| FC2動画 FC2 Video | |
|---|---|
| 略称 | FC2 |
| 国家 | アメリカ合衆国 |
| 種類 | 動画共有サービス・動画販売プラットフォーム |
| 業種 | インターネット動画配信 |
| 本社所在地 | アメリカ合衆国 ネバダ州ラスベガス(運営会社FC2, Inc.) |
| 設立日 | 2007年11月 |
| 所有者 | FC2, Inc. |
| 主要部門 | FC2動画、FC2動画アダルト、FC2コンテンツマーケット |
| 別名 | FC2 Video、FC2-PPV |
| リンク | https://video.fc2.com/ |
概要[編集]
FC2動画(エフシーツーどうが)とは、FC2, Inc.が2007年11月から運営している動画共有サービスである。一般向けの「FC2動画」と、年齢確認を経て入る「FC2動画アダルト」に分かれ、さらに個人が動画を1本単位で販売できる「FC2コンテンツマーケット」が隣接している。日本のネットでは、とくにアダルト分野の「素人・個人撮影系」の一大市場として知られ、同時に摘発と規制の歴史を最も多く背負った動画サイトでもある。
詳細[編集]
YouTubeの2年後に生まれた「日本語の動画サイト」[編集]
FC2動画は2007年11月、日本語のみで始まった。YouTube日本語版の開始やニコニコ動画の登場とほぼ同時期で、当時はFC2ブログにそのまま貼れる動画置き場として使われた。2009年以降は多言語化が進み、2014年9月時点で12言語に対応していた。2013年時点では国内の動画サイトの中で利用者数3〜4番手の水準にあり、利用者は男性が多い傾向とされた。
3つの顔を持つサービス[編集]
FC2動画は実質的に3つのエリアで構成されている。第1に誰でも見られる一般の動画共有、第2に18歳未満の閲覧を禁止し初回アクセス時に年齢確認画面を出す「FC2動画アダルト」、第3に個人や事業者が作品を単品販売する「FC2コンテンツマーケット」である。コンテンツマーケットは同じFC2 IDで使えるが、FC2動画とは別サイトとして運営されている。
投稿のルール[編集]
視聴だけなら会員登録なしでも可能だが、投稿には会員登録が必要。1本あたりの最長アップロード時間は2時間に制限されている。無料会員と有料会員で画質や使える機能が異なり、この差が有料会員制度の収益源になっている。
Veohを飲み込んだ動画サイト[編集]
FC2は2013年6月にアメリカの動画共有サイトVeohを買収していた。Veohは2024年11月11日にサービスを終了し、動画ライブラリはFC2動画へ移管され、アクセスもFC2動画に転送されるようになった。旧Veohユーザーは元のログイン情報でFC2動画から自分の動画にアクセスできる。
料金・会員制度[編集]
無料会員と有料会員[編集]
アダルト部門を例にとると、無料会員は1日の視聴回数に上限(紹介記事では1日15回)があり、無料公開の動画しか見られない。有料会員になると無料動画・有料会員向け動画の視聴が無制限になり、高画質での再生など機能も解放される。料金は紹介記事によれば初回契約で月1,000円程度から、年間契約で6,000円程度とされ、年額にすると1日あたり十数円という計算になる。
見放題プラン[編集]
さらに上位に、プロのメーカー作品と会員投稿動画をまとめて見られる見放題型のサブスクリプション(「プレミアム」「インディーズ」など)があり、紹介記事では約8万本規模、月額2,000円前後とされている。FANZAやMGS動画の月額見放題と似た形だが、会員投稿の素人動画がまとめて付いてくる点が差別化ポイントとされる。
FC2ポイントと支払い[編集]
支払いにはクレジットカードのほか、銀行振込、コンビニ決済、電子マネーなどで購入できる「FC2ポイント」が使える。ポイント購入時の手数料は支払い方法によって5.5〜8.5%程度とされる。カード明細には商品名は載らず、「FC2.COM」「FC2,INC」といった表記になる。
FC2コンテンツマーケット[編集]
仕組み[編集]
