RedTube
RedTube
RedTube_logo.svg
RedTubeのロゴ(出典:ウィキメディア・コモンズ)
国家 アメリカ合衆国(運営会社はカナダ・モントリオール拠点のAylo)
種類 成人向け動画共有サイト
市場情報 非上場
業種 インターネット・成人向けエンターテインメント
設立日 2007年
所有者 Aylo(旧MindGeek)
主要株主 Ethical Capital Partners(Ayloの親会社)
別名 レッドチューブ
リンク https://www.redtube.com/


概要[編集]

RedTube(レッドチューブ)とは、2007年ごろに開設された無料の成人向け動画共有サイトである。YouTube型の「チューブサイト」の草分けの一つで、香港の会社による運営を経て2013年に現在のAylo(当時Manwin、のちMindGeek)の傘下に入り、Pornhub・YouPornの姉妹サイトとなった。ドイツでは2013年、RedTubeの視聴者に大量の警告書が送りつけられた「RedTube警告書事件」で広く知られる。

詳細[編集]

名前と開設時期[編集]

サイト名は「YouTube」の「You」を「Red」に置き換えたもので、ロゴも赤を基調としている。英語版Wikipediaは、RedTubeの人気の理由の一つとして、名前自体に性的な単語が入っていない点を挙げている。先行したYouPornが名前に「Porn」を含むのに対し、RedTubeは一見すると成人向けサイトと分かりにくく、職場や家庭の履歴に残っても目立ちにくい、という「ステルス性」があったとされる。

開設時期は資料によって揺れがあり、2006年とするもの、2007年とするものがある。2007年12月には米Wired誌が「最も急成長しているウェブサイト5つ」の一つとしてRedTubeを取り上げており、2007年に一気に拡大したことは確かである。日本語では「レッドチューブ」と読む。

規模の推移[編集]

RedTubeは開設後まもなく世界的な大手サイトになった。Alexaの順位では、2009年9月に全ウェブサイト中の上位100位以内に入り、2010年ごろのWIPO(世界知的所有権機関)の紛争記録では「全世界で63番目にアクセスの多いサイト」「成人向けカテゴリで3位」とされていた。2010年6月にはいったん100位圏外に落ちたが、2012年半ばに再び上位へ戻った。2014年11月時点のMindGeek関連の資料では月間訪問数9,000万以上、2015年の報道ではRedTube自身が「月3億回以上の訪問」と説明している。2020年9月のAlexa順位は520位で、グループ内の主役がPornhubに移ったこともあり、相対的な存在感は下がっている。

初期の運営体制[編集]

Aylo傘下に入る前のRedTubeは、香港のBright Imperial Limitedという会社が権利者・運営者として名前を出していた。同社はオーストラリア、香港、シンガポール、スイス、台湾など13の国・地域で「REDTUBE」の商標を登録し、「redtubehentai.com」など名前を借用したドメインに対してWIPOの紛争処理手続を起こして移転を勝ち取るなど、ブランド保護に積極的だった。英語版Wikipediaによれば、本社機能はテキサス州ヒューストンにあり、サーバーはサンフランシスコ、ニューオーリンズ、モントリオールに置かれていたとされる。

歴史[編集]

急成長とハッキング(2007年〜2009年)[編集]

2007年に急成長したRedTubeは、同時期のYouPornなどとともに、成人向け映像の「無料化」の波を象徴する存在となった。2009年ごろには、RedTubeを含む上位3つの成人向けサイトで合計1億人規模のユニーク訪問者がいたとされる。

2008年10月には、トルコのハッカーがRedTubeのデータベースに侵入し、サイトが一時停止に追い込まれる事件が起きた。巨大なアクセスを持つ成人向けサイトは、攻撃者にとって「一度乗っ取れば大量の人に影響を与えられる」魅力的な標的であり、この構図は後のマルウェア事件にもつながっていく。

Manwinによる買収(2013年)[編集]

2013年夏、ファビアン・ティルマン率いるManwinは、香港のBright Imperial LimitedからRedTube関連の資産を取得した。Manwinは2011年にYouPornを買収済みで、Pornhubの運営元も抱えていたため、この買収で世界の主要な無料チューブサイトの多くが1社の下にそろうことになった。同年10月、ティルマンは持ち株を経営陣に売却し、会社はMindGeekに改称。2023年3月にカナダの投資会社Ethical Capital Partnersが買収し、同年8月にAyloへ社名変更して現在に至る。

マルウェア配布事件(2015年)[編集]

