤(ネタバレなし)[編集]
コナンは15年前の事件との共通点から、犯人の次の狙いがリニアの体験乗車や開会式に絡むものだと推理していく。真空超電導リニアには、コナンの仲間である少年探偵団や阿笠博士も体験乗車を予定しており、事件は次第に多くの人々を巻き込む規模へと膨れ上がっていく。
赤井秀一は沖矢昴の姿のまま、FBIの仲間や弟の羽田秀吉と連携して事件を追う。秀吉はプロ棋士としての先読み能力を捜査に提供し、世良は持ち前の行動力でコナンとともに現場を駆け回る。家族でありながら互いの立場や正体を知らない者もいる赤井一家が、別々の場所から一つの事件に迫っていく構成が本作の見どころである。
結末(重大なネタバレ)[編集]
※以下は事件の真相と結末に関する重大なネタバレを含む。
犯人と動機[編集]
一連の事件の犯人は、日本WSG協会の広報で体験乗車や開会式の案内役を務めていた白鳩舞子と、真空超電導リニアのチーフエンジニア井上治の2人だった。白鳩舞子は、15年前のボストンの拉致事件で逮捕され、獄中で亡くなった石原誠(マコト)の娘である。父は無実を訴えていたが聞き入れられず、母も心労で亡くなったことから、彼女はFBIが父に罪を着せたと思い込み、当時の長官だったアランへの復讐を計画していた。
井上治もまた15年前の事件の関係者で、拉致被害に遭った企業トップの息子だった。父の企業は事件後に「テロに屈した」とバッシングを受けてスポンサーを降り、父は重役を解任されるなど人生を狂わされた。井上はFBIの対応に恨みを抱き、白鳩と手を組んだ。なお、物語の終盤ではFBI側から「白鳩の父は実際に事件の犯人だった」ことが示され、復讐の前提そのものが思い込みだったという苦い結末になっている。
緋色の弾丸[編集]
白鳩は開業運行中のリニアの中でアランを殺害しようとし、コナンと世良はリニアに乗り込んで彼女を追い詰める。時速1000kmで真空チューブ内を走るリニアの車内にいる犯人を止めるため、赤井秀一は長距離狙撃を敢行。磁力の影響を受けない特注の銀の弾丸を用い、空気抵抗のない真空チューブを通して犯人の肩を撃ち抜くという、シリーズ屈指の“人間離れした”狙撃を成功させる。
この弾丸は赤井がキャメルに用意させたもので、コナンが車内の位置関係を巧みに誘導し、赤井が狙いやすい状況を作っていたことも後に明かされる。黒ずくめの組織のベルモットが新一や赤井を「シルバーブレット(銀の弾丸)」と呼ぶ原作の設定と、本物の銀の弾丸を重ねたタイトル回収でもある。
秀吉の詰将棋とリニアの暴走[編集]
一方、逃走した井上は、FBIの追跡をかわして姿をくらまそうとする。ここで秀吉が「詰将棋」のように逃走経路を読み切り、FBIのカーチェイスと連携して井上を追い詰める。赤井が弟を「世界一のブレーン」と信頼して作戦を任せる場面は、兄弟の関係性が見えるシーンとして人気が高い。
しかし井上の仕掛けによってリニアは制御不能に陥り、終点の芝浜駅、そしてWSG開会式が行われるスタジアムへ向けて暴走を始める。コナンと世良は、開会式用に用意されていた巨大な万国旗をパラシュート代わりにして減速させ、さらにコナンが巨大なサッカーボールをクッション代わりに使うという劇場版らしい大技で乗客の命を守る。リニアはスタジアムに突っ込むものの、コナンと世良、アランらは奇跡的に生還した。
エピローグ[編集]
事件後、沖矢昴は酔いつぶれた秀吉と宮本由美を車で送り届ける。その後部座席には、いつの間にかメアリーが潜んでおり、沖矢に拳銃を突きつけて意味深な言葉をかけたのち姿を消す。メアリーが沖矢の正体にどこまで気づいているのか、ファンの間で大きな考察の的となった。劇場版で工藤新一が登場しないエピローグはシリーズ初とされる。
