| Select Media LLC Fansly | |
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Fanslyのロゴ(出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| 国家 | アメリカ合衆国 |
| 種類 | 有限責任会社(LLC) |
| 市場情報 | 非上場 |
| 業種 | サブスクリプション型ファンサイト運営 |
| 本社所在地 | アメリカ合衆国メリーランド州ボルチモア |
| 設立日 | 2020年2月 |
| 設立者 | マイケル・エテリス(Michael Etelis) |
| 上場 | 非上場 |
| 主要子会社 | CY Media LTD(キプロス) |
| 代表作品 | Fansly |
| 別名 | ファンスリー、ファンズリー |
| リンク | https://fansly.com/ |
概要[編集]
Fansly(ファンスリー)とは、アメリカ合衆国のSelect Media LLCが運営する、サブスクリプション(月額課金)型のファンサイト・プラットフォームである。OnlyFansと同じくクリエイターが有料会員向けに写真・動画・生配信などを販売する仕組みで、成人向けコンテンツの受け皿として知られる。2021年のOnlyFansの成人向けコンテンツ禁止騒動をきっかけに急成長した。
詳細[編集]
名前と読み方[編集]
名前は「fans(ファン)」を含み、業界最大手のOnlyFansとよく似た響きを持つ。日本語では「ファンスリー」と表記されることが多いが、英語の発音に近い「ファンズリー」と表記する解説サイトもある。
サービスの基本形[編集]
クリエイターは自分のページに月額料金を設定し、登録したファン(サブスクライバー)だけが見られる投稿を公開する。ほかに、単品で販売する有料投稿(PPV)、チップ(YouTubeのスーパーチャットに近い投げ銭)、有料のダイレクトメッセージ、ライブ配信による課金など、複数の収益手段が用意されている。
一般向けのコンテンツも投稿できるが、実態としては成人向けコンテンツが中心のアダルトサイトで、英語圏でも「OnlyFansの対抗馬」として比較されるのが定番である。PatreonやPixivのFANBOXのような一般向けクリエイター支援サイトとは、成人向けを正面から許容している点で性格が異なる。
規模[編集]
2021年8月21日の時点で利用者数は210万人に達した。その後の規模について公式の数字は少ないが、2022年末時点の比較として、OnlyFansの利用者約1億人に対しFanslyは約2,000万人とする日本語の解説記事がある。クリエイター数は約200万人とする海外の紹介記事もある。いずれにせよ、OnlyFansに次ぐ2番手グループの一角という位置づけである。
歴史[編集]
創業[編集]
Fanslyの運営会社Select Media LLCは2020年2月に設立され、創業者はマイケル・エテリス(Michael Etelis)とされる。2020年にサービスを開始し、公式SNSアカウントは同年11月に開設された。外部からの資金調達は公表されておらず、自己資金で運営される非上場企業である。2021年5月には、キプロスのカマレスに第二の運営法人CY Media LTDを設立している。
OnlyFans騒動と急成長[編集]
開設当初は目立たない存在だったが、2021年に入り、OnlyFansの規約変更を不安視するクリエイターの間で移籍先として注目され始めた。
決定打となったのが2021年8月19日、OnlyFansが「銀行や決済事業者の要請」を理由に、同年10月から性的に露骨なコンテンツを禁止すると発表した事件である。OnlyFansで生計を立てていたクリエイターは一斉に移籍先を探し、Fanslyには1時間で約4,000件のクリエイター登録申請が殺到してサーバーがダウンした。
ところがOnlyFansは発表から6日後の8月25日、決済事業者との間で必要な保証が得られたとして禁止方針を撤回した。それでも「いつまた同じことが起きるか分からない」という不信感は残り、OnlyFansとFanslyを併用する「保険」としての利用が定着した。Fanslyにとっては、ライバルの失策が最大の宣伝になった格好である。
その後の展開[編集]
その後もFanslyは機能追加を続け、TwitchやTwitter(現X)との連携機能などを備えた。2025年12月には、チケット制の配信、特定リスト限定の配信、チャット権限の細かな設定、配信ゴール、対応デバイスとの連動など、ライブ配信機能を大幅に拡張している。
仕組み・料金[編集]
手数料[編集]
