| ミラティブ(Mirrativ) Mirrativ, Inc. | |
|---|---|
| 略称 | ミラティブ、ミラ |
| 国家 | 日本 |
| 種類 | 株式会社 |
| 市場情報 | 東証グロース 472A |
| 業種 | 情報・通信業(ライブ配信プラットフォーム) |
| 本社所在地 | 東京都渋谷区 |
| 設立日 | 2018年2月 |
| 設立者 | 赤川隼一 |
| 代表者 | 赤川隼一(代表取締役CEO) |
| 上場 | 2025年12月18日(東京証券取引所グロース市場) |
| 年間売上 | 約71億8,800万円(2025年12月期) |
| 従業員数 | 152名(2025年上場時点の開示) |
| 主要株主 | 赤川隼一、片山晃(2026年7月時点で約14%)ほか |
| 主要部門 | Mirrativ事業、ストリーマープラットフォーム事業 |
| 主要子会社 | キャスコード(CastCraft)、アイブレイド(ぶいきゃす) |
| 関係する人物 | 赤川隼一、南場智子 |
| 代表作品 | Mirrativ、エモモ、エモモバトルドロップ、エモモランあーるぴーじー |
| 別名 | 株式会社エモモ(旧社名) |
| リンク | https://www.mirrativ.co.jp/ |
| コミュニティ | https://x.com/mirrativ_jp |
概要[編集]
ミラティブ(Mirrativ)とは、スマートフォンの画面をそのままライブ配信できるスマホゲーム実況配信アプリ、およびそれを運営する株式会社ミラティブのことである。2015年にDeNAの社内事業として生まれ、2018年にMBOで独立、2025年に東証グロース市場へ上場した。3Dアバター「エモモ」による顔出し不要の配信と、視聴者が一緒に遊べる「ライブゲーム」が看板。
詳細[編集]
「友達んちでゲームを見てる感じ」[編集]
Mirrativの設計思想としてよく引用されるのが「友達んちでドラクエやってる友達を見てる感じ」というフレーズである。高性能なゲームPCやキャプチャーボードを用意し、ガチ勢が腕前を見せる――という従来のゲーム実況とは逆で、スマホ1台で、ゆるく、雑談しながら遊ぶ姿を見せ合うことに重きが置かれている。
そのため利用者の中で「配信する側」の比率が非常に高いのが特徴で、会社側はアクティブユーザーのおよそ30%が配信者(2023年12月調べ)と公表している。見る専と配信者がきっちり分かれるYouTubeやTwitchとは、コミュニティの手触りがかなり違う。
数字で見るミラティブ[編集]
サービス開始10周年(2025年8月)に合わせて公表されたデータによれば、累計配信者数は約569万人(2025年7月末時点)。2015年時点ではわずか11,176人だったので、10年で500倍以上に膨らんだ計算になる。1,000日以上配信を続けた配信者は18,636人にのぼる。
同じ発表では、2018年のギフト導入以降に贈られたギフトは累計13億8,630万個、ライブゲームのプレイ回数は2億回以上、エモモを使って配信した人は500万人以上とされた。上場後の決算説明では、アクティブな配信者は11万人超とも説明されている。
企業理念とカルチャー[編集]
株式会社ミラティブの企業理念(ミッション)は「わかりあう願いをつなごう」。「ゲームを通じて人と人がつながる」ことを軸に、配信アプリ、アバター、ライブゲーム、配信者支援ツールへと事業を広げてきた。
創業者の赤川隼一は1983年生まれ、慶應義塾大学環境情報学部を卒業して2006年にDeNAへ新卒入社した人物。2012年に社長室長、同年に当時最年少で執行役員となり、海外事業やブラウザゲーム事業を統括した「モバゲー世代」の経営者である。DeNA創業者の南場智子とは独立後もイベントで対談するなど関係は良好とされる。
歴史[編集]
DeNA社内での誕生(2015〜2017年)[編集]
Mirrativは2015年8月、DeNAの新規事業としてまずAndroid版がリリースされた。当時はスマホの画面を丸ごと配信する手段自体が珍しく、「スマホゲームを実況する」ジャンルはまだニコニコ動画やPC配信の文化の外側にあった。
iOS版は2017年9月に登場。Appleが用意した画面収録・配信機能(ReplayKit Live)を活用することで、iPhoneでも特別な機材なしに画面配信ができるようになり、ユーザー層が一気に広がった。
MBOでの独立(2018年)[編集]
2018年2月、赤川は東京都世田谷区で「株式会社エモモ」を設立。翌3月にDeNAからMirrativ事業を承継する形で、いわゆるMBO(マネジメント・バイアウト)による独立を果たした。大企業の一事業部が、事業ごと社長ごと会社になるという、日本のネット業界では比較的珍しいスピンオフである。
