パク・ヘリョン
박혜련 / Park Hye-ryun
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パク・ヘリョン作品3本で主演したイ・ジョンソク(2014年4月撮影。出典:Wikimedia Commons、撮影:baofilm、CC BY 3.0)
国籍 韓国
職業 テレビドラマ脚本家
活動期間 2000年代初頭 -
代表的な実績 『ドリームハイ』『君の声が聞こえる』『ピノキオ』『あなたが眠っている間に』『スタートアップ:夢の扉』『無人島のディーバ』
受賞 MBC放送芸能大賞 特別賞(作家部門、2002年)
大韓民国コンテンツ大賞 大統領表彰(2013年)
事務所 バラムピクチャーズ(바람픽쳐스)


概要[編集]

パク・ヘリョン(박혜련、Park Hye-ryun)とは、韓国のテレビドラマ脚本家である。シットコム作家出身で、『ドリームハイ』『君の声が聞こえる』『ピノキオ』『あなたが眠っている間に』『スタートアップ:夢の扉』『無人島のディーバ』などを手がけた、「ちょっとだけ不思議な能力」と「職業もの」を掛け合わせる作風で知られるヒットメーカー。

詳細[編集]

シットコム出身の「構成力の人」[編集]

パク・ヘリョンのキャリアは、いきなりドラマから始まったわけではない。韓国ではクイズ番組の問題作成からテレビの仕事に入ったとされ、その後MBCのバラエティ『テーマゲーム』や、大学生たちの日常を描いた人気シットコム『ノンストップ』シリーズの作家として腕を磨いた。2002年にはMBC放送芸能大賞で作家部門の特別賞を受賞しており、毎日放送される帯番組で「笑い」と「話の回し方」を叩き込まれた経験が、のちの緻密な伏線回収型の脚本の土台になったとよく言われる。

『君の声が聞こえる』でトップ作家の仲間入り[編集]

2011年の『ドリームハイ』で青春ドラマ作家として名前が知られるようになり、2013年のSBS『君の声が聞こえる』で一気にブレイクした。人の心の声が聞こえる少年と国選弁護人の女性を組み合わせ、法廷サスペンスとファンタジーとラブコメを1本にまとめた同作は、全国視聴率20%超えの大ヒットに。脚本の完成度が高く評価され、パク・ヘリョン本人は同年の大韓民国コンテンツ大賞で放送映像産業発展の功労として大統領表彰を受けた。

名コンビと「パク・ヘリョン組」[編集]

演出家との固定タッグが多いのも特徴。『君の声が聞こえる』『ピノキオ』ではチョ・スウォン監督、『あなたが眠っている間に』『スタートアップ』『無人島のディーバ』ではオ・チュンファン監督と組んだ。俳優も常連が多く、イ・ジョンソクは3作、ペ・スジも3作に出演している。新作のたびに「あのチームが再集結」と話題になるのは、もはや恒例行事である。

経歴[編集]

シットコム・バラエティ作家時代(2000年代)[編集]

MBC『テーマゲーム』や、キム・ミンシク監督と組んだ『ノンストップ3』(2002〜2003年)、『ノンストップ5』(2004〜2005年)などのシットコムで実績を積んだ。SBSのシットコム『ひとりじゃない』、MBCの日々シットコム『キムチ・チーズ・スマイル』(2007〜2008年)なども担当している。2007年にはSBSの週末ドラマ『カルジャビ・オ・スジョン(칼잡이 오수정)』を手がけ、連続ドラマの世界にも足を踏み入れた。英語版の資料では、2008年の映画『熱いのが好き(뜨거운 것이 좋아)』にも共同で脚本に関わったとされる。

『ドリームハイ』でドラマ作家として本格始動(2011年)[編集]

2011年1月からKBS第2テレビで放送された『ドリームハイ』は、芸術高校キリン芸高を舞台に、K-POPスターを夢見る生徒たちの成長を描いた全16話の青春ドラマ。ペ・ヨンジュンの所属事務所キーイースト(KeyEast)とJYPエンターテインメントの共同制作で、キム・スヒョン、ペ・スジ、2PMのテギョン、IUらが出演した。平均視聴率は15%台を記録し、同年のKBS演技大賞ではキム・スヒョンとペ・スジがそろって新人賞を受賞。のちに大スターとなる若手俳優たちを世に送り出した作品として、今も「伝説の青春ドラマ」と呼ばれる。

