ジン (名探偵コナン)

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ジン
Gin
Porsche_356_Cabriolet_1956.jpg
ジンの愛車と同じポルシェ356系の実車(1956年式カブリオレ。出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY-SA 3.0)
本名 不明(作者の裏設定として「黒澤陣(くろさわ じん)」が知られる)
出身地 不明
国籍 不明
身長 190cm前後とされる
職業 黒の組織の幹部(実行部隊のリーダー格)
肩書 組織幹部
活動期間 1994年(原作第1話)〜
代表的な実績 工藤新一にAPTX4869を飲ませた張本人
関連活動 劇場版『天国へのカウントダウン』『漆黒の追跡者』『純黒の悪夢』『黒鉄の魚影』ほか
別名 黒澤陣(裏設定)
あだ名 ジンの兄貴、兄貴
その他 声:堀之紀/実写ドラマ版:佐々木蔵之介/愛車:ポルシェ356A/愛用銃:ベレッタ


概要[編集]

ジンとは、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』(小学館『週刊少年サンデー』連載)に登場する黒の組織の幹部である。高校生探偵・工藤新一に毒薬「APTX4869」を飲ませて子どもの姿に変えた張本人であり、物語のすべての始まりを作った男。銀色の長髪に黒いロングコートと帽子という出で立ちで、作品を代表する悪役として長年君臨している。

詳細[編集]

初登場と「すべての始まり」[編集]

ジンの初登場は原作単行本1巻のFILE.1、テレビアニメでは第1話「ジェットコースター殺人事件」(1996年1月8日放送)である。舞台は遊園地トロピカルランド。幼なじみの毛利蘭とデートに来ていた新一は、ジェットコースターで起きた殺人事件を解決した直後、黒ずくめの怪しい二人組を目撃する。その二人組こそジンと相棒のウォッカだった。

新一はウォッカが行っていた恐喝の取引現場をのぞき見ていたところ、背後から近づいたジンに殴り倒される。ジンは組織が開発中だった毒薬APTX4869を新一に飲ませて立ち去った。本来なら痕跡を残さずに死ぬはずの薬だったが、新一の体は縮み、小学生の姿になってしまう。こうして生まれたのが江戸川コナンであり、『名探偵コナン』という物語はジンのこの一手から始まったと言っていい。

なぜ新一の顔を覚えていないのか[編集]

ジンは新一を手にかけた人物でありながら、その顔をはっきり覚えていない。その理由として作中で語られるのが、ジン自身の「殺した奴の顔と名前は忘れる事にしてるんだ」という台詞である。冷酷さを示す名言であると同時に、コナンの正体が組織に露見しない理由を説明する重要な設定にもなっている。

実際、ジンは工藤新一もシェリー(宮野志保)も死んだものと認識しているとされ、二人が子どもの姿で生き延びていることには気づいていない。この「すれ違い」が長期連載を支える緊張感の源になっている。

コードネームの由来[編集]

黒の組織の幹部は酒の名前をコードネームにしており、ジンもその一人。由来は世界4大スピリッツの一つに数えられる蒸留酒「ジン」である。相棒のウォッカも同じく4大スピリッツの名を持つ。

さらに、作者の裏設定として本名は「黒澤陣(くろさわ じん)」とされることがファンの間でよく知られている。英語圏では、酒の「Gin」に加えて銀髪の「銀(ぎん)」にかけた名前だという解説もある。なお英語版の初期のローカライズでは「メルキオール」という別名が当てられていたこともある。

人物像[編集]

性格[編集]

性格は冷酷非情そのもの。モットーは「疑わしきは罰する」で、裏切りの気配がある者は仲間であっても容赦なく始末する。組織内では人事に関わる強い権限を持ち、裏切り者や失敗した者を自分の判断で処断する場面も多い。一方で、詩人のようなもったいぶった台詞回しをすることでも知られ、これが独特の色気と、後述する「ネタ」としての愛され方を生んでいる。

