| 目暮十三 Juzo Megure | |
|---|---|
![]() 目暮が勤務する警視庁の本部庁舎(東京都千代田区霞が関)(出典:ウィキメディア・コモンズ、CC BY-SA 4.0) | |
| 本名 | 目暮十三(めぐれ じゅうぞう) |
| 国籍 | 日本 |
| 家族 | 妻・目暮みどり |
| 職業 | 警察官(警視庁) |
| 肩書 | 警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係 警部 |
| 代表的な実績 | 「目暮班」を率いて数々の殺人事件を担当。毛利小五郎の刑事時代の上司 |
| 関連活動 | 『名探偵コナン』『まじっく快斗』(ゲスト) |
| 別名 | 目暮警部 |
| あだ名 | 目暮のタヌキ(中森銀三からの呼び名) |
| その他 | 声優:茶風林/実写:西村雅彦、伊武雅刀/名前の由来はジュール・メグレ |
概要[編集]
目暮十三(めぐれ じゅうぞう)とは、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』に登場する、警視庁刑事部捜査第一課強行犯捜査三係の警部である。トレードマークは太い口ひげ、茶色のコート、そして絶対に脱がないソフト帽。毛利小五郎の刑事時代の上司で、工藤新一や江戸川コナンと共に数え切れないほどの事件現場に立ち会ってきた、コナン世界の「事件の顔」ともいえる存在である。
詳細[編集]
人物像[編集]
恰幅のよい体格で、おなかがかなり出ている。同期のライバルである中森銀三警部からは「目暮のタヌキ」と皮肉られるほどだが、劇場版ではこの体形のおかげで命拾いしたような描写がたびたびあるとされ、ファンの間ではちょっとしたネタになっている。いつも茶色のコートと同じ色のソフト帽を身につけており、横になるときですら帽子を被ったままという徹底ぶりである。
一人称は普段は「ワシ」、仕事の場では「私」。犯罪を憎み、容疑者には毅然とした態度で臨む責任感の強い警部だが、プライベートでは冗談を言ったりするお茶目な一面もある。他人の恋愛事情には鈍感なタイプながら、部下の佐藤美和子と高木渉の仲には薄々気づいているという描写もあり、意外とちゃんと見ている上司でもある。
能力と弱点[編集]
推理力は「一般的な刑事」の範囲にとどまり、捜査の方向性を誤ってはコナンや小五郎に修正されるのがお約束。ただし、現場の指揮や容疑者の取り調べ、部下の統率といった組織人としての能力は確かで、だからこそ目暮班は毎回の難事件を回していける。
一方で弱点も多い。拳銃の腕はあまり高くなく、機械類、特にパソコンが大の苦手。パソコンを「立ち上げる」と言われて本体ごと持ち上げてしまう、というベタなギャグを披露したこともある。英語は自己紹介程度しか話せず、芸能界や芸術方面の話題にも疎い。こうした「頼れるけどちょっと抜けている」バランスが、長年愛される理由のひとつである。
年齢[編集]
年齢は公式には明かされていない。ただし、41歳とされる怪盗キッド担当の中森警部と警察学校の同期とされていることから、ファンの間では40代前半と推定されることが多い。妻のみどりとの年齢差を考えると、若手刑事時代の事件からおよそ20年が経っている計算になる。
名前の由来[編集]
姓「目暮」=メグレ警視[編集]
姓の「目暮(めぐれ)」は、ベルギー出身の作家ジョルジュ・シムノンの推理小説シリーズに登場するパリ警視庁のジュール・メグレ警視が由来である。『名探偵コナン』は登場人物の名前を古今東西のミステリーから取ることが多く、毛利小五郎(毛利=モーリス・ルブラン、小五郎=明智小五郎が由来とされる)などと同じく、目暮も名探偵・名刑事へのオマージュになっている。
漢字の「目」と「暮」は「メグレ」の音に当てたもので、海外のファンサイトでは「目」と「暮れる」という字の組み合わせがちょっとしたトリビアとして紹介されている。
名「十三」はトランプから[編集]