Fanslyの手数料はクリエイター売上の20%で、クリエイターの取り分は80%である。これはOnlyFansと同じ水準で、この20%に決済処理、年齢確認、国際送金などのコストが含まれる。
複数段階のサブスクリプション[編集]
Fanslyの大きな特徴が、1人のクリエイターが価格の異なる複数のサブスクリプション段階(ティア)を設定できることである。安いプランでは一部の投稿だけ、高いプランではすべての投稿といった形でファンを振り分けられる。OnlyFansは伝統的に1つの価格しか設定できない単一ティア方式であり、この違いがFansly最大のセールスポイントとされてきた。
また、有料登録をせずにクリエイターを「フォロー」するだけで一部の無料投稿を見られる仕組みもあり、1つのアカウントで無料コンテンツと有料コンテンツを並行して運用できる。
発見性(アルゴリズム)[編集]
OnlyFansにはサイト内検索やおすすめ表示がほとんどなく、集客はクリエイター自身のSNS頼みになりやすい。これに対しFanslyには検索機能と、アルゴリズムでおすすめのクリエイターや投稿を表示する「For You」フィードがある。そのため、外部SNSのフォロワーが少ない新人でもサイト内で見つけてもらえる可能性があるとされ、「知名度ゼロから始めるならFansly、既にファンがいるならOnlyFans」という使い分けがよく語られる。
そのほかの機能[編集]
コンテンツへの透かし(ウォーターマーク)付与、国・地域単位のジオブロック(特定の地域から見られないようにする機能)、2段階認証、投票、24時間で消えるストーリー機能などがある。ジオブロックは、身バレを避けたいクリエイターが自国からのアクセスを遮断する用途で使われる。
出金[編集]
出金は銀行振込、Paxum、Skrill、暗号資産などに対応している。最低出金額はPaxumなどで20ドル、SEPA送金で50ドル、国際電信送金で100ドルとされ、売上が出金可能になるまで約7日の保留期間がある。OnlyFansと同様、PayPalには対応していない。
運営会社[編集]
運営会社のSelect Media LLCはメリーランド州ボルチモアに拠点を置く。第二の法人としてキプロスにCY Media LTDがある。上場しておらず、外部資本も公表されていないため、売上高や企業価値は明らかになっていない。
これに対し、ライバルのOnlyFansはイギリスのFenix International Limitedが運営しており、Fanslyがアメリカ法人であることは規約面の違いとして語られることがある。日本語の解説記事の中には、OnlyFansでは禁止されている一部の表現がFanslyでは認められているとするものもあり、「OnlyFansより規約が緩い」というイメージが一般的である。ただし、未成年者が関わるコンテンツ、売春の勧誘、人身取引などはFanslyでも禁止されている。
年齢確認・本人確認には外部事業者のOndatoが使われており、クリエイター登録時にはパスポートや運転免許証などの身分証の提出に加え、本人が名前・日付・「For Fansly」と手書きした紙を持った写真の提出が求められる。
決済問題[編集]
成人向けプラットフォームにとって最大のリスクは、VisaやMastercardといったカードブランドや、決済代行会社・銀行の方針である。OnlyFansの2021年の禁止騒動も、決済事業者側の要請が原因だった。カードブランドや決済事業者が成人向けコンテンツの扱いを厳しくすると、プラットフォームは突然の規約変更や出金停止に追い込まれることがあり、Fanslyも例外ではない。
ファン側の支払い手段は基本的にクレジットカード・デビットカードで、米ドル建てで決済される。日本のファン向けの解説記事では、国内発行のカードが海外の成人向け加盟店として決済を拒否されるケースがあることや、代替手段としてVisaプリペイドカード(Vプリカ)を使う方法が紹介されている。一方で、中国の銀聯カード(UnionPay)に対応していることは、中国語圏のファンを取り込める点で他サービスにない強みとされる。
クリエイター側では、日本の銀行口座への直接振込に対応していないことが大きな壁になっている。日本在住のクリエイターはPaxumなど海外の決済口座を開設するか、暗号資産で受け取って円に換える必要があり、確定申告の際には外貨建ての売上を円換算する手間もかかる。
訴訟[編集]
OnlyFansとMetaをめぐる訴訟[編集]
2022年、OnlyFansがInstagramを運営するMetaの従業員に賄賂を渡し、Fanslyなど競合サイトでも活動するクリエイターのアカウントを「テロ関連」のブラックリストに登録させて集客を妨害したとする訴訟が起こされた。OnlyFansは関与を否定し、賄賂に関する主張は2023年7月に取り下げられ、訴訟は同年8月に棄却された。Fanslyは訴訟の当事者ではなく、競合サイトの一つとして言及された。
