| ナイツ | |
|---|---|
| コンビ名 | ナイツ |
| メンバー | 塙宣之(ボケ) 土屋伸之(ツッコミ) |
| 結成 | 2000年 |
| 事務所 | マセキ芸能社 |
| 出身 | 東京 |
| ジャンル | しゃべくり漫才 |
| 代表ネタ | ヤホー漫才 |
| M-1 | 2008年・2009年・2010年 決勝進出 |
概要[編集]
ナイツは、塙宣之(はなわ のぶゆき、ボケ)と土屋伸之(つちや のぶゆき、ツッコミ)からなる日本のお笑いコンビ。所属はマセキ芸能社。マイクの前で淡々と進める正統派の「しゃべくり漫才」を武器に、2008年から3年連続でM-1グランプリ決勝に進出した実力派である。代表ネタは、検索エンジンを「ヤホー」と言い間違えるところから始まる通称「ヤホー漫才」。塙が固有名詞をことごとく微妙に言い間違え、土屋が冷静に訂正していくという、知的で上品な言葉遊びの漫才で知られる。
派手なキャラやリアクションに頼らず、純粋な「言葉のセンス」と「ボケの精度」で笑わせるスタイルは、お笑い通から絶大な信頼を得ている。近年は塙宣之が東京漫才の総本山ともいえる漫才協会の会長を務め、寄席文化の継承・発信に奔走するなど、ナイツは単なる人気コンビを超えて「東京漫才の顔」としての役割も担っている。落ち着いた佇まいと毒のない笑い、そして確かな技術で、幅広い世代に愛されているコンビらしい。
メンバー[編集]
塙宣之はボケ担当。穏やかな口調のまま、固有名詞や常識を絶妙にズラして言い間違える「天然を装った高度なボケ」が真骨頂。漫才協会の7代目会長として東京漫才の改革・PRに力を注ぎ、著書『言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てなかったのか』ではM-1グランプリ論・漫才論を語って話題になった。映画『漫才協会 THE MOVIE』では監督も務めるなど、プレーヤーであると同時に「東京漫才の理論家・仕掛け人」でもある。
土屋伸之はツッコミ担当。塙の暴走気味の言い間違いを、温厚かつ的確に訂正していく安定感が持ち味。声を荒げず、上品で知的なツッコミを淡々と重ねるスタイルは「聞いていて心地よい」と評判で、近年は情報番組のMCやコメンテーターとしても活躍の場を広げている。派手さはないが、ナイツの漫才の精密さは土屋の正確なツッコミがあって初めて成立している。
結成と歩み[編集]
二人は創価大学のお笑いサークルで出会い、2000年にコンビを結成。当初は別のコンビ名で活動していたが、のちに「ナイツ」と改名した。下積み時代は東京の演芸場や寄席を中心に経験を積み、テレビの華やかな世界よりも「舞台で鍛える」道を歩んだ。この寄席仕込みのしゃべくりの基礎体力が、のちの安定した漫才の土台になっている。
ブレイクのきっかけは2008年のM-1グランプリ決勝進出。「ヤホー漫才」が全国に知られ、以降2009年・2010年と3年連続で決勝の常識を披露した。優勝こそ逃したものの、「決勝の安定感」「ネタの完成度」で高く評価され、賞レースの結果以上に「漫才そのものの上手さ」で名を残した。東京の演芸場・浅草を拠点に活動を続け、テレビと寄席の両方を行き来する稀有なポジションを確立している。
ヤホー漫才[編集]
ナイツの代名詞「ヤホー漫才」は、塙が「インターネットで調べてきました」と言いながら検索エンジンを「ヤホー」と言い間違えるところから始まる。そこから有名人や歴史上の人物の名前を次々と微妙に言い間違え、土屋が「ヤフーね」「○○です」と冷静に訂正していく——という型である。一見ゆるい言葉遊びだが、固有名詞をどうズラせば一番おかしいかを緻密に計算した、高度に構築された話芸である。
下ネタや過激なワードに頼らず、あくまで上品な言い間違いだけで笑わせるため、子どもから高齢者まで安心して楽しめるのも大きな特徴。テレビの演芸番組や寄席で何度披露されても色褪せない「定番ネタの強さ」を持っており、ナイツといえばヤホー、ヤホーといえばナイツ、というほど世間に浸透している。型がありながら毎回新しい言い間違いで笑わせる、その引き出しの多さこそが実力の証だといわれる。
漫才協会と東京漫才[編集]
ナイツを語るうえで近年欠かせないのが、塙宣之の漫才協会会長としての活動である。漫才協会は東京・浅草を中心とした漫才師の団体で、ベテランから若手までが所属し、東洋館などの舞台で日々漫才を披露している。塙は7代目会長に就任し、ベテラン芸人の訃報が相次ぐなかで「東京漫才の灯を消さない」という強い危機感のもと、寄席文化の継承と発信に精力的に取り組んでいる。
2024年には漫才協会を題材にした映画『漫才協会 THE MOVIE 〜舞台の上の懲りない面々〜』が公開され、塙が監督を務めたことでも話題になった。吉本興業を中心とする関西発のお笑いが全国を席巻するなか、「東京には東京の漫才がある」という矜持を体現し、その魅力を世に伝えようとするナイツの姿勢は、お笑い界全体にとっても貴重な存在になっている。塙がオードリーの東京ドーム公演に「負けてられるか」と対抗心を燃やしたエピソードも、東京漫才を背負う者としての気概の表れだといえる。
