| 高木渉 Wataru Takagi | |
|---|---|
![]() 高木が所属する警視庁の本部庁舎(東京都千代田区霞が関)(出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY-SA 4.0) | |
| 本名 | 高木渉(たかぎ わたる) |
| 誕生日 | 7月25日 |
| 国籍 | 日本 |
| 家族 | 甥がいる(劇場版『11人目のストライカー』より) |
| 学歴 | 警視庁警察学校 |
| 職業 | 警察官(警視庁) |
| 肩書 | 警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係 巡査部長 |
| 代表的な実績 | 「本庁の刑事恋物語」シリーズの主役、劇場版第25作『ハロウィンの花嫁』でメイン級の活躍 |
| 関連活動 | 『名探偵コナン』 |
| あだ名 | 高木刑事、ワタル・ブラザーズ(伊達航と合わせての呼び名) |
| その他 | 声優:高木渉(同姓同名の声優本人が名前の由来)/年齢:26歳 |
概要[編集]
高木渉(たかぎ わたる)とは、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』に登場する警視庁捜査一課の刑事である。本記事は架空のキャラクターについての記事で、アニメで彼を演じる同姓同名の声優・高木渉が、そのまま名前の由来になっている。もともとは名前すらないモブの刑事だったが、佐藤美和子との恋模様を軸に作品屈指の人気キャラクターへと成長した。
詳細[編集]
同姓同名の声優について[編集]
「高木渉」と検索すると、アニメのキャラクターと、千葉県君津市出身の声優・俳優の高木渉(1966年7月25日生まれ)の両方がヒットする。本記事が扱うのは前者、つまり『名探偵コナン』に登場する刑事のほうである。声優の高木渉は『名探偵コナン』で高木刑事のほか、少年探偵団の小嶋元太も担当しており、一つの作品の中で刑事と小学生という真逆の二役をこなしている。
声優の高木渉はほかにも『GTO』の鬼塚英吉、『ゲゲゲの鬼太郎(第5作)』のねずみ男、『機動新世紀ガンダムX』のガロード・ラン、『Yes!プリキュア5』のブンビーなどで知られる。2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』では小山田茂誠役を演じ、これがテレビドラマ初出演となった。キャラクターの誕生日である7月25日は、声優本人の誕生日と同じ日である。
人物像[編集]
警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係に所属する巡査部長で、年齢は26歳とされる。年上・年下にかかわらず基本的に敬語を使う腰の低い性格で、一人称も場面によって「僕」「オレ」「私」を使い分ける。お人好しで、江戸川コナンら子どもの話にも真剣に耳を傾けるため、少年探偵団が事件に巻き込まれると真っ先に頼られる存在になっている。
そのぶん口が軽いところもあり、少年探偵団に捜査中の事件の情報をうっかり話してしまうことはしばしば。初期は頼りない役回りが多かったが、毛利小五郎や阿笠博士の何気ない一言からトリックに気付くこともあり、回を重ねるごとに刑事としての成長が描かれてきた。交通部の婦警たちからの人気も意外と高い。
趣味と特技[編集]
大のプロレス通で、プロレス団体で起きた事件では知識をまくし立てるほど。ビデオ収集の趣味もあり、映画・テレビドラマ・芸能人などエンタメ方面の知識は人並み以上に持っている。なぜかマラカスが好きという、妙に具体的な設定もある。
