津田健次郎
Kenjiro Tsuda
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第36回東京国際映画祭(2023年)のレッドカーペットにて、出演映画『北極百貨店のコンシェルジュさん』チームとして登場した津田(出典:ウィキメディア・コモンズ、KniBaron撮影、CC BY 2.0)
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/f/f8/Kenjiro_Tsuda_2018.jpg?utm_source=commons.wikimedia.org&utm_campaign=imageinfo&utm_content=original
2018年のイベント登壇時の津田(出典:ウィキメディア・コモンズ、Dick Thomas Johnson撮影、CC BY 2.0)
誕生日 1971年6月11日
年齢 55歳
出身地 大阪府
国籍 日本
学歴 明治大学文学部(演劇学専攻)、円・演劇研究所専攻科
ジャンル 声優、俳優、ナレーター、映画監督
家族 妻(一般女性)、子ども2人(2020年に本人が公表)
事務所 アンドステア(2021年4月〜)
代表作 『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』海馬瀬人、『テニスの王子様』乾貞治、『ゴールデンカムイ』尾形百之助、『呪術廻戦』七海建人、『エール』語り、『あんぱん』東海林明
関連活動 AD-LIVE、週刊文春連載「つだぶん」
あだ名 ツダケン、つんちょ
その他 1995年、アニメ『H2』で声優デビュー/第十五回声優アワード主演男優賞(2021年)
リンク X(@tsuda_ken)、公式サイト


概要[編集]

津田健次郎(つだ けんじろう)とは、大阪府出身の声優・俳優・ナレーター・映画監督である。低く響く声で『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』の海馬瀬人、『呪術廻戦』の七海建人などを演じ、2020年の朝ドラ『エール』の語りをきっかけに顔出しの俳優としても大ブレイクした。愛称は「ツダケン」。

詳細[編集]

ジャカルタ育ちの映画少年[編集]

1971年6月11日、大阪府生まれ。父親の仕事の都合で、1歳から小学2年生までをインドネシアの首都ジャカルタで過ごした。当時の現地では映画が最大の娯楽で、日本映画やハリウッド映画を浴びるように観て育ったという。帰国後は明星中学校・高等学校に進み、中学時代から名画座通いを始めて本気で映画監督を志すようになった。ジャン=リュック・ゴダールやジム・ジャームッシュに影響を受けた、筋金入りのミニシアター派である。

本人いわく子どもの頃は「1人で何かをするのが好き」なタイプで、流行りものにはまったく乗れず、周囲との違和感を抱えていた。そんな中でミニシアターの一風変わった映画に出会い、勇気をもらったと振り返っている。今でも「撮ることも観ることも好き」と公言する映画好きぶりは、この少年時代にルーツがある。

監督志望から役者へ[編集]

明治大学文学部で演劇学を専攻したが、大学3年のとき「映画で何を表現したいのか、具体的なビジョンが描けない」と感じ、撮る側から演じる側へと関心が移っていった。表現したい欲求自体は強かったため、「出演するのも面白い」と考えて円・演劇研究所専攻科へ進んだ。

19歳で演劇に出会ったときの衝撃を、本人は「演劇だとそれも含めて全部をさらけ出していいよって世界」「人間ってすごく自由なんだ!って気づいた」と語っている。養成所修了後は舞台系の事務所に所属し、まずは舞台役者としてキャリアをスタートさせた。

遅咲きの声優デビュー[編集]

1995年、24歳のときにあだち充原作のアニメ『H2』のオーディションに合格し、声優としてデビュー。とはいえ順風満帆とはいかず、その後もしばらく不遇の時代が続いた。本人は「20代の頃は本当に全然食べていけなかった」と明かしており、報道ではライフラインが止まるほどの貧乏生活だったとも伝えられている。

しかし本人にとって一番つらかったのはお金ではなかった。「貧乏がしんどいわけではなくて、役者として世の中の誰からも必要とされていないんじゃないかっていう、メンタル面がハードでした」という言葉には、下積みのリアルが詰まっている。それでも「辞めるっていう選択肢はそもそもなかった」と言い切るのがツダケン流である。

