萩原研二
Kenji Hagiwara
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萩原が所属した警視庁の本部庁舎(東京都千代田区霞が関)。出典:ウィキメディア・コモンズ(CC BY-SA 3.0)
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日本の機動隊員(実写・参考画像)。萩原は警視庁警備部機動隊の爆発物処理班に属した。出典:ウィキメディア・コモンズ(パブリックドメイン)
本名 萩原研二(はぎわら けんじ)
死亡日 物語開始の7年前(享年22)年11月7日
国籍 日本
家族 父、母、姉・萩原千速(神奈川県警交通機動隊)
学歴 警視庁警察学校(降谷零・松田陣平・伊達航・諸伏景光と同期)
職業 警察官
肩書 警視庁警備部機動隊 爆発物処理班 隊員
代表的な実績 爆弾事件の処理(殉職)、警察学校時代の数々の事件解決
関連活動 声:三木眞一郎
あだ名 萩(ハギ)
その他 作者:青山剛昌/スピンオフ『警察学校編 Wild Police Story』作画:新井隆広


概要[編集]

萩原研二(はぎわら けんじ)とは、青山剛昌の漫画『名探偵コナン』に登場する警察官で、警視庁警備部機動隊爆発物処理班の隊員である。松田陣平の幼なじみにして親友で、安室透(降谷零)らと並ぶ「警察学校組」の一人。物語開始の7年前、爆弾処理中に22歳で殉職した。声は三木眞一郎。

詳細[編集]

「名前だけ」から始まった男[編集]

萩原の初出は原作単行本36巻収録のエピソード「揺れる警視庁 1200万人の人質」である。この話は、毎年11月7日になると警視庁に届く謎のカウントダウンFAXと、それを追う松田陣平の過去を描いたもので、萩原はあくまで「松田の親友で、爆弾事件で死んだ男」として名字が語られるだけの存在だった。

ところがアニメ版(第304話)で回想シーンを映像化する際、下の名前と姿がデザインされ、肩まで伸びた長髪とたれ目の美男として描かれた。のちに原作側でもこのデザインが採用されたため、ファンの間では「アニメからの逆輸入キャラ」として知られている。以後、長らく「回想にだけいる人」だったが、2019年に始まるスピンオフでいきなり主役級に躍り出ることになる。

7年前の11月7日[編集]

殉職の舞台は、物語開始の7年前に起きた連続爆弾事件である。犯人グループは都内の2か所に爆弾を仕掛け、警視庁に10億円を要求した。松田と萩原は別々の現場に分かれて解体を担当し、萩原が受け持ったのは高層マンションに仕掛けられた爆弾だった。

犯人側の要求に応じる形でタイマーがいったん停止したため、萩原は防護服を脱いだ状態で爆弾の構造を分析していた。その最中、別現場の松田と電話で軽口を叩き、「そん時は仇を取ってくれよ」と冗談めかして言ったとされる。しかし直後、犯人側の勘違いによって爆弾のタイマーが遠隔で再起動。退避が間に合わず、萩原は爆発に巻き込まれて命を落とした。松田はその瞬間を電話越しに聞いていたという。

殉職がもたらしたもの[編集]

親友を目の前(正確には耳元)で失った松田は、爆発物処理班から捜査一課への異動を希望し、萩原の仇である爆弾犯を追い続けることになる。そして萩原の死から4年後、つまり物語開始の3年前の11月7日、松田もまた同じ犯人の仕掛けた爆弾によって殉職する。松田の最期のメッセージ「悪いな萩原、どうやらお前との約束は……」の「約束」の中身は、作者によれば「仇を取ること」であったとされる。

つまり萩原の死は、松田の人生を決定づけ、さらに松田に惹かれていた佐藤美和子の心の傷へとつながり、ひいては高木渉との恋物語にまで影を落とす、作中屈指の「連鎖の起点」なのである。

人物像[編集]

コミュ力おばけの色男[編集]