拳銃を構える場面はあるが、発砲シーンは描かれていないため射撃の腕前は不明である。普段乗っている覆面パトカーは日産・スカイライン25GT-V(ER34型)で、ナンバープレートには誕生日の「7-25」が反映されているとされる。アニメ初期ではエアコンなしのトヨタ・パブリカを運転していたこともあり、車遍歴だけでもなかなか波乱万丈である。
呼ばれ方[編集]
周囲からの呼ばれ方は相手によって細かく違う。コナン、毛利蘭、少年探偵団からは「高木刑事」、毛利小五郎・目暮警部・佐藤刑事からは「高木君」、松本警視や千葉刑事からは「高木」と呼ばれる。同僚の千葉和伸は同期で友人とされ、高木がタメ口で話す数少ない相手だが、アニメ版や原作の後期では千葉の方が「高木さん」と呼んでいる。
名前の由来[編集]
名無しの刑事として誕生[編集]
高木刑事は、もともと名前のないモブキャラクターとして扱われていた。アニメ制作時に、事件の経過を説明する進行役の刑事が必要になったことに加え、声優の高木渉本人の「もっと出演したい」という希望もあり、「高木刑事を作ってしまおう」という流れになったとされる。当初はそれほど重要なキャラクターになる予定ではなかったため、役名に演じる声優の名前をそのまま使ったのである。
アニメでは第22話「TVドラマロケ殺人事件」以降、セリフなしの場面も含めて何度か先行して登場しており、容姿と声がそろった正式な初登場はアニメオリジナルの第66話「暗闇の道殺人事件」とされる。原作での初登場は単行本18巻で、電話に出る際に「高木です」と名乗る場面である。ここから原作でも頻繁に登場するようになった。
「高木です」のアドリブ[編集]
2016年に明かされた裏話によると、テストアフレコの際、目暮警部役の茶風林からアドリブで名前を尋ねられ、高木が「高木です」と自分の本名で切り返したことがきっかけで定着したという。このやりとりはテスト段階のものだったため、本編ではカットされている。
こうして生まれた「声優の名前がそのままキャラ名」という設定は、アニメ発のキャラクターが原作に逆輸入された珍しいケースでもある。名探偵コナンの警察関係者には、松田陣平や萩原研二のように往年の刑事ドラマの俳優に由来するとされる名前が多いが、高木の場合は演じる声優本人から名前をもらっている。下の名前「渉」も声優と同じで、フルネームで完全に同姓同名である。
佐藤美和子との恋愛[編集]
片想いの始まり[編集]
高木は同じ捜査一課の先輩刑事である佐藤美和子に、登場初期から想いを寄せている。佐藤は捜査一課のマドンナ的な存在で、白鳥任三郎をはじめとする多くの刑事たちが彼女に好意を持っていた。そのため高木は同僚たちから佐藤との仲を僻まれ、デートを邪魔されたり嫌みを言われたりする受難の日々を送ることになる。
この二人の恋模様を描いたエピソード群は「本庁の刑事恋物語」というシリーズタイトルで親しまれている。第1作にあたるアニメ第146〜147話(1999年5月放送)では、事件解決後に佐藤が白鳥の高級レストランの誘いを断って高木をラーメン屋に誘うものの、結局目暮警部に佐藤を連れて行かれて高木は置いてけぼりになる、という切ない(そしてどこかコミカルな)結末を迎えた。
佐藤の父の事件[編集]
大きな転機の一つが「本庁の刑事恋物語3」(原作27巻、アニメ第205〜206話)である。ここで高木たちは、18年間未解決だった佐藤の父・佐藤正義の殉職事件を解決に導く。この事件以降、高木の活躍の場は目に見えて増えていった。
その後も「新幹線護送事件」(原作30巻、アニメ第240〜241話)では、護送中の覚醒剤密売人が殺害され、佐藤とともに減給処分を受けるなど、二人はコンビとして苦楽を共にしていく。良くも悪くも一緒に責任を負う経験が、二人の距離を縮めていった。
「揺れる警視庁」で相思相愛に[編集]
二人の関係を決定的に変えたのが「揺れる警視庁 1200万人の人質」(原作36〜37巻、アニメ第304話・2003年1月6日放送)である。この事件は、3年前に殉職した松田陣平の仇である爆弾犯をめぐる物語で、佐藤にとっては最大のトラウマと向き合う事件だった。