4月には渋谷区へ移転し、10億円超の第三者割当増資を実施。5月に社名を現在の「株式会社ミラティブ」へ変更した。つまり会社としてのミラティブは、最初は後の看板機能と同じ「エモモ」という名前だった。
急成長期(2018〜2019年)[編集]
独立直後から提携ラッシュが続く。2018年5月にはにじさんじと提携、6月にはゲーム開発者向けの「ゲーム配信リンク」を公開、7月には人気バトロワ『荒野行動』との提携を開始した。そして8月1日、3Dアバター機能「エモモ」がリリースされる。
2019年2月にはジャフコ、グローバル・ブレイン、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRIなどから総額35億円規模の資金調達を発表。同時期にテレビCMも開始し、グローバル展開の本格化も掲げた。同年8月には登録ユーザー数(IDベース)が900万人、うち配信者が約160万人に達したと発表している。
ライブゲームへの舵切り(2021〜2023年)[編集]
2021年2月、エモモ同士がバトルロイヤルで戦うミニゲーム「エモモバトルドロップ」を投入。これが後述の「ライブゲーミング」路線の出発点となり、2022年1月にはライブゲーム関連の売上が月商1億円を突破したと発表された。
2022年はライブゲームの年で、7月に「エモモランあーるぴーじー」を常設化、9月には「みんにゃで!ねこメダル」「ヌシ釣り」「アルティメットボウル」「ミリオンパーク」を先行リリース、10月にはMIXIの協力で「モンスターストライク カケヒキトレジャー」を公開した。11月にはMIXI、丸井グループ、KDDI、バンダイナムコ、セガなどから融資を含め34億円の資金を調達している。2023年3月には古巣DeNAと共同開発した「プリンセス&ナイト」も先行リリースされた。
「All for Streamers」と上場(2025年)[編集]
2025年5月26日、ミラティブは新戦略「All for Streamers」を発表。自社アプリの配信者だけでなく、YouTube・Twitchなどあらゆるプラットフォームの配信者を支援する会社へ転換すると宣言した。配信者のニーズを「ファンを増やす」「収益を上げる」「撮れ高を生む」の3つに整理し、PC配信支援ツール「CastCraft」を運営するキャスコードと、VTuberキャスティングの「ぶいきゃす」を運営するアイブレイドの2社をM&Aでグループに迎えた(取得額は非公開)。
同年8月にサービス10周年を迎え、12月18日に東京証券取引所グロース市場へ上場(証券コード472A)。公開価格860円に対し初値は751円と、公開価格を割り込むスタートとなった。
仕組み・機能[編集]
スマホ画面をそのまま配信[編集]
最大の特徴は、スマホに映っている画面をそのまま配信できること。Androidは画面キャプチャ機能、iOSは画面収録(ReplayKit)を使い、ゲームアプリ側の対応を問わず、基本的にどのスマホゲームでも配信できる。インカメラを使わないので顔を映す必要がなく、マイクの声と画面だけで成立する。
視聴者はコメントで配信者や他の視聴者と会話でき、「コラボ」機能を使えば配信者と視聴者が通話しながら一緒に遊ぶこともできる。配信は時期によって仕様が変わるが、2020年時点で最長10時間までの配信に対応し、配信後はアーカイブが一定期間残る仕様だった。
エモモ(3Dアバター)[編集]
「エモモ」は2018年8月1日に登場した3Dアバター機能で、コンセプトは「あなたは、誰にでもなれる」。髪型・顔・服装などを組み合わせて自分だけのアバターを作り、スマホのインカメラで表情や顔の向きを読み取って動かす。いわば「スマホ1台でVTuberっぽい配信ができる」機能で、登場当初の組み合わせは48億通り以上とうたわれた。
10周年時点でエモモ用アイテムは17,854個、着替え回数は1億5,000万回以上、エモモ同士で撮る「グループショット」は2,400万枚に達した。アイテムはガチャやイベント報酬で手に入り、IPコラボの衣装も多い。エモモはアプリ内の「顔」であると同時に、後述のライブゲームのプレイヤーキャラクターにもなっている。
ライブゲーム(Mirrativ LIVE GAME)[編集]
「ライブゲーム」(ライブゲーミング)は、配信と遊びを一体化させたミラティブ独自のゲーム群。普通のゲーム実況では視聴者はコメントするだけだが、ライブゲームでは視聴者も配信画面の中のゲームに参加できる。たとえばエモモバトルドロップでは配信者と視聴者が4人チームを組んでバトルロイヤルに挑み、参加していない視聴者はギフトで味方を後押しする。