2015年2月、セキュリティ企業Malwarebytesは、RedTubeが改ざんされ、訪問者をマルウェアに誘導していたと報告した。攻撃者はRedTubeのサーバー上のソースコードに直接手を加え、トップページに見えないiframeを埋め込んでいた。これは広告経由の「マルバタイジング」ではなく、サイト本体の改ざんだった点が特徴である。

誘導先では、当時まだ修正されていなかったAdobe Flashの脆弱性(CVE-2015-0313)を突く攻撃ツール「Angler Exploit Kit」が動いており、条件を満たすパソコンではページを開いただけで感染する可能性があった。仕込まれていたのは「Trojan.FakeMS」と呼ばれるトロイの木馬で、個人情報の窃取や、ブラウザに不正な拡張機能を入れてポップアップ広告を出す機能を持っていた。名前の「FakeMS」が示すとおり、Microsoft製品を装う種類のマルウェアである。RedTube側は数時間のうちに対処したと説明している。

同じ時期には別の大手成人向けサイトXtubeも改ざんされて同様の被害を出しており、「アクセスが多い成人向けサイトはドライブバイ攻撃の格好の足場になる」という点がセキュリティ業界で改めて注目された。なお、偽のウイルス警告やWindowsのサポートを装った詐欺画面は、改ざん事件とは別に、成人向けサイト全般の広告枠で繰り返し報告されてきた手口でもある。

RedTube警告書事件(ドイツ・2013年)[編集]

事件の概要[編集]

2013年12月、ドイツで数万人のインターネット利用者のもとに、法律事務所から一通の警告書(Abmahnung、アプマーヌング)が届いた。差出人はレーゲンスブルクの法律事務所「Urmann + Collegen(U+C)」、依頼人はスイスの会社「The Archive AG」。内容は「あなたはRedTubeで当社が権利を持つ成人向け映画を視聴し、著作権を侵害した。250ユーロを支払い、今後同じことをしないと誓約せよ」というものだった。

250ユーロの内訳は、弁護士費用149.50ユーロ、調査費65ユーロ、損害賠償15.50ユーロ、郵送費20ユーロとされる。警告書の数は資料により約2万5,000通から6万通超まで幅があり、ドイツ語版Wikipediaでは中間推計で約4万3,000通、総額にして約1,090万ユーロ規模と見積もられている。送付は2013年12月5日に始まった。

ドイツでは、ファイル共有ソフトで映画や音楽を共有した人に弁護士が警告書を送り、示談金を求める「Abmahnung」ビジネスがすでに社会問題化していた。しかしこの事件は、対象が「ファイル共有」ではなく「ストリーミング視聴」だったこと、そして対象が成人向け動画だったことで、前代未聞の騒ぎとなった。内容が内容だけに、家族に知られることを恐れて支払ってしまう人が出るのではないか、という点も指摘された。

なぜ視聴者のIPアドレスが分かったのか[編集]

警告書の前提となったのは、ケルン地方裁判所の決定だった。2013年8月、調査会社「itGuards」とされる会社の資料をもとに、プロバイダーのドイツテレコムに利用者情報の開示を求める申し立てが89件出され、少なくとも62件が認められた。itGuardsは「GLADII 1.1.3」という独自ソフトで、RedTubeで該当作品を再生した人のIPアドレスを特定したと主張していた。

しかし、第三者が外部から他人のストリーミング再生を記録すること自体が技術的に極めて不自然で、専門家からは「このソフトが本当に存在するのか疑わしい」との声が相次いだ。後の調査報道では、itGuardsのシリコンバレーの住所が月75ドルの私書箱にすぎなかったこと、会社設立前にドメインが登録されていたこと、The ArchiveとitGuardsのウェブサイトを同じ人物が管理していた形跡があることなどが次々と明らかになった。さらに、似た名前のドメイン(「retdube.net」など)を経由してドイツからのアクセスを該当作品のページへ誘導し、再生数が急増していたことも指摘された。

「ストリーミングは違法か」という論点[編集]

法的な最大の争点は、「ストリーミングで動画を見るだけで著作権侵害になるのか」だった。警告書側は、再生時に一時的にデータが保存される「プログレッシブ・ダウンロード」は複製にあたると主張した。これに対し、多くの弁護士や消費者団体は、一時的なキャッシュはドイツ著作権法44a条の「一時的複製」として許されると反論した。

ドイツ連邦政府(司法省)も、単にストリーミング動画を視聴する行為は著作権侵害にはあたらない、との見解を示した(最終判断は欧州司法裁判所に委ねるとした)。

裁判所と当局の対応[編集]