松田は佐藤が想いを寄せていた刑事で、しかも高木とは顔立ちが似ているとされる。取り乱す佐藤を高木が全力で受け止めたことで、佐藤は自分の恋心を自覚し、二人は相思相愛の関係になった。松田の死を乗り越えて高木を選ぶというこの流れは、シリーズの恋愛パートで最も重要な転換点の一つとして語られている。
指輪の水没とキス[編集]
「本庁の刑事恋物語5」(原作40巻、アニメ第358〜359話)では、佐藤に贈るはずだった高額な指輪が事件に巻き込まれて水没するという、高木らしい不運に見舞われる。それでも関係は着実に進展していった。
そしてついに「古き傷跡と刑事の魂」(原作64〜65巻、アニメ第533〜535話)で、犯人逮捕の際に負った怪我で入院した高木と佐藤が、少年探偵団の計らいもあってようやくキスを果たす。長年じれったい関係を見守ってきた読者・視聴者にとっては待望の瞬間だった。
命を賭けた恋愛中継[編集]
「命を賭けた恋愛中継」(原作76〜77巻、アニメ第681〜683話・2013年放送)では、高木が拉致監禁され、爆弾と共に命の危機にさらされる。救出後、二人は捜査一課の面々が中継映像を見守るなかで堂々とキスを交わし、関係はもはや周知の事実となった。
その後も「本庁の刑事恋物語 告白/真相」(原作82巻、アニメ第748〜749話)、アニメオリジナルで二人が大分県の湯布院を訪れる「恋の地獄めぐりツアー」(アニメ第851〜852話)などが描かれた。白鳥が小林澄子先生と交際を始めてからは、同僚たちの妨害も緩和されたとされる。
伊達航との関係[編集]
ワタル・ブラザーズ[編集]
高木が捜査一課に来てから1年前まで、教育係としてコンビを組んでいた先輩が伊達航である。伊達は高木より3歳上で、いつも爪楊枝をくわえている豪快なタフガイだった。二人は非常に仲が良く、名前の読みがどちらも「わたる」であることから、自分たちを「ワタル・ブラザーズ」と触れ回っていた。
伊達は警視庁警察学校の鬼塚教場で、降谷零、松田陣平、萩原研二、諸伏景光と同期だった、いわゆる「警察学校組」の一人である。成績は降谷に次ぐ2番で、クセの強い同期たちをまとめるリーダー格だったとされる。つまり高木は、伊達を通じて警察学校組と間接的につながっている人物でもある。伊達によれば、降谷と高木は背格好が似ているという。
伊達の死と遺された手帳[編集]
本編の1年前の2月7日、伊達は詐欺師を逮捕した直後、高木の目の前で居眠り運転の車にはねられて亡くなった。恋人ナタリー・来間の写真を高木に見せようとして落とした警察手帳を拾おうとした際の事故だったとされる。伊達は死の間際、ナタリーに渡すはずだった婚約指輪を高木に託したが、ナタリーは伊達の死を知った後に自ら命を絶っており、指輪が届けられることはなかった。
高木が普段使っている黒い手帳は、この伊達の遺品である。伊達の死をめぐる因縁は「命を賭けた恋愛中継」で描かれ、高木はナタリーの知人に伊達本人と誤解されて拉致されるという形で、その余波に巻き込まれることになった。同じ「ワタル」という名前が、皮肉にも命の危機を招いたわけである。
警察学校組とのつながり[編集]
伊達は降谷零(安室透)と警察学校卒業後は長らく音信不通だったが、互いに気にかける友人同士だったとされる。高木自身は警察学校組の誰とも同期ではないものの、伊達の遺品である手帳を持ち歩く「伊達の後輩」という立ち位置が、ファンの間では高木と警察学校組をつなぐ重要なポイントとして語られている。
スピンオフ『名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story』のアニメ化(2021〜2023年)で伊達の生前の姿が描かれたことで、「伊達の後輩」としての高木への注目度もさらに高まった。
