概要[編集]
ゲーム実況(ゲームじっきょう)とは、ゲームをプレイしながらその様子に声や字幕で解説・リアクションを付け、動画や生配信として公開するコンテンツのことである。ニコニコ動画の「実況プレイ動画」から生まれ、現在はYouTubeやTwitchを舞台に、加藤純一や2BRO.のような配信者からVTuberまで、日本のネット文化で最も視聴者の多いジャンルの一つとなっている。
詳細[編集]
ゲーム実況の面白さは、ゲームそのものではなく「誰がどう遊ぶか」にある。上手いプレイを見せるもの、下手さを笑いに変えるもの、ホラーゲームの絶叫、雑談中心の「作業配信」まで形はさまざまで、視聴者は実況者の人柄やリアクションを目当てに視聴する。この構造は、スポーツ中継の実況・解説に近いことから「実況」の名が定着した。
日本では2007年ごろ、ニコニコ動画に投稿された「実況プレイ動画」が起源とされる。投稿者が録画したプレイ映像に自分の声を乗せ、視聴者がコメントで反応するというニコニコ動画の仕組みが、実況文化と相性がよかった。2010年代前半にはYouTubeへ活動の場が広がり、2013年にHIKAKINが「HikakinGames」チャンネルを開設したことなどを機に、ゲーム実況はYouTuber文化の主要ジャンルになった。
2010年代後半になると生配信(ライブ)が主流となり、Twitchの日本展開やYouTube Liveの普及によって「動画投稿者」から「配信者(ストリーマー)」へと呼び方も変化した。さらに2018年以降はホロライブ・にじさんじ・ぶいすぽっ!といったVTuberがゲーム配信を主な活動とするようになり、ゲーム実況はアバターの有無を問わない巨大なジャンルへ拡大している。
歴史[編集]
ニコニコ動画時代(2007年 - 2012年)[編集]
2007年、ニコニコ動画で「実況プレイ動画」というタグが生まれ、投稿者の声入りのプレイ動画が急速に増えた。当時はゲーム映像の録画環境が整っておらず、ビデオキャプチャ機器を自作したり、テレビ画面をカメラで撮影したりする投稿者もいた。この時代に活動を始めたレトルト、牛沢、ガッチマンらは「実況者」と呼ばれ、複数人でわいわい遊ぶスタイルや、ホラーゲームを絶叫しながら進めるスタイルなど、現在まで続く実況の型を作った。
同時期にニコニコ生放送でも生配信のゲーム実況が始まり、加藤純一(うんこちゃん)をはじめとする「ニコ生主」がコメントと即興でやり取りする配信スタイルを確立した。動画投稿型と生配信型という二つの流れは、この時点ですでに存在していた。
YouTube移行と大衆化(2013年 - 2017年)[編集]
2010年から活動する兄弟実況者の兄者弟者(2BRO.)は、洋ゲーやFPSを落ち着いた語り口で実況するスタイルでYouTubeの登録者を伸ばし、「YouTubeのゲーム実況」を代表する存在となった。ポッキーや赤髪のとものようにニコニコ動画からYouTubeへ活動を移して大きく伸びた実況者も多く、ゲーム実況は「YouTuber」というくくりで一般層にも知られるようになった。マインクラフトの「マイクラ実況」は子どもから大人まで視聴する定番コンテンツになり、ゲーム実況を小学生の「将来なりたい職業」にまで押し上げた。
生配信・ストリーマー時代(2017年 - )[編集]
Twitchの日本での本格展開やYouTube Liveの普及で、生配信が主流になった。もこうや布団ちゃんのように加藤純一の周辺から広がった配信者コミュニティ、Apex LegendsやVALORANTといった対戦ゲームを軸にした「ストリーマー」の台頭、ストリーマー同士が大会形式で競うイベントの定着など、生配信ならではの文化が育った。加藤純一が2020年代に配信で数十万人の同時視聴者を集めるようになったことは、この時代の象徴といえる。
