イ・ヨンエ
이영애(李英愛、Lee Young-ae)
Lee_Young-ae_in_2017.jpg
『師任堂(サイムダン)、色の日記』制作発表会でのイ・ヨンエ(2017年1月)(出典:Wikimedia Commons「Lee Young-ae in 2017.jpg」、撮影:TV10、CC BY 3.0)
本名 李英愛(이영애)
誕生日 1971年1月31日
年齢 55歳
出身地 韓国・ソウル特別市
国籍 韓国
学歴 漢陽大学校 独語独文学科卒業、中央大学校 新聞放送大学院 演劇映画専攻修了
ジャンル テレビドラマ、映画、舞台、CM
活動期間 1990年 -(モデル)、1993年 -(女優)
家族 夫:チョン・ホヨン(実業家、2009年結婚)、二卵性の双子(2011年生まれ)
代表作 『宮廷女官チャングムの誓い』『JSA』『春の日は過ぎゆく』『親切なクムジャさん』『師任堂(サイムダン)、色の日記』『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』『調査官ク・ギョンイ』『マエストラ』『ウンス、いい日』
関連活動 化粧品ブランド「マモンド」「后(The History of Whoo)」広告モデル、ユニセフ親善大使(2004年)
あだ名 「酸素のような女(酸素美女)」、「チャングム」
その他 MBC演技大賞 大賞(2003年)、青龍映画賞 主演女優賞(2005年)、百想芸術大賞 映画部門 最優秀演技賞(2006年)、シッチェス・カタロニア国際映画祭 主演女優賞(2005年)、文化勲章(2007年)


概要[編集]

イ・ヨンエ(이영애、李英愛、Lee Young-ae、1971年1月31日 - )とは、韓国の女優である。化粧品CMの「酸素のような女」で注目され、『宮廷女官チャングムの誓い』の主人公チャングム役でアジア全域、さらには世界のスターとなった。映画ではパク・チャヌク監督の『JSA』『親切なクムジャさん』でも知られる。

詳細[編集]

CMモデルから「酸素のような女」へ[編集]

1971年1月31日、ソウル特別市に生まれた。小学4年生のころ、友人の父親の会社が作る参考書のモデルを頼まれたことが、芸能の世界を意識するきっかけになったとされる。その後10代で雑誌モデルとして活動を始め、漢陽大学校 独語独文学科に在学しながら本格的にCMモデルとして活動するようになった。

ブレイクのきっかけは、化粧品会社・太平洋化学(現アモーレパシフィック)のブランド「マモンド(Mamonde)」の広告である。透き通るような肌とすっきりした佇まいから「酸素のような女(산소 같은 여자)」と呼ばれ、このキャッチフレーズは30年以上たった今も彼女の代名詞として使われ続けている。マモンドの顔は約10年にわたって務めた。

女優デビューとトレンディドラマ時代[編集]

女優デビューは1993年、SBSのドラマ『お宅の夫はいかがですか』で、この作品で1994年のSBS演技大賞 新人賞を受賞した。同じ1993年には、ソウルの芸術の殿堂・自由小劇場の開館作となった演劇『チャジャンミョン』にも出演しており、これが長らく彼女にとって唯一の舞台経験だった。

1990年代は、まさに地上波3局を渡り歩く売れっ子だった。KBSの時代劇『宮廷女官キム尚宮』(1995年)、MBCの『ドクターズ』(1997年)、SBSの『ロマンス』(1998年)、KBSの『ウンビリョン』(1999年)、SBSの『火花』(2000年)などに次々と出演。SBS演技大賞では1997年・1998年と2年連続で最優秀演技者賞を受け、KBS・MBCの演技大賞でも人気賞や優秀賞を手にしている。この時期はほぼ毎年のように新作ドラマに主演していた。

映画で見せた別の顔[編集]

2000年、パク・チャヌク監督の『JSA』に出演。南北の軍事境界線上・共同警備区域で起きた射殺事件の真相を追う、スイスの中立国監督委員会から派遣された韓国系の女性将校ソフィー・E・チャンを演じた。共演はソン・ガンホ、イ・ビョンホンら。作品は当時の韓国映画の興行記録を塗り替える大ヒットとなり、日本でも2001年に公開されて彼女の名前を知らしめるきっかけになった。

