前田裕二
Yuji Maeda
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前田裕二が創業したライブ配信サービス「SHOWROOM」のロゴ(出典:ウィキメディア・コモンズ)
本名 前田裕二
誕生日 1987年6月23日
年齢 39歳
出身地 東京都北区
国籍 日本
家族 兄
学歴 東京都立深川高等学校卒業
早稲田大学政治経済学部卒業
職業 実業家、著作家、コメンテーター
肩書 SHOWROOM株式会社 代表取締役社長
活動期間 2010年 -
代表的な実績 ライブ配信サービス「SHOWROOM」創業
著書『メモの魔力』(累計76万部超)
受賞 AMD Award(2018年)
紀伊國屋書店ベストセラー大賞 著者部門(2019年)
読者が選ぶビジネス書グランプリ(2020年)
関連活動 『スッキリ』火曜コメンテーター(2018年 - 2023年)
ラジオ『前田裕二のゼロイチ』(ニッポン放送)
あだ名 メモ魔
リンク SHOWROOM株式会社


概要[編集]

前田裕二(まえだ ゆうじ)とは、日本の実業家・著作家で、ライブ配信サービス「SHOWROOM」の生みの親にしてSHOWROOM株式会社の代表取締役社長である。8歳で両親を亡くし、小学生時代に駅前のギター弾き語りで稼いだ経験を原点に、外資系証券からディー・エヌ・エー(DeNA)を経て起業。ビジネス書『メモの魔力』の大ヒットで「メモ魔」として一般層にも名が知れ渡った。

詳細[編集]

路上ライブ少年からSHOWROOM社長へ[編集]

1987年6月23日、東京都北区生まれ。3歳で父と、8歳で母と死別し、10歳年上の兄とともに親戚に引き取られて育った。小学6年生の頃から駅前でギターの弾き語りを始め、ここで得た「お客さんとの双方向のやり取りこそが価値になる」という体感が、のちのSHOWROOMの設計思想にそのまま直結している。

本人いわく、オリジナル曲を弾いても人は立ち止まってくれないが、誰もが知るカバー曲なら足を止めてくれる。そこでリクエストに応えて関係を築き、最後に自作曲を聴いてもらう――という流れを小学生にして編み出し、月10万円ほど稼いでいたという(2025年放送のフジテレビ系『明石家さんまと日本の社長』での発言)。

エリート街道と「回り道」[編集]

東京都立深川高等学校ではバスケットボール部に所属したが、膝の故障を機にディベートへ転向。早稲田大学政治経済学部に進学し、マクロ経済学のゼミで学んだ。学生時代はバンド活動に没頭しつつ、複数のアルバイトを掛け持ちして学費を工面する苦学生でもあった。

卒業後は外資系投資銀行のUBS証券に入社し、2年目にはニューヨークへ異動。早朝出社・深夜退社の激務の中でトップクラスの営業成績を上げたとされる。しかし本人は「お金のために働く」価値観から抜け出し、自分にしか残せない価値を探すようになり、2013年に南場智子率いるDeNAへ転職した。

現在の立ち位置[編集]

SHOWROOMは2015年にDeNAから分社化して独立会社となり、2020年にはDeNAの連結子会社からも外れた。前田は一貫して社長を務め、2026年時点でもSHOWROOM株式会社の代表取締役社長である。経営者としての顔に加え、ベストセラー作家、情報番組のコメンテーター、ラジオパーソナリティとして多方面で露出しており、「テレビによく出る若手IT社長」の代表格として知られる。

経歴[編集]

生い立ち[編集]

両親を亡くした後、兄が精神的な支えになったと本人は繰り返し語っており、「境遇は運命を決めない」ことを証明したいという思いが原動力になったという。

路上ライブ時代の有名なエピソードとして、ある女性に知らない曲をリクエストされた際、「来週までに練習してくるので、また来てください」と約束し、翌週本当に披露したところ1万円をもらった、という話がある。歌のうまさではなく「自分のために努力してくれた」ことにお金が払われた――この原体験が、のちにSHOWROOMの「ギフト(投げ銭)」文化の発想につながったと説明されている。

UBS証券時代[編集]

就職活動では実はDeNAからも内定を得ており、最終面接で南場智子と出会っている。南場はプレゼンを準備していた前田に対し、いきなり生い立ちや苦労について尋ねたという。それでも前田は「自分の実力を大きく超える責任を負える環境」を求め、2010年にUBS証券へ入社した。

UBSでは毎朝5時台に出社し、上司の話し方や仕事の進め方を徹底的に真似る「完コピ」で成長したと語っている。2年目にはニューヨークに異動。日本テレビ系『アナザースカイII』に出演した際には、当時の生活を振り返り、エリートだらけの環境で「優れる」ことの難しさを痛感し、「優れるな、異なれ」という仕事観にたどり着いたと話した。

DeNA入社とSHOWROOM立ち上げ[編集]

