| ダンジョン飯 Delicious in Dungeon | |
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タイトルロゴ(出典:Wikimedia Commons「Dungeon Meshi logo.svg」・パブリックドメイン(文字ロゴのため)/©九井諒子・KADOKAWA刊/「ダンジョン飯」製作委員会) | |
![]() 2024年のコミコン・インターナショナルに現れた『ダンジョン飯』のコスプレイヤーたち(出典:Wikimedia Commons・撮影 Ben Loomis・CC BY 2.0) | |
| 作家 | 九井諒子 |
| ジャンル | ファンタジー、グルメ、冒険 |
| 出版社 | KADOKAWA |
| 連載期間 | 2014年2月15日 - 2023年9月15日 |
| 話数 | 単行本全14巻(完結) |
| 略称 | ダン飯、ダンメシ |
| メディアミックス | テレビアニメ(TRIGGER制作、第1期2024年1月 - 6月・全24話、第2期2027年10月放送予定)、ボードゲーム、設定資料集 |
| その他 | 掲載誌:『ハルタ』(KADOKAWA) |
概要[編集]
ダンジョン飯とは、九井諒子による日本の漫画作品、およびそれを原作とするTRIGGER制作のテレビアニメである。迷宮(ダンジョン)で出会う魔物を、現実の調理法で料理して食べながら奥へ進む冒険者たちを描いた、ファンタジーとグルメを組み合わせた作品である。
詳細[編集]
作品の基本情報[編集]
KADOKAWAの漫画誌『ハルタ』で2014年2月15日発売号から連載が始まり、2023年9月15日発売号で最終回を迎えた。連載期間はおよそ9年7か月。単行本は全14巻で、最終の13巻と14巻は2023年12月15日に同時発売された。シリーズ累計発行部数は電子版を含めて1,400万部を超えており、アニメ公式Xのプロフィールでも「全14巻完結・累計1400万部突破」と紹介されている。英語版のタイトルは『Delicious in Dungeon』で、海外でも広く読まれている。
どんな話なのか[編集]
主人公は、迷宮に潜る冒険者パーティのリーダー・ライオス。迷宮の深層でレッドドラゴンに挑んだパーティは壊滅寸前に追い込まれ、ライオスの妹・ファリンが仲間を地上へ逃がす魔法を使った直後にドラゴンに食べられてしまう。ファリンが完全に消化される前に助け出せば、蘇生魔法で生き返らせられるかもしれない。しかし財布も食料も迷宮に置いてきてしまい、仲間の一部も去ってしまった。そこでライオスが出した答えが「食料は迷宮内で自給自足する」、つまり魔物を食べながら進むという作戦だった。
作品のおもしろさ[編集]
この作品の一番の特徴は、架空の魔物を「本当に料理できそう」と思わせる説得力である。スライムの体の構造、歩くキノコの部位ごとの味、宝箱に化けるミミックの中身など、魔物の生態をまるで図鑑のように細かく考え、そのうえで現実の調理法(下処理、火加減、保存方法)を当てはめていく。読者は笑いながら、いつのまにかこの世界の生き物の仕組みや迷宮の生態系に詳しくなっていく。グルメ漫画のふりをした本格的なファンタジーであり、後半では物語が「迷宮とは何か」「人の欲望とは何か」という大きな話へと広がっていく。
連載の経緯と完結[編集]
作者の九井諒子は、同人活動を経て2011年に短編集で商業デビューした漫画家である。ドラゴンや人魚といった空想の存在を、現代社会や日常の中に置いたらどうなるかを描く短編で注目を集め、短編集『竜の学校は山の上』『竜のかわいい七つの子』や、ショートショート集『ひきだしにテラリウム』で評価を固めた。『ひきだしにテラリウム』は第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を受賞している。
『ダンジョン飯』は九井にとって初めての長期連載である。掲載誌の『ハルタ』は、新人や個性派の作家が多く集まる漫画誌として知られ、本作はその看板作品へと成長した。序盤は1話ごとに魔物を1種類料理する読み切りに近い形式で進んだが、巻が進むにつれてファリン救出の物語、迷宮を作った「狂乱の魔術師」の正体、迷宮を狙う外部の勢力、迷宮の奥に封じられた悪魔の存在が次々に明らかになり、群像劇としての厚みが増していった。
2023年9月に連載は完結した。終盤ではライオスがある決断をし、それまでの「食べること」が物語の結末そのものに結びつく形で幕を閉じた。最初の1話から最終話まで「食べる」というテーマが一貫していたことは、多くの読者から高く評価された。最終巻が発売された時点で、翌2024年1月からの連続2クールでのアニメ放送がすでに決まっており、完結と映像化が続けて話題になった。
主な登場人物[編集]
声はテレビアニメ版の担当声優。
ライオス一行[編集]
- ライオス・トーデン(声:熊谷健太郎)- トールマン(人間)の戦士で、パーティのリーダー。26歳。魔物が大好きで、その生態や「食べたらどんな味がするか」を本気で知りたがる変わり者。人の気持ちを読むのは苦手だが、魔物に関する知識は誰にも負けない。
