| IRIAM IRIAM | |
|---|---|
![]() DeNAグループ入り後の2021年にIRIAMチームが拠点を移した渋谷スクランブルスクエア(屋上展望施設SHIBUYA SKY)(出典:ウィキメディア・コモンズ) | |
| サイト名 | IRIAM |
| スローガン | Vライブコミュニケーションアプリ |
| 言語 | 日本語、英語 |
| タイプ | スマートフォンアプリ(iOS/Android) |
| 国 | 日本(2024年からアメリカ、2026年からカナダでも提供) |
| 種類 | キャラクター(VTuber)ライブ配信サービス |
| 創設 | 2018年10月 |
| 創設者 | 株式会社ZIZAI(塚本大地・渡辺稜太) |
| 運営者 | 株式会社IRIAM(株式会社ディー・エヌ・エーの完全子会社) |
| 収益 | 年間約78億円(2024年11月発表時点) |
| 営利性 | 営利 |
| 登録 | 必要(視聴・配信ともアカウント登録制) |
| ユーザー数 | 累計544万ダウンロード(2025年12月時点) |
| 開始 | 2018年10月 |
| 現在の状態 | 運営中 |
| スローガン | Vライブコミュニケーションアプリ |
| 別名 | イリアム、キャラライブアプリ |
| リンク | https://iriam.com/ |
概要[編集]
IRIAM(イリアム)とは、イラスト1枚とスマートフォン1台だけで、誰でもキャラクターの姿になってライブ配信ができる日本発のアプリである。2018年10月に株式会社ZIZAIがリリースし、2021年にディー・エヌ・エー(DeNA)グループ入りした。いわゆる「Vライバー」(VTuberスタイルのライブ配信者)を量産した、スマホVTuber文化の代表的プラットフォーム。
詳細[編集]
「イラスト1枚でVTuber」というコンセプト[編集]
VTuberとして活動するには、通常はLive2Dや3Dでモデルを作り、パソコンとトラッキング機材をそろえる必要がある。モデル制作だけで数十万円かかることも珍しくない。IRIAMはこのハードルを「立ち絵イラストを1枚アップロードするだけ」まで下げたのが最大の発明である。アップロードされた絵は独自のAI技術(公式には「自動モデリング技術」)で解析され、目や口が配信者の表情に合わせて動くキャラクターになる。顔出しも機材も不要で、スマホの前面カメラで表情を読み取って配信できる。
配信者と視聴者の距離の近さ[編集]
IRIAMはYouTubeのような「動画を見せる」場ではなく、ライバーとリスナーがコメントで会話する「コミュニケーション型」のサービスとして設計されている。公式も自らを「Vライブコミュニケーションアプリ」と称している。配信の多くは雑談・歌・占い・企画などで、リスナーは名前を呼ばれ、ギフトに対してお礼を言われる。この「認知される」体験が、コミュニティの濃さを生んでいる。
低遅延の通信技術[編集]
もう一つの売りが遅延の少なさである。IRIAMは映像を送るのではなく、表情などの動きのデータを送って視聴者側の端末でキャラクターを動かす「モーションライブ方式」を採用しており、DeNAの説明では通信遅延を約0.1秒まで縮めたとされる。コメントへの反応がほぼリアルタイムで返ってくるため、会話のテンポが崩れにくい。
ユーザー層[編集]
DeNAによると、ユーザーは20代を中心とした、VTuber・アニメ・ゲームなど2次元コンテンツになじみのある層。YouTubeでVTuberを日常的に見ている層がメインターゲットで、「見る側だったファンが、絵1枚で配信する側に回れる」導線がサービスの肝になっている。
運営と沿革[編集]
ZIZAI時代(2018〜2021年)[編集]
IRIAMを生んだのは、塚本大地と渡辺稜太が2015年に共同設立した株式会社DUO(のちの株式会社ZIZAI)である。塚本は、当時流行していたバーチャルYouTuberとライブ配信を掛け合わせれば、ニッチながらそれなりの規模になると考えたと語っている。2018年10月、AI自動キャラモデリング技術を使ったライブ配信アプリとしてIRIAMをリリースした。
2020年5月、ZIZAIは会社分割でIRIAM事業を株式会社IRIAMとして法人化し、同年にDeNAから出資を受けた。
DeNAによる買収(2021年)[編集]
