概要[編集]
PRODUCE 48(プロデュース・フォーティーエイト/프로듀스 48)とは、2018年に韓国のMnetで放送された、AKB48グループのメンバーと韓国の芸能事務所の練習生が競う日韓合同のサバイバルオーディション番組である。韓国の視聴者投票で選ばれた12人がガールズグループIZ*ONEとしてデビューしたが、のちに投票操作が裁判で認定された。
詳細[編集]
企画の経緯[編集]
PRODUCE 48は、Mnetの看板オーディション「PRODUCE 101」シリーズの第3弾にあたる。第1弾(2016年、女性版)がI.O.Iを、第2弾(2017年、男性版)がWanna Oneを生み、とくにWanna Oneの社会現象級のヒットでフォーマットの知名度が一気に上がったタイミングだった。
第3弾の目玉は、日本のAKB48グループとの合同企画であること。AKB48の「会いに行けるアイドル」というコンセプトと、PRODUCE 101の「国民プロデューサー」による投票システムを掛け合わせ、日韓で活動するグローバルガールズグループを作るという触れ込みだった。AKB48グループの総合プロデューサー・秋元康が日本側から参加し、日本ではAKS(当時のAKB48運営会社)がパートナーとなった。
番組のルール[編集]
参加者は計96人。そのうち39人がAKB48グループ(AKB48・SKE48・NMB48・HKT48・NGT48など)のメンバー、57人が韓国の芸能事務所に所属する練習生やデビュー済みアイドルだった。最終的に選ばれるのは、シリーズ従来の11人から1人増やした12人。国籍による枠は設けず、「全員日本人」「全員韓国人」もありうるとされた。
一方で投票は韓国国内からのみ可能とされた。放送2日前の2018年6月11日の制作発表会で、キム・ヨンボムCPは「AKB48メンバーは日本での人気が非常に高く、韓国の練習生との差が大きすぎる」と理由を説明している。デビュー組の活動期間も、日韓をまたぐ活動を想定して従来シーズンより長い2年6か月に設定された。
放送[編集]
放送期間は2018年6月15日から8月31日まで、全12回。毎週金曜23時からの放送で、1回あたり140〜160分前後という長尺はシリーズの伝統どおりだった。最終回の8月31日は生放送で、視聴者のリアルタイム投票によってデビューメンバー12人とその順位が発表された。
MC(国民プロデューサー代表)は歌手・俳優のイ・スンギ。トレーナーにはボーカルのイ・ホンギ(FTISLAND)とソユ(元SISTAR)、ダンスのペ・ユンジョン、チェ・ヨンジュン、メイ・J・リー、ラップのチーター(Cheetah)らが並んだ。日韓の練習生が同じ教室で同じ制服を着て練習する光景は、それだけで話題になった。
参加者[編集]
AKB48グループからの参加者[編集]
日本側からは、AKB48グループの選抜常連から若手まで幅広いメンバーが参加した。主な顔ぶれは、HKT48の宮脇咲良・矢吹奈子・下野由貴、AKB48の高橋朱里・宮崎美穂・竹内美宥・下尾みう・本田仁美、NMB48の白間美瑠・村瀬紗英、SKE48の松井珠理奈など。
彼女たちは日本では「アイドル」としてキャリアを積んでいたが、韓国式の歌とダンスの実力評価にさらされることになる。初回のレベル分けテストでは、日本勢の約76%が下位のD〜Fクラスに振り分けられたのに対し、韓国勢は約11%にとどまったと分析されている。高橋朱里はのちのインタビューで、トレーナーから「7年間なにしてたの?」と問われ、「心の底から絶望」したと振り返った。
SKE48の松井珠理奈は、放送期間中の2018年6月16日に開票された「第10回AKB48世界選抜総選挙」で1位となったが、その後体調不良で活動を休止し、番組も途中で去った。
韓国の事務所からの参加者[編集]
韓国側は、STARSHIPエンターテインメント、Woollimエンターテインメント、Pledisエンターテインメント、CUBEエンターテインメント、Yuehuaエンターテインメント、FNCエンターテインメントなど多くの事務所から練習生が出場した。After Schoolのメンバーとして既にデビューしていたイ・ガウン(Pledis)や、元Ye-Aのクォン・ウンビ(Woollim)、Mnetの『SIXTEEN』に出演経験のあるイ・チェヨン(WM)のように「再挑戦組」も含まれていた。
STARSHIPからはチャン・ウォニョンとアン・ユジンが出場し、2人そろってデビュー組入り。Pledisの練習生だったホ・ユンジン(のちのLE SSERAFIM)も参加しており、最終順位は26位だった。