視聴データをめぐる集団訴訟[編集]
2025年6月、Select Media LLCはマサチューセッツ州連邦地裁で集団訴訟を起こされた。原告は、Fanslyが利用者の同意なく、利用者の視聴データをGoogleなどの第三者と共有していたと主張しており、対象となる利用者は複数の州で1万人以上と見積もられている。成人向けサイトの視聴履歴は特に機微な個人情報であり、アメリカで相次ぐウェブ解析ツール絡みのプライバシー訴訟が成人向けサイトにも及んだ例である。
日本での利用状況[編集]
日本では、2023年頃には日本語の解説サイトでOnlyFansの代替・併用先としてFanslyが紹介されるようになっていた。note上には日本人クリエイター向けの登録手順や出金方法の解説記事が多数投稿されている。
一方で、Fanslyのインターフェースは英語中心で、日本語サポートも限定的である。出金も海外送金が前提になるため、日本人クリエイターの多くは国内サービスと併用している。
日本人クリエイターにとって最も重要なのは日本の法律との関係である。サービスがアメリカの企業によって運営されていても、日本国内でクリエイターが性器の写った無修正のコンテンツを投稿・販売した場合、刑法175条のわいせつ電磁的記録媒体陳列罪などに問われる可能性がある。国内では、ファンサイトなどへの無修正動画の投稿で出演者自身が逮捕され、約1億円の売上を得ていたにもかかわらず罰金と財産の没収でほぼ無一文になったと報じられた事例もある。
他サービスとの比較[編集]
| サービス | 運営 | 手数料(クリエイター側) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| Fansly | Select Media LLC(米国) | 20% | 複数ティア、おすすめフィード、成人向けに寛容 |
| OnlyFans | Fenix International(英国) | 20% | 業界最大手。利用者数が最も多い |
| MyFans | 日本 | 22%(一般)〜17.6%(上位ランク) | 日本語・円決済。国内法に沿ったモザイク処理が前提 |
| Fantia | 虎の穴(日本) | 12.5%(標準)/17.5%(実写カテゴリ) | 同人誌・イラスト系から実写まで。日本語・円決済 |
(国内サービスの料率は2026年時点の比較記事による。振込手数料などは含まない)
OnlyFansとの違いは前述の通り、複数ティア、サイト内の発見性、規約の寛容さにある。一方でOnlyFansのほうが課金するファンの母数は大きく、既にSNSで多くのフォロワーを持つクリエイターにはOnlyFansが有利とされる。
日本のMyFansやFantiaは、日本語で運営され、日本円で決済・出金できるのが最大の強みである。その代わり、国内法に沿ってモザイク処理などが求められる。Fanslyは海外のファンにリーチしやすい一方、言語・決済・出金・法的リスクのハードルがあり、日本人クリエイターは「国内向けはMyFansやFantia、海外向けはOnlyFansやFansly」と使い分ける方法が解説記事などで紹介されている。
なお、生配信中心で集客したい場合は、ChaturbateやStripchatのような投げ銭型のライブカムサイトでファンを獲得し、FanslyやOnlyFansの有料ページに誘導するという組み合わせも英語圏ではよく語られる。国内のDMM系列のFANZAは販売型の動画配信が中心で、個人クリエイターの月額サブスクという点ではMyFansやFantiaが直接の競合になる。
余談[編集]
- 2021年8月のOnlyFans騒動では1時間に約4,000件の登録申請が殺到してサーバーが落ちたが、OnlyFansは6日後に方針を撤回した。結果的に「6日間の騒動」がFanslyの知名度を一気に押し上げた。
- 2022年のOnlyFans・Meta訴訟では、競合サイトで活動するクリエイターが「テロ関連」扱いされたという主張が話題になった。主張は後に取り下げられている。
- 日本語の解説記事には、中国の銀聯カードに対応していることが中国語圏のファンを取り込む強みになるとするものがあり、海外ファンサイトの競争は「どの国の決済手段に対応するか」の競争でもあるとされる。
- クリエイター登録時の「名前と日付と『For Fansly』を手書きした紙を持った自撮り」は、なりすまし防止のための本人確認で、ファンサイト業界ではよく使われる手法である。