SBS水木ドラマ黄金期(2013〜2017年)[編集]

2013年の『君の声が聞こえる』(全18話)、2014〜2015年の『ピノキオ』(全20話)、2017年の『あなたが眠っている間に』(全16話)と、SBS水木ドラマ枠でヒット作を連発。この3作すべてにイ・ジョンソクが主演しており、「パク・ヘリョンの男」とまで呼ばれるほどの黄金コンビになった。間の2016年にはKBS第2テレビの3部作ドラマ『ページターナー』も手がけている。2013年9月にはIHQとドラマ制作の契約を結んだと報じられ、2017年頃にはC.A.M.Pエンターテインメントに所属していた。

tvNへの移籍とグローバル配信時代(2020年〜)[編集]

2020年はtvNに舞台を移し、『スタートアップ:夢の扉』を発表。Netflixで同時配信されたことで、韓国国内の数字以上に海外、特に東南アジアで熱狂的に見られた。2023年には同じくtvNで『無人島のディーバ』を共同脚本家ウン・ヨルとともに執筆。制作はスタジオドラゴン、バラムピクチャーズ、カカオエンターテインメントで、全12話というコンパクトな構成になった。現在はバラムピクチャーズ所属として紹介されている。

主な作品[編集]

ドラマ[編集]

  • 『カルジャビ・オ・スジョン』(2007年、SBS)
  • 『ドリームハイ』(2011年、KBS2、全16話)
  • 『君の声が聞こえる』(2013年、SBS、全18話)
  • 『ピノキオ』(2014〜2015年、SBS、全20話)
  • 『ページターナー』(2016年、KBS2、全3話)
  • 『あなたが眠っている間に』(2017年、SBS、全16話)
  • 『スタートアップ:夢の扉』(2020年、tvN、全16話)
  • 『無人島のディーバ』(2023年、tvN、全12話、ウン・ヨルと共同脚本)

シットコム・バラエティ[編集]

  • 『テーマゲーム』(MBC)
  • 『ノンストップ3』(2002〜2003年、MBC)
  • 『ノンストップ5』(2004〜2005年、MBC)
  • 『ひとりじゃない』(SBS)
  • 『キムチ・チーズ・スマイル』(2007〜2008年、MBC)

代表作を深掘り[編集]

君の声が聞こえる(2013年)[編集]

2013年6月5日から8月1日までSBSで放送。もともと全16話の予定が、好調な視聴率を受けて全18話に延長された。父親を殺された過去を持ち、他人の心の声が聞こえるようになった高校生パク・スハ(イ・ジョンソク)と、10年前にその事件の証言台に立った少女で、今はやる気ゼロの国選弁護人チャン・ヘソン(イ・ボヨン)が再会するところから物語が動き出す。そこに元警察官の弁護士チャ・グァヌ(ユン・サンヒョン)、検事ソ・ドヨン(イ・ダヒ)が絡む。

法廷ものとしての手堅さと、年下男子との胸キュン、そして復讐サスペンスが一度に楽しめる欲張りな構成がウケて、最高視聴率は全国26%台を記録した。主演のイ・ボヨンは韓国ドラマアワードの大賞と第50回百想芸術大賞のテレビ部門女性最優秀演技賞を受賞し、パク・ヘリョン自身も韓国ドラマアワードの脚本賞にノミネートされた。

ピノキオ(2014〜2015年)[編集]

嘘をつくとしゃっくりが止まらなくなる「ピノキオ症候群」のヒロイン、チェ・イナ(パク・シネ)と、過去の誤報で家族を失ったチェ・ダルポ(イ・ジョンソク)が、ともに放送記者を目指す物語。キム・ヨングァン、イ・ユビらも出演した。「嘘をつけない人間が記者になったら?」という一点突破の設定から、センセーショナルな報道が人の人生を壊すというメディア批判にまで踏み込んだ。

制作にあたってパク・ヘリョンは放送局の報道局を取材し、記者たちの日常や仕事ぶりをスケッチしたと報じられている。チョ・スウォン監督は制作発表会で「パク・ヘリョン作家の良い台本を、無駄なく演出しようと努めている」と語った。初回7.8%から最終回13.3%まで右肩上がりで数字を伸ばし、同時間帯1位で幕を閉じた。