2021年8月、株式会社IRIAMはDeNAの子会社となった(買収額は約120億円と報じられ、塚本は評価額150億円で全株式を売却したとしている)。なお「2022年に買収」とされることがあるが、DeNAの発表では2021年8月の子会社化、同年9月3日に「DeNAグループとして新体制でスタート」と告知されている。2021年9月からはIRIAMのメンバーが渋谷スクランブルスクエアのWeWorkに入居した。発表時点の累計ダウンロード数は33万(2021年6月時点)だった。
当時、代表取締役の増田真也は「ソーシャルライブ市場は世界で拡大を続けている」とコメントし、事業責任者の眞鍋貴雄は、SHOWROOM・Mirrativ・Pocochaを立ち上げてきたDeNAとともに成長できることへの期待を語った。
減損と黒字化への道(2024〜2026年)[編集]
2024年2月、DeNAはIRIAM関連ののれんについて89億1200万円の減損損失を計上した。岡村信悟社長は、事業の評価が変わったのではなく「時間軸を見直した」と説明している。ユーザーコミュニティを丁寧に育てる必要があり、収益化は早期に進めるより、コミュニティを健全に育てたあとにするという判断だった。
その後、2025年11月の決算説明では、IRIAMの四半期平均DAU(日次アクティブユーザー数)が過去最高を更新し、長期ユーザーの継続率や月次課金ユーザー数も安定していると報告された。PocochaとIRIAMを合わせたライブストリーミング事業は2026年3月期に通期黒字に転換しており、決算では「IRIAMは引き続き堅調に推移した」とされている。一方、株式会社IRIAM単体は債務超過が続いているとの分析もあり、先行投資フェーズのサービスであることに変わりはない。2026年時点でも運営は株式会社IRIAM(代表取締役:増田真也)が担い、DeNAの完全子会社という体制である。
数字で見る成長[編集]
| 時期 | 出来事・指標 |
|---|---|
| 2015年 | 株式会社DUO(のちのZIZAI)設立 |
| 2018年10月 | IRIAMリリース |
| 2020年5月 | 株式会社IRIAMとして分社化、DeNAが出資 |
| 2021年6月 | 累計33万ダウンロード |
| 2021年8月 | DeNAの子会社に |
| 2024年2月 | のれん89億円を減損 |
| 2024年9月 | 累計391万ダウンロード、年間売上78億円 |
| 2024年11月 | アメリカでサービス開始 |
| 2025年1月 | 6周年リアルイベント「ミライトパーティ2024 〜グランドフィナーレ〜」 |
| 2025年3月 | 累計460万ダウンロード超 |
| 2025年12月 | 累計544万ダウンロード、機械学習専門チーム発足 |
| 2026年1月 | カナダでサービス開始 |
| 2026年6〜9月 | 「IRIAM甲子園 2026」開催 |
仕組み[編集]
1枚絵を動かす「自動モデリング技術」[編集]
IRIAMの心臓部が、1枚のイラストから動くキャラクターを作る自動モデリング技術である。ライバーは立ち絵をアップロードし、表情パーツの位置を調整するだけで配信を始められる。アップロードされたキャラクターは著作権などの審査を受け、2026年3月からは「キャラなし」「審査中」「審査済み」といった状態が表示されるようになった。
2025年12月には、この技術の進化を「事業における最重要戦略」と位置づけ、コンピュータビジョン分野の機械学習エンジニアやリサーチャーからなる専門チームを結成した。同時期のアップデートで、頭身の低いイラストや目の細いキャラクターにも対応し、キャラクター固有の目や口の動きを表現できるようになっている。
一方、本格派向けにLive2Dモデルでの配信にも対応しており、2026年7月には従来のCubism SDK 4.2に加え、SDK 5.0にも対応した。「絵1枚から始めて、人気が出たらLive2Dモデルに乗り換える」というステップアップもできる。
ギフト(投げ銭)とスター[編集]
リスナーはアプリ内で購入したポイントを使い、ライバーにギフト(いわゆる投げ銭)を贈れる。YouTubeのスーパーチャットに近いが、IRIAMではギフトが配信画面上の演出として表示され、ライバーの評価に直接響くのが特徴。無料で贈れる「スター」や、コメントそのものもライバーの評価に加算される。
リスナーとライバーの関係は「ファンバッジ」で可視化され、月ごとにリセットされる。配信中には3分ごとに計算される「応援ポイント」(炎マーク)や、配信ごとの「盛り上がりスコア」(雷マーク)が表示され、場の熱量がひと目で分かる仕組み。ROM(見るだけ)のリスナー向けに「ご飯中」「お風呂中」などのステータスを出せる機能もある。
コミュニティランクとイベント[編集]