翌2001年にはホ・ジノ監督の『春の日は過ぎゆく』に主演。録音技師の青年サンウ(ユ・ジテ)と恋に落ちる、離婚歴のある年上のラジオ局DJ兼プロデューサー、ウンスを演じた。季節の移ろいとともに恋が冷めていく様子を描いたこの作品で、釜山映画評論家協会賞の主演女優賞を受賞している。同年には『ラスト・プレゼント』にも主演した。

『宮廷女官チャングムの誓い』と世界的ブレイク[編集]

2003年9月から2004年3月までMBCで放送された時代劇『宮廷女官チャングムの誓い』(原題:大長今)で、主人公ソ・チャングムを演じた。宮廷の厨房・水剌間(スラッカン)の女官から、医女を経て王の主治医「大長今」へと上り詰める女性の一代記である。平均視聴率46.3%、最高視聴率57.8%という驚異的な数字を記録し、2003年のMBC演技大賞で大賞(最高賞)を受賞した。

作品は世界91か国に輸出され、イ・ヨンエはアジアだけでなく中東、東欧、アフリカでも知られる存在になった。スリランカでは役名にちなんで「チャングミ」の愛称で呼ばれたという。日本でも2004年からNHKのBS2、続いて総合テレビで放送され、『冬のソナタ』と並ぶ初期韓流の象徴的な作品となった。2006年にはNHK出版から著書『ヨンエの誓い』が刊行され、その著者印税は貧困・災害・病気に苦しむ人々の支援に寄付されたとされる。

2007年には、韓流の拡大に貢献したとして韓国政府から文化勲章を受章した。チャングムで共演したミン・ジョンホ役のチ・ジニ、医女シンビ役のハン・ジミンらも、この作品で広く知られるようになった。なお同作の続編『大長今2』の制作は2012年にMBCが発表し、イ・ヨンエの出演も取り沙汰されたが、2026年10月時点で実現していない。

『親切なクムジャさん』と「復讐3部作」[編集]

2005年、パク・チャヌク監督と再びタッグを組み『親切なクムジャさん』に主演した。『復讐者に憐れみを』『オールド・ボーイ』に続く「復讐3部作」の最終章である。主人公イ・クムジャは、20歳のときに男児誘拐殺人事件の犯人として逮捕され、13年の刑期を終えて出所する女性。実は真犯人である教師ペク(チェ・ミンシク)に娘の命を盾に脅され、罪をかぶっていた――という設定で、出所後のクムジャは周到に復讐を進めていく。

「清純派の代名詞」だった彼女が、赤いアイシャドウで冷たく微笑む復讐者を演じたことは大きな衝撃を与えた。刑務所内で「親切なクムジャさん」と呼ばれた主人公の表と裏の落差は、そのまま彼女自身のパブリックイメージとのギャップでもあった。この作品で2005年のシッチェス・カタロニア国際映画祭 主演女優賞、青龍映画賞 主演女優賞、2006年の百想芸術大賞 映画部門 最優秀演技賞を受賞。2006年には韓国の女優として初めてベルリン国際映画祭の審査員にも選ばれている。

結婚・出産と長いブランク[編集]

2009年8月、在米韓国人の実業家チョン・ホヨンと結婚したことが報じられた。夫は彼女より20歳年上と伝えられている。同年9月には漢陽大学校の演劇映画学科の大学院博士課程に入学し、芸能活動は事実上休止状態に入った。

2011年2月20日、ソウル市で男女の二卵性双生児を出産したと報じられた。2012年にはオーガニック・エコをうたう子ども向け用品の事業を始めている。この時期のイ・ヨンエは、ドラマにも映画にも出ない一方で、化粧品「后(The History of Whoo)」などの広告には出続けたため、CMでしか姿を見られない時期が長く続いた。2005年から2007年にかけては、韓国の消費者が選ぶ広告モデル好感度で1位とされている。

復帰後の歩み[編集]

13年ぶりのドラマ『師任堂、色の日記』[編集]

2017年、SBSの『師任堂(サイムダン)、色の日記』で『宮廷女官チャングムの誓い』以来13年ぶりにドラマへ復帰した。朝鮮時代の画家・申師任堂と、現代の美術史講師という時代を越えた1人2役に挑戦し、相手役はソン・スンホンが務めた。インフォボックスの写真はこの作品の制作発表会で撮影されたものである。