あなたが眠っている間に(2017年)[編集]

2017年9月27日から11月16日までSBSで放送。未来の出来事を夢で見てしまう記者ナム・ホンジュ(ペ・スジ)と、彼女の夢に出てきた検事チョン・ジェチャン(イ・ジョンソク)、さらに警察官ハン・ウタク(チョン・ヘイン)が、夢で見た悲劇を食い止めようと奔走する。監督はオ・チュンファン。

予知夢というファンタジーを使いながら、検察・警察・報道という「職業の現場」をしっかり描くのはまさにパク・ヘリョン節。年末のSBS演技大賞ではイ・ジョンソクとペ・スジがそろって最優秀演技賞を受賞し、ソウル国際ドラマアワードでも韓国ドラマ部門の賞を獲得した。Netflixなどで配信され、海外のファンも多い。

スタートアップ:夢の扉(2020年)[編集]

韓国版シリコンバレーとも言える架空のスタートアップ支援拠点「サンドボックス」を舞台に、起業を夢見るソ・ダルミ(ペ・スジ)、数学オタクの開発者ナム・ドサン(ナム・ジュヒョク)、投資家ハン・ジピョン(キム・ソンホ)、ダルミの姉ウォン・インジェ(カン・ハンナ)の4人が交差する。物語の鍵になるのは、少女時代のダルミが受け取っていた「ナム・ドサン名義の手紙」。実はハン・ジピョンが代筆していたという設定が、三角関係を一気にややこしくした。

韓国の平均視聴率は4%台と控えめだったが、Netflix配信で世界的に話題に。何より、主人公カップルよりも「二番手」のハン・ジピョンに肩入れする視聴者が続出し、「ハン・ジピョン症候群」という言葉まで生まれた。キム・ソンホは百想芸術大賞で人気賞を受賞し、一気にブレイク。フィリピンとタイでリメイクも作られた。

無人島のディーバ(2023年)[編集]

歌手を夢見ていた少女ソ・モクハ(パク・ウンビン)が、15年間無人島で暮らしたのちに救出され、憧れの歌手ユン・ランジュ(キム・ヒョジン)の再起を手伝いながら自らもディーバを目指す音楽ロマンス。モクハを支える幼なじみカン・ボゴルをチェ・ジョンヒョプ、その兄のカン・ウハクをチャ・ハギョンが演じた。

2023年10月28日から12月3日までtvNで全12話が放送され、初回3.2%から第2話で5.2%、最終回は9%台まで上昇。同時間帯を独走した。パク・ウンビンは出演を決めた理由について、台本を読んでソ・モクハなら自分自身の困難も乗り越えられそうだと感じた、という趣旨を語っている。家庭内暴力や家族のトラウマといった重いテーマを、童話のような明るさで包んで描いた点がパク・ヘリョンらしいと評された。

作風[編集]

ファンタジー×職業もの[編集]

パク・ヘリョン作品の最大の看板は、「主人公に一つだけ不思議な能力(または体質)を与え、それを現実の職業ドラマに放り込む」という手法。心の声が聞こえる(『君の声が聞こえる』)、嘘をつくとしゃっくりが出る(『ピノキオ』)、未来を夢で見る(『あなたが眠っている間に』)といった具合で、能力そのものより「その能力を持った人がどう生きるか」に焦点が当たる。舞台となる職業も弁護士、記者、検事、起業家、歌手と幅広く、韓国メディアは作品世界を「温かい童話を見ているような感覚」と表現している。

徹底した取材[編集]

職業描写のリアリティはパク・ヘリョンの強みとして必ず挙げられる。『君の声が聞こえる』は約2年をかけ、実際の事件記事や裁判の傍聴、講座の受講などを通じて構成したと制作側を通じて説明しており、『ピノキオ』でも報道局を取材した。「ファンタジーなのに職業の描写はガチ」というギャップが、視聴者の信頼につながっている。

伏線回収とサブタイトル[編集]

シットコム出身らしく、序盤の小ネタを終盤できっちり回収する構成力に定評がある。各話には歌や童話、映画、ビジネス用語などを引用したサブタイトルが付けられることが多く、これも作品を見分けるトレードマーク。手紙や書き置きといった「文字のメッセージ」が物語の鍵になる展開も繰り返し使われる。