連載初期の目暮には下の名前が設定されておらず、名前が初めて判明したのは1998年4月18日公開の劇場版第2作『名探偵コナン 14番目の標的』である。この作品は、犯人が名前に数字の入った人物を「13」から順にトランプになぞらえて狙っていくというストーリーだった。
青山剛昌によれば、トランプを題材にしたトリックを考える際、新一(1)、小五郎(5)、妃英理(「妃」=クイーン=12)など既存キャラの名前に数字が含まれていることに気づいたが、「13」に当たるキャラがいなかった。そこで急遽、目暮の名前を「十三」に決めたという。キング(13)に当たる人物として最初に狙われたのが目暮で、ジョギング中にボウガンで右脇腹を撃たれて負傷する。この設定はその後、原作・アニメにも公式設定として逆輸入された。
2020年代に入ってからも、テレビの『金曜ロードショー』で同作が放送されるたびに「目暮警部の下の名前を初めて知った」という声がSNS上で上がり、ニュースになるほどの「意外と知られていないトリビア」となっている。
帽子の秘密と妻・みどり[編集]
「封印された目暮の秘密」[編集]
目暮がなぜ帽子を絶対に脱がないのか、そして妻・みどりとどう出会ったのかが描かれたのが「封印された目暮の秘密」である。原作では単行本28巻から29巻にかけて収録され、アニメでは第217話・第218話(前後編)として2000年12月に放送された。
本編の事件は、厚底ブーツを履いたいわゆる「ガングロ」風の女子高生ばかりが狙われる連続襲撃事件。捜査のために女性を囮にする案が出たとき、目暮はなぜか強く反対する。その頑なな態度の裏にあったのが、20年ほど前の若手刑事時代の苦い記憶だった。
20年前のひき逃げ事件[編集]
刑事になったばかりの頃、目暮は「連続女子高生ひき逃げ事件」の捜査を担当していた。狙われていたのは、当時の不良ファッションだったロングスカート(いわゆる「ロンタイ」)を穿いた女子高生たち。犯人の動機は、ロンタイ姿の不良女子高生に恐喝された逆恨みだったとされる。
この事件で、友人の敵を取るために自ら囮になると言い出したのが、当時スケバン風の不良女子高生だったみどりである。目暮は彼女の護衛につくが、犯人の車はみどりもろとも目暮をはね、目暮は頭部を負傷してしまう。それでも薄れゆく意識の中で逃走車のナンバーを記憶しており、それが犯人逮捕の決め手になった。
馴れ初めと帽子[編集]
身を挺して守ってくれた目暮にみどりが惚れ込み、二人はのちに結婚する。目暮の帽子の下には、このとき負った古傷があるとされ、帽子はそれを隠すためのもの……というのが作中で語られる「帽子の秘密」である。
ただし、コナンは「本当の理由は、元スケバンの年下の奥さんとの馴れ初め話を冷やかされたくないからではないか」と推測しており、真相はちょっとした照れ隠しに近い。いずれにせよ、強面の警部が実はロマンチックな過去を持っていたというギャップは、この回をファン人気の高いエピソードにしている。
愛妻家としての目暮[編集]
現在の目暮は相当な愛妻家で、みどりと二人きりになると新婚夫婦のようにデレデレしてしまう。昼食はいつもみどりの手作りの愛妻弁当で、ホワイトデーにはサプライズでマシュマロを贈ったこともある。囮捜査に慎重なのも、みどりとの一件を経験しているからこそであり、佐藤や高木が危険な捜査に踏み込もうとすると、上司として強くブレーキをかける場面が見られる。
毛利小五郎との関係[編集]
刑事時代の上司と部下[編集]
毛利小五郎がまだ警視庁捜査一課の刑事だった頃、目暮は彼の上司だった(当時の目暮は警部補)。小五郎は射撃の腕こそ抜群だったものの、捜査ではとにかく手を焼かせる部下で、目暮は小五郎のせいで事件がことごとく迷宮入りしたとぼやくほど苦労させられていた。
『14番目の標的』では、二人の刑事時代のエピソードが回想として描かれる。10年前、小五郎と目暮が逮捕した殺人犯・村上丈が取り調べ中に逃走を図り、妃英理を人質に取る。小五郎は拳銃を発砲し、弾は英理の脚をかすめた。この一件が、小五郎が警察を辞め、英理と別居するきっかけになったとされている。
「疫病神」から「名探偵」へ[編集]
