概要[編集]
PUBG MOBILE(パブジー モバイル)とは、KRAFTONとテンセント傘下のLightSpeed Studiosが共同開発したスマートフォン向けバトルロイヤルゲームである。PC版『PUBG: BATTLEGROUNDS』をスマホに移植したタイトルで、最大100人が1つの島に降り立ち、最後の1人(1チーム)になるまで戦う。日本では「PUBGモバイル」「パブモバ」とも呼ばれる。
詳細[編集]
原作はPUBG Corporation(現KRAFTON)が2017年に発売したPC版『PUBG』。世界的なバトルロイヤルブームの火付け役となった作品で、そのモバイル版として2018年2月9日に中国で先行リリース、同年3月19日に世界配信が始まった。開発期間はわずか4か月ほどだったとされ、世界各地のチームが並行して作業したという。
日本版は2018年5月16日にサービスを開始した。事前登録数は配信前に130万を突破しており、当時すでにスマホ版バトロワの本命と目されていた。日本・韓国ではKRAFTON(当時PUBG Corporation)が運営を担い、それ以外の多くの地域ではテンセントが配信するという、地域ごとに運営元が異なる珍しい体制を取っている。
ゲームは基本プレイ無料で、課金はスキンやシーズンパスなどの見た目・報酬系が中心。マップはおなじみのエランゲルやミラマーのほか、スマホ向けに小型化されたマップも用意されている。累計ダウンロード数は2026年1月時点で約17.5億、累計売上は150億ドル超とされ、2020年には世界で最も稼いだモバイルゲームになった。
中国本土では規制の関係で『刺激戦場』として配信されたのち、2019年に内容を調整した『和平精英』(Game for Peace)へ置き換えられた。また低スペック端末向けの『PUBG MOBILE LITE』(2019年)も存在した。
ゲームシステム[編集]
基本ルール[編集]
プレイヤーは輸送機からパラシュートで島へ降下し、落ちている武器・防具・回復アイテムを拾いながら戦う。時間経過とともに安全地帯(通称「円」「安置」)が縮小し、外側にいるとダメージを受けるため、否応なく交戦が発生する。最後まで生き残ると表示される「勝った!勝った!夕飯はドン勝だ!!」のメッセージは、PC版から受け継がれた名物である。
モードはソロ・デュオ・スクワッド(4人)が基本。スクワッドではボイスチャットで連携するのが定番で、倒れた味方を起こす「蘇生」が勝敗を左右する。
競技ルール[編集]
大会では主に4人1チームで、1試合16チーム前後が参加する。順位ポイント(1位=10ポイントなど)とキル数ポイントの合計で総合順位を決める方式が一般的で、1試合勝つだけでなく安定して上位に残る力が問われる。
日本での人気[編集]
日本のスマホバトロワ市場では、2017年末に先行したNetEase Gamesの『荒野行動』が圧倒的なシェアを持っており、PUBG MOBILEは「リアル志向の本格派」として別のファン層をつかんできた。弾道落下や反動制御などPC版譲りの撃ち合いが特徴で、YouTubeでのゲーム実況や大会配信を通じて競技志向のプレイヤーに支持されている。
日本向けのアニメコラボにも積極的で、2022年2月には『呪術廻戦』とのコラボ(専用モードや虎杖悠仁・五条悟らのスキン)、2023年には『ドラゴンボール超』とのコラボを実施。『SPY×FAMILY』とのコラボも行われている。
eスポーツ[編集]
PUBG MOBILEはモバイルEスポーツの代表的タイトルの一つで、世界各地にプロリーグがあり、多くのプロゲーマーが活動している。
世界大会[編集]
公式の頂点は年末の「PUBG MOBILE Global Championship(PMGC)」。2025年大会はタイ・バンコクで11〜12月に行われ、賞金総額は300万ドル(約4.7億円)だった。夏にはサウジアラビア・リヤドの「Esports World Cup」内で「PUBG MOBILE World Cup(PMWC)」も開催されており、2025年大会はミャンマーのYangon Galacticosが優勝した。
日本リーグ(PMJL)[編集]
国内最高峰は「PUBG MOBILE JAPAN LEAGUE(PMJL)」。2021年にNTTドコモが運営する「X-MOMENT」の大会として始まり、Season4からはKRAFTON JAPANが主催している。16チームが年2フェーズ(前半・後半)で戦い、フェーズ優勝やシーズン上位は国際大会への出場権を得る。下部リーグ「PMOT」との入れ替え戦もある。2026年9月現在はSeason6 Phase2が開催中(10月11日まで)である。