  • 2013年12月19日:RedTube側がハンブルク地方裁判所に申し立て、The ArchiveとU+Cに対し、RedTube関連の警告書をこれ以上送ることを禁じる仮処分が出された。同日、ケルン検察庁も虚偽の宣誓供述の疑いで捜査を始めた。
  • 2014年1月27日:ケルン地方裁判所は、110件の不服申し立てを受け、以前の情報開示決定のうち4件を取り消した。申し立てが実際は「ストリーミング」なのに「ダウンロード」であるかのように記載していたこと、単なる視聴は著作権侵害にあたらないことなどが理由とされた。
  • 2014年4月:ポツダム区裁判所がストリーミングを理由とする警告書を違法と判断。同月末、U+CはThe Archiveの代理人を辞任した。
  • 2014年6月:ハノーファー区裁判所は、視聴者は明らかに違法なコンテンツでない限り責任を負わない、としてThe Archive側の請求を退けた。

その後[編集]

U+Cを率いた弁護士は2014年11月に自ら弁護士資格を返上した。2015年、レーゲンスブルク区裁判所は警告書の送付を「故意による不法行為」と認定し、警告書を受け取った人の弁護士費用を負担するよう命じ、同年12月にもこの判断が維持された。一方、刑事捜査については、故意の立証が十分でないとして2016年に打ち切られたと報じられている。The Archive AGは2016年9月にスイス当局によって解散された。

RedTube自身は警告書の送付に一切関与しておらず、むしろ仮処分で送付を止めさせた側である。事件後、RedTubeは著作権者向けに、通知を受ければ該当動画を確認・削除する手続き(DMCA方式)を案内した。この事件は、ドイツで「ストリーミング視聴は原則として警告書の対象にならない」という理解が広まる転機になった。

Aylo傘下のサイト群[編集]

Ayloはカナダ・モントリオールに本社を置き、ルクセンブルク、キプロス、アイルランドなど多数の国に子会社を持つ成人向けコンテンツ企業である。傘下のサイトはおおむね次のように分けられる。

  • 無料動画サイト(チューブサイト):Pornhub、RedTube、YouPorn、Tube8、Thumbzillaなど
  • 有料の制作スタジオ・会員サイト:Brazzers、Reality Kings、Digital Playground、Mofos、Twistysなど
  • 広告ネットワーク:TrafficJunky(グループの無料サイトの広告枠を販売)

無料チューブサイトで集客し、広告と有料サイトへの誘導で収益を上げるのがグループの基本構造で、売上は2021年に約4億6,000万ドルとされる。RedTubeはこの中でPornhubに次ぐ規模のブランドの一つで、Pornhubが導入したポリシーや規制対応は、RedTubeにもほぼ同時に適用される。2023年8月にはクリエイター向け販売サービス「UViU」も立ち上げており、OnlyFansやFanslyと同じ領域にも手を伸ばしている。

各国の規制と年齢確認[編集]

初期の遮断事例[編集]

  • スリランカ(2009年):裁判所の命令で遮断された12の成人向けサイトの一つとなった。
  • ロシア(2013年9月):通信監督庁ロスコムナドゾルが、児童保護に関する法律に基づき、RedTube上の特定の動画を理由に遮断措置を取った。
  • インド(2018年):ウッタラーカンド州高等裁判所の命令を受け、RedTubeを含む800以上の成人向けサイトの遮断が命じられた。

米国の州法による年齢確認[編集]

アメリカ合衆国では2023年のユタ州を皮切りに、成人向けサイトに身分証などによる年齢確認を義務付ける州法が次々と成立した。Ayloは「身分証を各サイトに預けさせる方式はプライバシーを損ない、利用者を規制を守らないサイトへ流すだけだ」として、法律が施行された州からのアクセスを丸ごと遮断する方針を取り、Pornhub・YouPornとともにRedTubeも遮断されている。2026年6月時点の報道では遮断は24州に及び、7月にはアイオワ州も加わった。2025年6月には合衆国最高裁がテキサス州の年齢確認法を合憲と判断した。一方、2026年9月には、ユタ州の改正法について連邦地裁がAylo側の申し立てを認めて施行を差し止める仮処分を出したと報じられている。

ヨーロッパとオーストラリア[編集]

