| ドロヘドロ Dorohedoro | |
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![]() 『ドロヘドロ』のタイトルロゴ(出典:Wikimedia Commons「Dorohedoro logo.png」・パブリックドメイン(文字ロゴのため)/©林田球・小学館) | |
| 作家 | 林田球 |
| ジャンル | ダークファンタジー、アクション、ブラックコメディ |
| 出版社 | 小学館 |
| 連載期間 | 2000年 - 2018年(約18年) |
| 話数 | 単行本全23巻(IKKIコミックス・完結) |
| メディアミックス | テレビアニメ(MAPPA制作。Season1:2020年・全12話、Season2:2026年・全11話、Season3製作決定)、OVA「魔のおまけ」 |
| その他 | 掲載誌:『週刊ビッグコミックスピリッツ増刊イッキ』→『月刊IKKI』→『ヒバナ』→『ゲッサン』(いずれも小学館) |
概要[編集]
ドロヘドロとは、林田球による日本の漫画作品、およびそれを原作とするMAPPA制作のテレビアニメである。魔法で頭をトカゲに変えられ記憶を失った男・カイマンが、相棒のニカイドウとともに自分に魔法をかけた魔法使いを探す、グロテスクでどこか間の抜けたダークファンタジーである。
詳細[編集]
18年・4誌をまたいだ連載[編集]
『ドロヘドロ』は、小学館の漫画誌を4誌も渡り歩きながら、2000年から2018年まで約18年にわたって連載された長編である。スタートは2000年創刊の『週刊ビッグコミックスピリッツ増刊イッキ』で、同誌が2003年に『月刊IKKI』として独立創刊されるとそのまま移籍。2014年に『月刊IKKI』が休刊すると、2015年創刊の『ヒバナ』へ移り、『ヒバナ』の刊行終了後は2017年12月号から『ゲッサン』で連載を続け、2018年10月号で完結した。
おもしろいのは、最後のゲッサンを除く3誌すべてで「創刊号から最終号まで」載り続けたことである。雑誌のほうが先に終わってしまうのに、作品は生き残って次の雑誌へ引っ越していく、という珍しい経歴の持ち主である。単行本はIKKIコミックスから全23巻が刊行され、第1巻は2002年、最終23巻は2018年11月に発売された。
作者・林田球[編集]
作者の林田球(はやしだ・きゅう)は1977年生まれ、東京都出身の漫画家。1997年に『ソファーちゃん』がアフタヌーン四季賞で準入選してデビューし、1999年に『月刊マガジンZ』でゲームのコミカライズ『魔剣X ANOTHER』を連載した。『ドロヘドロ』は2作目の長編連載にあたり、そのまま作家の代名詞になった。
『ドロヘドロ』完結後は、2019年から『ゲッサン』で新作『大ダーク』を連載しており、同作は『このマンガがすごい!2021』オトコ編で7位に入っている。林田は本作の発想について、歌詞はひたすらダークで凶暴なのに、メロディーは踊りたくなるほど楽しい曲から着想を得たと語っている。血まみれなのに陽気、という本作の温度感はまさにそこから来ている。
どんな作風なのか[編集]
ひと言でいえば「汚い・痛い・なのに楽しい」。首が飛び、人体がバラバラになり、キノコに変えられる……といった容赦ない暴力描写の隣で、登場人物たちは餃子を食べ、ビールを飲み、野球をし、くだらない言い合いをしている。殺し合った相手と次のページで一緒にご飯を食べていても違和感がない、というのがドロヘドロの不思議な世界である。
ビジュアル面では、ほとんどのキャラクターがホラー調の覆面やマスクをかぶっているのが特徴で、デスメタル、ハードコア・パンク、グラインドコアといった音楽の影響が色濃い。背景はとにかく描き込みが細かく、ゴミ、落書き、看板、キャラクターのTシャツの柄にまで小ネタが仕込まれている。荒れた画面のなかに妙な愛嬌があり、「カルト的人気作」と呼ばれ続けてきた。
あらすじ[編集]