日本チームの活躍[編集]
日本勢の代表格はREJECT。2024年4月の世界大会「PUBG MOBILE GLOBAL OPEN 2024」で優勝し、日本チームとして初めてPUBG MOBILEの世界大会を制した。さらに同年7月の「PUBG MOBILE WORLD CUP 2024」(賞金総額300万ドル)で準優勝し、約4500万円の賞金を獲得。大会MVPもREJECTの選手が受賞した。PMJLでもSeason2・Season4などで優勝しており、PMGC 2025にも日本代表として出場した。
一方で世界の壁は依然として厚く、PMWC 2025に出場したKINOTROPE gamingは24位に終わっている。東南アジア・中国・南アジア勢が上位を占める構図が続いている。
アジア競技大会[編集]
杭州大会(2023年)[編集]
2022年杭州アジア大会(2023年開催)で初めてeスポーツが正式メダル競技となり、PUBG MOBILEも採用された。ただしこのときは「アジア大会バージョン」として撃ち合いの要素が取り除かれ、4人1チームで車に乗ってチェックポイントの的を撃ちながらタイムを競う「オフロードレース」形式という異色のルールだった。金メダルは中国、銀は韓国、銅はチャイニーズタイペイで、日本は4位とメダルにあと一歩届かなかった。
愛知・名古屋大会(2026年)[編集]
2026年アジア競技大会でも「PUBG Mobile(アジア大会バージョン)」が実施されている(→2026年アジア競技大会のeスポーツ競技)。会場は愛知県常滑市のAichi Sky Expo(愛知県国際展示場)。今回は杭州と異なり、エランゲルとミラマーを使った順位・キルポイント制で争われる。
出場は12か国・地域。開催国の日本、杭州大会のメダリストである中国・韓国・チャイニーズタイペイが予選免除となり、2026年6月にベトナム・ホーチミンで行われた予選を突破した8か国(パキスタン、ベトナム、タイ、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、ウズベキスタン、ヨルダン)が加わった。決勝は9月28日・29日の2日間で1日6試合、計12試合の総合ポイントでメダルが決まる。
日本代表は選手5名で、4名が国内チーム「MAKING THE ROAD」、1名がREJECTから選ばれ、コーチもREJECTのスタッフが務める。報道によれば、9月28日のDay1終了時点の首位はタイ、2位中国、3位インドネシアで、日本は34ポイントの7位で初日を終えた。9月29日のDay2でも順位を上げられず、日本の最終順位は12チーム中9位となった[1]。
インドでの禁止とBGMI[編集]
PUBG MOBILEはインドで爆発的な人気を誇っていたが、2020年9月2日、インド電子・情報技術省は中国企業と関わりのあるアプリ118本を国家安全保障上の理由で禁止し、その中にPUBG MOBILEも含まれた。同年6月の中印国境での衝突を背景にした措置で、テンセントは10月30日にインドでのサービスを終了した。
これを受けてKRAFTONはテンセントとの提携をインド向けに解消し、2021年にインド専用版『Battlegrounds Mobile India(BGMI)』をリリースした。しかしBGMIも2022年7月にストアから削除され、2023年5月に試験的に復活するという紆余曲折をたどっている。現在インドではBGMIとして大規模な大会シーンが形成されている。
余談[編集]
- PUBG Corporation(現KRAFTON)は、『荒野行動』と『Rules of Survival』がPUBGを模倣しているとして2018年に米カリフォルニア州の裁判所でNetEaseを提訴した。両社は2019年に和解したが、その後KRAFTONが和解条件違反を主張して争いが再燃し、最終的に裁判所はNetEaseの契約違反を認めたと報じられている。
- 杭州アジア大会で「撃ち合いのないPUBG」が採用されたのは、オリンピック的価値観との整合性を理由に暴力表現を抑えたためとされる。バトロワなのに誰も撃たれない異例の光景は、当時話題になった。
- 勝利メッセージ「ドン勝」は、英語版の「Winner Winner Chicken Dinner」を日本語向けに意訳したもの。海外ではチキンにちなんで勝利を「チキン」と呼ぶが、日本では「ドン勝(カツ丼)」がすっかり定着した。
- 中国本土版『和平精英』では、倒れたプレイヤーが血を流さず、手を振って退場するなど表現が大きく変更されているとされる。
脚注[編集]
- ↑ 「eスポーツ「PUBG MOBILE」 アジア大会、日本代表は9位」 中日新聞Web、2026年9月29日