FC2コンテンツマーケットは、動画をはじめとするデジタルコンテンツを1本単位で売買する「単品購入」型のマーケットである。購入した作品は期限付きのレンタルではなく、ダウンロードして保持できる形が基本。販売者は個人でも登録でき、売上はFC2側の手数料を差し引いて販売者に支払われる。月額制が中心の大手配信サイトとは違い、「1本いくら」で個人が直接値付けする点が最大の特徴である。
同人AV市場の中心地[編集]
2010年代後半から、個人で撮影して販売するアダルト作品、いわゆる「同人AV」の主要な販売先になった。X (SNS)では「#同人AV」のタグで出演者募集が行われ、監督・カメラマン・出演者を一人で兼ねる販売者も多いと報じられている。メーカー作品のアダルトビデオとは別の生態系で、DLsiteやFantia、海外のOnlyFansやMyFansと同様の「クリエイター直販」の側面を持つ。
2021年の身分証義務化[編集]
2021年9月、FC2はアダルト動画の投稿者に顔写真付きの公的身分証の提出を求める規約変更を行い、同月30日を期限とした。顔写真のない健康保険証は不可とされ、提出しない投稿者は動画を掲載できなくなった。背景として欧米基準のオンライン人権への対応が挙げられ、提出しない投稿者には提携先の別サービス(LAXD)への移行が案内された。その後は出演者の身分証や契約書などもプラットフォームに提出する運用になったと報じられている。
カード決済停止の衝撃(2022年)[編集]
2022年7月14日、決済の取次業者の一つがFC2との契約を解除し、同日だけでコンテンツマーケットの国内向け販売動画数が約75万本から約39万本に半減したとされる。同年11月には警視庁が大手カード会社3社にFC2でのカード決済停止を要請したと報じられた。以降、FC2ポイントなどカード以外の支払い手段の比重が高まった。
「FC2-PPV」という品番文化[編集]
品番とは[編集]
コンテンツマーケットの作品には固有の番号が振られており、アダルト分野では「FC2-PPV-」に数字を続けた形式が作品を識別するコードとして広く使われている。PPVはペイ・パー・ビュー(1本ごとの課金)の略で、FC2の単品販売を意味する。メーカー作品のアダルトビデオが「メーカー略号+数字」の品番で呼ばれるのと同じように、FC2作品は「FC2-PPV+番号」で呼ばれる。
なぜ番号で流通するのか[編集]
素人作品には有名な出演者名もメーカー名もないため、作品を特定する手段が番号くらいしかない。その結果、「FC2-PPV○○○○」という番号が作品名の代わりに掲示板やSNSで共有され、作品データベース系のサイトでも番号で整理されるようになった。一方で、この番号はMissAVなどの海賊版サイトで無断転載作品のラベルとしても使われており、販売者にとっては著作権侵害の被害を受ける原因にもなっている。コンテンツマーケットでは販売停止となった作品も多く、「在庫切れ」になった番号の作品はもう正規に購入できないことがある。
日本の刑法175条との関係[編集]
「海外サーバーなら無修正OK」は通らない[編集]
日本の刑法175条は、わいせつな文書・図画・電磁的記録の頒布や公然陳列を禁じている。日本のアダルト作品に性器部分のモザイク(いわゆる修正)が入っているのはこのためで、FANZAなどの国内サイトは修正済み作品しか扱わない。FC2は米国法人で、アメリカでは無修正のアダルト作品自体は違法ではない。この差を使って「アメリカのサーバーに置けば無修正でも日本の法律に触れない」と考える投稿者が多かったのが、FC2動画の無修正問題の根っこである。
実際には日本で摘発される[編集]
しかし日本の警察と裁判所は、撮影・編集・アップロードを日本国内で行い、日本の購入者に向けて販売していれば、サーバーが海外でも日本の刑法が適用されるという立場をとってきた。無修正作品をFC2で販売した投稿者には「わいせつ電磁的記録等送信頒布罪」が適用されるのが典型で、無修正の作品がわいせつ物にあたること自体は争いにならないとされる。さらに運営側についても、2017年に業務委託先の関係者、2025年に創業者が有罪判決を受けている(詳細は「FC2」を参照)。