舞台は、魔法使いたちが「ドア」を通ってやって来ては、住民を魔法の練習台にして去っていく街「ホール」。魔法の被害者が日常的に転がっているこの街に、頭をトカゲにされ、それ以前の記憶をまるごと失った男・カイマンがいた。
カイマンの口の中には、なぜか「もう一人の男」が住んでいる。カイマンは相棒のニカイドウとともにホールに現れる魔法使いを捕まえては、その頭を口にくわえ、口の中の男に「お前は誰だ」と問わせる。返ってきた答えから、自分に魔法をかけた魔法使いを突き止め、元の顔と記憶を取り戻すのが目的である。
一方、魔法使いの世界を牛耳る組織「煙ファミリー」は、ホールで魔法使いが次々と狩られている事件に目を付け、掃除屋の心と能井を差し向ける。さらに、魔法使いを憎む謎の集団「十字目」、魔法使いが崇拝する悪魔たちも絡み、カイマンの正体をめぐる話は、ホールと魔法使いの世界、そして地獄までも巻き込む大騒動へと広がっていく。
世界観[編集]
ホール[編集]
人間(魔法を使えない人々)が暮らす街。魔法使いの世界とは「ドア」でつながっていて、魔法使いがやって来ては住民を実験台にしていく被害が絶えない。魔法の影響で景観や空間がゆがんでおり、降る雨には魔法使いが出した「ケムリ」のカスが混じっていて人体に有害。通貨は「円」で、住民の名前はカイマン、ニカイドウのようなカタカナ表記になっている。年に一度、溜まったケムリの影響で死者がゾンビとして甦る「リビングデッドデイ」があり、駆除業者と坊主が合同でゾンビ狩りをする。
魔法使いの世界[編集]
魔法使いが暮らす世界で、ホールと同じく薄汚れて治安が悪いが、こちらでは雨が降らない。法律らしい法律はほとんどなく、実質的に煙ファミリーが支配している。通貨は「ニック」(Nと表記)、魔法使いの名前は煙・心・能井のような漢字名で、ホールと対になっているのが面白い。4年に一度、パートナー契約を結ぶ儀式「ブルーナイト」が3日間にわたって開かれ、死人が出ることもある。
魔法使いとケムリ[編集]
魔法使いは、脳内に小さな悪魔がいて、体内に「ケムリ」を作る器官と運ぶ管を持つ種族である。指先や口から黒い煙状のケムリを出し、それを媒体に魔法を使う。使える魔法は一人につき一種類で、ケムリの量も生まれつき決まっている。魔法を使えない魔法使いは社会的弱者として扱われ、ケムリの出力を上げる手術や、一時的に出力を上げる「黒い粉」に手を出す者もいる。かけられた魔法は、本人が解くか、本人が死ぬか、「解除」の魔法を使うかでしか解けない。雨に極端に弱く、直接打たれると死ぬこともある。乗り物はケムリを燃料にするバイク状の「ホウキ」。
悪魔と十字目[編集]
悪魔は魔法使いの世界で地獄の管理を担う存在で、不老不死かつほぼ無敵、魔法使いからは崇拝の対象になっている。生まれつきの悪魔と、試験に合格して昇格した元魔法使いの悪魔がいて、性格は陽気で遊び好き。行動基準は「笑えるかどうか」という、なんとも物騒な神様たちである。
十字目は、両まぶたに十字の刺青を入れた集団で、魔法をうまく使えない魔法使いが多くを占める。「黒い粉」を売りさばいて資金を得ていた組織で、ボスの「壊」はカイマンに似た容姿を持つ二刀流のナイフ使いとされ、物語の核心に関わっていく。
主な登場人物[編集]
- カイマン(声:高木渉)
- 主人公。頭がトカゲの記憶喪失の男。推定25歳、身長216cm。魔法が効かない特殊体質で、首をはねられても再生するほど頑丈。ガスマスクと銃剣がトレードマークで、性格は素直で明るい。オバケが大の苦手で、ギョーザとビールが大好物。ホール中央病院の魔法被害者病棟でアルバイトしながら魔法使いを狩っている。
- ニカイドウ(声:近藤玲奈)
- カイマンの相棒で、作品の「裏主人公」兼ヒロイン。20歳。ホールで大衆食堂「空腹虫(ハングリーバグ)」を営み、徒手格闘の達人。名物は餃子。実はある重大な秘密を抱えており、それが物語後半の大きな鍵になる。
- 煙(声:堀内賢雄)
- 煙ファミリーのボス。43歳。何でもキノコに変えてしまう強力な魔法を持つ。冷酷だが部下思いな一面もあり、ホウキのブランドからラーメン屋まで手広く商売する実業家でもある。
