| 名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ) Detective Conan: The Million-dollar Pentagram | |
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![]() 物語の舞台・北海道函館市の五稜郭(2018年)(出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY 2.0) | |
| 監督 | 永岡智佳 |
| 製作 | 名探偵コナン製作委員会 |
| 脚本 | 大倉崇裕 |
| 原作 | 青山剛昌『名探偵コナン』 |
| 出演 | 高山みなみ、山口勝平、堀川りょう、宮村優子、山崎和佳奈、小山力也、松岡禎丞、大泉洋(ゲスト)ほか |
| 音楽 | 菅野祐悟 |
| ジャンル | アニメ映画、ミステリー、アクション |
| 制作会社 | トムス・エンタテインメント |
| 配給 | 東宝 |
| フォーマット | 劇場用長編アニメーション |
| 劇場公開 | 2024年4月12日(日本) |
| 上映時間 | 111分 |
| 興行収入 | 158.0億円(日本国内・最終) |
| 言語 | 日本語 |
| レイティング | G(日本) |
| 前作 | 名探偵コナン 黒鉄の魚影(2023年) |
| 次作 | 名探偵コナン 隻眼の残像(2025年) |
| リンク | https://www.conan-movie.jp/2024/ |
概要[編集]
名探偵コナン 100万ドルの五稜星(めいたんていコナン ひゃくまんドルのみちしるべ)とは、2024年4月12日に公開された劇場版名探偵コナンシリーズの第27作である。北海道函館を舞台に、怪盗キッドと服部平次が土方歳三ゆかりの刀をめぐるお宝争奪戦に挑み、エピローグでキッドと工藤新一の血縁関係が明かされたことで社会現象級の話題となった。最終興行収入158.0億円はシリーズ歴代最高である。
詳細[編集]
作品の位置づけ[編集]
本作は2023年の『名探偵コナン 黒鉄の魚影』に続く劇場版第27作。前作が灰原哀と黒ずくめの組織を軸にした「重い」作品だったのに対し、本作はキッドと平次という人気キャラ2人をダブル主役級に据え、函館の夜景と日本刀を絡めた「お宝ミステリー×アクション」に振り切った。公式キャッチコピーは「天下分け目のお宝争奪バトルミステリー、ついに開幕ー!」。
キッドと平次が同じ劇場版に揃うのは第14作『天空の難破船』以来13作ぶりで、両者が劇場版で直接対峙するのは2度目となる。さらに公開前から「キッドの真実」が明かされると予告されており、ファンの間では公開前から考察合戦が過熱していた。
スタッフ[編集]
監督は『紺青の拳』(2019年)、『緋色の弾丸』(2021年)に続いて劇場版を手がける永岡智佳。脚本は『から紅の恋歌』『紺青の拳』などで知られるミステリー作家の大倉崇裕、音楽は前作に続き菅野祐悟が担当した。アニメーション制作はトムス・エンタテインメント、配給は東宝である。
永岡監督は本作の大ヒットにより「女性監督作品として初めて興行収入100億円を突破した邦画」を手がけた監督となった。
主題歌はaiko「相思相愛」[編集]
主題歌はaikoの「相思相愛」。aikoがコナン作品の主題歌を担当するのはこれが初めてである。オファーは前年のツアー中に届いたといい、aikoは「本当に嬉しくて毎日頑張っていました」とコメント。作中の新一の名セリフになぞらえ、「音楽でしか伝えられないこともあると思う」という思いも語っている。