萩原の最大の武器は、優れた洞察力とコミュニケーション能力である。初対面の相手の様子から性格や状況を読み取り、するりと懐に入り込む。警察学校時代は同期の中で一番モテたとされ、女性の扱いも手慣れたもの。ただし教官からは「その能力を女子学生の後を追うことにしか使っていない」と評されるなど、どこか軽薄に見えるところもある。

松田のことは「陣平ちゃん」と呼び、松田からは「萩(ハギ)」と呼ばれている。短気でケンカっ早い松田を、柔らかい物腰でなだめたりフォローしたりするのが萩原の役回りで、二人の関係は「ボケとツッコミ」というよりは「火薬と導火線の管理人」に近い。

機械いじりと天才的ドライビング[編集]

実家は自動車修理工場で、幼いころから機械に囲まれて育った。手先が非常に器用で機械いじりが大の得意。さらに運転技術はずば抜けており、作者の青山剛昌によれば、のちに「ドライビングテク」で知られる降谷零をも上回る腕前とされる。

特に好きな車はマツダのRX-7(FD3S型)で、警察学校編では学校内にあったFD3Sを見つけて熱く語る場面がある。『ハロウィンの花嫁』でも、片輪走行で逃走車を追跡するという漫画的な離れ業を披露している。

見た目と小ネタ[編集]

トレードマークは肩まで届く長めの髪と、たれ目気味の甘い顔立ち。警察官としてはかなり異色のヘアスタイルで、きっちりした短髪の同期たちの中でひときわ目立つ。喫煙者でもあり、殉職直前のシーンでもタバコを手にしていた。

一見チャラいが、根は誠実で優しい性格。危険な現場でも周囲を気遣う余裕を見せる一方、その余裕が命取りになってしまったという点に、彼というキャラクターの切なさが凝縮されている。

警察学校組[編集]

5人の同期[編集]

「警察学校組」とは、警視庁警察学校で同じ教場に所属していた同期5人をまとめたファンの呼び名である。メンバーは以下の通り。

  • 降谷零(安室透)…首席。のちに公安警察官となり、黒の組織に「バーボン」として潜入。声は古谷徹。
  • 松田陣平…萩原の幼なじみ。爆発物処理班から捜査一課へ。
  • 伊達航…班長的存在。のちに捜査一課の刑事となり、高木の先輩として登場。
  • 諸伏景光…降谷の幼なじみ。公安から組織に潜入し「スコッチ」となる。
  • 萩原研二…本記事の主人公。

萩原と降谷が同期だったことは、スピンオフ『ゼロの日常』第7話で初めて明かされた。それまで別々に語られていた「死んだ警察官たち」が一本の線でつながった瞬間で、ファンに大きな衝撃を与えた。

5人のうち4人が故人[編集]

このグループ最大の特徴であり、最大の悲劇は、本編時点で降谷以外の4人が全員死亡していることである。萩原は7年前、松田は3年前に爆弾事件で殉職、伊達も交通事故で死去し、諸伏は組織への潜入が露見した末に命を落とした。降谷が「ゼロ」として孤独に戦い続ける背景には、この同期たちの喪失がある。

萩原はその中でも「最初にいなくなった一人」であり、同期の誰よりも早く物語から退場している。それだけに、警察学校編で生き生きと動く彼の姿は、読者にとって特別な重みを持つことになった。

スピンオフ『警察学校編 Wild Police Story』[編集]

作品概要[編集]

『名探偵コナン 警察学校編 Wild Police Story』は、新井隆広の作画による公式スピンオフで、週刊少年サンデー(小学館)にて2019年第44号から2020年第51号まで連載された。単行本は上下巻の全2巻。降谷・松田・萩原・伊達・諸伏の5人が警察学校で過ごした日々を、1人ずつスポットを当てる形で描いている。

アニメ版は本編『名探偵コナン』の枠内で不定期に放送され、2021年12月4日放送の第1029話「CASE.松田陣平」からスタート。読売テレビ・日本テレビ系列で2023年3月まで順次放送された。

CASE.萩原研二[編集]