ミラティブによれば、エモモバトルドロップは10人未満の開発チームで作られたにもかかわらず、2021年12月の9日間のシーズンで約5,000万円を売り上げた。数十億円規模の開発費が当たり前のスマホゲーム業界では異例の費用対効果で、会社側も「非常に低い開発コストで一般的なスマホゲーム並みの課金額が出る」と説明している。自社開発に加え、外部のゲーム会社と組んだタイトルや、既存タイトルへのライブゲーム機能の組み込みも進めている。
PC配信とブラウザ版[編集]
「スマホ専用」のイメージが強いが、公式ヘルプによればWindows・Macのブラウザ版から、OBS Studioなどの追加ソフトなしで配信できる。従来どおりOBS Studioを使う配信も可能で、推奨設定は解像度360p〜720p、ビットレート500〜1000kbps、30fps程度と、スマホ視聴を前提にした軽めの値になっている。
ギフトと収益化[編集]
コインとギフト[編集]
視聴者はアプリ内通貨「コイン」を購入し、配信者にギフトを贈って応援する。ギフトは2018年に導入され、100円相当〜1万円相当のものまで幅がある。ほかにエモモアイテムのガチャ、ライブゲーム内課金、ゲーム会社とのタイアップ広告が主な収益源となっている。
決算説明では、月1万円超を使う「ロイヤルユーザー」が売上の大半を占めること、そして2019〜2020年ごろに使い始めたユーザーが今も売上に大きく貢献し、年ごとの利用者が層のように積み上がる「ミルフィーユ構造」になっていることが強調された。
ミラティブの収益化の条件[編集]
配信者が現金として報酬を受け取るには、「ミラティブスター」というプログラムに参加する必要がある。攻略サイトなどでまとめられている参加条件はおおむね次のとおり(条件は変更されることがある)。
- 1週間で7人以上の応援者(応援ルーキー以上)を獲得
- 1週間に配信内で有償コインが1万枚以上使われる
- 直近4週間でランキングイベントのTOP10入りを1回以上
- 1週間の合計配信時間が12時間以上
報酬の受け取りには氏名・生年月日・住所などの登録、本人確認書類、銀行口座の登録が必要になる。
還元率[編集]
ミラティブスターにはS〜Dなどの「スタークラス」があり、クラスに応じて有償コイン消費に対する還元率が変わる。最上位で最大42%程度とされ、クラス維持には月3万コイン以上などの条件がある。
一方で会社全体で見ると、上場後の決算説明会では「売上に対して配信者への還元は9%程度」で、業界一般の約48%とは大きく異なるビジネスモデルだと説明された。配信者の多くが稼ぐことより「仲間と遊ぶ場」として配信している、というのがミラティブの自己分析で、これが粗利率70%超という高収益体質につながっている。裏を返せば「プロのライバーとして稼ぐ場所」としては、還元を売りにするPocochaや17LIVEとは性格が異なる。
ゲーム会社との提携・公式大会[編集]
ミラティブは初期からゲーム会社にとっての「宣伝の場」として機能してきた。2018年に公開された「ゲーム配信リンク」は、ゲームアプリの中にボタンを置くとそのままMirrativ配信が始まる仕組みで、2019年の発表では提携タイトルの一部で継続率が約3倍に伸びたとされた。2022年時点で提携しているゲーム会社は約75社とされている。
提携の代表例が『荒野行動』(2018年〜)で、スマホバトロワの流行とMirrativの成長は時期がぴったり重なる。ほかにも人気タイトルと連動した配信イベントやランキングイベント、ゲーム会社と組んだ配信者向け大会がたびたび開かれてきたとされ、PUBG MOBILEのようなスマホ向け対戦タイトルも配信の定番ジャンルになっている。ライブゲームでもMIXI(モンスターストライク)やDeNAとの共同開発タイトルがあり、単なる配信アプリというより「ゲーム会社とユーザーをつなぐ場」としての立ち位置を築いている。
2025年以降はグループ会社のアイブレイドが、ゲーム会社向けにVTuberを起用したプロモーションを手がけており、2026年9月には100人のVTuberが参加するキャンペーン「100人のVTuber × アニモ大冒険ウィーク」も告知された。
資金調達と業績[編集]
資金調達の履歴[編集]
| 時期 | 内容 | 主な出資者など |
|---|---|---|
| 2018年4月 | 第三者割当増資 10億円超 | MBO直後の調達 |
| 2019年2月 | 総額35億円規模 | ジャフコ、グローバル・ブレイン、YJキャピタル、グロービス・キャピタル・パートナーズ、伊藤忠テクノロジーベンチャーズ、ANRI、個人投資家 |
| 2022年11月 | 融資を含め34億円 | MIXI、丸井グループ、KDDI、バンダイナムコ、セガ など |
| 2025年12月 | 東証グロース上場 | 公開価格860円、初値751円 |
業績の推移[編集]