テーマ曲「ネッコヤ」[編集]
シリーズ恒例のテーマ曲は「ネッコヤ(내꺼야/Pick Me)」。タイトルは韓国語で「私のものよ」の意味で、第1弾の「Pick Me」、第2弾の「ナヤナ(Pick Me)」に続く系譜にある。プロデュースは、第2弾の評価曲「NEVER」やWanna Oneのデビュー曲「Energetic」を手がけた制作チームFlow Blowである。
センターは宮脇咲良とイ・ガウンのダブルセンター。日韓それぞれを代表する立ち位置に1人ずつ置いた形で、番組のコンセプトをそのまま体現する配置だった。
参加者96人による初ステージは、放送開始に先立つ2018年5月10日、Mnetの音楽番組『M COUNTDOWN』で披露された。日韓の練習生が入り混じって一斉に踊るこのステージが、番組の事実上のお披露目となった。
順位発表と最終デビュー組[編集]
順位の推移[編集]
番組は、グループバトル、ポジション評価、コンセプト評価、デビュー評価とステージを重ねながら、順位発表式ごとに脱落者を出していく。初回の順位で1位に立ったのは宮脇咲良で、その後はイ・ガウン、矢吹奈子らが1位を入れ替わり務めた。中盤からはチャン・ウォニョンが上位に食い込み、終盤の順位発表では宮脇咲良が再び1位を奪還するなど、日韓のトップ争いが最後までもつれた。
グループバトルではBLACKPINK、TWICE、Red Velvet、AOA、GFRIEND、I.O.I、KARAといった韓国ガールズグループの曲に加え、AKB48の曲も課題曲になった。宮脇咲良がBLACKPINKの曲を選び、「ガールクラッシュ」路線に挑んだことは、日本のアイドル像との違いを象徴する場面として論じられた。
最終回を前に残ったのは20人。デビュー評価曲は「We Together」と「惚れちゃうじゃない?(반해버리잖아?/You're In Love, Right?)」の2曲だった。
最終デビュー組12人[編集]
2018年8月31日の生放送で発表された最終順位は以下の通りで、1位のチャン・ウォニョンがセンターとなった。12人の内訳は韓国勢9人、日本勢3人である。
| 順位 | 名前 | 所属(当時) | 得票数 |
|---|---|---|---|
| 1位 | チャン・ウォニョン | STARSHIPエンターテインメント | 338,366 |
| 2位 | 宮脇咲良 | HKT48 | 316,105 |
| 3位 | チョ・ユリ | Stone Music | 294,734 |
| 4位 | チェ・イェナ | Yuehuaエンターテインメント | 285,385 |
| 5位 | アン・ユジン | STARSHIPエンターテインメント | 280,487 |
| 6位 | 矢吹奈子 | HKT48 | 261,788 |
| 7位 | クォン・ウンビ | Woollimエンターテインメント | 250,212 |
| 8位 | カン・ヘウォン | 8D Creative | 248,432 |
| 9位 | 本田仁美 | AKB48 | 240,418 |
| 10位 | キム・チェウォン | Woollimエンターテインメント | 238,192 |
| 11位 | キム・ミンジュ | Urban Works | 227,061 |
| 12位 | イ・チェヨン | WMエンターテインメント | 221,273 |
惜しくもデビューを逃した主な練習生[編集]
| 最終順位 | 名前 | 所属(当時) | 備考 |
|---|---|---|---|
| 13位 | ハン・チョウォン | CUBEエンターテインメント | 判決で操作の被害者と認定 |
| 14位 | イ・ガウン | Pledisエンターテインメント | After Schoolのメンバー。判決で操作の被害者と認定 |
| 15位 | 宮崎美穂 | AKB48 | |
| 16位 | 高橋朱里 | AKB48 | のちにRocket Punchでデビュー |
| 17位 | 竹内美宥 | AKB48 | |
| 18位 | 下尾みう | AKB48 | |
| 19位 | パク・ヘユン | FNCエンターテインメント | のちにCherry Bulletでデビュー |
| 20位 | 白間美瑠 | NMB48 |
グループ名「IZ*ONE」は最終回で発表された。12人のうち日本人が3人だったこともあり、日本のファンの間では「AKB48グループのメンバーがもっと残れたのでは」という声と、「韓国式の実力評価の結果」と受け止める声の両方が出た。