頭脳面では極めて用心深い切れ者である。仕掛けられた盗聴器や発信機を素早く見抜き、現場の痕跡から相手の行動を推理する力はコナンに匹敵すると評される。体力と痛みへの耐性も桁外れで、コナンの麻酔針を受けた際には自分の腕を撃って意識を保ち、そのまま追跡を続けたという逸話がある。

外見[編集]

腰まで届く銀色のストレートの長髪、深緑色の目、そして「平気で殺人を繰り返してきたような」冷たい目つきが特徴。服装は黒のロングトレンチコートにハイネック、黒い帽子で、いつ見てもほぼ同じ格好をしている。身長は190cm前後という設定が知られ、作中でもかなりの長身として描かれる。

左頬(目尻付近)には、FBI捜査官・赤井秀一の狙撃によって負った傷がある。初期のアニメでは髪色が薄い茶色や金髪に近い色で塗られていたが、のちに銀髪に統一された。左利きである点もファンの間では有名な設定。

愛車ポルシェ356A[編集]

ジンの代名詞といえるのが、黒のポルシェ356Aである。ポルシェが初めて世に送り出した量産カタログモデル「356」の系譜に連なる古いスポーツカーで、ジン本人はこの車を「ドイツの雨ガエル」と呼んでいる。

作中では「黒いポルシェが停まっている」というだけでコナンが組織の気配を察知するほど、不吉の象徴として扱われる。英語圏のファンwikiでは、ナンバープレートが当初「A 48-69」と描かれ、毒薬APTX4869に掛かっていたことも紹介されている。クラシックカー好きの間でも「コナンのジンの車」として知名度が高い。

銃と煙草[編集]

愛用の拳銃はベレッタで、原作ではベレッタM1934、アニメではベレッタM92として描かれている。長距離狙撃も得意で、ライフルを扱う場面もある。ヘビースモーカーでもあり、銘柄はフランスの煙草ゴロワーズとされる。英語でメールをやり取りし、劇場版ではドイツ語を話す場面もあるなど、国際的に活動する組織の幹部らしい一面も持つ。

作中での主な活躍・重要回[編集]

宮野明美とシェリーをめぐって[編集]

初期の重要エピソードが、10億円強奪事件の後に起きた宮野明美の殺害である。組織の命令で銀行強盗を成功させた明美に対し、ジンは約束を反故にして彼女を撃った。明美は灰原哀(宮野志保、コードネーム「シェリー」)の姉であり、この事件はシェリーが組織から逃亡するきっかけの一つとなった。

以降、ジンはシェリーに異常な執着を見せるようになる。髪の毛一本で彼女の存在を見抜くほどで、公式ガイドでは二人に過去の関係があった可能性も示唆されているが、真相は明かされていない。作者は詳細の明言を避けており、ファンの考察の的になり続けている。

杯戸シティホテルと煙突の攻防[編集]

組織の幹部ピスコが絡む杯戸シティホテルの一件では、ジンはホテルの煙突付近に潜んだ灰原を追い詰める。ここでコナンの麻酔針を受けたジンが、自らの腕を撃って眠気に耐えたのは有名な場面だ。結果的にシェリーには逃げられるが、ジンの執念と異常なタフさが印象づけられた回である。

赤井秀一との因縁[編集]

ジンにとって最大の宿敵といえるのが赤井秀一である。赤井はかつて組織に潜入していたFBI捜査官で、ジンは彼を強く敵視している。「ブラックインパクト」と呼ばれるエピソードでは、遠距離から赤井がジンを狙撃し、このとき左頬に傷を負った。

その後の「赤と黒のクラッシュ」編では、ジンはキールに赤井の殺害を命じ、来葉峠での一件を経て赤井は死亡したと判断される。しかし赤井はひそかに生き延びており、大学院生・沖矢昴として身を隠していた。ジンはこの事実を知らないまま、赤井の影に警戒を続けている。

