| 名探偵コナン 紺青の拳 Detective Conan: The Fist of Blue Sapphire | |
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![]() 本作の主舞台となったシンガポールのマリーナベイ・サンズ(出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
![]() 劇中にも登場するマーライオン像(出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| 監督 | 永岡智佳 |
| 製作 | 「名探偵コナン」製作委員会 |
| 脚本 | 大倉崇裕 |
| 原作 | 青山剛昌『名探偵コナン』 |
| 撮影 | 西山仁 |
| 音楽 | 大野克夫 |
| 制作会社 | トムス・エンタテインメント |
| 配給 | 東宝 |
| 上映時間 | 約110分 |
| 興行収入 | 93.7億円(日本) |
| 言語 | 日本語 |
| 前作 | 名探偵コナン ゼロの執行人(2018年) |
| 次作 | 名探偵コナン 緋色の弾丸(2021年) |
| リンク | 劇場版『名探偵コナン』公式サイト |
概要[編集]
名探偵コナン 紺青の拳(めいたんていコナン こんじょうのフィスト)とは、2019年4月12日に公開された劇場版『名探偵コナン』シリーズ第23作である。シリーズで初めて本格的に海外(シンガポール)を舞台にし、江戸川コナンと怪盗キッドの異例のタッグ、そして空手家・京極真の超人バトルを詰め込んだ「平成最後のコナン映画」だ。最終興行収入93.7億円は、公開当時のシリーズ最高記録である。
詳細[編集]
企画と制作[編集]
監督は、それまで劇場版で演出などを務めてきた永岡智佳。劇場版コナンで女性が監督を務めるのはこれが初めてで、本作が長編初監督作となった。脚本は『から紅の恋歌』(2017年)でも劇場版を手がけたミステリー作家の大倉崇裕、音楽はテレビシリーズ開始以来の大野克夫、キャラクターデザイン・総作画監督は須藤昌朋。制作はおなじみのトムス・エンタテインメントで、製作委員会には小学館、読売テレビ放送、日本テレビ、小学館集英社プロダクション、東宝、トムスが名を連ねる。
前作『名探偵コナン ゼロの執行人』が安室透人気を背景に興収91.8億円という大記録を打ち立てた直後で、本作はそのバトンを受け継ぐ立場にあった。そこで白羽の矢が立ったのが、劇場版の「客寄せ」としては鉄板の怪盗キッドと、原作でも人気の高い京極真&鈴木園子カップルである。京極真が劇場版でメイン級の扱いを受けるのは本作が初めて。園子も久々に物語の中心に立つ。
撮影監督は西山仁、編集は岡田輝満、美術監督は福島孝喜・佐藤勝、音響監督は浦上靖之・浦上慶子。作画監督には野武洋行、高橋成之、清水義治らベテラン陣が参加している。公開直後に発売されたアニメ雑誌『アニメスタイル インタビューズ01』では、原作者青山剛昌と歴代監督、永岡監督のロングインタビューが組まれ、制作の舞台裏が語られた。
舞台シンガポール[編集]
本作最大の売りは、舞台を丸ごとシンガポールに移したことだ。劇場版コナンはこれまでも国内各地の観光名所を舞台にしてきたが、実在の外国都市をメイン舞台にしたのは本作が初めてである(第6作『ベイカー街の亡霊』のロンドンは仮想空間内の19世紀ロンドンという扱い)。
劇中には、屋上にプールを載せた3棟の高層ホテル「マリーナベイ・サンズ」、湾岸のシンボル「マーライオン」、植物園「ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ」など、実在のランドマークが次々に登場する。冒頭の殺人事件の現場がマリーナベイ・サンズであり、クライマックスではマリーナ湾一帯が大規模な破壊の危機にさらされる。観光映画としての顔も持っており、公開後には劇中の場所を巡る「聖地巡礼」を楽しむファンも多かったとされる。
ちなみに、パスポートを持てないコナンは正規の手段では出国できない。そこで本作ではキッドがコナンを眠らせ、スーツケースに詰め込んで(事実上の密入国状態で)シンガポールへ連れ出すという荒技が使われた。現地でコナンは「アーサー・ヒライ」という偽名を名乗るが、これはアーサー・コナン・ドイルと、江戸川乱歩の本名・平井太郎を組み合わせたものとされる。
キャッチコピーと宣伝[編集]
宣伝では、真実(コナン)・奇術(キッド)・蹴撃(京極)の三者がぶつかり合う「三位一体バトルミステリー」という打ち出しがなされ、園子と京極の関係を軸にした「Never let you go…」というフレーズも用いられたとされる。タイトルの「拳」を「フィスト」と読ませるのは、『純黒の悪夢(ナイトメア)』『から紅の恋歌(ラブレター)』『ゼロの執行人(しっこうにん)』と続く、漢字に別の読みを当てる劇場版恒例のスタイルを踏襲したものだ。