声の仕事[編集]

海馬瀬人で大抜擢[編集]

転機は29歳。アニメ『遊☆戯☆王デュエルモンスターズ』で、主人公のライバル・海馬瀬人役に大抜擢された。録音監督の三ツ矢雄二は選考にあたって「低くてお腹に響く声が欲しい」「暗い印象だけど華のある子がいい」と考えており、その条件にハマったのが津田だったとされる。高笑いと尊大な台詞回しで知られる海馬は、今なお津田の代名詞のひとつだ。

三ツ矢からは「あんた、本当に頑固ね。すごく頑固! 尖ってる!」と言われ、「その生き方は本当に苦労するし大変だけど、あなたがそれを貫きたいなら頑張りなさい」と背中を押されたというエピソードも伝わっている。

テニプリから七海建人まで[編集]

海馬の直後には『テニスの王子様』で青学のデータマン・乾貞治を担当し、一気に人気声優の仲間入りを果たした。その後も『ゴールデンカムイ』の狙撃手・尾形百之助、『僕のヒーローアカデミア』のオーバーホール(治崎廻)、『ID:INVADED イド:インヴェイデッド』の名探偵・酒井戸/鳴瓢秋人など、ひと癖もふた癖もある役で存在感を発揮してきた。

とりわけ大きかったのが『呪術廻戦』の七海建人。元会社員という異色の経歴を持つ大人の呪術師を、落ち着いた低音で演じて幅広い支持を集めた。Netflixアニメ『極主夫道』では、元ヤクザの専業主夫・龍を演じ、予告編で「ネトフリさん、ほんまアコギな商売してまんな」と関西弁でぶっ込む遊び心も見せている。

吹き替え・ゲーム[編集]

洋画の吹き替えでも引っ張りだこで、『スター・ウォーズ』シリーズではアダム・ドライバー演じるカイロ・レンの日本語吹き替えを担当した。コリン・ファレルの吹き替えでも知られる。

ゲームでは小島秀夫監督の『DEATH STRANDING』に出演し、小島監督からは「ケン坊」と呼ばれているという。2026年には、長年の念願だった『それいけ!アンパンマン』シリーズに劇場版『パンタンと約束の星』の冒険家・ニャックル役で初参加。舞台挨拶では「声優を長くやっていて、アンパンマンには出たことがなくて、それが長年コンプレックスになっていました。そのコンプレックスがようやく解消されました」と語って会場を沸かせた。

声優アワード主演男優賞[編集]

2021年、第十五回声優アワードで主演男優賞を受賞。朝ドラ『エール』の語り、海馬瀬人、『ID:INVADED』の酒井戸/鳴瓢秋人などが評価された。受賞コメントでは「もともと、賞と縁がないものだと思っていた」「僕らは作品・キャラクターがないと何もできない存在です」と語っており、どこまでも作品ファーストな姿勢がにじむ。

俳優としての顔面ブレイク[編集]

「エール」で全国区に[編集]

実は津田は声優業と並行して、ずっと顔出しの俳優も続けていた。2000年代にはドラマ『池袋ウエストゲートパーク』にホスト役で、日曜劇場『JIN-仁-』に大学病院の医師役で出演するなど、地道に実写の現場を踏んでいる。

その名を一気にお茶の間へ広めたのが、2020年3月30日スタートのNHK連続テレビ小説『エール』。主演・窪田正孝、ヒロイン・二階堂ふみの同作で語り(ナレーション)を担当し、本編にも出演した。起用発表時には「『えっ、僕でいいんですか?』と戸惑いながら、めちゃめちゃうれしかった」とコメント。制作統括も「落ち着いた声で聴きとりやすく、耳に心地よい」と太鼓判を押した。放送開始当日には早くも「人気声優・津田健次郎の語りに大反響」と報じられ、声優ファン以外の層にもその名前と声が一気に知れ渡った。

『最愛』『ラストマン』で連ドラ常連へ[編集]