14年ぶりのスクリーン『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』[編集]

2019年の映画『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』(原題:나를 찾아줘)で、『親切なクムジャさん』以来14年ぶりに映画に主演した。6年前に行方不明になった息子を夫ミョングク(パク・ヘジュン)とともに探し続ける看護師ジョンヨンの役で、「息子に似た子を見た」という情報を頼りに漁村へ向かい、口を閉ざす村人たちと対峙する。共演はユ・ジェミョンら、監督はこれが長編デビューのキム・スンウ。日本では2020年9月に公開された。泥まみれで体を張る姿が話題となり、2020年の春史映画祭で主演女優賞を受けている。

『調査官ク・ギョンイ』でイメージ崩壊[編集]

2021年のJTBCドラマ『調査官ク・ギョンイ』では、元刑事の保険調査員ク・ギョンイを演じた。夫の事件のトラウマで廃人同様の生活を送っていたところから、連続不審死をきっかけに現場に戻る役柄で、日本ではNetflixで配信された。「気品の人」イ・ヨンエのイメージを自ら破壊するような怪演が評価され、映画雑誌『シネ21』の年間最優秀女優にも選ばれた。

指揮者を演じた『マエストラ』[編集]

2023年12月から2024年1月までtvNで放送された『マエストラ』では、解散寸前の楽団「漢江フィルハーモニー」を立て直すために帰国した天才指揮者チャ・セウムを演じた。元恋人の投資会社会長ユ・ジョンジェ役はイ・ムセン。日本ではDisney+で独占配信された。2024年にはアジア・フィルム・アワードで、アジア映画への貢献をたたえる賞も受けている。

32年ぶりの舞台『ヘッダ・ガブラー』[編集]

2025年5月7日から6月8日まで、ソウルのLGアートセンター・ソウル シグニチャーホールで、イプセン原作の演劇『ヘッダ・ガブラー』(リチャード・エアの翻案版、演出チョン・インチョル)に主演した。1993年の『チャジャンミョン』以来、実に32年ぶりの舞台である。本人は「勉強する姿勢で選んだ作品」と語り、第1幕から第4幕まで一度も退場せず舞台を引っ張ることについて「20代のときとは体力の負担が違う」と明かしつつ、前日には分からなかったことが翌日に分かる喜びがあると話した。

『ウンス、いい日』とKBS演技大賞[編集]

2025年9月20日から10月26日まで、KBS2TVの週末ミニシリーズ『ウンス、いい日』(原題:은수 좋은 날、英題:Walking on Thin Ice、全12話)に主演した。末期の病の夫の治療費を工面しようとする平凡な主婦カン・ウンスが、偶然手に入れた麻薬入りのバッグをきっかけに、裏の顔を持つ教師イ・ギョン(キム・ヨングァン)と危険な「共犯関係」を結ぶ犯罪ドラマである。

2025年12月31日の「2025 KBS演技大賞」では最優秀賞を受賞し、キム・ヨングァンとともにベストカップル賞にも選ばれた。授賞式では、キム・ヨングァンから次回作として「似非教祖の役」を勧められたことを暴露し、会場を沸かせている。

2026年:ユ・ジテと25年ぶりの再共演へ[編集]

2026年3月、新ドラマ『재이의 영인(ジェイとヨンイン)』への出演が報じられた。演じるのは息子を亡くした美術教師で画家のチュ・ヨンイン。眠れない明け方に壁画を描いて日々をやり過ごす女性である。相手役の建築事務所代表シン・ジェイを演じるのは、『春の日は過ぎゆく』以来25年ぶりの共演となるユ・ジテ。孤独を抱えた二人が再び生きる道を探るミステリー・メロドラマで、制作はアイウィルメディア、2026年内の公開を目指していると伝えられている。

人物・SNS[編集]

デビュー以来の「清楚・上品」というイメージが強い一方、近年はSNSで素顔をのぞかせることも増えている。2026年3月には済州島の菜の花畑やかんきつ「天恵香(チョンヘヒャン)」の畑で撮った写真を「済州島の締めくくりは菜の花と天恵香で」という言葉とともに投稿し、サングラス姿でいたずらっぽく果物をかじるポーズが話題になった。

