| 茶風林 Chafurin | |
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茶風林が怪談朗読会「酒林堂」を開く島根県松江市にある小泉八雲旧居(出典:ウィキメディア・コモンズ、Reggaeman撮影、CC BY-SA 3.0) | |
| 本名 | 嶋澤弘隆(しまざわ ひろたか) |
| 誕生日 | 1961年12月4日 |
| 年齢 | 64歳 |
| 出身地 | 埼玉県 |
| 国籍 | 日本 |
| 学歴 | 東洋大学経済学部卒業 |
| 職業 | 声優、ナレーター、俳優 |
| 活動期間 | 1980年代半ば - |
| 代表的な実績 | 目暮十三(『名探偵コナン』)、永沢君男・ヒデじい(『ちびまる子ちゃん』)、磯野波平(『サザエさん』2代目)、チャルロス聖(『ONE PIECE』)、武市変平太(『銀魂』) |
| 事務所 | 大沢事務所(以前は九プロダクション) |
| 関連活動 | 怪談朗読会「酒林堂」主宰 |
| 別名 | ちゃふうりん |
| その他 | 特技:三味線。趣味:庭いじり、車、タップダンス |
| リンク | X(@chafurin) |
概要[編集]
茶風林(ちゃふうりん)とは、埼玉県出身の声優・ナレーターである。大沢事務所所属。『名探偵コナン』の目暮警部、『ちびまる子ちゃん』の永沢君、そして2代目の『サザエさん』磯野波平という、日本の「お茶の間アニメ」三大巨頭すべてに名を連ねる、声優界きっての名バイプレイヤーである。
詳細[編集]
日曜夕方を支配する男[編集]
茶風林のすごさは、出演作の「国民的度合い」に尽きる。日曜18時からの『ちびまる子ちゃん』で永沢君として玉ねぎ頭の毒舌をふるい、18時30分からの『サザエさん』では「バカもん!」でおなじみの磯野波平を演じる。さらに『名探偵コナン』では、1996年のテレビアニメ放送開始時から警視庁捜査一課の目暮十三警部を一度も交代することなく演じ続けている。日本で生活していて、この人の声を一度も聞いたことがない人を探すほうが難しいレベルだ。にもかかわらず、本人の顔や名前は意外と知られていないという、まさに「声の職人」らしいポジションにいる。
中年・三枚目・小悪党のスペシャリスト[編集]
得意とするのは、恰幅のいい中高年男性、地味だったり陰険だったりするキャラクター、そしてコミカルな三枚目。ひげを生やしたキャラクターを演じることが非常に多いのも特徴として知られる。『ONE PIECE』では世界貴族・天竜人のチャルロス聖という「嫌われ者の極み」を演じ、『銀魂』では鬼兵隊の武市変平太を担当した。威厳ある警部から、ドジな脇役、憎たらしい悪役まで一つの声質の中で振り分けるため、「声優界の名バイプレイヤー」と称されることもある。
芸名「茶風林」の由来[編集]
一度聞いたら忘れられない芸名は、喜劇王チャップリンが由来とされている。「ちゃっぷりん」を漢字三文字に落とし込んだ結果、お茶と風と林という、なんとも風流で和風な名前になった。ネット上では「目暮警部の声優の名前がチャップリンに似ているのは偶然?」という質問が出るほどだが、偶然ではなく狙ってつけた名前というわけだ。本名は嶋澤弘隆で、芸名とはまったく違う響きである。
生い立ちと声優になるまで[編集]
舌の手術といじめを乗り越えて[編集]
茶風林は1961年12月4日、埼玉県に生まれた。小学4年生のときに舌の手術を受け(舌癌の切除手術だったとされる)、その影響で活舌に悩むことになった。中学・高校時代はいじめを受けた時期でもあり、本人は声優専門誌のインタビューで「思い出したくない時代」と振り返っている。しゃべりに苦労した少年が、のちに日本中の誰もが知る声の持ち主になるのだから、人生はわからない。本人はプロになってからも、日々の発声練習をリハビリのように続けてきたと語っている。
少女漫画がきっかけで演劇部へ[編集]
高校で演劇部に入ったきっかけは、少女漫画『つらいぜ!ボクちゃん』の主人公に憧れたことだったという。演劇の楽しさに目覚めた茶風林は、東洋大学経済学部に進学すると演劇研究会(劇研)に所属し、演劇漬けの毎日を送った。本人いわく「この時代がずっと長く続けばいいな」と思うほど充実した日々だったそうだ。演劇と出合ったときの衝撃について「食えても食えなくても、演劇のためなら何でもやろうと思いました」と語っており、この覚悟がその後のキャリアの土台になっている。
NHKの声優学校から劇団、そして日光江戸村[編集]