ライバーには15段階の「コミュニティランク」があり、同じランク帯のライバーとの応援ポイントの相対評価で毎日スコアが決まる。スコアが一定以上なら昇格、一定未満が続けば降格という、Pocochaに似た「ランク制」が採用されている。
運営主催のイベントも多く、上位入賞者には広告掲載やグッズ化、ボイス制作などの特典が用意される。2026年6月には、イベントの入賞難易度を🚀1〜10の段階で表示し、過去の入賞ラインやカレンダーを確認できるWebサイト「IRIAMイベポータル」が公開された。
大型企画としては、全8地域の予選を勝ち抜いた800人が全国予選に進み、9月の決勝大会をYouTube生配信とパブリックビューイングで行う「IRIAM甲子園 2026」がある。名前の通り夏の甲子園を模した構成で、地域ごとに代表を競う。
ライバー事務所[編集]
IRIAMには、ライバーをマネジメントする「ライバー事務所」が多数存在する。事務所に所属すると、初配信から収益を受け取れる、事務所独自のボーナスが出る、配信のアドバイスを受けられるといったメリットがある。にじさんじやホロライブのような大手VTuber事務所とは違い、IRIAMの事務所は小規模なものが多く、ライバーの数も膨大である。個人ブログによる集計では、2025年10月時点でアクティブなライバーは1万人を超えるとされる。
ライバーの報酬[編集]
収益化の条件[編集]
事務所に所属しない個人ライバーが報酬を受け取るには、規約違反がないことに加え、累計配信時間15時間以上、配信日数10日以上、累計5,000ポイント以上といった条件を満たす必要があるとされる。条件を満たすと「ダイヤ」という単位で報酬が付与され、1ダイヤ=1円として換金できる。
応援ダイヤと時間ダイヤ[編集]
報酬は大きく分けて2種類ある。
- 応援ダイヤ - ギフト・スター・コメントなど、リスナーからの応援の総合評価で決まる報酬。翌日に付与される。
- 時間ダイヤ - 配信時間×ランクごとの単価で決まる、いわば「時給」部分。ランクが高いほど単価が上がり、上位ランクでは1時間あたり2,000ダイヤ前後(解説サイトにより最大2,300円とも)とされる。
事務所所属ライバーには、これに加えて事務所経由のボーナスが乗る場合がある。
還元率[編集]
ギフトのうちライバーに還元される割合は公式には公表されていない。解説サイトでは15〜30%程度と推測されることが多いが、IRIAMは「時間ダイヤ」で配信時間そのものに報酬が付くため、単純なギフト還元率だけでは他サービスと比較しにくい。
収入は人によって大きく異なり、月数十万円以上を稼ぐのはごく一部で、大半は月数万円以下という見方が一般的。「副業」「趣味の延長」として続けているライバーが多いとされる。
人気ライバー[編集]
IRIAMにはにじさんじやホロライブのような「誰もが知る看板タレント」は少なく、ランキングやイベントの常連がそれぞれの固定ファンを持つ「中規模スターの群雄割拠」型である。
ライバー事務所や解説メディアで紹介されることの多いライバーには、2018年から活動するベテランでゲーム実況を中心にXのフォロワーが5万人を超えるさえきやひろ、元SHOWROOMライバーで伊予弁なまりが持ち味の彩咲茜、ゲーム実況中心の久遠藍、YouTubeでも10万回再生超えの動画を持つ新川良などがいる。IRIAMで人気を集めたあと、YouTubeやTikTokに活動の幅を広げるライバーも多い。
公式の表彰としては「YEARLY IRIAM AWARD」があり、2025年1月に品川インターシティホールで開かれた6周年イベント「ミライトパーティ2024 〜グランドフィナーレ〜」では、年間アワードの発表やライバー同士の対戦企画「ミラパライブバトル」がステージで行われた。
他サービスとの比較[編集]
| サービス | 運営 | 開始 | 配信者の姿 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| IRIAM | 株式会社IRIAM(DeNA子会社) | 2018年 | イラスト1枚またはLive2Dキャラ | 絵1枚でVTuberになれる。低遅延、ランク制と時間ダイヤ |
| REALITY | REALITY株式会社(グリーグループ) | 2018年 | アプリ内で作る3Dアバター | アバターを着せ替えで作成。メタバース志向、海外展開が早い |
| Pococha | DeNA | 2017年 | 主に顔出し | ランク制と時間ダイヤの元祖。IRIAMの「兄貴分」 |
| 17LIVE | 17LIVE株式会社 | 2015年(台湾)、日本は2017年 | 主に顔出し(Vライバーも可) | アジア発の大手。イベントとライバー事務所文化が強い |