2026年7月には、元KBSアナウンサーのチョ・スビンの新刊出版を祝う2ショット写真を投稿し、「意外な人脈」と報じられた。同月30日にはブランド店でマネキンの隣に座ってポーズを真似る写真を投稿し、「55歳の反転魅力」「優雅さを脱いで茶目っ気全開」などと記事になっている。

広告モデルとしての存在感も健在で、「后(The History of Whoo)」のモデルを2007年から務めているほか、グッチの「Chime for Change」キャンペーン、各種の高級ブランドやヘルスケア企業の広告にも起用されてきた。

寄付・社会活動[編集]

寄付の多さでも知られる。1997年にNGOの親善大使としてエチオピアを訪問し、2004年にはユニセフ親善大使に任命された。2012年にはミャンマーの学校建設を支援し、2014年にはスリランカの奨学金基金に10万ドルを寄付、台湾の早産児の医療費約400万台湾ドルを負担したとされる。

2022年以降も、3月にウクライナへ1億ウォン、5月に京畿道楊平の小児がん・難病の子ども支援財団へ1億ウォン、8月に豪雨被災者へ1億ウォンを寄付。同年11月には梨泰院の雑踏事故の被害者支援、2023年1月にはソウル・九龍村の火災被災者に5,000万ウォン、同年11月には大韓赤十字社を通じてガザの戦争で被害を受けた子どもたちに5,000万ウォンを寄付している。

受賞歴(主なもの)[編集]

年 賞 部門 作品
1994年 SBS演技大賞 新人賞 『お宅の夫はいかがですか』
1997年・1998年 SBS演技大賞 最優秀演技者賞
2001年 釜山映画評論家協会賞 主演女優賞 『春の日は過ぎゆく』
2003年 MBC演技大賞 大賞 『宮廷女官チャングムの誓い』
2005年 シッチェス・カタロニア国際映画祭 主演女優賞 『親切なクムジャさん』
2005年 青龍映画賞 主演女優賞 『親切なクムジャさん』
2006年 百想芸術大賞 映画部門 最優秀演技賞 『親切なクムジャさん』
2007年 韓国政府 文化勲章
2015年 ソウルドラマアワード 韓流功労大賞
2020年 春史映画祭 主演女優賞 『ブリング・ミー・ホーム 尋ね人』
2025年 KBS演技大賞 最優秀賞・ベストカップル賞 『ウンス、いい日』

炎上とバズ[編集]

  • 2023年9月、李承晩大統領記念財団に5,000万ウォンを寄付したことが論争になった。本人は手紙で寄付の意図を説明し、その後「李承晩を中心に歴史を書き直す動きは支持しない」「歴代大統領の過ちは歴史に残しつつ功績にも目を向け、和合してほしいという願いからの寄付だった」と立場を表明した。
  • 同年10月、YouTubeチャンネル「開かれた共感TV(열린공감TV)」が、寄付と当時の大統領夫人との親交を結びつける主張を流した。イ・ヨンエ側は虚偽だとして告訴し、不起訴処分と抗告、ソウル高検の再捜査を経て、2025年6月に元代表に罰金700万ウォンの略式命令が出た。
  • 2025年末のKBS演技大賞では、キム・ヨングァンに「似非教祖の役」を勧められた話を自ら暴露し、会場を驚かせた。

余談[編集]

  • 大学での専攻はドイツ語・ドイツ文学。のちに演劇映画で大学院に進むなど、学び直しを続けている。
  • 『春の日は過ぎゆく』のウンス役と、2026年の新ドラマのヨンイン役は、どちらもユ・ジテとの共演。25年の時を経た「再会カップル」として韓国メディアの注目を集めている。
  • 『JSA』『親切なクムジャさん』でのパク・チャヌク作品への出演は、韓国映画を代表する監督と女優の組み合わせとしてたびたび語られる。
  • 1999年には、インドの最下層の人々を取材するテレビ企画でタール砂漠を訪れている。
  • 1995年のKBS時代劇『宮廷女官キム尚宮』にも出演しており、「宮廷女官」の役はチャングムが初めてではない。

外部リンク[編集]

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