AV新法の影響[編集]
2022年に施行されたAV出演被害防止・救済法(いわゆるAV新法)は、メーカーだけでなく個人撮影の作品にも契約書面や公表までの期間などのルールを課した。同人AVの販売者の間では「新法以降いろいろ変わったが、きちんとやれば商売はできる」という声も報じられている。
投稿者・販売者の逮捕事例[編集]
主な報道[編集]
- 2019年8〜10月:FC2ライブのアダルト配信をめぐり、運営者の男と配信者の女性2人が公然わいせつ容疑で逮捕。売上は約4億9千万円〜7億円近くと報じられた。
- 2020年2月:マッチングアプリで知り合った女性を撮影し、コンテンツマーケットで販売していた34歳の男が逮捕。2018年5月〜2019年12月の売上は約3,500万円とされた。
- 2021年11月:無修正作品をFC2で販売していたとして7人が逮捕され、売上は合計約4億7千万円にのぼったと報じられた。
- 2021年11月:ネット上で見つけた他人の性的な動画を保存し、複数のアカウントでコンテンツマーケットで無断販売していた海上自衛官の男が逮捕。約1,100回販売し約110万円を得ていたとされ、動画を無断で売られた被害者は精神的苦痛を訴えた。
このほか、売上が億単位に達した大口販売者の摘発もたびたび報じられている。
盗撮・無断転載の問題[編集]
無修正問題と並んで深刻なのが、盗撮とみられる動画や、本人の同意なく撮影・転載された動画が販売される問題である。上記の海上自衛官の事件のように、他人の動画を無断で販売するケースは被害者の人権侵害として報道され、2021年の身分証義務化や出演者書類の提出要件は、こうした問題への対策という側面を持つ。また、18歳未満の出演を防ぐための年齢確認の徹底も、規約強化の大きな理由とされている。
他サービスとの比較[編集]
| 項目 | FC2動画・コンテンツマーケット | FANZA | Pornhub・XVIDEOS |
|---|---|---|---|
| 運営 | 米国法人(日本人創業) | 日本(DMMグループ) | 海外企業 |
| 主な作品 | 個人・素人撮影 | メーカー作品中心 | ユーザー投稿・メーカー提供 |
| 修正 | 規約上は日本法に従う必要あり | 修正済みのみ | 国外基準 |
| 課金 | 単品購入+有料会員+見放題 | 単品+月額見放題 | 主に広告収入+有料会員 |
| 日本語対応 | 完全日本語 | 完全日本語 | 部分的 |
国内のMGS動画、DUGA、ソクミルなどもメーカー作品が中心で、無修正を扱うカリビアンコムや一本道、HEYZOは海外法人運営という点でFC2と似た位置づけにある。その中でFC2は「個人が売り手になれる」ことに最大の特色がある。
炎上とバズ[編集]
- 2021年9月の身分証義務化は、FC2を主な収入源にしていたアフィリエイターや投稿者の間で「激震」と呼ばれ、LAXDへの移行をめぐって手数料の高さも話題になった。
- 2022年、決済取次業者の契約解除で販売本数が1日で約75万本から約39万本に半減したことや、警視庁によるカード会社への異例の要請は、全国紙が相次いで報じた。
- 2024年11月の創業者逮捕の際は、各メディアが「動画投稿サイト『FC2』創業者」として速報し、FC2動画の名前が改めて一般ニュースに広く登場した。
余談[編集]
- FC2動画の動画上にコメントを流す機能は、ニコニコ動画のドワンゴから特許侵害で訴えられ、2025年3月に最高裁でFC2の敗訴が確定した。サーバーが海外にあっても日本の特許権侵害が成立しうるという判断で、法学者の間でも大きな話題になった。
- 「FC2-PPV」の番号は、出演者の名前が出ない素人作品の世界で、作品名よりも番号のほうが有名になるという独特の文化を生んだ。
- X上には「FC2/LAXD公認代理店」を名乗り、オリジナル動画の販売を代行する業者のアカウントも存在し、FC2とLAXDがセットで語られることが多い。
- Veohの動画ライブラリがFC2動画に移されたことで、2000年代のアメリカのネット動画の一部が、日本の動画サイトの中に保存されるという結果になった。