フランスでは2025年6月、年齢確認規則に抗議してAyloがPornhub・YouPorn・RedTubeを停止し、行政裁判所の判断で一度は再開したものの、7月に国務院が規則を復活させたことで再び遮断された。イギリスでは2026年2月2日から、オンライン安全法への抗議として新規利用者の受け入れを停止し、年齢確認済みの既存利用者のみが利用できる状態になった。オーストラリアでも2026年3月から制限対象になったと報じられている。

なお、Ayloはもともと年齢確認ツール「AgeID」を開発し、ドイツでは2015年から運用していた。年齢確認そのものに反対しているのではなく、「サイトごとに確認させる方式ではなく、端末やOS、アプリストアの段階で確認すべきだ」というのが同社の一貫した主張である。

日本での扱い[編集]

知名度と利用状況[編集]

日本では「レッドチューブ」として、PornhubやXVIDEOSと並んで名前の挙がる海外のアダルトサイトの一つである。2000年代後半、YouTubeやニコニコ動画が普及したのと同じ時期に2ちゃんねるなどで知られるようになり、Yahoo!知恵袋や教えて!gooには「REDTUBEは危険なサイトですか」「動画を見ても請求されませんか」といった質問が多数投稿されてきた。一方で、日本のアダルトビデオやAV女優の作品を目当てにする利用者はXVIDEOSやFC2動画、MissAVなどに流れやすく、欧米の投稿が中心のRedTubeは、日本では「名前は有名だが主力ではない」立ち位置にある。2026年9月時点で、日本からのアクセスは遮断されていない。

日本の法律との関係[編集]

日本では刑法175条がわいせつな画像・動画の頒布や公然陳列を処罰しており、国内のFANZAやMGS動画などの正規配信はモザイク処理を施した作品を扱っている。RedTubeは海外企業が海外で運営しているため、日本からの視聴は遮断されていないが、日本国内から無修正動画を投稿すれば刑法175条違反に問われ得る。

著作権の面では、ドイツの事件で争点になった「ストリーミング視聴は違法か」について、日本では視聴行為そのものを処罰する規定はない。ただし2021年施行の改正著作権法により、海賊版と知りながらダウンロードする行為は条件によって違法となる。ドイツのような「視聴者への一斉警告書」が日本で大規模に起きた例は知られていない。

日本の利用者が遭遇しやすいトラブル[編集]

日本の利用者のトラブルとして報告されてきたのは、RedTube本体よりも周辺の広告や偽サイトによるものが中心である。具体的には、「ウイルスに感染しました」などと表示して偽サポートへの電話やアプリのインストールを促す偽警告、「登録が完了しました」と料金を請求するワンクリック詐欺風の画面、ポップアップから出会い系サイトへ誘導する広告などがある。RedTubeの公式サイトは無料視聴が基本で、動画を見ただけで料金が発生する仕組みはない。2015年の改ざん事件のように、公式サイト自体が攻撃者に悪用された例もある。

炎上とバズ[編集]

ドイツでの社会現象化[編集]

2013年12月の警告書事件は、ドイツ国内でクリスマス直前の大ニュースとなった。数万人が突然成人向け動画の視聴を理由に請求を受けたことで、消費者センターや弁護士事務所には相談が殺到し、ストリーミングの法的扱い、プロバイダーによる個人情報開示の是非、Abmahnungビジネスの在り方が一斉に議論された。警告書を送った側が次々と裁判で敗れ、弁護士が資格を返上するまでの流れは「大いなるはったり(Der große Bluff)」とも報じられた。

州単位の遮断画面[編集]

米国の各州で遮断が始まると、RedTubeにアクセスしてもPornhub・YouPornと同じ抗議メッセージが表示されるようになり、3サイトが同じ会社であることが一般にも広く知られるきっかけになった。

余談[編集]

  • ドイツの警告書は、損害賠償分がわずか15.50ユーロで、請求額250ユーロの大半は弁護士費用・調査費・郵送費だった。
  • 警告書事件で問題になった作品の一部は、権利者が変わった直後に、似た名前のドメイン経由の誘導で再生数が数倍〜十数倍に増えていたと指摘されている。
  • RedTubeの権利を持っていた香港の会社は、「redtubehentai.com」のような便乗ドメインにもWIPOの手続で対抗し、ドメインの移転を勝ち取っていた。
  • 名前が「Red」+「Tube」で性的な単語を含まないことが人気の一因とされ、後の「〇〇Tube」系サイトの命名にも影響を与えたとされる。
  • 2015年の改ざん事件で使われたマルウェアの名前「FakeMS」は、「偽のMicrosoft」を意味する。

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