- 心(声:細谷佳正)
- 煙ファミリーの掃除屋。心臓を模したマスクがトレードマークで、何でもバラバラにする魔法を使う。能井とはパートナー関係にある。
- 能井(声:小林ゆう)
- 心のパートナー。身長209cmの大柄な女性で、傷を治す希少な修復系の魔法を使う。怪力の持ち主で戦闘狂の一面もある。煙のいとこにあたる。
- 恵比寿(声:富田美憂)
- 髑髏マスクのパンク少女で、煙ファミリーの一員。カイマンに頭をくわえられた一件以来、言動が完全にどうかしてしまっている。
- 藤田(声:高梨謙吾)
- 煙ファミリーの下っ端。ケムリを弾丸のように飛ばす魔法を使うが弱い。相棒の松村を殺された恨みからカイマンを追う、作中屈指の苦労人。
- 栗鼠(声:ソンド)
- 呪いの魔法を使う魔法使い。物語開始時点ですでに死んでいたが、生首から復元される。親友の会川(声:木村昴)とともに、カイマンの過去に深く関わる。
- ハル(声:小清水亜美)
- 2本の枝のような角を持つ女悪魔。もとは魔法使いで、魔法使い研究の第一人者・春日部(カスカベ、声:市来光弘)博士の元妻。
- チダルマ
- 生まれながらの悪魔で、作中最強クラスの存在。煙とは旧知の仲で、いたずら好き。
アニメ[編集]
Season1(2020年)[編集]
最初のテレビアニメは2020年1月13日から3月30日まで、TOKYO MXほかで全12話が放送された。アニメーション制作はMAPPA、監督・絵コンテは林祐一郎、シリーズ構成・脚本は瀬古浩司、キャラクターデザインは岸友洋、美術監督・世界観設計は木村真二。キャラクターを3DCGで動かしつつ、背景は手描きで汚れたホールの街を描き込むという手法が取られた。
原作者の林田は、2020年のコミックナタリーのインタビューで、企画の最初の会議で「絵ががっかりなものにならないこと」「背景も作品世界の一部であること」「キャラを原作に近づけること」を強く求めたと振り返っている。完成した第1話を見て不安が消えたこと、心はアニメで動く姿を見て初めて魅力を感じたこと、シナリオ会議で一度カットされかけた野球回を自分の要望で残してもらったことなども明かしている。
オープニングは(K)NoW_NAMEの「Welcome トゥ 混沌」。エンディングは「Who am I ?」「Night SURFING」「D.D.D.D」「Strange Meat Pie」「SECONDs FLY」「404」と、話数によって6曲が使い分けられる凝った構成だった。
Blu-ray BOXの下巻には、原作巻末のおまけ漫画を映像化したOVA「魔のおまけ」(短編6本)が収録された。海外ではSeason1がNetflixで配信され、原作の英語版(VIZ Media)とあわせて海外でも読者・視聴者を得ている。
Season2(2026年)[編集]
続編の制作は2024年1月に発表され、当初は2025年配信予定とされていたが、最終的に2026年4月1日から配信がスタートした。Season1から約6年ぶりの続編で、監督の林祐一郎、シリーズ構成の瀬古浩司、制作のMAPPAは続投。主要キャストもそのまま続投し、カイマン役の高木渉は「あの混沌の世界に再び浸れる」と6年ぶりの収録を喜んだ。煙役の堀内賢雄は、Season2はより過激で深い内容になると予告していた。
Season2は地上波ではなく配信を主軸にしたシリーズで、毎週水曜23時に全世界ほぼ同時配信。初回は第1話(通算「魔の13」)から第3話までの3話一挙配信だった。新たに十字目の幹部たちが本格参戦し、毒蛾役に内山昂輝、鉄条役に濱野大輝、さらに13役に梶裕貴、ハル役に小清水亜美らが加わった。ターキー役は三木眞一郎が務めている。主題歌はオープニングが「ゼッタイMUST断面」、エンディングが「Return トゥ 頭(ヘッド)」で、いずれも(K)NoW_NAME。
