概要[編集]
荒野行動(こうやこうどう、英題:KNIVES OUT)とは、中国のゲーム会社NetEase(網易)が開発・運営するバトルロイヤル形式のTPSゲームである。本国の中国よりも日本で爆発的にヒットした異色のタイトルで、日本のスマホ向けバトルロイヤルゲーム市場で長年トップを走り続けている。
詳細[編集]
基本情報[編集]
正式サービス開始は2017年12月14日(iOS/Android)。その後2018年3月20日にWindows版、2019年10月31日にNintendo Switch版、同年12月20日にPlayStation 4版が登場し、2020年6月には軽量版の「荒野行動AIR」(Android)も配信された。スマホ・PC・家庭用ゲーム機にまたがって遊べるのが強みである。
2017年末といえば、PC版『PUBG: BATTLEGROUNDS』(当時の通称PUBG)が世界的な社会現象になっていた時期。スマホで同じ体験ができるゲームがまだ少なかった隙間に、荒野行動はいち早く滑り込んだ。公式発表では、正式サービス開始時点で世界の登録ユーザー数が1億人を超えていたとされる。
ゲームシステム[編集]
基本ルールはオーソドックスな「ドン勝」型のバトロワ。約100人のプレイヤーが輸送機から無人島へ降下し、落ちている武器・防具・回復アイテムを拾いながら戦い、縮小していく安全地帯の中で最後の1人(または1チーム)になるまで生き残れば勝ちとなる。
ソロのほか、デュオ(2人)、スクワッド(4人)、さらに5人1組の「クインテット」といったチームモードがある。定番のバトロワ以外にも、かくれんぼ系モードや人狼系モードなど、ゆるく遊べるカジュアルモードが季節ごとに追加されてきた。車両の種類が多く、ド派手な車やバイクで荒野を爆走できるのもこのゲームの名物である。
日本での人気[編集]
荒野行動を語るうえで外せないのが「日本で異常に強い」という点である。調査会社Sensor Towerが5周年のタイミング(2022年11月)で公表したデータによると、全世界の累計収益は22億ドル(約3041億円)を突破し、そのうち約90%が日本市場からのものだった。また日本のモバイル・バトロワジャンルでは2018年から2021年まで4年連続で収益1位を獲得し、2022年10月時点でも首位を維持していた。
同調査では、NetEaseの日本向けモバイル収益のうち66%を荒野行動1本が稼いでいたとされる。まさに「NetEaseの日本の稼ぎ頭」であり、中国発のゲームが日本で天下を取った代表例としてよく名前が挙がる。
なぜ日本で売れたのか[編集]
ヒットの理由としてよく挙げられるのが、以下のような要素である。
- 先行者利益:PUBG MOBILEやフォートナイトのスマホ版が日本で普及する前に、スマホで遊べるバトロワとして定着した。
- コラボ攻勢:ONE PIECE、エヴァンゲリオン、進撃の巨人、東京喰種、呪術廻戦、仮面ライダーなど、日本の人気IPと次々にコラボし、限定スキン目当てのガチャ需要を生んだ。
- 配信者の起用:公式配信者制度を設け、YouTubeやツイキャスなどで実況者を後押しした。
- メディア露出:Sensor Towerの分析では、ゲーム性の高さやコラボに加え、メディア露出の増加もヒットの要因に挙げられている。
コラボレーション[編集]
荒野行動は「コラボの鬼」と呼ばれるほど、アニメ・漫画とのコラボが多い。同じ作品と何度もコラボするのが特徴で、エヴァンゲリオンとのコラボは2026年7月4日〜24日開催分で第8弾、進撃の巨人も第8弾に到達している。
2025〜2026年の主なコラボ[編集]
- NARUTO-ナルト- 疾風伝:2025年11月の8周年タイミングで発表され、2026年1月1日から初コラボを開催。ナルト、サスケ、サクラ、カカシらが登場し、「忍者走り」や忍術を使ったバトルが実装された。
- ホロライブ:2026年3月1日〜23日にホロライブとのコラボを開催し、メンバー5人が参戦した。
- 伊藤潤二:2026年7月18日〜8月18日、アニメ化された伊藤潤二作品とコラボ。富江や双一のスキンが登場し、ホラー漫画ファンの間でも話題になった。
- 鬼滅の刃:2026年8月2日〜9月2日にアニメ『鬼滅の刃』コラボ第2弾を開催。無限城を3Dで再現した限定モード「無限城激闘」が目玉で、最後には猗窩座と戦える。
- Re:ゼロから始める異世界生活:2026年9月5日から『Re:ゼロから始める異世界生活』コラボを開催。
ほかにも過去にはバイオハザード、銀魂、はたらく細胞、シャーマンキング、暗殺教室などとのコラボ歴がある。中国本土ではマクドナルドなど飲食チェーンとのコラボも行われた。
eスポーツ[編集]
荒野Championship[編集]