日本での放送・反響[編集]
日本では、BSスカパー!とMnet(日本向け)で日本語字幕付きの日韓同時放送が行われ、韓国と同じ金曜23時から視聴できた。ほぼタイムラグなしで日本のファンが追いかけられたことは、従来の韓国番組の日本展開と比べても珍しく、ジャーナリストの松谷創一郎は「韓国と同時放送され、タイムラグなく日本でも多くのひとが視聴」したと指摘している。
日本のメディアでは、番組を通じて日韓アイドル文化の違いが論じられた。松谷は、日本のアイドルが「未完成さ」を魅力として受け入れられてきたのに対し、K-POPは完成度を優先すると整理し、PRODUCE 48が「保守的な日本のアイドル像を破壊する可能性」や、日韓の境界が薄れた「JK-POP」と呼ぶべき新ジャンルが生まれる可能性に言及した。
番組での経験は日本の本拠地でもフィードバックされた。2018年9月6日放送の『AKB48のオールナイトニッポン』ではPRODUCE 48の経験が特集されたほか、AKB48が同年発売したシングル「NO WAY MAN」には番組に参加したメンバーが起用されたとされる。また、在籍12年目のベテラン宮崎美穂が番組でボーカル力を見せつけ、日本で見過ごされてきた実力が再評価されたとも論じられた。
視聴率[編集]
視聴率はニールセンコリア調べ(有料放送加入世帯基準)で、全12回の平均は全国約2.3%。2018年7月6日放送回は全国平均2.8%、瞬間最高3.3%を記録し、同時間帯のケーブル・総合編成チャンネルで1位、20〜49歳と15〜34歳の層でも最も視聴された番組となった。
最終回は全国3.085%、首都圏3.299%で番組最高を記録した。地上波ではないケーブル局の番組としては高い数字で、話題性を測る非ドラマ部門の「話題性ランキング」でも、番組と出演者が上位を占め続けた。
投票操作事件[編集]
発覚と捜査[編集]
2019年7月、シリーズ第4弾PRODUCE X 101の最終回の得票数に不自然な規則性があるとの指摘から、シリーズ全体に投票操作疑惑が浮上した。視聴者の告訴を受けて警察がMnet・CJ ENMを家宅捜索し、2019年11月5日、アン・ジュニョンPDとキム・ヨンボムCPが逮捕された。
報道によると、アンPDは警察の取り調べで、PRODUCE X 101だけでなくPRODUCE 48の順位も操作したことを認めた。同年12月に明らかになった公訴事実では、PRODUCE 48について、最終回の生放送の前にデビューする12人とその順位、得票率をあらかじめ決めていたとされた。視聴者が有料の文字投票をする前から結果が決まっていたことになる。
判決[編集]
2020年5月29日、ソウル中央地裁は1審で、アンPDに懲役2年と追徴金約3,700万ウォン、キムCPに懲役1年8か月を言い渡した(業務妨害・詐欺など)。アンPDが芸能事務所関係者から繰り返し接待を受けていたことも認定された。
2020年11月18日のソウル高裁(控訴審)は1審の量刑を維持したうえで、シリーズ全4シーズンの被害練習生12人の名前を公表した。PRODUCE 48については、最終回の4次投票の結果が操作され、イ・ガウン(最終発表14位)とハン・チョウォン(同13位)が脱落させられたと認定。本来の順位はイ・ガウンが5位、ハン・チョウォンが6位で、2人ともデビュー圏内だった。裁判所は「不当に脱落した練習生はトラウマを抱えて生きざるをえず、国民プロデューサーである視聴者は裏切られたと感じることになった」と述べた。2021年3月11日に大法院(最高裁)が上告を棄却し、刑が確定した。
Mnet側は判決後、「公開された全ての被害練習生に対し、責任を持って最後まで補償する」との立場を示した。ただし、デビュー組の入れ替えや順位の訂正は行われていない。
その後のIZ*ONE[編集]
デビューから活動中断まで[編集]
IZ*ONEは2018年10月29日、ミニアルバム『COLOR*IZ』(タイトル曲「La Vie en Rose」)で韓国デビュー。2019年2月6日にはシングル「好きと言わせたい」で日本デビューを果たし、日韓両方でヒットを重ねた。
しかし2019年11月、投票操作の捜査が進むなか、予定していたカムバックは延期され、活動は事実上ストップ。同じく操作が認定されたPRODUCE X 101出身のX1は2020年1月6日に解散が発表され、CJ ENMはIZ*ONEについて「当社と各事務所はいずれも活動再開に前向き」との立場を示した。