『エール』以降、ドラマ・映画のオファーが急増する。2021年のTBS系『最愛』(主演:吉高由里子)では、警視庁捜査一課の係長・山尾敦を好演。役作りについては「現場刑事のパワフルな部分と、管理職としての部分、エリートで知的な部分を多層的に見せることができたら」と語り、無骨なのに可愛らしいサブバッグやペンを持つという「遊び心」まで仕込んでいた。

2022年の『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』では、ビール会社の商品開発部チーフ・須藤周平役でラブコメに初挑戦。2023年の日曜劇場『ラストマン-全盲の捜査官-』では、大泉洋演じる護道心太朗の実父・鎌田國士を20代から70代まで演じ分けた。最終回の「心太朗、腹…減ってないか?」の一言にはSNSで「涙腺決壊」の声があふれ、本人もXで「20代から70代まで、様々なシーンを演じさせて頂き光栄でした」と感謝をつづっている。

2024年にはTBS系『西園寺さんは家事をしない』で、主人公たちの"偽家族"に深く関わる重要人物・カズト横井を演じた。

朝ドラ『あんぱん』東海林明[編集]

2025年度前期の連続テレビ小説『あんぱん』では、ついに"語り"ではなく俳優として朝ドラに本格参戦。演じたのは高知新報の編集局主任・東海林明で、戦後の闇市でヒロインのぶ(今田美桜)と出会い、新聞社の採用試験を受けるよう勧める重要人物だった。

出演発表時には「『逆転しない正義とは何か』という大切な問い」に触れたうえで、「愛と勇気が満ちるこの作品に参加出来ることをとても嬉しく思います」「笑顔溢れる最高の現場で楽しく過ごしています」とコメントしている。アンパンマンの生みの親を描く作品に出演した翌年に、今度はアンパンマン本編の劇場版に声で参加した、という流れもなかなかドラマチックだ。

2026年の出演ラッシュ[編集]

2026年も勢いは止まらない。劇場版第3弾『TOKYO MER~走る緊急救命室~CAPITAL CRISIS』ではERカー「T01」を整備する機関士・芝和巳役で出演し、舞台挨拶では主演の鈴木亮平から「声がよすぎでしょ!」とツッコまれた。9月公開の『踊る大捜査線 N.E.W.』ではレジェンド声優陣とともに警察幹部(次長)役で出演し、「本当に驚きました」「あの『踊る』の世界が目の前に!」と興奮を語っている。

さらに目黒蓮主演の実写版『SAKAMOTO DAYS』にも出演。Prime Videoの実写ドラマ『沈黙の艦隊』続編(2027年夏配信予定)では、政治家・大滝淳を演じることが発表されている。

監督としての顔[編集]

映画監督デビュー[編集]

映画監督志望だった少年は、40代後半でついにその夢の扉を開く。2019年2月公開の『ドキュメンターテイメント AD-LIVE』で映画監督デビューを果たした。同作は、鈴村健一が総合プロデュースする即興舞台劇「AD-LIVE」の2017年公演の舞台裏を追ったドキュメンタリーで、上映時間は90分。津田自らカメラを回し、鈴村に密着インタビューを行った。

「いつ死んでも悔いがないように」[編集]

監督業について本人は「すごく楽しみながらやっています」と語る一方、「いつ死んでも悔いがないような生き方をしたいっていうのを常々考えています」「人生あっという間に終わっちゃいますよね」とも口にしている。長編映画の制作は若い頃からの夢とされ、今も「表現したい」というマグマが煮えたぎっているという。Xのプロフィールにも肩書のひとつとして映画監督を堂々と掲げている。

演技観と本人の言葉[編集]

「根っこは同じ」[編集]

声優と俳優、二足のわらじについて、本人は「芝居に関しては、アニメも舞台もドラマも根っこは同じだと思っています」「ジャンルごとに必要なテクニックはあると思うんですが、やることは同じお芝居なので、スタンスは変わりません」と明言している。もともと舞台出身で、そこから突然アニメの世界に飛び込んだため、ジャンルの違いを特に意識したことはないという。