長く赤字が続いたが、2024年12月期は売上高60億9,600万円・営業損失2億5,700万円。2025年12月期は売上高71億8,800万円で過去最高を更新し、営業利益3億4,900万円、純利益7億3,900万円と創業後初の通期黒字を達成した。黒字化の要因としては、アプリ内のコイン消費の増加に加え、決済手数料率の低減やサーバー費の効率化が挙げられている。
2026年12月期は第1四半期(1〜3月)に売上高19億5,200万円、営業利益2億5,700万円と四半期として過去最高益を記録。上半期(1〜6月)は売上高38億2,500万円(前年同期比12.6%増)、営業利益4億8,500万円となった。通期予想は売上高83億9,800万円、営業利益11億900万円で据え置かれている。
2024〜2026年の最新動向[編集]
配信者支援会社への事業転換[編集]
2025年5月の「All for Streamers」発表以降、ミラティブは「スマホゲーム配信アプリの会社」から「あらゆる配信者を支える会社」への転換を進めている。公式サイトでは事業を「Mirrativ事業」と「ストリーマープラットフォーム事業」の2本柱として紹介しており、後者にはCastCraft(配信支援ツール)、ぶいきゃす(VTuberキャスティング)、Rock on V(VTuberと生バンドの音楽ライブ)、AIパートナー「ほへと」が並ぶ。生成AIを使った配信者向けサービスにも手を広げている形だ。
リアル施策では、丸井グループと組んだポップアップストアを2023年8月の有楽町マルイを皮切りに展開し、10周年の2025年には東京と神戸でも開催した。
海外展開と人員体制[編集]
2019年の資金調達時にはグローバル展開の本格化を掲げていたが、2025〜2026年時点の開示を見る限り、事業の中心はあくまで日本市場で、海外展開について大きな数字や具体的な国名は打ち出されていない。上場時の開示では従業員数は152名(平均年齢34.7歳)で、少人数で高い利益率を出す体制をアピールしている。
大株主の交代[編集]
上場後、株価は公開価格860円を下回る水準で推移した。2026年7月には、個人投資家の片山晃が相対取引でANRI、グローバル・ブレイン、KDDIのファンドなどベンチャーキャピタルから約9.43%分の株式を取得し、保有比率が約14.27%になったことが大量保有報告で判明した。目的は「純投資」とされ、VCが市場でまとまった株を売りにくい状況の受け皿になった格好だと報じられている。
他サービスとの比較[編集]
| サービス | 運営 | 主な用途 | 配信スタイル | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ミラティブ | 株式会社ミラティブ | スマホゲーム配信・雑談 | スマホ画面+声、エモモ(顔出し不要) | 視聴者参加型ライブゲーム、配信者比率が高い |
| Pococha | DeNA | 顔出しライブ配信 | カメラ配信中心 | ライバー向け報酬制度が手厚い。ミラティブとは「元同じ会社」の関係 |
| 17LIVE | 17LIVE | ライバー配信 | カメラ配信中心 | 台湾発、イベント・事務所文化が強い |
| ツイキャス | モイ株式会社 | 雑談・ゲーム・何でも | スマホ・PCどちらも | 老舗の手軽な配信サービス。「キャス」の愛称 |
| YouTube | 動画・ライブ全般 | PC配信が主流、スマホ配信も可 | 圧倒的な視聴者数、アーカイブ・収益化の仕組みが充実 | |
| Twitch | Amazon | ゲーム配信 | PC配信が主流 | 海外ゲーマー・eスポーツ文化が中心 |
ざっくり言えば、Pococha・17LIVEが「顔を出してファンを作り、稼ぐライバー」の場、YouTube・Twitchが「大勢に見せる」場なのに対し、ミラティブは「スマホで遊びながら、少人数の常連とだらだら話す」場という住み分けになっている。
余談[編集]
- 会社としてのミラティブの最初の社名は「株式会社エモモ」。アバター機能「エモモ」が世に出る半年ほど前から、社名としてはすでに存在していた。
- 同じDeNAから生まれた配信サービスとして、ミラティブ(独立)とPococha(DeNAに残留)は「兄弟」のような関係にある。2023年にはDeNAと共同開発したライブゲーム「プリンセス&ナイト」も出ている。
- 10周年データによると、2015年の配信者はわずか11,176人。今の「累計569万人」から見ると、ほとんど知り合いの集まりのような規模だった。
- 決算説明会では、ライブゲームの開発を「少人数・低コストでスマホゲーム並みに課金される」と説明しており、ゲーム業界の大作志向と真逆の戦略をとっている。
- 上場直後に大株主となった片山晃は、ネット上では「五月」のハンドルネームでも知られる個人投資家とされる。