UBSで約3年働いた頃、起業を考えた前田は南場に相談する。南場は「事業をつくった経験がないなら、まずDeNAで学べばいい」「あなたの力が本当に必要」と口説き、年末の12月30日に働いていた幹部たちを紹介。その熱量に打たれた前田は2013年5月にDeNAへ入社した。南場が5年越しで口説き落とした男、とも紹介されている。

入社直後に手がけた最初の新規事業は、市場トレンドを見て作った短尺動画コミュニティだったが、わずか1か月で失敗。「外ではなく、自分の内側の経験から事業をつくるべきだった」と反省し、路上ライブの原体験をもとに企画したのが「SHOWROOM」だった。サービスは2013年11月25日に開始され、2014年9月には登録者全員が配信できる形に拡大した。

分社化と独立[編集]

2015年8月、DeNAは会社分割によりSHOWROOM株式会社を設立し、同月末にはソニー・ミュージックエンタテインメントが出資して合弁会社となった。2019年11月には電通、ニッポン放送などから総額31億円規模の資金調達を実施。前田は同年12月の会見で「DeNAの連結子会社から外れることを目指す」と明言した。

宣言どおり、2020年6月30日付でDeNAは保有株式の一部を譲渡し、SHOWROOMは持分法適用会社に移行(DeNAの持株比率は49.8%)。その後もHYBE、ビックカメラ、ブシロードなど多数の企業と資本業務提携を重ねた。2020年10月にはKDDIと組んだ縦型動画アプリ「smash.」を開始し、BTSやHey! Say! JUMPなどのコンテンツを独占配信して話題を集めた。

SHOWROOMの仕組みと思想[編集]

「仮想ライブ空間」[編集]

SHOWROOMは「仮想ライブ空間」を掲げるライブ配信サービス。最大の特徴は、画面の下側に視聴者のアバターがずらりと並ぶ「客席」のようなUIで、配信者より観客の存在感を強く見せる設計になっている。視聴は無料で、視聴者は無料・有料のギフトを投げて配信を盛り上げ、配信者には貢献度に応じて報酬が分配される。

AKB48グループや乃木坂46などの坂道シリーズのメンバーが個人配信を行う場として定着し、アイドルグループのオーディションにも使われた。2019年にはジャニーズ事務所(当時)と組んだ「バーチャルジャニーズプロジェクト」でバーチャルアイドルがデビューし、前田はプロデューサーとして関わった。

「スナック型」ビジネス[編集]

前田はSHOWROOMのビジネスモデルを「スナック」に例える。スナックは酒や料理の質よりも、ママと常連客の人間関係で成り立っており、常連は店の存続そのものを応援する。SHOWROOMでも、何百万人の浅いファンより、100〜1000人の「熱いファン」を持つ演者をたくさん生むことが全体の幸福量を最大化する、という考え方をとっている。

この思想は実店舗にも及び、2018年2月には西野亮廣とともに五反田にスナック「キャンディ」をオープンした。また、「月1万円払ってくれる“国王型”のファンを100人集める」といった言い回しや、広告の価値を視聴数の「幅」ではなく人の人生にどれだけ影響したかの「深さ」で測る「深さの広告」構想など、ファンビジネス論者としての発言も多い。

経営の現状[編集]

SHOWROOMは長らく赤字が続いたことでも知られ、決算公告では大きな累積損失が計上されてきた。一方、2025年3月期(第10期)の決算公告では当期純利益約1.5億円の黒字を計上している。近年はアイドル配信に加えて、地方テレビ局と組んだオーディション、バーチャルライバー育成、地上波ドラマへの出演権をかけたオーディションなど、「配信からスターを生む」路線を強めている。

著書[編集]

『人生の勝算』[編集]

2017年6月30日、幻冬舎から刊行されたデビュー作。路上ライブの原体験、SHOWROOM立ち上げまでの道のり、SNS時代のコミュニティ論をまとめたもので、帯には秋元康や堀江貴文が推薦文を寄せた。のちに文庫版やオーディオブック版も出ている。

ちなみにこの本は、2021年公開の映画『花束みたいな恋をした』の劇中に登場する。主人公の心境の変化を示す小道具として使われ、映画ファンの間でちょっとした話題になった。

『メモの魔力』[編集]

2018年12月刊行。担当編集は幻冬舎の箕輪厚介。「ファクト(事実)→抽象化→転用」の3段階でメモを取り、日常の気づきを自分の行動や仕事のアイデアに変える方法を説いた本で、巻末には「自己分析1000問」が付いている。トーハンの2019年年間ベストセラーではビジネス書部門1位を獲得し、2024年時点で累計76万部を超えた。

2019年には紀伊國屋書店ベストセラー大賞の著者部門、2020年には読者が選ぶビジネス書グランプリを受賞。発売以来、毎年クリスマスイブに編集者・箕輪厚介との記念トークイベントが開かれるのが恒例になっている。

その他の著書[編集]

2019年11月には『ギフトのあけ方』、2022年4月には子ども向けにメモ術をまとめた『メモで夢を叶える「魔法のドリル」』を、いずれも幻冬舎から刊行している。2020年には小学生向けの書き下ろしがダイソーで販売されるというユニークな展開もあった。