萩原の主役回は2022年5月7日に放送された。警察学校の敷地でRX-7(FD3S)を見つけた萩原が熱弁をふるうところから始まり、その車が殉職した先輩刑事の愛車で、残された娘のために預かられていたものだと判明する。この「先輩刑事の娘」は、のちに父の形見のRX-7に乗る佐藤美和子を指していると解釈されている。

この回では萩原が警察官を志した理由も明かされる。実家の修理工場が経営難に陥るのを目の当たりにした彼は、「警察なら絶対につぶれない」という、ある意味きわめて現実的な理由で警察の道を選んだのだという。さらに訓練後には、松田とともに機動隊爆発物処理班へのスカウトを受ける。迷っていた萩原だが、最終的に「たまにはアクセルを踏み込むのも悪くねぇか」と前を向く。視聴者からすれば、それが彼の死へ続く道でもあると知っているだけに、なんとも切ない名場面である。

アニメオリジナルの「距離感」[編集]

アニメ第1029話では、食堂で口元を汚した松田に萩原が「あ、陣平ちゃん。かっこいい顔が台無しだよ」とハンカチで口を拭こうとする、原作にないシーンが追加された。SNSでは「距離感がバグってる」「公式……!」と大きな反響を呼び、萩原と松田のコンビ人気を一段押し上げた。

また2022年3月放送の第1038話(CASE.伊達航)では、幼少期の萩原が強盗事件に遭遇する回想が描かれ、弟を守ろうとする幼い姉・萩原千速も登場した。千速がアニメ本編に未登場だった時期だけに、思わぬ形での「姉弟セット出演」が話題となった。

劇場版『ハロウィンの花嫁』での扱い[編集]

警察学校組が主役の一本[編集]

2022年4月15日公開の劇場版第25作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』(監督:満仲勧、脚本:大倉崇裕)は、東宝配給、トムス・エンタテインメント制作のシリーズの一本で、警察学校組の過去が物語の柱に据えられた。興行収入は97.8億円を記録している。

物語は、佐藤と高木の結婚式の最中に起きた事件を発端に、ロシアの爆弾犯「プラーミャ」をめぐる現在と、3年前の過去が交錯する構成となっている。3年前の11月6日、萩原の墓参りに集まった降谷・松田・伊達・諸伏の4人は、偶然プラーミャと遭遇し、交戦する。萩原本人は故人として「墓参りの対象」という形で、過去パートの起点になっている。

幼い新一と蘭とのつながり[編集]

本作で明かされた大きな新事実が、萩原が小学生時代の工藤新一・毛利蘭と一度だけ会っていたというエピソードである。公園で新一の蹴ったボールがきっかけで水道管が破裂した際、萩原は手持ちの野球ボールを穴に押し込んで水を止めてみせた。さらに蘭を乗せたまま片輪走行で逃走するバイクを追跡するという、ドライビング自慢の本領も発揮している。

そしてクライマックス、渋谷が液体爆弾の危機にさらされた場面で、江戸川コナンは子どものころに見た萩原の「穴をふさいで水を止める」発想を思い出し、それを応用して爆発を食い止める。すでにこの世にいない萩原が、時を超えて渋谷を救った形であり、「萩原が一番おいしい役をもっていった」と語るファンも多い。

家族[編集]

姉・萩原千速[編集]

萩原の姉が、神奈川県警交通機動隊に所属する白バイ隊員の萩原千速である。原作第1073話で初登場した彼女は、圧倒的なバイクの腕前から「風の女神」と称される存在。弟の研二がハンドルを握れば天才なら、姉はバイクにまたがれば無敵という、運転の才能が飛び抜けた姉弟である。

千速は神奈川県警の横溝重悟警部と縁が深く、本編では弟の死を背負いながら生きる姿が描かれている。萩原の死は、千速にとっても消えることのない過去になっている。

『ハイウェイの堕天使』での研二[編集]

2026年4月10日に公開された劇場版第29作『名探偵コナン ハイウェイの堕天使』は、その千速をメインに据えた作品である。公開3日間で興行収入35億円を突破してシリーズ歴代最高のスタートを切り、7月下旬には136億円を超える大ヒットとなった。千速の声は沢城みゆきが担当。