主な活躍[編集]
コナンとの関係[編集]
高木は、警察関係者のなかでコナンの正体の核心に近づきかけた数少ない人物の一人である。コナンの推理力に疑問を投げかけたこともあり、ただのお人好しでは終わらない観察眼を見せている。
一方でコナンからは事件の調査を頼まれることが多く、コナンが単独で犯人と対峙した場面で逮捕に協力するなど、実質的に「コナンが一番使いやすい刑事」というポジションに収まっている。工藤新一としての顔を知らないまま、子どもの姿のコナンを信頼して動いてくれる貴重な大人である。
劇場版での活躍[編集]
劇場版には、原作初登場後の第3作『世紀末の魔術師』で初登場して以来、ほとんどの作品に出演している。未登場なのは第6作『ベイカー街の亡霊』、第19作『業火の向日葵』、第21作『から紅の恋歌』、第23作『紺青の拳』、第26作『黒鉄の魚影』とされる。第16作『11人目のストライカー』では、高木に甥がいることが明かされた。
また『名探偵コナン 怪盗キッドと四大画』では怪盗キッドに、『ルパン三世VS名探偵コナン THE MOVIE』ではルパン三世に変装されている。キッドとルパンの両方に化けられたキャラクターは、高木と毛利小五郎だけである。変装しやすい顔なのかもしれない。
『ハロウィンの花嫁』[編集]
高木が最も大きく扱われた劇場版が、2022年4月15日公開の第25作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(監督:満仲勧)である。冒頭、渋谷ヒカリエで佐藤と高木の結婚式が行われ、そこに暴漢が乱入して、佐藤をかばった高木が危険にさらされる。この結婚式は本物ではなく、目暮警部の同期である村中努の結婚式を警備するための予行演習だった。
佐藤はこの出来事で、3年前に松田陣平が殉職したときと同じ「死神」のイメージを高木に重ねて見てしまう。松田を失った過去と高木への想いの間で揺れる佐藤の姿が物語のもう一つの軸となり、ラストでは佐藤が高木にキスをする。本作は興行収入約97.8億円を記録し、当時のシリーズ最高クラスの大ヒットとなった。公開日には日本テレビ系「金曜ロードSHOW!」で特別編集版『本庁の刑事恋物語〜結婚前夜〜』が放送された。
人気と評価[編集]
高木はもともと名前もないモブだったにもかかわらず、キャラクター人気投票では第1回で第8位(40票)、第2回で第10位(226票)、テレビ&劇場版キャラクター人気投票でも10位と、常に上位をキープしている。2020年の『ダ・ヴィンチ』6月号の「読者にしあわせを与えてくれたキャラ」ランキングでも13位に入った。
アニメへの登場回数も主人公格の3人と目暮警部に次ぐ5番目とされ、名実ともに『名探偵コナン』のレギュラーである。頼りなさと誠実さが同居したキャラクター性、そして佐藤との一進一退の恋愛模様が、長年にわたって支持されてきた理由である。警察学校組ブーム以降は「伊達の後輩」「松田に似た男」という文脈でも注目されるようになった。
余談[編集]
- 警視庁のレギュラー陣のなかで、目暮警部を除けば唯一、警察官になる前のエピソードが描かれていない。家族構成もほとんど不明で、モブ出身ゆえの設定の少なさがかえって謎になっている。
- 喫煙者とされ、アニメ第80話では喫煙描写があるが、劇場版『紺碧の棺』では否定する場面もあるなど、設定の揺れがある。
- アニメ初期は肌が色黒で髪型も異なっていたが、のちに原作の絵柄に準拠したデザインに変更された。『ハロウィンの花嫁』ではさらに髪の質感や肌の色が柔らかく描かれている。
- 声優が同じため、高木刑事と元太が同じ場面で会話するシーンでは、高木渉が一人で二役の掛け合いを演じることになる。
- 同期の千葉刑事は二人の恋を当初から認めて積極的に応援しており、「恋の発破をかける役」を担っているとされる。