成長する主人公たち[編集]

『スタートアップ』に主演したペ・スジは、制作発表会の頃に「作家さんが描く人物たちは、その中で成長していく。台詞一つ一つが胸に響く」と語った。パク・ヘリョンの主人公は、恵まれない境遇や家族の傷を抱えながらも、まっすぐな善意で前に進むタイプが多い。

批判されるポイント[編集]

一方で、主人公たちが善良すぎる、台詞が教訓的すぎるといった指摘もある。韓国のファンの間では、特に『ピノキオ』以降、「楽しませる」より「教える」方向に寄っているという声も見られる。『スタートアップ』では、起業ドラマとして期待した視聴者から「後半は恋愛中心になり、スタートアップの描写が背景に退いた」という辛口のレビューも出た。

本人の発言[編集]

パク・ヘリョンはバラエティ番組やSNSに積極的に出てくるタイプではなく、本人の肉声が記事になる機会は多くない。公式に確認できる本人名義のSNSアカウントも見当たらない。

数少ない公式の発言としてよく知られるのが、2013年に『君の声が聞こえる』に盗作疑惑が持ち上がった際の説明である。疑惑の対象とされた小説について、パク・ヘリョン側は「その小説は2011年にドラマの構成を終えた後、2012年に出版されたもの」と反論し、問題とされた双子のエピソードについても、2011年から2013年まで約2年間、さまざまな裁判を傍聴しながら構想したものだと説明した。さらに、外見とDNAが同じ双子を利用した犯罪は、これまでも多くの小説や映画で扱われてきた題材だとも述べている。結果的に、この一件は彼女の取材の徹底ぶりを世に知らしめることにもなった。

受賞・ノミネート[編集]

  • 2002年:MBC放送芸能大賞 特別賞(作家部門)
  • 2011年:第4回韓国ドラマアワード 脚本賞ノミネート(『ドリームハイ』)
  • 2013年:第6回韓国ドラマアワード 脚本賞ノミネート(『君の声が聞こえる』)
  • 2013年:大韓民国コンテンツ大賞 放送映像産業発展有功 大統領表彰

なお、作品を通じて出演俳優の受賞も多い。『ドリームハイ』のキム・スヒョンとペ・スジ(KBS演技大賞新人賞)、『君の声が聞こえる』のイ・ボヨン(百想芸術大賞女性最優秀演技賞ほか)、『あなたが眠っている間に』のイ・ジョンソクとペ・スジ(SBS演技大賞最優秀演技賞)、『スタートアップ』のキム・ソンホ(百想芸術大賞人気賞)などがその代表例。

2026年の動向[編集]

2026年10月時点で、『無人島のディーバ』(2023年)以降の新作ドラマについて、放送局や配信サービスからの正式な編成発表は確認できない。これまでも『あなたが眠っている間に』(2017年)から『スタートアップ』(2020年)までは約3年、そこから『無人島のディーバ』までも約3年と、じっくり準備してから新作を出すスタイルなので、ファンの間では次回作の発表を待つ声が続いている。

一方で旧作の人気は根強く、『あなたが眠っている間に』『スタートアップ:夢の扉』『無人島のディーバ』などは動画配信サービスで今も視聴されている。

余談[編集]

  • 作品同士の世界観がつながっているように見えるとして、韓国のネットでは「パク・ヘリョン・ユニバース」的に楽しむファンもいる。同じ俳優が別作品に再登場することが多いのも、そう感じさせる理由の一つ。
  • 登場人物の台詞に「묻자(聞こう、問うぞ)」という言い回しが繰り返し出てくるのが、パク・ヘリョンの癖だとファンの間で言われている。
  • 韓国には同姓同名の別の脚本家もいるとされ、ネット上でフィルモグラフィが混同されることがある。
  • 『ピノキオ』の「嘘をつけない体質」と『君の声が聞こえる』の「人の心が聞こえる能力」は対になっているとよく指摘され、どちらも「真実とは何か」がテーマになっている。
  • 『スタートアップ』放送当時は、二番手のハン・ジピョンを応援する視聴者と主人公ナム・ドサン派の視聴者がSNS上で激しく論争し、ドラマの内容以上に話題を集めた。

外部リンク[編集]

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