主題歌は、三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカル・登坂広臣のソロ曲「BLUE SAPPHIRE」。2019年2月21日に発表され、登坂にとって初のソロCDとして同年4月10日に発売された。
あらすじ[編集]
19世紀末、世界最大のブルーサファイア「紺青の拳」を積んだ海賊船が、シンガポール近海で沈んだという伝説がある。現代、その宝石を富豪が引き揚げようとしていると噂される中、マリーナベイ・サンズで女性弁護士シェリリン・タンが殺害される。現場には、なぜか血に染まった怪盗キッドの予告カードが残されていた。
同じ頃、京極真がシンガポールの空手トーナメントに出場することになり、毛利蘭、毛利小五郎、鈴木園子が応援に駆けつける。一方、日本にいたはずのコナンは何者かに気絶させられ、気づけばシンガポールにいた。犯人はキッドで、彼の狙いはトーナメントの優勝者に贈られる予定の「紺青の拳」。パスポートなしで入国してしまったコナンは帰国のためにキッドへの協力を余儀なくされ、宿敵同士の奇妙な共同戦線が始まる。
事件の捜査には、元警察官で犯罪心理学の専門家、警備会社社長の「シンガポールの名探偵」レオン・ロー、その秘書レイチェル・チェオング、レオンを慕う予備警察官リシ・ラマナサンらが絡み、宝石争奪戦と殺人事件、さらに海賊の影が複雑に交差していく。
※ここから先はネタバレ注意。
シェリリン殺害の真犯人はレオン・ローだった。都市開発をめぐる自らの構想を退けられたレオンは、海賊と手を組み、「紺青の拳」をエサにタンカーをマリーナ湾に突っ込ませて街を破壊し、再開発で巨利を得ようと企んでいた。計画を知る秘書レイチェルも口封じのため命を落とす。さらにリシが裏でキッドのカードを使って事態を操っていたことも明かされる。クライマックスでは京極が海賊とレオンを相手に暴れ回り、コナンとキッドの連携でタンカーの暴走は食い止められる。紺青の拳は、キッドが探す宝石「パンドラ」ではなかったため返却される。ラストでは新一に変装したキッドを蘭が見破るというオチが用意されている。
登場人物とキャスト[編集]
レギュラー陣[編集]
- 江戸川コナン - 高山みなみ:黒の組織の毒薬で小学生の姿になった高校生探偵工藤新一。本作ではキッドにさらわれ、異国で孤立する。
- 怪盗キッド / 工藤新一 - 山口勝平:月下の奇術師。本作の実質的なW主人公。新一に変装して蘭の前にも現れる。
- 毛利蘭 - 山崎和佳奈:空手の達人。京極の試合を応援しにシンガポールへ。
- 毛利小五郎 - 小山力也:おなじみ「眠りの小五郎」。
- 鈴木園子 - 松井菜桜子:鈴木財閥の令嬢。京極との恋愛模様が物語の軸の一つ。
- 京極真 - 檜山修之:「蹴撃の貴公子」の異名を持つ空手家。素手で船を相手にするレベルの無双ぶりを見せる。
- 灰原哀 - 林原めぐみ、阿笠博士 - 緒方賢一:日本からコナンをサポートする。
- 少年探偵団(吉田歩美 - 岩居由希子、小嶋元太 - 高木渉、円谷光彦 - 大谷育江)
- 中森警部 - 石井康嗣
ゲストキャラクター[編集]
- レオン・ロー - 山崎育三郎:元警察官の犯罪心理学者で、警備会社の社長。ミュージカル俳優として知られる山崎の声優参加は話題を呼んだ。
- レイチェル・チェオング - 河北麻友子:レオンの秘書。英語のセリフも担当した。
- リシ・ラマナサン - 梶裕貴(英語部分はドミニク・アレン):レオンを師と仰ぐ予備警察官。
- シェリリン・タン - 浅川悠:冒頭で殺害される女性弁護士。
- ジョンハン・チェン - ジェフ・マニング、ヘッズリ・ジャマルッディン - ライアン・ドリース:現地の関係者。英語ネイティブの俳優陣が起用され、多言語の会話がシンガポールらしさを演出している。
- 林修 - 林修:予備校講師・タレントの林修が本人役でカメオ出演した。
スタッフ[編集]
- 原作 - 青山剛昌(小学館「週刊少年サンデー」連載)
- 監督 - 永岡智佳
- 脚本 - 大倉崇裕
- 音楽 - 大野克夫
- キャラクターデザイン・総作画監督 - 須藤昌朋
- 作画監督 - 野武洋行、高橋成之、清水義治、広中千恵美、岩井伸之
- 美術監督 - 福島孝喜、佐藤勝
- 撮影監督 - 西山仁
- 編集 - 岡田輝満
- 音響監督 - 浦上靖之、浦上慶子
- 制作 - トムス・エンタテインメント
- 配給 - 東宝
- 製作 - 「名探偵コナン」製作委員会
主題歌[編集]
- 「BLUE SAPPHIRE」 - HIROOMI TOSAKA(登坂広臣)
登坂は起用発表時、「世界中に多くのファンがいる作品の主題歌を担当できることは光栄」とコメントし、観客の心に「疾走感を与えられたら」と語った。歌詞には「謎」「真実」など作品のキーワードが織り込まれている。2017年にソロ活動を始めて以降は配信リリースのみだったため、本作の主題歌が初のソロCD作品となった。公開直後には音楽配信サイトのアニソンランキングで1位を獲得している。
