吉本興業
Yoshimoto Kogyo
略称 {{{略称}}}
国家 {{{国家}}}
市場情報 {{{市場情報}}}
業種 エンターテインメント
本社所在地 {{{本社所在地}}}


概要[編集]

吉本興業(よしもときょうぎょう)は、日本最大手のお笑い・芸能プロダクション。1912年(明治45年)に大阪の寄席小屋から出発し、100年以上にわたって日本の「笑い」を産業として支え続けてきた、文字どおりお笑い界の総本山である。所属タレントは数千人規模ともいわれ、ダウンタウンナインティナイン千鳥かまいたち見取り図ジャルジャルといった現代お笑いの主力のほとんどがここに所属している。略称は「吉本」「ヨシモト」、英語表記では「Yoshimoto」。

「西の吉本、東の太田プロ」などと並び称された時代もあったが、現在では東京・大阪の二大拠点を軸に全国へ網を広げ、もはやお笑い専業の枠を超えた巨大エンタメコングロマリットになっている。芸人だけでなく俳優・タレント・スポーツ選手・文化人までを抱え、テレビ・ライブ・映画・配信・地方創生・教育事業にまで手を伸ばしているのが現代の吉本らしい。「芸人をどれだけ抱えているか」よりも「笑いをどう社会インフラにするか」を本気で考えている会社、と言うとイメージが近いかもしれない。

歴史[編集]

創業は1912年、吉本吉兵衛・せい夫妻が大阪・天満の寄席「第二文芸館」を買い取ったことに始まる。夫の死後、女手ひとつで寄席を買い増していった吉本せいは「女傑」として語り草になっており、NHK連続テレビ小説『わろてんか』(2017年)のヒロインのモデルにもなった。戦前から戦後にかけて漫才・落語の興行を一手に握り、エンタツ・アチャコらを擁して「しゃべくり漫才」の時代を作った。

戦後は一時低迷したものの、1959年に開場した「うめだ花月」や、1962年から始まった『よしもと新喜劇』が再起の足がかりになった。1980年代の漫才ブームではダウンタウンハイヒールらを輩出し、1982年には芸人養成所NSC(吉本総合芸能学院)を開校。これがのちの吉本の最大の強みになる。「事務所が自前で芸人を大量育成する」というシステムは、当時としては画期的だった。

NSC出身者はダウンタウンを皮切りにナインティナイン千鳥かまいたち見取り図和牛NON STYLEへと連なり、現在のお笑い第一線のほとんどがこの「学校」から巣立っている。2007年にはM-1グランプリや後のキングオブコントといった賞レースの隆盛とも歩調を合わせ、若手の登竜門を整備していった。

事業とビジネスモデル[編集]

吉本のビジネスモデルは「劇場・テレビ・マネジメント」の三本柱で語られることが多い。大阪のなんばグランド花月(NGK)、東京のルミネtheよしもとをはじめ全国に直営劇場を持ち、そこで若手が毎日舞台に立って腕を磨く。劇場は単なる興行収入源であると同時に、芸人の「練習場兼ショーケース」として機能している。ここが他の芸能事務所と決定的に違う点で、「芸人を育てる装置」を自社で丸ごと持っているのが吉本の最大の資産だといわれる。

近年は「あなたの街に"住みます芸人"」プロジェクト(2011年〜)で全国47都道府県に芸人を常駐させ、地方創生・自治体PRに踏み込んだ。さらに国際展開、教育・研修事業、オンラインライブ配信サービス「FANY」など、笑いを軸にした多角化を進めている。2019年には在京キー局やクールジャパン機構などが出資する形で組織再編が行われ、メディア・コンテンツ企業としての性格を強めた。

所属タレントとの契約形態は長らく「口約束・専属」が基本だったが、後述の闇営業問題を機に契約書面化やマネジメントの透明化が進められた。芸人にとって吉本は「就職先」であり「学校」であり「ライバルだらけのジャングル」でもある、という独特の距離感がよく語られる。

主な所属芸人・タレント[編集]

ベテランではダウンタウンナインティナイン・今田耕司・東野幸治ら。中堅〜若手では千鳥かまいたち見取り図ジャルジャルNON STYLEスピードワゴンロングコートダディさや香ヤーレンズニューヨークダウ90000など、賞レース常連の多くが吉本所属である。解散した和牛も長く吉本の看板コンビだった。

キングオブコント王者のロングコートダディM-1グランプリの歴代王者にも吉本勢が多数名を連ねる。所属の幅は広く、お笑い以外にも俳優・歌手・文化人を抱える。これだけの人数を抱えながら「全員に均等に仕事を回す」ことは構造的に不可能で、だからこそ賞レースという「勝ち上がりの仕組み」が芸人人生を大きく左右する——というのが吉本という生態系のリアルらしい。

賞レース文化と吉本[編集]

現代お笑いを語るうえで外せないのが、M-1グランプリキングオブコント・R-1グランプリといった賞レースの存在である。吉本はこれらの賞レースに膨大な数の所属芸人を送り込み、勝ち上がった者がテレビ・全国区へと駆け上がっていく。つまり吉本という巨大なピラミッドの「頂点を決める装置」として賞レースが機能しているわけで、両者は切っても切れない関係にある。