配信開始に先立ち、2026年3月8日からSeason1の配信先が一気に拡大され、YouTubeの「TOHO animationチャンネル」でもSeason1全12話とOVA「魔のおまけ」が期間限定で無料公開された。Season2を機に「1期から一気見して追いつく」層を取り込む作戦である。最終話は2026年5月27日に配信され、全11話で完結した。詳細はドロヘドロ Season2を参照。
Season3(製作決定)[編集]
Season2の最終話配信にあわせて、2026年5月28日に「Season3」の製作決定が発表された。林監督からは、悪魔のハルが続編を待ちきれない思いを歌に乗せる記念イラストが届き、Season2のオープニング「ゼッタイMUST断面」のアニメMVも公開された。
さらに2026年6月19日、MAPPAの設立15周年を記念したラインナップ発表会(YouTube配信)で、Season3の特報映像が初公開された。アニメ公式X(@dorohedoro_PR)はこの特報をピン留め投稿で告知しており、海外メディアではニカイドウの「覚醒」を匂わせる映像として紹介された。2026年10月時点では、Season3の配信時期・話数は発表されていない。
原作の「6年ぶり」新作[編集]
アニメSeason2の配信にあわせ、2026年4月11日発売の『ゲッサン』2026年5月号に『ドロヘドロ』の特別読切「魔のおまけ」が掲載された。同誌への『ドロヘドロ』の登場は6年ぶりと告知され、同号では林田の現在の連載作『大ダーク』は休載となっている。
どこで見れる?[編集]
2026年9月時点の情報では、アニメ『ドロヘドロ』Season2は次のような動画配信サービスで見放題配信されている。
- Netflix
- Amazonプライム・ビデオ(見放題・レンタル)
- U-NEXT
- DMM TV
- FOD
- Lemino
- TELASA、WOWOWオンデマンド、アニメタイムズ、J:COM STREAM ほか
Season1は2026年3月の配信拡大以降、多くのサービスで見られるようになっている。海外ではNetflixのほか、Crunchyroll、Animation Digital Networkなどで配信された。配信状況は時期によって変わるため、最新情報は各サービスや公式サイトで確認したい。
炎上とバズ[編集]
- Season2の配信開始は、Season1から約6年という長い空白を経てのものだったため、「6年待った続編」として受け止められた。当初は2025年配信予定とされていたが2026年にずれ込み、ファンはさらに待たされる形になった。
- アニメ公式Xのフォロワーは2026年10月時点で約8.8万人。Season3特報を告知したピン留め投稿は表示回数100万回を超えている。
- Season3の特報は国内だけでなく、英語圏のアニメメディアでも大きく報じられた。
余談[編集]
- 殺伐とした話の合間に、空腹虫の餃子をはじめとする食事シーンがやたらとおいしそうに描かれるのは原作からの伝統。カイマンの好物がギョーザとビールなのも、この作品らしい。
- 単行本では巻末やカバー下にもおまけ漫画が収録されており、OVAと2026年の特別読切の題名「魔のおまけ」は、この原作の「おまけ」文化から来ている。
- 心は、林田自身がアニメ化で動く姿を見てから好きになったキャラクターだと語っており、原作者の推しが「アニメで生まれた」珍しい例である。
- 監督の林祐一郎は『進撃の巨人』The Final Seasonの監督としても知られ、シリーズ構成の瀬古浩司はMAPPA作品の『呪術廻戦』『チェンソーマン』にも参加している。MAPPAの看板作品を支える布陣がそのまま本作にも投入されている。
- MAPPAが手がけた漫画原作アニメには、ほかにも『地獄楽』などがある。人間と人ならざるものが入り混じるグロテスクな漫画原作アニメとしては『寄生獣』、ファンタジー世界の食事描写が印象に残る作品としては『ダンジョン飯』も挙げられる。
- カイマン役の高木渉は『名探偵コナン』の高木刑事や小嶋元太役でおなじみのベテラン声優で、トカゲ頭の主人公をSeason1から演じ続けている。