なお、劇場版コナンの主題歌はB'zや倉木麻衣などビーイング系アーティストの起用が長く続いていたが、前作の福山雅治に続いて非ビーイング系の起用となり、「近年のコナン主題歌の変化」を象徴する一曲ともいわれる。
興行成績と記録[編集]
公開初日から好調で、最初の3日間(4月12日〜14日)で観客動員約146万人、興行収入約18.9億円を記録した。公開週末の国内映画ランキングでは当然のように首位を獲得している。
4月末には世界的な大作『アベンジャーズ/エンドゲーム』に一度首位を譲ったが、ゴールデンウィーク後半の週末に首位を奪い返す粘りを見せた。最終的な観客動員は約700万人超、興行収入は93.7億円に達し、前作の91.8億円を上回ってシリーズ最高記録を更新した。2013年の『絶海の探偵』から数えて、シリーズ興収の最高記録を7作連続で塗り替えたことになる。
2019年の年間興行収入ランキングでは、邦画で『天気の子』(約140億円)に次ぐ2位。洋画を含めても『アナと雪の女王2』『アラジン』『トイ・ストーリー4』に続く上位に入った。海外でも公開され、中国では約3,240万ドルを稼ぐなど、全世界興収は約1億2,300万ドルとされる。英語吹替版も制作されている。
その後、シリーズ記録は『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(2023年)で100億円の大台を突破して更新され、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(2024年)、『名探偵コナン 隻眼の残像』(2025年)と大ヒットが続いていく。本作は「コナン映画=毎年春の国民的イベント」という流れを決定づけた一本といえる。
評価・反響[編集]
ぴあ映画生活の初日満足度ランキングでは93.5点で2位に入るなど、公開初日の観客満足度は高かった。第43回日本アカデミー賞では優秀アニメーション作品賞に選ばれている。
評価のポイントとして多く挙げられるのは、シンガポールの夜景や名所を描き込んだ美術、京極真の常識外れなアクション、コナンとキッドの掛け合いの楽しさである。特に、普段は追う側と追われる側の二人が「相棒」として行動する構図は、キッドファンからの支持が厚い。
一方で、海外の批評では映像や演出が評価される一方、ミステリーとしての筋立てや脚本には粗さを指摘する声もあった。国内でも「推理よりアクション寄り」「京極さんが強すぎて物理法則が仕事をしていない」といった声がネタ半分で語られ、それも含めて愛される一本となっている。
テレビ放送・配信[編集]
地上波初放送は2020年4月17日、日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で本編ノーカット。本来この時期に公開予定だった次作『緋色の弾丸』は新型コロナウイルスの影響で公開が1年延期され、その空白の時期に本作の放送が行われた。その後も2024年4月12日、『100万ドルの五稜星』公開を記念した「金曜ロードショー」の2週連続コナン放送の第1弾として再放送されている。
どこで見れる?という疑問については、劇場版コナンの見放題配信は、毎年4月の新作公開に合わせて主要サービス(U-NEXT、Hulu、Amazonプライム・ビデオ、DMM TVなど)で始まり、8月末ごろに終了するという周期で行われることが多い。配信期間外はDVD・Blu-rayの購入や宅配レンタルで視聴できる。配信状況は時期によって変わるため、最新情報は各サービスで確認するのが確実だ。
余談[編集]
- 京極真の怪物じみた強さはファンの間で「京極さんなら仕方ない」と半ばネタ扱いされており、本作でもその評判を裏切らない暴れっぷりを見せた。
- キッドがメインの劇場版といえば工藤新一への変装シーンがお約束だが、本作でも蘭の前に新一の姿で現れ、最後に見破られるという定番の流れが踏襲された。蘭の鋭さに「新一本人より新一を分かっている」とうなるファンも多い。
- 『ゼロの執行人』の安室透、『名探偵コナン 純黒の悪夢』の赤井秀一・安室透に続き、本作は「人気キャラを主役級に据える」近年の劇場版の路線をキッド&京極で継承した形になった。次作でも赤井家がメインとなり、この流れは定着していく。
- シンガポールが舞台ということで、服部平次や世良真純ら西の探偵勢は出番がない。代わりに英語を中心とした多言語が飛び交い、異国の空気が全編を覆っている。
- 偽名「アーサー・ヒライ」は、コナン(ドイル)と江戸川(乱歩)という主人公名の由来を英語圏風にひっくり返した小ネタとして、ファンの間で人気が高い。
- 公開は2019年4月で、翌5月に元号が令和へ改まったため、本作は「平成最後のコナン映画」として記憶されている。続く『緋色の弾丸』が延期されたことで、劇場版の新作が2年ぶりとなる空白期間も生まれた。