大学卒業後はNHK系列の声優養成の学校に入り、アフレコ実習の講師だった春日正伸に師事した。在学中には、NHK番組の収録現場で急きょ出演する機会にも恵まれたという。その後は劇団新人会に所属し、全国巡業の舞台や、日光江戸村での時代劇なども経験。声だけでなく体を使った芝居の現場で鍛えられたことが、現在の幅広い役柄につながっている。なお特技の三味線や、趣味のタップダンスにも、こうした舞台人としてのバックグラウンドがうかがえる。
下積み時代と『美味しんぼ』[編集]
築地で朝を迎えた男[編集]
キャリアのスタートはガヤ(群衆)やモブ役から。転機になったのは、グルメアニメ『美味しんぼ』の現場だった。築地市場のセリ師のガヤを演じることになった茶風林は、ディレクターから市場の雰囲気をつかむよう言われ、酒を飲んで終電を逃したついでに明け方の築地へ向かい、本物のセリを見学したという。この「独学」が評価され、のちに「吉田」という名前つきの役を得たと本人は語っている。それでも本人は「あれは努力でもなんでもない。本当、人生って運だなと思いました」と笑い話にしている。
食洗機「茶風林2号」[編集]
若手時代は声の仕事だけでは食べていけず、さまざまなアルバイトを掛け持ちした。なかでも長く続いたのが割烹料理店でのアルバイトで、店のご主人は茶風林を気に入り、店の食器洗浄機に「茶風林2号」と名付けたうえ、「好きな時に来ていい」と柔軟に受け入れてくれたという。茶風林はこの店で、35歳で結婚するまで働き続けた。のちに国民的キャラクターを何役も担う人物の下積みとしては、なかなか味わい深いエピソードである。
『名探偵コナン』目暮十三[編集]
初代にして唯一の目暮警部[編集]
『名探偵コナン』の目暮十三は、警視庁刑事部捜査一課の警部で、毛利小五郎のかつての上司にあたる人物。茶風林は1996年のテレビアニメ放送開始時からこの役を担当しており、「2代目」ではなく初代であり、現在に至るまで交代していない唯一の目暮の声である。ネットでは「目暮警部の声優は交代した?」という検索も多いが、これは30年近く演じ続けるなかで声のトーンや演じ方が少しずつ変化したことによる勘違いと考えられている。
子どもの頃の憧れが役になった[編集]
本人は、子どもの頃に見ていた『鉄人28号』の大塚署長に憧れていたと語っており、目暮役が決まったときは「それに近い役が自分に来たと思って、とてもうれしかった」と振り返っている。帽子をかぶった恰幅のいい警部が「毛利くん!」と呼びかける声は、今やコナン世界の日常風景そのものだ。
捜査一課の仲間たちと[編集]
アニメでは、高木渉、佐藤美和子、白鳥任三郎ら捜査一課の部下たちを率いる上司として登場し、神奈川県警の横溝重悟ら他県の警察官とも事件現場で顔を合わせる。主人公の江戸川コナン(声:高山みなみ)が麻酔銃で眠らせた「眠りの小五郎」の推理を真っ先に聞かされる役回りでもあり、事件解決シーンには欠かせない。テレビシリーズだけでなく劇場版にも登場し、30年近くにわたって捜査一課の顔であり続けている。ファンからは、その演技に「警察としての誇りや信念」が感じられるという声も寄せられている。
『ちびまる子ちゃん』永沢君男[編集]
ヒデじいから永沢君へ[編集]
1990年に始まったアニメ『ちびまる子ちゃん』では、花輪家の執事・ヒデじいと、まる子のクラスメイト永沢君男を担当している。本人によると、最初はヒデじい役で現場に参加していたが、授業参観の回で「僕は頭が悪いから親に来てほしくないなあ」という小学生のセリフを演じたところ、原作者のさくらももこが「こんなヘンな小学生はいない!」と反応。これがきっかけで永沢君役を担当することになったという。
いじめられた記憶を役に乗せる[編集]
永沢君は、唇の青い藤木君に「君は卑怯だよ」などとチクチク言う、皮肉屋のクラスメイト。茶風林は、この役について「自分がいじめられた過去の記憶を思い出して役に乗せていきました」と語っている。つらい少年時代の経験を、国民的アニメの名キャラクターに昇華させたわけで、あのねちっこくもどこか憎めない永沢君の味わいには、そんな背景があったのである。
花輪クンは別の声優[編集]
よく混同されるが、同じ花輪家関連でも、お坊ちゃまの花輪クンを演じているのは茶風林ではなく菊池正美である。茶風林が担当しているのは執事のヒデじいのほう。「ヒデじいと永沢君が同じ人」という事実のほうが、多くの視聴者にとってはむしろ驚きだろう。
『サザエさん』2代目磯野波平[編集]
永井一郎からのバトン[編集]
2014年1月27日、初代磯野波平役を1969年から45年間演じた永井一郎が82歳で死去。その後任として2014年2月10日に発表されたのが茶風林だった。プロデューサーは起用理由について、茶風林の「温かく包みこむ優しい声」が磯野家の父である波平のイメージにぴったりだったと説明している。本人はインタビューでオーディションを経て選ばれたと語っており、永井の告別式では「精いっぱい務めます」とあいさつしたという。