本作でも萩原研二は千速の回想に登場する。爆弾事件の当日の朝、萩原と松田が千速に会っていたことが明かされ、二人そろって千速を「バイクに乗った日本一速い女」と評する場面も描かれた。また萩原が遺した「バイクに乗れば無敵」という言葉が、物語の中で千速を支える重要な役割を担っている。殉職から長い年月を経てもなお、萩原は姉の背中を押し続けているのである。

両親と実家[編集]

両親については、前述の通り自動車修理工場を営んでいたことが警察学校編で語られている。工場の経営難が萩原の進路に直結していることから、彼の「軽さ」の裏には意外と堅実な家庭事情があったことがうかがえる。

声優[編集]

三木眞一郎[編集]

萩原の声を担当するのは、81プロデュース所属の声優・三木眞一郎である。1968年3月18日生まれ、東京都出身。アニメ第304話で萩原が映像化された際から一貫して演じており、警察学校編、『ハロウィンの花嫁』、『ハイウェイの堕天使』にも続投している。

三木の代表作には『頭文字D』の藤原拓海、『鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST』のロイ・マスタング、『BLEACH』の浦原喜助、『薄桜鬼』の土方歳三、『機動戦士ガンダム00』のロックオン・ストラトスなどがある。

「拓海の声で天才ドライバー」[編集]

とりわけ有名なのが、峠を攻める天才ドライバー・藤原拓海役である。その三木が、作中で「降谷以上のドライビングテク」を持つとされる萩原を演じていることから、ファンの間では「声からして運転がうまい」「ハチロクからRX-7に乗り換えた」といったネタが定番になっている。軽やかで色気のある三木の演技は、萩原の飄々としたキャラクターと抜群に噛み合っている。

人気・ネタ[編集]

「回想キャラ」から人気キャラへ[編集]

長らく回想の中だけの存在だった萩原だが、警察学校編のヒットで一躍人気キャラクターの仲間入りを果たした。イラスト投稿サイトのピクシブでは2万件を超える関連作品が投稿されており、とくに松田とのコンビは「萩松」などと呼ばれ、二次創作の一大ジャンルとなっている。

救済IFと「11月7日」[編集]

本編での殉職が確定しているぶん、「もしも萩原が生きていたら」という救済IFの二次創作も非常に多い。また命日である11月7日(松田の命日でもある)には、SNS上で二人を偲ぶ投稿があふれるのが恒例となっている。

名前の元ネタ[編集]

「萩原」の名字は、刑事ドラマ『太陽にほえろ!』でマカロニ刑事(早見淳)を演じた萩原健一に由来するとされる。マカロニ刑事も劇中で殉職しており、その運命まで重なっているのは偶然ではないだろう。下の名前「研二」は沢田研二からとされ、萩原健一と沢田研二はバンド「PYG」でツインボーカルを組んでいた間柄でもある。ちなみに相棒の松田陣平は、同じく『太陽にほえろ!』でジーパン刑事を演じた松田優作が由来とされ、二人そろって「殉職刑事コンビ」が元ネタなのである。

余談[編集]

  • 原作では当初名字しか出ておらず、下の名前と外見はアニメ化の際に決まった「逆輸入」キャラクターである。
  • 作者の青山剛昌によれば、運転技術は「ドラテク自慢」の降谷零よりも上とされる。
  • 好きな車はマツダのRX-7(FD3S型)。降谷の愛車も白いFD3S、佐藤美和子の愛車も父の形見の赤いRX-7で、作中ではRX-7がやたらと縁の深い車になっている。
  • 警察官を志した理由が「絶対につぶれないから」という、正義感より生活感が先に立つ動機なのも萩原らしいポイントである。
  • アニメ版の回想では命日の扱いが原作と異なる回があるとする指摘もあり、ファンの間でたびたび話題になる。
  • 劇場版『ハロウィンの花嫁』で渋谷を救う決め手が「水道管にボールを詰めた話」という、本人が聞いたらたぶん笑い転げるであろうエピソードなのもファンに愛される理由の一つである。

外部リンク[編集]

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