VTuberとの融合(2018年 - )[編集]
2018年以降、にじさんじやホロライブのVTuberが「ゲーム配信」を活動の中心に据え、兎田ぺこらや宝鐘マリンのようにゲーム実況を通じてチャンネル登録者数百万人規模に達するVTuberが生まれた。マインクラフトの企画配信や、大人数で同じゲームを遊ぶ「同時視聴」型の企画は、VTuberとゲーム実況の相性のよさを示している。宇宙wikiではいぬねこのような個人実況者の記事も整備している。
権利とガイドライン[編集]
ゲーム実況は他社の著作物であるゲーム映像を使うため、権利者の許諾が前提になる。かつてはグレーゾーンとして黙認されてきたが、2018年11月に任天堂が「ネットワークサービスにおける任天堂の著作物の利用に関するガイドライン」を公開し、個人がYouTubeなどの公式な収益化プログラムの範囲で実況動画を投稿・収益化することを明文で認めた。これを機に、カプコン、スクウェア・エニックス、セガ、バンダイナムコなど多くのメーカーが同様のガイドラインを整備し、実況の「ルール」が可視化された。
ガイドラインには、ストーリーの結末部分の配信を控える、発売前のプレイ映像を出さない、楽曲部分をミュートする、法人(事務所所属者)は別途契約が必要といった条件が含まれることが多く、実況者はタイトルごとに確認して配信している。無断でのフルストーリー配信や、ネタバレを含むサムネイルをめぐるトラブルも起きており、実況者にはゲーム文化への理解と節度が求められる。
ビジネスとしてのゲーム実況[編集]
収入源は動画広告、スーパーチャットやメンバーシップなどの視聴者からの直接支援、企業案件(ゲームの宣伝配信)、グッズ、イベント出演などである。近年はストリーマーを抱える事務所やeスポーツチームがマネジメントを行い、ゲームメーカーとの契約や大会運営を担うようになった。配信の一部を短く編集した「切り抜き動画」は、公式に許可された切り抜きチャンネルが収益を分配する仕組みが定着し、実況者本人の知名度を広げる役割を果たしている。
よくある質問[編集]
- ゲーム実況は誰でも始められる?
- 可能だが、配信するゲームのメーカーがガイドラインで許可しているかを確認する必要がある。多くの大手メーカーは個人の実況を許可しており、条件はメーカーの公式サイトに掲載されている。
- 「実況」と「配信」の違いは?
- 「実況」は編集した動画を投稿する形も含む広い言葉で、「配信」は生放送を指す。近年は生配信が主流のため、実況者を「配信者」「ストリーマー」と呼ぶことが多い。
- ゲーム実況で有名になる条件は?
- プレイの上手さだけでなく、トークやリアクション、企画力、視聴者とのやり取りが重視される。特定のゲームに特化して固定ファンをつかむ実況者も多い。
- ゲーム実況はどのくらい人気なのか?
- 加藤純一の配信が同時視聴数で数十万人規模に達したことがあるほか、VTuberのゲーム配信が日常的に数万人の同時視聴を集めるなど、日本のライブ配信で最大級のジャンルとなっている。
余談[編集]
- ニコニコ動画時代の初期実況者は、ゲーム画面をテレビの前に置いたビデオカメラで撮影するなど、機材の制約が大きかった。現在はゲーム機本体に配信機能が搭載され、スマートフォン一台でも配信できる。
- 「マイクラ実況」は子ども向けコンテンツとしても定着し、YouTubeのキッズ向け視聴の定番になったことで、ゲーム実況者を「なりたい職業」に挙げる小学生が増えたと各種調査で報じられている。
- ホラーゲームの実況は「怖がる人を見て楽しむ」というジャンルとして独立し、実況者の絶叫がそのままゲームの宣伝になる例も多い。
- ゲーム実況と歌い手は同じニコニコ動画から生まれた文化で、すとぷりのように両方を並行する活動者も多い。