公式eスポーツ大会の原点は2019年の「荒野Championship-元年の戦い」。2019年5月から8月にかけて開催され、賞金総額2500万円、参加者は延べ50万人以上、配信の同時接続は7万人を超えたとされる。運営・制作はイベント会社CyberEが担当した。
その後、大会は毎年の恒例行事となり、規模は急拡大。「2021 荒野CHAMPIONSHIP - 夢への道」は賞金総額1億円で、優勝賞金は3000万円。決勝は2021年5月29日・30日に行われ、手越祐也が実況デビューを果たしたことでも話題になった。翌2022年の「荒野CHAMPIONSHIP - 栄光の刻」も賞金総額最大1億円で、5月28日・29日に2年ぶりのオフライン決勝として開催された。
プロチーム制度とKOPL[編集]
2021年8月には公式プロチーム制度が始まり、Sengoku Gaming、αD Aves などの初期チームが運営から支援を受けた。2022年にはREJECTやSBI e-Sportsなど大手eスポーツ団体も参入し、競技シーンは一気に華やかになった。
2023年には制度が再構築され、半年ごとの「資格審査」でチームをS・A・Bの3ティアに分ける方式に移行した。Sティア2チームは月最大220万円、Aティア4チームは月最大180万円の支援を受け、プロリーグ「KOPL(Knives Out Pro League)」で戦う仕組みで、アマチュアチームにも昇格のチャンスがあった。
プロ制度の終了[編集]
しかし2025年に入ると、従来のプロリーグ・プロチーム制度は終了する方針が示されたと報じられている。開発側の発信を引用した解説記事によれば、今後は通年のリーグ運営ではなく、配信者限定・ギルド限定といった「カテゴリー別のスポットイベント」が中心になるとされる。
とはいえ競技イベント自体がなくなったわけではない。2026年3月8日にはスマホメーカーOPPOが東京タワーの「RED° TOKYO TOWER」で「OPPO CUP in 荒野行動」を開催し、プロチームαDのゲスト選手も参加した。OPPOが日本市場参入後に初めて主催したeスポーツ大会とされる。
PUBGとの訴訟[編集]
荒野行動の歴史で避けて通れないのが『PUBG』との法廷闘争である。2018年4月、PUBG Corporation(現KRAFTON傘下)は、荒野行動などが自社ゲームの著作権を侵害しているとして、NetEaseをアメリカ・カリフォルニア州北部地区の連邦地裁に提訴した。「全体的な見た目・雰囲気・スタイル」が似ているという主張で、バトロワというジャンルそのものに著作権保護が及ぶのかが注目された。
この訴訟は2019年に和解で終結したが、和解条件は公表されていない。ところが今度はその和解契約の解釈をめぐって2020年3月に新たな訴訟が起き、こちらは2023年11月30日にKRAFTONとNetEaseが「円満に和解」したと発表された。2度にわたる裁判を経ても、荒野行動のサービスは一度も止まっていない。
2026年の動向[編集]
2025年11月に8周年を迎え、2026年はNARUTOコラボで幕を開けた。上半期はホロライブ、夏はエヴァンゲリオン第8弾、伊藤潤二、鬼滅の刃第2弾とコラボが途切れず、9月には『Re:ゼロ』、10月1日からは『Fate/stay night [Heaven's Feel]』とのコラボが予告されている。2026年11月には9周年を迎える予定である。
端末メーカーとの連動も見られ、2026年4月23日に行われたZTEジャパンのゲーミングスマートフォン「nubia Neo 5 GT」の発表会では、スペシャルサポーターに就任した声優・YouTuberの東雲はるが本作のプレイ実演を行った[1]。
競技面ではプロ制度終了後も、企業協賛の大会や配信者向けイベントが続いている。PUBG MOBILEやフォートナイト、『Call of Duty: Mobile』など競合タイトルが増えた現在も、日本では根強いファン層を抱えたロングセラーであり続けている。
炎上とバズ[編集]
- 「パクリ」論争:リリース当初から「PUBGにそっくり」との声が多く、実際に訴訟にまで発展した。一方で、スマホ版バトロワを日本に広めた功績を評価する声もある。
- サービス終了のうわさ:ネット上では定期的に「荒野行動サービス終了」説が流れるが、2026年9月時点で本体のサービス終了は発表されていない。なお、au Game版は2023年5月15日に提供を終了している。
余談[編集]
- 英題は「KNIVES OUT」。直訳すると「ナイフを抜け」で、同名の映画『ナイブズ・アウト』とは無関係である。
- 中国での表記は「荒野行动」。前述のSensor Towerの数字(全世界収益の約9割が日本)が示すとおり、主戦場は本国ではなく日本である。
- ↑ ケータイWatch・ライブドアニュース 2026年4月23日付