芸風と評価[編集]
ナイツの漫才は、お笑い界で「漫才の教科書」とも呼ばれるほど完成度が高い。マイク1本の前に立ち、過剰な動きもキャラ作りもせず、ただ言葉だけで笑いを積み上げていく。塙の言い間違いは一見アドリブのようでいて、実は「どの固有名詞を、どうズラすか」が緻密に設計されており、土屋の訂正のタイミング・言い回しも秒単位で計算されている。この「何気なさの裏にある精密さ」が、芸人仲間や評論家から高く評価される理由である。
賞レースでは優勝こそ逃したものの、3年連続M-1グランプリ決勝という安定した実績は、瞬発力よりも「平均点の高さ」を物語る。一発のインパクトで爆発するタイプではなく、何度見ても安定して面白い「いぶし銀の漫才」。流行に左右されず、寄席でもテレビでも同じクオリティを出せる職人気質が、長く第一線に居続けられる秘訣だといわれる。お笑いを「技術」として見るファンほどナイツを高く買う、という傾向もあるらしい。
二人の関係[編集]
塙と土屋は、大学のサークル時代からの長い付き合い。派手なエピソードや確執の噂とは無縁で、淡々と、しかし確かな信頼関係のもとで20年以上漫才を続けてきた「安定したコンビ」の代表格である。ボケの塙が漫才協会会長や著述・映画監督など多方面に活動を広げる一方、土屋がツッコミとして地に足のついた仕事を重ねることで、コンビとしてのバランスが保たれている。
二人の関係性は「熱く語り合う」タイプではなく、「適度な距離を保ちつつ、やるべき漫才をきっちりやる」大人の関係。だからこそ長続きし、年齢を重ねても芸が枯れない。塙が東京漫才の未来のために走り回れるのも、土屋という揺るぎない相方がいるからこそだと評される。ナイツは、派手さよりも「続けることの強さ」を体現したコンビなのである。
炎上とバズ[編集]
- 「ヤホー」流行:検索エンジンの言い間違いネタが広く知られ、「ヤホーで調べる」という言い回しがネタとして定着。上品な言葉遊びが世代を超えてウケた。
- 塙の著書『言い訳』:「関東芸人はなぜM-1で勝てなかったのか」という挑発的な副題で、M-1グランプリ論・漫才論を真正面から論じてベストセラーに。お笑いファンの議論を呼んだ。
- 漫才協会会長としての発信:吉本所属芸人が漫才協会に入れない事情を語るなど、業界の構造に踏み込んだ発言がたびたびニュースになる。東京漫才の代弁者としての存在感が増している。
- 映画監督業への挑戦:塙が漫才協会の映画で監督を務め、「芸人が芸人の世界を撮る」試みとして注目された。
余談[編集]
- コンビ名「ナイツ」は英語の「knights(騎士)」に由来するとされる。漫才の柔らかい芸風とのギャップがちょっと面白いと言われる。
- 二人とも名前の読みが「のぶゆき」で揃っているという偶然がある。漫才中にもたびたびいじられるネタ。
- 浅草・東洋館の舞台に立ち続けており、テレビで売れても寄席を離れない姿勢が「漫才師の鑑」と評される。
- 塙の父も芸人(ギター漫談)で、弟もお笑い芸人という芸人一家。芸の血筋が話題になることも多い。
- ヤホー漫才は「下ネタゼロ・固有名詞の言い間違いだけ」で成立するため、学校寄席やファミリー向けイベントでも引っ張りだこらしい。
- 土屋は温厚な人柄で知られ、過激なバラエティよりも情報番組や教養系で重宝される。ナイツの上品なイメージを支える存在。
- 漫才中に時事ネタや旬の固有名詞を取り入れることが多く、「いつ見ても少し新しい」のもヤホー漫才の強み。ネタの鮮度を保つ工夫が職人的だと言われる。
- 塙はM-1グランプリの審査員的な立場でも語られることが多く、漫才論を語らせたら右に出る者はいないと評される。プレーヤーと評論家を兼ねる珍しい存在。
- 寄席の世界では「東京の若手の手本」として後輩から慕われており、浅草の舞台で若手と一緒に出ることも多い。東京漫才の橋渡し役を自任しているとか。
- 上品で毒のない芸風ゆえ、企業イベントや公共の催しからの需要も高い。「どこに出しても安心なコンビ」という信頼が仕事の幅を広げている。
関連項目[編集]
位置づけ[編集]
吉本興業を中心とする関西発のお笑いが全国を席巻するなかで、ナイツは「東京漫才」「寄席文化」の正統な継承者として独自の地位を築いてきた。テレビの人気だけを追わず、浅草の舞台に立ち続け、後進を育て、漫才協会を背負う——その生き方は、お笑いを一過性の流行ではなく「文化」として守ろうとする姿勢そのものである。完成された話芸と、業界への貢献。その両面を併せ持つナイツは、現代日本の漫才史において欠かせない存在として、長く語り継がれていくだろう。
外部リンク[編集]
- マセキ芸能社 公式サイト
- 漫才協会 公式サイト