ミステリートレイン[編集]

「漆黒の特急(ミステリートレイン)」編では、シェリー抹殺のために列車の行き先に爆薬を用意するなど、作戦の指揮を執った。ベルモットや安室透(バーボン)の動きもあって計画は思惑どおりには進まず、組織内の思惑が交錯する回として人気が高い。

ウォッカら他メンバーとの関係[編集]

ウォッカ[編集]

相棒のウォッカ(声:立木文彦)は、ほぼ常にジンと行動をともにする。ジンを「兄貴」と呼んで慕い、忠誠心も高い。ジンは彼を未熟な弟分のように扱い、時に叱りつけながらも実務の多くを任せている。

ジン役の堀之紀は、この関係について「ジンはウォッカに対して最大の信頼をしているけど、信用はしていない」と語り、ウォッカでもしくじれば撃つだろうという見方を示している。「僕はね、ジンは誰も信じていないと思ってる」という発言とあわせ、ジンの孤独な人物像を言い当てた解釈として話題になった。

ベルモット[編集]

女優としての顔も持つ幹部ベルモットとは、行動をともにすることも多いが関係は複雑だ。秘密主義のベルモットに対し、ジンは警戒心を隠さず、彼女の怪しい動きを監視させることもある。二人の間には親密さを匂わせる描写もあるが、互いに腹の底は見せていない。

バーボン、キールほか[編集]

バーボン(安室透)については、幹部であるジンにすら知らせずに勝手に動くことから、やや快く思っていない様子が描かれる。安室の正体は公安警察の潜入捜査官であり、古谷徹が声を担当していた。キールにはFBIとの内通を疑い、忠誠の証として赤井の殺害を命じた。ピスコとは折り合いが悪く、のちに処断している。

組織のトップ「あの方」とは頻繁に連絡を取り合う立場で、実質的に組織のナンバー3から5に相当する地位とみなされている。ボスの正体は、かつての大富豪・烏丸蓮耶であることが作中で明かされている。

劇場版での活躍[編集]

天国へのカウントダウン[編集]

ジンとウォッカの劇場版初登場作は、第5作『名探偵コナン 天国へのカウントダウン』(2001年)。西多摩市に完成したばかりのツインタワービルを舞台に、ビルの前に黒いポルシェが停まっているという情報からコナンが組織の影を察知する。劇中ではパーマをかけた鈴木園子をシェリーと見間違えて狙撃しようとし、ファンからは「ドジン」とからかわれる名(迷)場面を残した。

漆黒の追跡者[編集]

第13作『名探偵コナン 漆黒の追跡者』(2009年)では、組織が警察内部に潜む構図のなかで暗躍。クライマックスでは東京タワーにヘリコプターで乗りつけ、ウォッカに機銃掃射を命じてコナンを追い詰めた。

純黒の悪夢[編集]

第20作『名探偵コナン 純黒の悪夢』(2016年)は、黒の組織を正面から描いた作品。組織の諜報員キュラソーをめぐり、冒頭の警察庁へのハッキングから派手なカーチェイス、観覧車を舞台にしたクライマックスまで、ジンは組織側の指揮官として暴れ回る。興行収入は63億円を超え、当時のシリーズ最高を更新した。

黒鉄の魚影[編集]

第26作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』(2023年)は、灰原哀を物語の中心に据えた作品で、ジンも主要な悪役として登場する。舞台は伊豆諸島近海の海洋施設「パシフィック・ブイ」で、組織は潜水艦まで持ち出して作戦を展開した。

作中、顔写真から年齢差を超えて人物を特定する「老若認証」システムに対し、いつも冷静なジンが「クソシステムじゃねぇか!」とキレる場面が話題に。灰原役の声優から「まさか潜水艦まで持っているとは思わなかった」と驚かれるなど、組織のスケール感も強調された。本作はシリーズ初の興行収入100億円を突破する大ヒットとなった。