曲は「大切な人を想う一心で書いた」というラブソングで、平次と和葉の恋模様とも重なる内容になっている。のちに45枚目のシングルとしてリリースされ、カップリングには「まさか夢」「あなたは優しい」が収録された。aikoは公式インタビューで、メロディは自宅の廊下を歩いているときに浮かんだと明かしている。
舞台・函館[編集]
舞台は北海道函館市。北海道が劇場版の舞台になるのは第8作『銀翼の奇術師』以来19作ぶりである。タイトルの「五稜星」は星形要塞の五稜郭を、「100万ドル」は函館山から見下ろす「100万ドルの夜景」を連想させるネーミングで、実際にクライマックスは函館の夜景の上空で展開される。
公開に合わせて函館市ではスタンプラリーや市電のラッピング電車運行などのコラボ企画が実施され、作中に登場する八幡坂や函館山、五稜郭タワー周辺は「聖地巡礼」スポットとしてにぎわった。
あらすじ[編集]
序盤(ネタバレなし)[編集]
函館にある斧江財閥の収蔵庫に、怪盗キッドから予告状が届く。狙いは幕末の新選組副長・土方歳三にまつわる日本刀だった。ちょうどそのころ、剣道大会に出場するため函館を訪れていた服部平次と、江戸川コナンたちもこの騒動に巻き込まれていく。
キッドと対峙した平次は、その素顔が工藤新一に酷似していることに気づく。一方で斧江財閥の顧問弁護士・久垣澄人が、胸に十文字の切り傷を付けられた遺体で発見される。
キッドが狙っていた刀は、斧江家の先祖・斧江圭三郎が函館に隠したという「宝」の手がかりとなる、刀鍛冶・東窪榮龍の銘が入った六振りの刀の一部だった。この宝を狙う者はキッドだけではなく、武器商人ブライアン・D・カドクラも暗躍していた。やがて黒い狐面をかぶった謎の剣士がキッドを襲撃し、さらに星形の鍔を持つ七振り目の刀「星稜刀」の存在が浮上。函館の街を舞台に、熾烈なお宝争奪戦の幕が上がる。
結末(ネタバレ注意)[編集]
※以下、物語の結末に関する重大なネタバレを含む。
久垣殺害の真犯人は、居合道の師範家系に生まれた元高校教師・福城良衛であった。良衛は友人である斧江家の人間のために宝探しに協力していたが、久垣が手がかりの刀をカドクラに売り渡そうとしたため殺害に及んだとされる。狐面の剣士として暗躍していたのも良衛だった。
苦労の末にたどり着いた「100万ドルのお宝」の正体は、大戦中に使われた暗号機と暗号解読機だった。歴史的には意味があるものの、現代ではほとんど価値がなく、キッドが「今ならスマホの方が優秀」と肩をすくめるオチがつく。
クライマックスでは、函館の夜景の上空を飛ぶ小型機の上で、平次と八幡坂大学医学部生の福城聖が剣を交える。平次は居合で勝利し、危険物を海へ投げ捨てて街を守る。落下する平次をキッドが救い出すなど、ライバル同士の共闘も見どころである。
事件後、平次は展望台で和葉への告白に挑むが、直前の爆音で和葉の耳がよく聞こえておらず、決死の告白は届かないまま終わる。ファンからは「またしても」と悲鳴と笑いが上がった。
工藤新一とキッドの関係の判明[編集]
本作最大の話題は、エンドロール後のエピローグである。工藤優作と工藤有希子の会話によって、怪盗キッド=黒羽快斗の父・黒羽盗一が、工藤優作の双子の兄であることが明かされた。つまり工藤新一と黒羽快斗はいとこ同士だったのである。
作中の説明によれば、盗一と優作は幼少期に両親の離婚によって離ればなれになり、20年以上直接会ってはいないものの、連絡は取り合っていたという。また、8年前に事故に見せかけて殺されたとされていた盗一は実は生きており、『まじっく快斗』に登場した「怪盗コルボー」として活動していたことも示唆された。有希子がかつて盗一から変装術を学んでいたという既存の設定も、ここでつながる形となった。
新一と快斗の顔がそっくりなことは連載初期からの「お約束」で、ファンの間では「実は親戚なのでは」という説が長年ささやかれていた。本作は『名探偵コナン』『まじっく快斗』の両原作に先駆けてこの真実を明かすと公言しており、原作者・青山剛昌の監修のもと劇場版で公式設定が発表されるという異例の形となった。ネタバレ防止のため、マスコミ向け試写会を実施しないという異例の対応もとられている。