小五郎が私立探偵になってからも、行く先々で事件に遭遇する彼を、目暮は「疫病神」「死神」などと皮肉る。一方で、コナンが小五郎を麻酔銃で眠らせて推理を披露する「眠りの小五郎」の推理力は高く評価しており、現在では事件現場で「毛利くん」と呼んで意見を求めるのが日常風景になっている。
もちろん、その推理の本当の主がコナンであることを目暮は知らない。元部下の急成長ぶりを素直に頼る姿は、コナン世界の名物シーンのひとつである。
工藤新一との関係[編集]
目暮は高校生探偵・工藤新一の推理力を高く評価しており、新一が警察の捜査に協力していた時代には、たびたび現場で顔を合わせていた。第1話「ジェットコースター殺人事件」の時点で、すでに新一と面識のある警部として登場している。
さらに遡ると、目暮は新一の父である推理作家・工藤優作とも親しく、難事件に行き詰まるたびに優作に助言を求めていたという。親子二代にわたって工藤家の推理力に頼ってきた、ともいえる。
新一が黒ずくめの組織に薬を飲まされて江戸川コナンになり、表舞台から姿を消してからは、小五郎(実際にはコナン)の協力で事件を解決するようになった。目暮自身は「最近新一くんを見かけない」と気にかける場面もあるが、目の前の小学生がその新一本人だとは夢にも思っていない。なお、目暮は作中で最初に「黒ずくめの男」という言葉を使ったキャラクターだとする資料もある。
目暮班のメンバー[編集]
高木渉[編集]
高木渉は目暮班の若手刑事(巡査部長)で、目暮が最もよく指示を出す部下である。気弱でお人よしな性格だが、捜査では粘り強く、コナンからの「ちょっとした情報提供」の窓口になることも多い。佐藤美和子との恋愛模様は作品の長期的な見どころで、目暮もそれとなく見守っている。
佐藤美和子[編集]
佐藤美和子は目暮班の女性刑事(警部補)で、捜査一課のマドンナ的存在。父親も殉職した刑事であり、本人も行動力抜群の切れ者である。危険を顧みない捜査に走りがちな佐藤に対し、目暮は上司として何度も釘を刺している。
白鳥任三郎[編集]
白鳥任三郎はキャリア組の警部で、階級としては目暮と同じ。資産家の家柄出身のエリートだが、目暮班の一員として現場に出ることが多い。目暮と同じく拳銃の腕はそれほど高くない、という共通点もある。
千葉和伸[編集]
千葉和伸は高木の同期にあたる刑事で、ぽっちゃりした体形と食いしん坊なキャラクターがおなじみ。目暮班の縁の下の力持ちとして、聞き込みや調べ物を担当する場面が多い。
松田陣平と警察学校組[編集]
松田陣平は、親友・萩原研二の仇である爆弾犯を追うため、機動隊爆発物処理班から捜査一課強行犯三係へ移ってきた刑事だった。つまり、ごく短い期間ではあるが目暮の部下だったことになる。松田は配属から1週間ほどで観覧車の爆弾から市民を守って殉職し、その因縁は「揺れる警視庁 1200万人の人質」で決着する。目暮にとっても、部下を失ったこの事件は重い意味を持っている。
声優・茶風林[編集]
アニメで目暮の声を担当しているのは茶風林。1996年のテレビアニメ放送開始時から現在まで、一度も交代することなく目暮を演じ続けている。どっしりとした低音に、ときおり見せるコミカルな抜け感を同居させた演技は、目暮のキャラクター像そのものといってよい。
茶風林は1961年12月4日生まれ、埼玉県出身で、大沢事務所に所属するベテラン声優。『ちびまる子ちゃん』の永沢君男やヒデじい、2014年からは『サザエさん』の磯野波平などを担当し、「名バイプレイヤー」として知られる。コナンでは目暮以外に、少年探偵団の吉田歩美の叔父役も演じたことがある。
小学生のときに舌の病気の手術を受け、滑舌を克服するために中学で演劇部に入ったことが、役者の道に進むきっかけになったという。特技はタップダンスとされる。
英語吹き替え版では、FUNimation版でMark Stoddardが担当し、英語版の『Case Closed』では「Joseph Meguire」というローカライズ名で知られている。
代表回[編集]
| タイトル | 原作 | アニメ | 見どころ |
