ゴールデンカムイ

概要[編集]

ゴールデンカムイ(Golden Kamuy)は、野田サトルによる日本のマンガ作品。集英社の「週刊ヤングジャンプ」にて2014年から2022年にかけて連載された。明治末期の北海道サハリンを舞台に、アイヌの少女・アシリパと元陸軍兵士・杉元佐一が巨大な金塊をめぐって命をかけた争奪戦を繰り広げる冒険活劇である。全314話・単行本31巻で完結し、累計発行部数は3,000万部を超える大ヒット作品だ。シリアスな歴史劇とぶっとんだギャグが共存する独自のスタイルで、幅広い読者層から支持を集めた。

詳細[編集]

物語の背景[編集]

物語の舞台は日露戦争直後の1907年(明治40年)ごろの北海道。「不死身の杉元」の異名を持つ元陸軍一等卒・杉元佐一は、亡き戦友の遺族を助けるため大金を必要としていた。砂金採掘に励む中、彼はアイヌが隠した莫大な金塊の存在を知ることになる。その金塊の在処を示す暗号は、24人の脱走囚人それぞれの体に彫られた刺青に分散して記されており、すべての刺青を集めて解読することが宝の地図代わりになるという。

杉元はアイヌの少女・アシリパと行動を共にしながら、同じく金塊を狙う第七師団の鶴見中尉、新選組の生き残りを名乗る土方歳三、さらには様々な思惑を持つ勢力と激しくぶつかり合っていく。

アイヌ文化の丁寧な描写[編集]

本作の大きな特徴のひとつが、アイヌの文化・言語・料理・狩猟技術を丁寧に描いた点にある。ヒロインのアシリパはアイヌの少女で、作中では本格的なアイヌ語のセリフや、チタタプ(たたき肉)・オハウ(アイヌの汁物)・キナオハウなどの伝統料理が数多く登場する。アイヌ語監修・アイヌ文化の専門家が制作に協力しており、メディアからは「アイヌ文化を現代の若者に広く伝えた功績が大きい作品」として高く評価されている。2020年に北海道・白老町に開設されたウポポイ(民族共生象徴空間)の認知度向上にも貢献したと言われている。

ギャグとシリアスの融合[編集]

『ゴールデンカムイ』が多くの読者を魅了した理由のひとつが、骨太な歴史劇と突き抜けたギャグの絶妙な共存だ。命がけの格闘や史実に根ざした人物描写が展開される直後に、「チタタプ」を連呼するアシリパや、ヌルヌルした裸体で敵を翻弄する白石由竹のコメディシーンが挟まれる構成は唯一無二。特にSNSでは「チタタプ」「ヒンナヒンナ」「白石おまえ…」などのフレーズをもとにしたコラ画像やコピペが大量生産され、独自のインターネット文化を形成した。

受賞歴[編集]

  • 第12回マンガ大賞受賞(2019年)
  • 「このマンガがすごい!2016」オトコ編 第1位
  • 手塚治虫文化賞マンガ大賞受賞(2018年)
  • 「マンガ新聞大賞2018」受賞
  • 「次にくるマンガ大賞2016」Webマンガ部門 第1位

アニメ化[編集]

テレビアニメは2018年から2026年にかけて4期+最終章と長期シリーズとして制作された。

  • 第1期(2018年):ジェノスタジオ制作。北海道編の序盤を描く。
  • 第2期(2018年):同年秋に放送。物語が佳境へ。
  • 第3期(2020年):ブレインズ・ベース制作に移行。戦線が広がる。
  • 第4期(2022年):完結に向けてクライマックスへ。
  • 最終章「暴走列車編」(2026年):2026年に放映された最終章。シリーズの集大成として原作ファン・アニメファン双方から熱い注目を集めた。

主要登場人物[編集]

  • 杉元佐一:主人公。元陸軍一等卒。「不死身の杉元」の異名を持つ。戦友の遺族のため金塊を求める。寡黙だが情に厚い。
  • アシリパ:ヒロイン。アイヌの少女で弓の名手・罠師として卓越した能力を持つ。父の仇を追っている。ウイルクの娘。
  • 白石由竹:脱走囚人の一人。「脱獄王」の異名を持ち、どんな拘束も抜け出す天才。金塊争奪戦に巻き込まれるが憎めないキャラクターとして人気が高い。
  • 鶴見篤四郎:第七師団の中尉。金塊で独立国家を建設することを目論む策略家。圧倒的な存在感を持つ。
  • 土方歳三:かつての新選組副長。史実では函館戦争で戦死とされるが、本作では生き延びて暗躍。老齢ながら高い戦闘力と強烈なカリスマ性を持つ。
  • 尾形百之助:謎多き暗殺者。第七師団所属だが独自の目的を持つ。作中屈指の人気キャラクター。

社会的影響[編集]

『ゴールデンカムイ』の影響で、小樽市北見市函館市などロケ地となった北海道の各地にファンが訪れる「聖地巡礼」が盛んになった。また作中に登場するアイヌ料理を実際に作る「ゴールデンカムイ飯」のSNSブームが起こり、テレビや雑誌でも多数取り上げられた。アイヌ文化への関心が高まったことで、ウポポイへの来場者増加にも間接的に寄与したとされる。

関連項目[編集]