千鳥かまいたち見取り図和牛NON STYLEスピードワゴンはいずれもM-1グランプリの決勝経験者であり、ロングコートダディキングオブコント2025王者。賞レースで結果を出すと劇場の出番が増え、テレビの仕事が舞い込み、CMが付き、単独ライブのキャパが上がる——という「上り階段」がはっきりしているのが吉本システムの面白さでもあり、残酷さでもある。逆に言えば、どれだけ実力があっても賞レースで日の目を見ないまま劇場を去る芸人も無数にいる。「ネタは面白いのに売れていない芸人」の宝庫こそが吉本である、というファンの言葉もよく聞かれる。

ライバル事務所と業界地図[編集]

吉本が最大手とはいえ、お笑い業界は吉本一強ではない。東京を地盤とするワタナベエンターテインメントハライチアンガールズら)、マセキ芸能社バカリズムかが屋ら)、サンミュージックホリプロ太田プロダクション、コント師に強いケイダッシュステージなど、有力事務所が群雄割拠している。さらにナイツが会長を務める漫才協会のように、事務所の垣根を越えた団体も東京漫才の文化を支えている。

こうしたライバルがいることで「吉本 vs 非吉本」という構図が賞レースに彩りを添える。M-1グランプリキングオブコントで非吉本勢が優勝すると「打倒・吉本」の物語としてネットが盛り上がるのも恒例で、業界全体のエンタメ性を高めている。お笑いという一見ゆるい世界の裏に、これだけシビアな事務所間の競争と人材育成のシステムが走っている——それを知ると、テレビのバラエティの見え方が少し変わってくるかもしれない。

炎上とバズ[編集]

  • 2019年・闇営業問題:所属芸人が会社を通さず反社会的勢力の関係する会に出席し金銭を受け取っていたことが報じられ、複数の芸人が謹慎・契約解消となった。会見をめぐる会社側の対応にも批判が集まり、当時の社長の長時間にわたる謝罪会見が大きな話題になった。これを機に契約の書面化やマネジメント改革が進んだ、お笑い史に残る大事件である。
  • ブラック企業批判:若手のギャラが極端に安いという話はネタとしても語られ続けてきた。「劇場の出番で数百円」といった逸話は半ば伝説化しているが、その分テレビで売れたときのリターンも大きいという「ハイリスク・ハイリターン」構造への賛否は今も続いている。
  • 政治・行政との距離:地方創生事業や官公庁とのタイアップが増えたことで「税金との距離が近すぎないか」という議論も起きた。エンタメと公共の境界線をめぐる話題は、巨大化した吉本ならではの宿命でもある。
  • 賞レースの"吉本強すぎ問題"M-1グランプリキングオブコントで吉本勢の決勝進出が多く、「主催や審査に吉本が絡みすぎでは」という声がネット上で定期的に湧く。実際には他事務所やフリーの優勝者も多いが、母数が桁違いに多いゆえの宿命的なやっかみといえる。

余談[編集]

  • 創業者の吉本せいは、波乱万丈の生涯から「大阪のおかみさん」「女傑」として何度もドラマ・小説の題材になっている。お笑い帝国の礎を女性が築いたという事実は、もっと知られてよいトリビアらしい。
  • 芸人養成所NSCは授業料を払って入る「学校」方式。ここからダウンタウンという超大物が1期生として出たことで、一気にブランドが確立した。
  • よしもと新喜劇は60年以上続く長寿舞台で、独特の「お決まりギャグ」「ズッコケ」の様式美がある。関西では日曜昼の風物詩として根づいている。
  • 全員ライバル」と言われるほど所属人数が多く、同期でも売れる者と消える者の差が激しい。だからこそ賞レース優勝の価値が異常に高い、というのが吉本の芸人たちの共通認識らしい。
  • 海外進出にも積極的で、アジアを中心に「笑いの輸出」を試みている。言葉の壁を越える吉本流コメディが通用するのか、というのは長年の挑戦テーマ。
  • 大阪のなんばグランド花月は観光名所化しており、修学旅行や海外観光客のコースにもなっている。「お笑いを観に行く劇場」が観光資源になっているのは世界的にも珍しいらしい。
  • 「吉本ばなな」「吉本隆明」など同じ「吉本」姓の著名人と混同されることがあるが、芸能の吉本興業とは無関係。検索でうっかり結びつけてしまう人が地味に多いらしい。
  • 所属芸人が結婚や独立を発表するたびに「吉本を辞めるのか」がトレンド入りするほど、世間にとって吉本=芸能界の代名詞になっている。芸人が「フリーになります」と言うだけでニュースになる事務所は、そう多くない。
  • 近年はYouTubeへの進出も積極的で、所属芸人の公式チャンネルや「よしもと」名義のネタ動画が大量に公開されている。テレビで干されても劇場とネットで生きていける時代になり、芸人の生存戦略も多様化しているとか。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

  • 吉本興業 公式サイト
  • FANY(よしもとライブ配信)