登場人物[編集]
赤井一家[編集]
- 赤井秀一(声:池田秀一/沖矢昴としての声:置鮎龍太郎) - FBI捜査官。黒ずくめの組織に潜入していた過去を持ち、現在は死を偽装して大学院生・沖矢昴として工藤邸に住んでいる。本作では沖矢の姿で事件を追い、クライマックスで伝説的な狙撃を見せる。
- 世良真純(声:日髙のり子) - 赤井一家の末っ子で、帝丹高校に通う女子高生探偵。ジークンドーの使い手。本作ではコナンと行動を共にし、リニア内で大立ち回りを演じる。
- 羽田秀吉(声:森川智之) - 赤井家の次男で、数々のタイトルを持つ天才プロ棋士。交通課の宮本由美と交際中。本作では捜査の「頭脳」として活躍し、恋愛パートの癒やし担当でもある。
- メアリー(声:田中敦子) - 赤井一家の母でMI6の諜報員。組織の薬により子どもの姿になっており、世良とともに身を隠している。本作ではジョン・ボイドの護衛に関わり、ラストで沖矢に強烈な一撃(言葉)を残す。
レギュラー陣[編集]
- 江戸川コナン(声:高山みなみ)
- 毛利蘭(声:山崎和佳奈)
- 毛利小五郎(声:小山力也)
- 灰原哀(声:林原めぐみ)
- 工藤新一(声:山口勝平)
- ジェイムズ・ブラック(声:土師孝也)、ジョディ・スターリング(声:一城みゆ希)、アンドレ・キャメル(声:梁田清之) - FBIの面々。
- 宮本由美(声:杉本ゆう) - 秀吉の恋人。
ゲストキャラクター[編集]
| 役名 | 声 | 設定 |
|---|---|---|
| 白鳩舞子 | 平野綾 | 日本WSG協会の広報。29歳。体験乗車や開会式の案内役。 |
| 井上治 | 鈴村健一 | 真空超電導リニアのチーフエンジニア。 |
| ジョン・ボイド | 楠大典(英語台詞:ライアン・ドリース) | 自動車メーカー「日本コード」CEO兼社長。イギリス人。51歳。 |
| アラン・マッケンジー | チャールズ・グラバー | 国際WSG協会会長。64歳。元FBI長官で、若い頃は射撃選手としてWSGに出場した経験を持つ。 |
| 石岡エリー | 浜辺美波 | リニアの客室乗務員。25歳。「リニアスタッフのアイドル」を自称する明るい女性。 |
ゲスト声優[編集]
浜辺美波[編集]
芸能人ゲスト枠として出演したのは女優の浜辺美波。『HELLO WORLD』などでアニメ映画の声優経験があり、本作ではリニアの客室乗務員・石岡エリーを演じた。浜辺は自分の名前の由来が『タッチ』のヒロイン・浅倉南であることを明かしており、その浅倉南を演じた日髙のり子(世良真純役)との共演を喜ぶコメントを寄せている。
平野綾・鈴村健一・楠大典[編集]
本職の声優からは、白鳩舞子役に平野綾、井上治役に鈴村健一、ジョン・ボイド役に楠大典が起用された。劇場版コナンでは物語の鍵を握る役にベテラン声優が配されることが多く、本作でも事件の核心に関わる2人が実力派で固められている。ジョン・ボイドの英語の台詞部分は別キャストが担当しており、国際色豊かな作品世界を演出している。
制作と公開延期[編集]
当初の予定[編集]
本作は当初、2020年4月17日の公開が予定されていた。2020年2月には主題歌が発表され、ポスタービジュアルや予告編も公開されるなど、例年どおりのスケジュールで宣伝が進んでいた。
コロナ禍による1年延期[編集]
しかし新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2020年4月3日に公開延期が発表された。劇場版コナンが公開延期となるのは、シリーズ24年の歴史で初めてのことだった。結局、2020年は1997年以来初めて劇場版コナンの新作が公開されない年となり、公開は翌年に持ち越された。