第一声は「うるさいぞ! 二人とも!」[編集]
2代目波平の初登場は2014年2月16日放送回。最初のエピソード「ミセスうっかりミス」での第一声は「んー? うるさいぞ! 二人とも!」で、サザエとカツオにさっそく雷を落とした。茶風林は就任にあたり「永井さんが造り上げた"磯野波平"というキャラクターのイメージを損なうことのないよう、大切に、精一杯務めさせていただきます」とコメント。収録現場では、サザエ役の大先輩・加藤みどりが「あなたのマイク」と場所を確保してくれたといい、そのリーダーシップに感銘を受けたと語っている。
その他の主な出演作[編集]
テレビアニメ[編集]
- 『ドラえもん』(テレビ朝日版第1期・第2期):寺野(初代)、浅野内匠頭、円番さん、カモラン ほか
- 『ONE PIECE』:チャルロス聖(2009年 - 2024年)
- 『銀魂』:武市変平太(2007年 - 2018年)
- 『忍たま乱太郎』:山左ヱ門、細井万丸 ほか
- 『コボちゃん』:竹男(1992年 - 1994年)
- 『しましまとらのしまじろう』シリーズ:しまじろうのお父さん(1993年 - )
- 『それいけ!アンパンマン』:台風おやじ、おんせんじいさん ほか
- 『ポケットモンスター』:ハヤブサ(2001年)
- 『ゲゲゲの鬼太郎』:第4作・第5作(吸血鬼ピー)・第6作(手の目)
- 『ひぐらしのなく頃に』:大石蔵人
吹き替え・ナレーション[編集]
アニメだけでなく、洋画の吹き替えやテレビ番組のナレーションも数多く手がける。本人も自身のXのプロフィールで、アニメーションや洋画の吹き替え、テレビ番組のナレーションなどを仕事としており、ときどき舞台にも出演していると紹介している。
怪談朗読会「酒林堂」[編集]
日本酒片手に怪談を聴く[編集]
茶風林のライフワークとして知られるのが、怪談朗読会「酒林堂」(しゅりんどう)である。2009年に東京で「怪し会」として始めた朗読会がルーツで、2014年からは怪談の名作『怪談』で知られる小泉八雲ゆかりの島根県松江市でも公演をスタート。2018年に「酒林堂」として生まれ変わった。観客が日本酒を少しずつ味わいながら怪談に耳を傾けるという趣向で、お寺を会場にろうそくの灯りだけで行うこともある。本人はこれを「和風ライブハウスのようになる」と表現している。
「朗読と怪談のシンクロ率」[編集]
茶風林が怪談に目覚めたのは、ゲーム制作の収録経験がきっかけだったという。見えないものを聴き手の頭の中でイメージさせる点が朗読と怪談の共通点であり、「朗読と怪談のシンクロ率が高い」と語っている。松江市とのつながりは年々深まっており、市長が自身のXで茶風林の市役所訪問を紹介し、小泉八雲の怪談朗読会「酒林堂・八雲2023」の開催を告知したこともある。2026年9月には自身のXで、東京駅前「KITTE」地下で開かれた「松江特産品フェアin東京」を訪れ、日本酒入りのチョコレートを買ったことなどを「#酒林堂」のハッシュタグ付きで報告していた。
炎上とバズ[編集]
波平役就任でネットが好意的に沸く[編集]
2014年、国民的キャラクター波平の後任が発表されると、「目暮警部と永沢君の人が波平に!」とネットは大きく反応した。長寿キャラクターの声優交代は反発を招くことも少なくないが、このときは好意的な声が多数を占めたと報じられている。本人も放送前にツイッター(現X)で応援メッセージへの感謝と、永井一郎への敬意をつづっていた。ファンの間では今も「前任の永井一郎を継承しているのにまったく違和感がない」と評価されている。
余談[編集]
- 『名探偵コナン』『ちびまる子ちゃん』『サザエさん』という長寿アニメ3作すべてでレギュラーキャラクターを担当しており、特に日曜夕方は1時間のうちに永沢君・ヒデじい・波平と3役を聞けることもある。
- Xのプロフィールでは、趣味を「庭いじりと車に乗ること」とし、「夢はバンデンプラ乗りになる事かな」とつづっている。
- 『名探偵コナン』では、黒の組織のベルモットを演じる小山茉美をはじめ、同じくベテランの声優陣と長年共演している。
- 若手時代を支えた割烹料理店のご主人への感謝は、本人がインタビューで繰り返し語っているエピソードの一つである。
- 成功の鍵について「自分を応援してくれる人とどう巡り合うか、そしてどんな人間関係を作れるか」と語っており、好きなことを見つけた人は「その道に突き進んだほうがいい」とエールを送っている。