一方で声優ならではの技術として「役の切り替えやキャラの声にすぐ対応できる瞬発力がとても大事」とも語っており、使い分けではなく"同じ芝居の延長"として両方を捉えているのが特徴だ。

表現衝動[編集]

鈴村健一とのYouTube番組では「とにかく表現衝動があって、『表現したいんだ、なんかよくわかんないけど』と衝き上げる何かがあって」「最初、演技の世界で食うつもりもなくて」と告白。芝居を始めて以来、「自分は何を表現できるか」という問いがずっと頭の中にあるとも話している。

若手へのアドバイスを求められると「どういう状況であれ、自分が携わったお仕事と、1度本気で全力で向き合ってみると見えてくるものが色濃くなる」。下積みを経た人ならではの、地に足のついた言葉である。

SNSと発信[編集]

Xのアカウント(@tsuda_ken)は2009年12月開設と古参で、フォロワーは150万人規模。プロフィールでは自らを声優・俳優・ナレーター・映画監督と紹介し、アニメ、洋画吹き替え、ドラマ、ナレーションなどの仕事に加えて、映画監督もすること、カメラが好きなことをつづっている。所在地欄はなぜか「テキトーなところ」という脱力ぶりで、こうした緩さもツダケンらしさのひとつだ。

Instagramは、2020年7月に結婚を公表した場でもある。また出演ドラマの公式アカウントによるオフショットも反響を呼びやすく、2021年12月には『最愛』公式Instagramが共演者・佐久間由衣との笑顔の2ショットを公開し、「元気でますー」「笑顔最高」といったコメントが寄せられた。

2025年10月からは「週刊文春」(文藝春秋)で、初の週刊誌連載となるエッセイ「つだぶん」をスタート。題字は本人の直筆、挿画は『ACCA13区監察課』の漫画家オノ・ナツメが担当し、第1回では声優として頭角を現すまでの役者人生や演技論が語られた。

私生活[編集]

2020年7月、週刊誌の報道を受けてInstagramで結婚を公表した。妻とは舞台役者として駆け出しの頃に舞台の世界で出会い、交際を経て結婚。妻は一般の人で、子どもが2人いることも明かした。

長く非公表にしていた理由について、本人は「結婚当初、生活の安全を脅かされる文書が頻繁に届く事があり、公表しない方が安全を守れると思いました」と説明。加えて、私生活が見えない表現者でありたいという思いもあったという。公表のタイミングは、報道によって「影響を受けてしまう方がいらっしゃるかもしれない」と考えたためとしている。

炎上とバズ[編集]

  • 「エール」の語りが大反響 - 朝ドラの語りが始まった初日から反響を呼び、ニュースになった。これを機にドラマ・映画への出演が急増し、40代後半からの"顔出しブレイク"につながった。
  • 「腹…減ってないか?」で涙腺崩壊 - 『ラストマン』最終回の一言が大きな反響を呼び、「泣かない人はいない」「演技すごい」との声が相次いだ。
  • 「声がよすぎでしょ!」 - 2026年の劇場版『TOKYO MER』舞台挨拶で鈴木亮平にツッコまれ、ニュースの見出しにまでなった。

余談[編集]

  • 『遊☆戯☆王』の録音監督・三ツ矢雄二からは「頑固」「尖ってる」と評されたが、その頑固さを貫いた結果が今のキャリアである。
  • 小島秀夫監督からは「ケン坊」と呼ばれているという。
  • 趣味は写真とバイク。2023年には写真集『ささやき』(講談社、144ページ・オール撮り下ろし)を発売し、"撮られる側"としても話題になった。
  • 2024年には第53回ベストドレッサー賞の芸能部門に選ばれたとされる。
  • 年々若返っているように見えることから、ネット上では「波紋の使い手」とネタにされることもある。
  • 長年アンパンマンに出たことがないのが「コンプレックス」だったと告白しており、2026年にそれを解消した。
  • 風間俊介、浪川大輔とは古くからの友人として知られる。

外部リンク[編集]

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