2020年12月3日、新たな公開日が2021年4月16日に決定したことが発表され、あわせて「再装填(RELOAD)プロジェクト」が始動。止まった時計と「2020年4月 緋色の弾丸 公開延期」の文字から始まる映像とともに、過去23作のタイトルを「12発の弾丸」に見立てた12種類の企画を順次展開した。コナン役の高山みなみは「待つ身の一年は長いが」と冗談まじりにファンへ感謝を伝えている。
前哨戦と公開形態[編集]
2021年2月11日からは、赤井一家にスポットを当てたテレビシリーズの特別総集編『名探偵コナン 緋色の不在証明』が期間限定で劇場公開された。コナンによる新規ナレーションを加えたもので、初週末の興行ランキングで2位に入るなど、総集編としては異例のヒットとなった。本編公開前には、赤井関連エピソード「漆黒の特急」などの再放送も組まれた。
本編は劇場版シリーズとして初めてIMAX、4DX、MX4D、ドルビーシネマで同時公開され、公開館数もシリーズ最大規模となった。また2月には22の国と地域での同日公開も発表され、日本語・英語・韓国語・ドイツ語・中国語の多言語予告編が公開されている。
興行収入[編集]
好スタートと緊急事態宣言[編集]
公開初日の興行収入は前作比144%と好調で、公開3日間で観客動員153万3000人、興行収入22億1800万円を記録した。ところが公開直後の2021年4月25日から、東京・大阪・京都・兵庫に3度目の緊急事態宣言が発令され、大都市圏の映画館が軒並み休業。最大のマーケットを約2か月にわたって失うという、極めて厳しい状況に置かれた。
最終成績[編集]
最終的な興行収入は76.5億円で、2021年公開の邦画では『シン・エヴァンゲリオン劇場版』に次ぐ第2位となった。前作『紺青の拳』(93.7億円)や前々作『ゼロの執行人』(91.8億円)からは数字を落としたが、大都市圏の映画館が閉まった中でのこの成績は、むしろシリーズの異常なまでの安定感を示したものとして評価されている。
海外でも中国本土で公開3日間に約1億元を稼いで初登場1位となるなど好調で、世界興行収入は1億ドルを超えたとされる。その勢いは次作『ハロウィンの花嫁』(97.8億円)、さらに100億円突破の『黒鉄の魚影』へとつながっていった。
主題歌[編集]
東京事変「永遠の不在証明」[編集]
主題歌は東京事変の「永遠の不在証明」。作詞・作曲は椎名林檎で、2020年1月1日に“再生”(再結成)を発表したばかりの東京事変にとって、約8年ぶりの新曲であり、劇場版コナンとの初タッグとなった。2020年2月29日の閏日に先行配信され、同年4月発売のEP『ニュース』に収録された。
楽曲の評価[編集]
椎名林檎はバンドとして「このような暗躍モノこそ、我々東京事変の十八番です」とコメント。スリリングなバンドサウンドと「不在証明(アリバイ)」というタイトルは、偽りの死によって身を隠す赤井秀一の境遇とも重なり、ファンの間では「赤井のテーマ」として受け止められた。映画の公開が1年延びたため、楽曲だけが先に世に出て1年以上“主題歌待ち”の状態が続いたのも珍しい経緯である。総集編のタイトル『緋色の不在証明』も、この曲名にちなんでいる。
評価[編集]
好意的な評価[編集]
赤井一家それぞれに見せ場が用意されている点はファンから高く評価された。特に、時速1000kmのリニアに向けた赤井の狙撃は「異次元レベル」「人間をやめた」と話題になり、沖矢昴から赤井へと切り替わる場面、世良とコナンの息の合ったアクション、秀吉と由美のラブコメ要素などがバランスよく盛り込まれている点が好評だった。赤井とコナンの信頼関係の描写を評価するレビューも多い。