盗一の声は、赤井秀一役でもおなじみの池田秀一が担当している。なお一部の解説記事では、作中の川添刑事の一部の場面は盗一の変装だったと解釈されている。
登場人物・声優[編集]
メインキャラクター[編集]
- 江戸川コナン(声:高山みなみ):本作の主人公。キッド、平次と三つ巴の推理合戦を繰り広げる。
- 怪盗キッド/黒羽快斗(声:山口勝平):土方歳三ゆかりの刀を狙う。本作のキーパーソン。
- 服部平次(声:堀川りょう):剣道大会で函館を訪れていた「西の名探偵」。和葉への告白をもくろむ。
- 遠山和葉(声:宮村優子):平次の幼なじみ。
- 大岡紅葉(声:ゆきのさつき):平次に想いを寄せる京都のお嬢様。執事の伊織無我(声:小野大輔)も同行する。
- 沖田総司(声:遊佐浩二):京都泉心高校の剣士。劇場版初登場。
- 毛利蘭(声:山崎和佳奈)、毛利小五郎(声:小山力也)
- 阿笠博士(声:緒方賢一)、灰原哀(声:林原めぐみ)
- 工藤優作(声:田中秀幸)、工藤有希子(声:島本須美)
- 黒羽盗一(声:池田秀一)
- 中森銀三(声:石井康嗣)、中森青子(声:M・A・O)
新一の正体を知る主要キャラクター(博士、哀、キッド、平次、優作、有希子)が一作に勢ぞろいするのは劇場版初である。また『紺青の拳』以来、警視庁捜査一課の面々が登場せず、代わりに警視庁捜査二課と北海道警が捜査にあたるのも特徴となっている。
オリジナルキャラクター[編集]
- 福城聖(声:松岡禎丞):八幡坂大学医学部生で居合道の達人。剣道大会を通じて和葉と知り合い、平次の恋のライバル的ポジションになる。
- 福城良衛(声:菅生隆之):聖の父。居合の師範家系の元高校教師。
- 斧江拓三(声:中博史):斧江財閥の現当主。
- 吉永神子(声:高野麻里佳):北海道東照宮の巫女。
- 久垣澄人:斧江財閥の顧問弁護士。事件の被害者。
- ブライアン・D・カドクラ:斧江家の宝を狙う武器商人。
ゲスト声優[編集]
ゲスト声優には北海道出身の俳優・大泉洋が起用され、北海道警捜査一課の刑事・川添善久を演じた。一見ドジで残念な刑事だが、函館のお宝伝説や容疑者の事情に妙に詳しい情報通という、つかみどころのないキャラクターである。
大泉は起用発表時に「北海道が舞台の映画だったら、基本僕全部出たいんですよ(笑)」「できる奴なのかできない奴なのか分からないような…僕に近い役だと思います」とコメント。公開翌日の舞台挨拶ではキャラクターのモノマネを披露し、平次の声マネが本家の堀川りょうから「大阪弁のイントネーションもバッチリ」と太鼓判を押された。調子に乗って「次回作は平次で」と言った直後、青山剛昌から川添を描いた色紙が届くと「やっぱり善久でいきます」と即座に手のひらを返し、会場を笑わせた。
興行収入と記録[編集]
本作は史上最大規模の515館で公開され、初日だけで観客動員63万人、興行収入9.6億円を記録して前作を上回るスタートを切った。その後も勢いは衰えず、公開22日間で興行収入100億円を突破。前作『黒鉄の魚影』よりも2日早いシリーズ最速記録となった。
公開45日で140億円を超えて劇場版歴代最高を更新し、公開52日で観客動員1,000万人を突破(劇場版シリーズ初)。最終的な興行収入は158.0億円、観客動員は1,052万人以上に達した。150億円突破は邦画史上10本目で、突破時には青山剛昌による描き下ろしの記念イラストが公開されている。
158.0億円は2024年の日本国内興行収入ランキングで年間1位。2位の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』(116.4億円)を大きく引き離した。トップ10に14週連続で入り続けるロングランでもあった。