活動再開と終了[編集]
IZ*ONEは協議の末に活動を再開し、2020年2月17日に初のフルアルバム『BLOOM*IZ』を発売。同日には日韓同時の特別番組も放送された。同年10月には日本1stアルバム『Twelve』も発売している。X1とは対照的に、IZ*ONEは契約期間を最後まで走り切った形だ。
2021年3月13〜14日のオンラインコンサート「ONE, THE STORY」を最後のステージに、IZ*ONEは2年6か月の契約満了となる2021年4月29日に活動を終了した。同年5〜7月には、CJ ENMが各事務所と再結成(コンサートやデジタルシングル)を協議したと報じられたが、最終的に実現しなかった。
参加者のその後[編集]
IZ*ONEメンバー[編集]
- 宮脇咲良:2021年6月19日の卒業コンサートでHKT48を卒業。2022年5月2日、HYBE系のSource MusicからデビューしたLE SSERAFIMのメンバーとなった。
- キム・チェウォン:宮脇咲良と同じくLE SSERAFIMに加入。PRODUCE 48で26位だったホ・ユンジンも同グループのメンバーで、番組の同期3人が再び同じグループに集まった。
- チャン・ウォニョン、アン・ユジン:2021年12月1日、STARSHIPのIVEのメンバーとしてデビュー。
- 本田仁美:AKB48に復帰し、2024年1月26日の卒業コンサートを経て同月にAKB48を卒業。同年10月16日、韓国のガールズグループSAY MY NAMEのメンバー(リーダー)として再デビューした。
- 矢吹奈子:HKT48に復帰し、2023年4月1日の卒業コンサートでHKT48を卒業した。
- クォン・ウンビ(2021年8月)、チョ・ユリ(2021年10月)、カン・ヘウォン(2021年12月)、チェ・イェナ(2022年1月)、イ・チェヨン(2022年10月)はそれぞれソロデビュー。キム・ミンジュは俳優活動に軸足を移した。
デビュー組以外の参加者[編集]
脱落組からも多くのデビューが生まれた。主な例は以下の通り。
- EVERGLOW:キム・シヒョン(27位)、ワン・イーレン(28位)
- Rocket Punch:高橋朱里(16位)、キム・ソヒ、キム・スユン
- LIGHTSUM:ハン・チョウォン(13位)、キム・ナヨン、イ・ユジョン
- Purple Kiss:ナ・ゴウン、パク・ジウン
- Cherry Bullet:パク・ヘユン(19位)
- SECRET NUMBER:パク・ジニー、パク・ミンジ
- Kep1er:キム・ダヨン(Mnetの別番組『Girls Planet 999』を経てデビュー)
AKB48グループのメンバーは多くが日本の所属グループに戻って活動を続けた。高橋朱里はAKB48を卒業して韓国のWoollimに移籍し、Rocket Punchのメンバーとして2019年に韓国デビューしている。
炎上とバズ[編集]
放送前から、日韓合同という企画自体が議論を呼んだ。制作発表会では日本人参加者をめぐる政治的な反発や、成人した参加者にも制服を着せる演出について質問が出され、制作陣は「政治的な意図はない」「チームの一体感のため」と説明している。
放送中のバズの中心は、日韓のトップ争いと、日本勢の成長物語だった。レベル分けで厳しい評価を受けた日本の参加者が、回を追うごとに順位を上げていく展開は、日本のファンにも新鮮に映った。
最大の炎上は、言うまでもなく2019年に発覚した投票操作である。デビュー組の結果が生放送前に決まっていたことが明らかになり、本来デビューしていたはずの2人の名前が判決で公表された。それでもIZ*ONEは活動を続けたため、グループを応援するファンと、番組の不正を問題視する声とが並び立つ複雑な状況が続いた。
余談[編集]
- 最終デビュー組は12人で、「101」シリーズの11人から1人多い。番組名の「48」はAKB48に由来する。
- 総選挙1位を獲得したばかりの松井珠理奈を、AKB48の下尾みうが番組の投票数で上回る場面があり、日韓の評価軸の違いを象徴する出来事として紹介された。
- 宮脇咲良、キム・チェウォン、ホ・ユンジンの3人は、番組から約4年後にLE SSERAFIMで再会した。番組の「同期」が別のグループで再集結する例として、ファンの間で語り草になっているとされる。
- テーマ曲「ネッコヤ」の制作チームFlow Blowは、Wanna Oneのデビュー曲「Energetic」も手がけており、シリーズの音作りを支えた存在である。