|---|---|---|---|
| ジェットコースター殺人事件 | 1巻 | 第1話 | 新一と旧知の警部として初登場 |
| 封印された目暮の秘密 | 28〜29巻 | 第217〜218話 | 帽子の秘密と妻・みどりとの馴れ初め |
| 本庁の刑事恋物語シリーズ | 各巻 | 各話 | 佐藤と高木の恋を目暮班が見守る |
| 揺れる警視庁 1200万人の人質 | 36〜37巻 | 第304話 | 殉職した部下・松田陣平の因縁に決着 |
このほか、目暮は主人公3人(コナン、毛利蘭、小五郎)に次ぐ登場回数を誇るともいわれ、殺人事件回ではほぼ毎回のように現場を仕切っている。ある意味、目暮が登場した時点で「これは本格的な殺人事件だ」と視聴者が身構える合図にもなっている。
劇場版での活躍[編集]
『14番目の標的』[編集]
目暮が最も大きくフィーチャーされた劇場版といえば、やはり第2作『14番目の標的』(1998年)である。「十三」という名前が初めて明かされ、連続事件の最初の標的としてボウガンで狙撃される。右脇腹を撃たれて入院するが、数日後には退院して事件の追跡に加わるタフさを見せた。小五郎の刑事時代の回想でも重要な役回りを担い、目暮というキャラクターの過去を掘り下げた作品として評価が高い。
興行収入は18億5000万円で、劇場版コナンが春の定番として定着していく初期の一作となった。
シリーズを通じた存在感[編集]
目暮は劇場版のほぼ全作に登場しており、事件の捜査本部を指揮する役回りを務めることが多い。高木・佐藤・白鳥ら目暮班の面々とともに、コナンたちが追う大事件の「警察側の窓口」として欠かせない存在である。
劇場版では中森警部や、服部平次の父・服部平蔵(大阪府警本部長)、長野県警の面々など、ほかの警察組織のキャラクターと共演することも多い。2009年の『漆黒の追跡者』のように、警視庁と他県警の合同捜査が描かれる作品では、目暮の指揮官としての顔がより強く出る。
『ルパン三世VS名探偵コナン』[編集]
コラボ作品『ルパン三世VS名探偵コナン』では、目暮がICPOの銭形警部と友人関係にあることが判明している。昭和の刑事ドラマ然とした二人の警部が並ぶ姿は、両作品のファンにとってたまらない共演となった。
実写版キャスト[編集]
日本テレビ系・読売テレビ制作の実写ドラマ版『名探偵コナン』では、目暮を2人の俳優が演じている。
| 作品 | 放送年 | 目暮十三役 |
|---|---|---|
| 名探偵コナン 工藤新一への挑戦状〜さよならまでの序章〜(単発第1作) | 2006年 | 西村雅彦 |
| 名探偵コナン 工藤新一の復活!黒の組織との対決(単発第2作) | 2007年 | 伊武雅刀 |
| 名探偵コナン 工藤新一への挑戦状(連続ドラマ) | 2011年 | 伊武雅刀 |
| 名探偵コナン 工藤新一 京都新撰組殺人事件(単発第3作) | 2011年 | 伊武雅刀 |
工藤新一役は単発第1作・第2作が小栗旬、2011年の作品以降が溝端淳平。西村雅彦(現・西村まさ彦)はコミカルさ、伊武雅刀は重厚さが際立つ目暮像で、アニメの茶風林版とあわせて比べてみると面白い。
余談[編集]
- 『まじっく快斗』単行本4巻収録の「ブラックスター」にゲスト出演している。青山作品同士のキャラクターの行き来を示す一例である。
- 中森警部とは同期でライバル関係にあり、「目暮のタヌキ」というあだ名も中森による皮肉。怪盗キッド回で二人が顔を合わせると、ちょっとした口げんかが始まるのがお約束。
- アニメでは主人公級の3人に次いで登場回数が多いキャラクターともいわれ、事実上の「準レギュラー筆頭」である。
- 『14番目の標的』の名付けエピソードのように、目暮はもともと「名前のない警部」だった。初期から登場していたのに名前が後付けで決まったキャラクターが、作中屈指の長寿脇役になっているのは面白い巡り合わせである。
- 若手時代のエピソードでは、自分の怪我よりも逃走車のナンバーを覚えることを優先している。普段の頼りなさとは裏腹に、刑事としての根性は本物である。