| SHOWROOM | SHOWROOM株式会社(創業者は前田裕二) | 2013年 | 主に顔出し | アイドル・芸能志向。仮想ライブ空間とアバター観客が特徴 |
| TikTok LIVE | ByteDance(TikTok) | 2010年代後半 | 主に顔出し(Vも可) | 圧倒的な母数。ショート動画からの流入が強み |
同じDeNAグループのPocochaとは、ランク制・時間報酬・ライバー事務所という基本設計がよく似ている。乱暴にいえば「Pocochaの仕組みをキャラクター配信に持ち込んだもの」がIRIAMで、顔出しに抵抗がある人の受け皿になっている。REALITYもアバター配信アプリだが、REALITYが「アプリ内でアバターを作る」のに対し、IRIAMは「自分(または絵師)が描いた絵がそのまま動く」点で、キャラクターの個性を出しやすい。
2025〜2026年の動向[編集]
海外展開[編集]
2024年11月15日(現地時間)にアメリカで「IRIAM」を開始し、公認の「Founding Streamer」が運営と一緒に文化を作る形で立ち上げた。2026年1月にはカナダでも開始した。北米ユーザーは日本のユーザーとは別のサービスとして運営され、配信一覧やイベント、ランキングも分けられている。
機能アップデート[編集]
2026年に入ってからもアップデートが続いている。
- 2026年1月:好みの配信を探しやすくする「For You」タブを限定テスト。配信情報をまとめた「ライブ情報パネル」を導入。旧「イラスト配信機能Ver.2」の2026年4月終了を予告
- 2026年3月:コメントに表示させたくない語句を最大300個登録できるブロックワード機能、キャラクターの審査状況表示、試し見(プレビュー視聴)の改善
- 2026年6月:イベント情報サイト「IRIAMイベポータル」公開
- 2026年7月:表情調整機能を刷新、Live2D Cubism SDK 5.0に対応。ミッションを達成するとポイントがもらえる「ポイント獲得チャレンジ」を開始し、「初見あいさつ」キャンペーンでもらえるポイントの1日の上限を100ポイントから50ポイントに引き下げ
ブロックワードや審査状況の表示など、2024年の減損時に掲げた「コミュニティの健全化」を意識した機能が目立つ。
AI技術への投資[編集]
2025年12月の機械学習専門チーム発足は、「1枚絵を動かす」技術がIRIAMの差別化の源泉であることを改めて示した。Live2Dモデルを持たないライバーも多いIRIAMにとって、絵1枚でどれだけ自然に動かせるかは配信の質に直結する。
炎上とバズ[編集]
- 「IRIAM やばい」で検索されることが多く、ライバー事務所のサイトなどが釈明記事を量産するほどの定番ワードになっている。挙げられる理由は、配信が重い・落ちるといった動作面、ユーザー同士のトラブル、他人のイラストの無断使用などである。2026年のキャラクター審査状況の表示やブロックワード機能は、こうした懸念への対応策という面がある。
- 小規模なライバー事務所が多いぶん、事務所とライバーの契約や運営をめぐるトラブルがSNSで話題になることがある。2024年には一部の事務所がX上で批判を集めたとされる。
- 2024年2月の89億円減損は経済メディアで大きく取り上げられた。その後、ライブストリーミング事業の黒字化で評価は持ち直している。
余談[編集]
- DeNAの公式発表では、2021年時点では「キャラライブアプリ」、2024年時点では「新感覚Vtuberアプリ」、2025年以降は「Vライブコミュニケーションアプリ」と、呼び方が少しずつ変わっている。
- DeNAはライブ配信分野でSHOWROOM、Pococha、IRIAMと3つのサービスを手がけてきた(SHOWROOMは2015年に分社化)。IRIAMの買収発表では、DeNAがSHOWROOM・Mirrativ・Pocochaを生み出したことが合流の理由として挙げられていた。
- DeNAの調べでは、世界のYouTubeスーパーチャット獲得ランキング上位20人の半分以上がVTuberだという。この「VTuberはお金が集まる」という事実が、IRIAMの海外展開の根拠になっている。
- マーケティングではVTuber事務所「のりプロ」とのタイアップや、ユーザーから広告素材を公募する「共創型」の施策も行っている。
- 創業者の塚本大地は、IRIAMの全株式を評価額150億円でDeNAに売却したとしており、スタートアップの大型イグジットの例として紹介されることがある。