近年の劇場版[編集]

『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』(2024年)、『名探偵コナン 隻眼の残像』(2025年)、『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』(2026年)はいずれも組織が主役の作品ではなく、ジンが物語の中心に立つことはなかった。そのため「次にジンが暴れる劇場版はいつか」はファンの定番の話題になっている。

声優と演出[編集]

堀之紀[編集]

アニメでジンを演じるのは堀之紀。1996年の第1話から約30年にわたり担当を続けている。低く響くバリトンボイスがジンの冷酷さと色気を両立させており、コナン役の高山みなみも「ジンの声を聴くとピリっとする」「ヤバい、どうしよう、って」と語っている。

堀之紀は『黒鉄の魚影』公開時のインタビューで、完成台本について「相変わらずスケールが大きい」「予想がつかない展開も多くて面白かった」とコメント。さらに「ジンって組織の人間の名前以外で口にするのはほとんど『シェリー』なんだよね」と、シェリーへの執着を役者目線で指摘した。

実写・海外版[編集]

日本テレビ系の実写ドラマ版では佐々木蔵之介がジンを演じた。英語吹替では複数の声優が担当しており、トロイ・ベイカーらが知られる。韓国版では「현탁진(ヒョン・タクジン)」という名前で放送され、名前ごとローカライズされている。

演出面の特徴[編集]

アニメ版トムス・エンタテインメント制作のシリーズでは、ジンの初期の髪色が茶色や金髪寄りだったものが、後年は原作どおりの銀髪に統一された。近年は作画の洗練とともに「どんどんイケメンになっている」とファンの間でたびたび話題にのぼる。

人気・ネタ[編集]

人気[編集]

悪役でありながら人気は非常に高い。2026年6月に全国の10〜60代の男女300人を対象に行われたインターネット調査「黒の組織メンバーで好きなキャラクター」では、ベルモットに次ぐ2位にランクインした。回答者からは「黒の組織といえばジン」「冷酷非道で頭が切れる『純粋な悪』としての格好良さ」といった声が寄せられている。

「ジンの兄貴」[編集]

ウォッカの呼び方にならい、ファンの間でもジンは「ジンの兄貴」「兄貴」と呼ばれることが多い。悪の幹部でありながら、ファンが半ば愛情、半ばネタとして「兄貴」と慕うのが定番のスタイルである。

有能なのにどこか抜けている[編集]

コナンに匹敵する頭脳と非情さを持ちながら、ロッカーに隠れたコナンを見逃す、もったいぶった台詞を語っているうちにシェリーに逃げられる、劇場版で園子をシェリーと間違える、といった「詰めの甘さ」も描かれてきた。このギャップから「有能なのに肝心なところで抜けている悪役」としてネタにされ、そこも含めて愛されている。

余談[編集]

  • 麻酔針を受けて自分の腕を撃ち、意識を保ったのはジンくらいだとされる。麻酔針攻略法としては最も荒っぽい部類である。
  • ポルシェのナンバー「A 48-69」がAPTX4869に掛かっていたという小ネタは、英語圏のファンwikiでも紹介されている。
  • 英語版の初期のローカライズでは、ジンに「メルキオール」という名前が付けられていたことがある。
  • ジンとウォッカは劇場版第5作『天国へのカウントダウン』で初めて劇場版に登場した。その作品でいきなり「園子をシェリーと見間違える」という迷場面を残している。
  • 『黒鉄の魚影』での「クソシステムじゃねぇか!」は、冷静なジンが珍しく取り乱した場面として印象的で、ネットで日常に使いたくなる台詞としてネタにされた。
  • 劇中で使う銃の型が原作(ベレッタM1934)とアニメ(ベレッタM92)で異なる。
  • 韓国版では「ヒョン・タクジン」というフルネームが付けられている。

外部リンク[編集]

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