賛否のあった点[編集]
一方で、リニアがスタジアムに突っ込むクライマックスの派手さや、物理法則を超えた狙撃描写については「やりすぎ」との声もあり、映画レビューサイトでは評価が割れた。ミステリーとしての謎解きよりも、キャラクター映画・アクション映画としての色合いが強い作品と受け止められている。とはいえ、赤井一家の関係性に踏み込んだ作品として原作ファンからの支持は根強い。
配信・視聴方法[編集]
テレビ放送[編集]
地上波では、2022年4月22日に日本テレビ系「金曜ロードショー」で本編ノーカットにて初放送された。同時期には、翌週公開の『ハロウィンの花嫁』に向けた特別編集版の放送も組まれていた。
映像ソフト・配信[編集]
Blu-ray・DVDは劇場公開と同じ2021年のうちに発売されている。動画配信サービスでは、Netflix、U-NEXT、Amazon Prime Video、Huluなどで配信・レンタルされることが多いが、見放題かレンタルか、配信の有無は時期によって変わるため、各サービスで最新の状況を確認する必要がある。毎年春の新作公開前後には、過去作がまとめて配信・放送される傾向がある。
英語版・コミカライズ[編集]
英語吹替版はBang Zoom! Entertainmentが制作し、2023年11月にアメリカのイベント「Anime NYC」でお披露目された。また、映画のコミカライズ版が小学館の『少年サンデーS』で連載された。
関連作との繋がり[編集]
赤井一家の物語として[編集]
本作を楽しむうえで押さえておきたいのは、原作の「赤井一家」の背景である。秀一・秀吉・真純の3きょうだいは父の失踪を機に別々の姓を名乗っており、母メアリーは組織の薬で幼児化している。赤井と世良の関係を描いた原作エピソード「緋色シリーズ」や、羽田秀吉の初登場回、劇場版『純黒の悪夢』『異次元の狙撃手』などを事前に見ておくと、本作の細かな掛け合いが何倍も楽しめる。総集編『緋色の不在証明』は、まさにその予習用として作られた作品である。
前後の劇場版[編集]
前作『紺青の拳』(2019年)は同じ永岡智佳監督による作品で、シンガポールを舞台に怪盗キッドと京極真が活躍した。次作『ハロウィンの花嫁』(2022年)では警察学校組と安室透が主役となり、監督は満仲勧、音楽は菅野祐悟へと交代している。赤井は2023年の『黒鉄の魚影』でも重要な役割を担っており、赤井ファンにとって本作は劇場版での活躍を語るうえで外せない一本になっている。
余談[編集]
- 公開延期によって、2020年は1997年以来初めて劇場版コナンの新作が公開されない年となった。同じく延期された東京オリンピックとあわせ、「現実が作品に追いついてしまった」と話題になった。
- 本作はシリーズ第1作から劇伴を担当してきた大野克夫が手がけた最後の劇場版となった。おなじみのメインテーマのアレンジは次作以降、菅野祐悟に引き継がれている。
- 公開にあわせて名古屋でのコラボも行われ、名鉄の江南駅が期間限定で「名探偵コナン駅」に変身したほか、名古屋駅前の巨大マネキン「ナナちゃん人形」が本作仕様の衣装をまとった。
- メアリー役の田中敦子は2024年8月に死去しており、メアリーが劇場版の物語に深く関わった作品として、本作はファンにとって特別な一本となっている。
- 真空チューブ内を走る超高速リニアというアイデアは、現実の超電導リニア(リニア中央新幹線)やハイパーループ構想を下敷きにしたものと考えられ、作中の時速1000kmは実際のリニアの営業最高速度(時速500km)の約2倍にあたる。