主な記録は以下のとおり。
- 劇場版シリーズ最高興収(158.0億円)
- 劇場版シリーズ初の観客動員1,000万人突破
- 女性監督作品として邦画初の興収100億円突破
- シリーズ2作連続100億円突破は邦画初
- 本作公開から18日で劇場版シリーズ累計観客動員1億人を突破(27作目での達成は邦画シリーズ最速)
海外でも公開され、韓国では2024年7月17日に公開。中国でも大ヒットし、世界興収は1億5,000万ドル超とされる。イギリス・アイルランドでは本作がシリーズで初めての劇場配給作品となった。
地上波放送・配信[編集]
地上波放送[編集]
地上波では、2025年4月18日に日本テレビ系「金曜ロードショー」で本編ノーカットにて初放送された(21:00〜23:19の拡大枠)。翌年の新作『名探偵コナン 隻眼の残像』の公開を記念した「3週連続 名探偵コナン祭り」の第3弾としての放送で、4月4日の『14番目の標的』、4月11日の『水平線上の陰謀』に続く大トリを務めた。
なお劇場公開中の2024年5月3日には、冒頭10分が地上波で特別放送されている。
配信・ソフト[編集]
Blu-ray・DVDは2024年11月27日に発売された。豪華盤と通常盤が用意され、限定セットも販売された。
動画配信は、2026年時点でNetflix、Disney+、U-NEXT、Amazon Prime Video、Lemino、DMM TVなど主要サービスで見放題配信されている(配信状況は時期によって変わる)。韓国ではTVINGで吹替版・字幕版が配信されている。
評価[編集]
国内では公開初日のFilmarks初日満足度ランキングで1位を獲得するなど、ファンからの満足度は高かった。特に、キッドと平次の共演、函館の夜景を背景にした空中戦、そしてラストの「いとこ」発覚は大きな反響を呼び、SNSでは公開直後から考察やネタバレ回避の呼びかけが飛び交った。
一方、ミステリー要素については「事件の謎解きよりもアクションとキャラクター描写が中心」という声もある。英語圏のレビューでも、メインの謎と青春ドラマのバランスがうまくいっていない、クライマックスがコナンの推理よりアクションの見せ場になっているといった指摘があり、登場キャラクターの多さも賛否が分かれた。ただしアクションシーンや函館というロケーションの使い方は総じて高く評価されている。
とはいえ、長年の謎に公式の答えを出したという点で本作は「シリーズの転換点」と位置づけられることが多く、興行面でも批評面でも語り継がれる一作となった。
余談[編集]
- 福城聖を演じた松岡禎丞は北海道出身。聖が乗るスクーターのナンバープレートは「917」で、松岡の誕生日である9月17日と一致している。
- キッド役の山口勝平の実子である山口竜之介と山口茜が、サブキャラクター役で出演している。
- 青山剛昌の過去作『YAIBA』の鬼丸猛が劇場版に初登場するなど、青山作品のキャラクターが随所に顔を出すファンサービスがある。中森青子もコナン劇場版シリーズ初登場である。
- 工藤優作が声付きで本格的に劇場版に登場するのは第6作『ベイカー街の亡霊』以来21作ぶりとされる。
- エンドロール終盤では、長年シリーズの音響効果を担った横山正和と、その仕事を引き継いだ娘・横山亜紀への追悼が捧げられた。
- エンディング後には恒例の次回作予告が流れ、のちに第28作のタイトルが『名探偵コナン 隻眼の残像』と発表された。
- コラボ企画も大規模で、ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでのリアル脱出ゲーム、名探偵コナンカフェ、くら寿司、31アイスクリームなどとのタイアップが展開された。