メディア出演[編集]

テレビ[編集]

2018年から2023年3月の番組終了まで、日本テレビ系の朝の情報番組『スッキリ』で火曜コメンテーターを務め、全国区の知名度を得た。番組最終回の際には自身のXで「気付けば2018年から約4年」と出演を振り返る投稿をしている。

ほかにも『新・日本男児と中居』(準レギュラー)、『しゃべくり007』、『メレンゲの気持ち』、『人生が変わる1分間の深イイ話』、『アナザースカイII』など、バラエティやトーク番組への出演多数。2025年8月9日にはフジテレビ系『土曜プレミアム 明石家さんまと日本の社長』に出演し、明石家さんまを相手に小学生時代の路上ライブの話を披露した。

ラジオ・ネット[編集]

ラジオではTOKYO FM『SHOWROOM主義』を担当したのち、2020年9月30日から2021年3月24日までニッポン放送『前田裕二のゼロイチ』(毎週水曜19時〜21時)で初のラジオレギュラーを持った。番組はSHOWROOMでも同時配信され、「0から1を生み出す」をテーマにリスナーと企画を実現していく構成だった。2019年11月には『前田裕二のオールナイトニッポン』も担当している。

2021年1月からはnoteでの執筆とYouTubeチャンネル「前田裕二チャンネル」の運営を開始。オンラインサロン「メモ魔塾」も主宰しており、メモ術を軸にしたコミュニティ活動を続けている。

人物像[編集]

メモ魔[編集]

あだ名どおりの「メモ魔」で、食事中も会議中も常にメモを取る。人と話しているときにも気づいたことはその場で書き留め、それを抽象化して別の分野に「転用」する習慣が、そのまま『メモの魔力』のメソッドになった。朝のランニングと、寝る前のギター弾き語りが日課だという。

大学時代は早稲田近くの「手打ちうどん ごんべえ」で週3回、辛子かつ丼とうどんを食べていたといい、今でも「パワーの源」として名前を挙げている。

人脈[編集]

GLAYのTERU、秋元康、堀江貴文、西野亮廣、幻冬舎社長の見城徹らと親交がある。とりわけ南場智子とはDeNA入社前からの縁で、前田のキャリアを語るうえで欠かせない存在。2018年にはデジタルメディア協会のAMD Award、DIAMONDハーバード・ビジネス・レビューの「次代を拓く20人のリーダー」にも選ばれた。

将来の夢[編集]

2025年5月のインタビューでは、将来の目標として児童養護施設をつくり、チャンスを奪われた子どもたちが起業家やスターになれるよう支援したいと語っている。自身の生い立ちを踏まえた夢として、以前から繰り返し口にしているテーマでもある。

また2024年末のトークイベントでは、生成AIについて「“AIは心を動かさない”は幻想かもしれない」と発言。そのうえで、技術が進むほど「自分自身のストーリーをどう発信するか」が人間の価値になると述べている。

炎上とバズ[編集]

石原さとみとの交際報道[編集]

2018年4月、『週刊文春』が女優・石原さとみとの交際を報道し、「人気女優とイケメンIT社長」のカップルとして大きな話題になった。その後もツーショットの目撃談や旅行の報道が相次ぎ、イベントの囲み取材で記者から結婚について質問されて困惑する場面も見られた。

しかし2019年7月、『女性セブン』が二人の破局を報道。石原は2020年10月1日に同い年の一般男性との結婚を発表しており、前田とは結婚していない。2026年時点で、前田本人の結婚が報じられた事実はない。

SHOWROOMの赤字と株式[編集]

SHOWROOMの決算公告が公開されるたびに、長年の赤字や累積損失がネット上で話題になってきた。また2022年頃には「社長なのに自社株をほとんど持っていない」という点がSNSで議論を呼んだ(2022年4月時点の前田の持株比率は1.86%とされる)。もっとも2025年3月期には黒字を計上している。

余談[編集]

  • 小学生時代の路上ライブの戦略「まずカバー曲で足を止めてもらい、リクエストで関係をつくり、最後にオリジナル曲」は、そのままSHOWROOMのファンづくりのロジックとして語られている。小学生にしてマーケティングファネルを実践していたことになる。
  • SHOWROOMの画面では視聴者アバターが画面の約3分の2を占めるという、配信サービスとしてはかなり異例のUIが採用されている。演者より観客を目立たせるこの設計も、路上ライブで「お客さんの存在こそがライブの価値」と体感したことに由来すると説明されている。
  • 『人生の勝算』が映画『花束みたいな恋をした』に登場したことで、思わぬ形で「映画に出てきた本の著者」としても知られることになった。
  • DeNA入社前、南場智子が年末の12月30日にわざわざ働いている幹部を紹介してくれたことが入社の決め手になった。「年末に会社にいる人たち」の熱量に打たれたというのが、いかにもベンチャーらしい逸話である。

外部リンク[編集]

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