- マルシル・ドナトー(声:千本木彩花)- ハーフエルフの魔術師。古代魔術にくわしい優等生で、ファリンとは親友。最初は魔物を食べることを全力で嫌がるが、なんだかんだで食べてしまう、いわばツッコミ役。リアクションの多彩さから、作中屈指の人気キャラクターになっている。
- チルチャック・ティムズ(声:泊明日菜)- ハーフフットの鍵師で、罠の発見や解除を担当する。29歳。見た目は子どもっぽいが、実は既婚者で娘もいる、パーティいちばんの常識人。仕事と私生活をきっちり分けるプロ意識の持ち主。
- センシ(声:中博史)- ドワーフの戦士。10年以上も迷宮で暮らし、魔物料理を研究してきた料理の達人。ライオスたちが魔物を食べようとしていたところに現れ、そのまま同行する。栄養バランスと「きちんと食べること」に強いこだわりを持つ。
- イヅツミ(声:神戸光歩)- 猫の要素を持つ獣人の少女。物語の途中から一行に加わる。好き嫌いが激しく、自分勝手にふるまうが、旅のなかで少しずつ変わっていく。
物語のカギを握る人物[編集]
- ファリン・トーデン(声:早見沙織)- ライオスの妹で、魔術師。レッドドラゴンに食べられてしまい、物語は彼女の救出を目指して進む。兄と同じく、少し浮世離れしたおっとりした性格。
- シスル(声:小林ゆう)- 迷宮の主とされる「狂乱の魔術師」。迷宮を自分の思いどおりに作り変える力を持つ。
- カブルー(声:加藤渉)- 別の冒険者パーティのリーダー。人当たりがよく、人間観察と駆け引きに長けている。ライオスとは対照的な「人間が好きな人間」として描かれる。
- リン(声:高橋李依)- カブルーのパーティの魔術師。
- ミスルン(声:内山昂輝)- 迷宮の問題を処理するため派遣されたエルフの部隊「カナリア隊」の隊長。アニメでは第21話から登場した。
魔物料理の魅力[編集]
『ダンジョン飯』を読んだ人がまず語りたくなるのが、魔物料理の数々である。第1話では大サソリと歩き茸を使った水炊きが作られ、ここからパーティの迷宮グルメ生活が始まる。その後も、人食い植物の果実を使ったタルト、バジリスクのロースト、マンドレイクやバジリスクを使ったオムレツ、乾燥させたスライムなど、ファンタジー作品でおなじみの魔物が次々と食卓に並ぶ。
作中では、センシがゴーレムの背中を畑にして野菜を育てていたり、動く鎧(リビングアーマー)の正体が実は群れで暮らす軟体動物のような生き物だったりと、魔物の「仕組み」そのものがネタになっている。こうした設定はただの冗談ではなく、迷宮の中の食物連鎖や生態系としてつながっている。だからこそ読者は「この世界はちゃんと回っている」と感じられる。
料理の描写には、材料の下ごしらえや調理手順、完成した料理の見た目までが細かく描かれ、レシピのように読める構成になっている。一方で、センシは「食べることは生きること」という考えを繰り返し口にし、栄養と休息を軽く見るパーティを叱る場面も多い。食事の場面がそのままキャラクター同士の関係を描く場面になっていることも、本作の大きな魅力である。
テレビアニメ[編集]
第1期(2024年)[編集]
アニメ化は2022年8月10日に発表された。アニメーション制作は『天元突破グレンラガン』『キルラキル』などで知られるTRIGGER。監督は宮島善博、シリーズ構成は上野貴美子、キャラクターデザインは竹田直樹、音楽は光田康典と土屋俊輔が担当した。
放送は2024年1月4日から6月13日までの連続2クール・全24話で、TOKYO MXほかで放送された。配信はNetflixが担当し、世界各国で日本とほぼ同時に見られる形がとられた。国内ではABEMAやAmazonプライム・ビデオなどでも配信された。
主題歌は、前半クールのオープニングがBUMP OF CHICKENの「Sleep Walking Orchestra」、エンディングが緑黄色社会の「Party!!」。後半クールのオープニングはsumikaの「運命」、エンディングはリーガルリリーの「キラキラの灰」である。人気バンドを前半・後半で入れ替える豪華な布陣も話題になった。
作画面では、TRIGGERらしい派手なアクションよりも、原作の細かい描き込みや料理の質感、キャラクターの表情の豊かさを丁寧に再現する方向がとられた。特にマルシルの崩れた表情やセンシの料理シーンは、放送のたびにSNSで切り抜かれて拡散された。
第2期(2027年10月放送予定)[編集]
第1期最終話の放送後、2024年6月13日に第2期の制作決定が発表され、新規カットと新規ボイスを含む特報映像が公開された。その後しばらく続報はなかったが、2026年7月4日(現地時間)にアメリカ・ロサンゼルスで開かれたAnime Expo 2026のTRIGGERパネルで、第2期が2027年10月から放送開始されることが発表された。日本では7月5日早朝に情報が解禁され、アニメ公式Xでも告知された。
あわせて公開された「ウルトラティザービジュアル」には、キメラとなったファリンと、それを操る狂乱の魔術師・シスル、そして二人を追って迷宮の奥へ進むライオス、マルシル、チルチャック、センシ、イヅツミの姿が描かれている。監督の宮島善博、シリーズ構成の上野貴美子、キャラクターデザインの竹田直樹、音楽の光田康典・土屋俊輔、制作のTRIGGERといった主要スタッフは第1期から続投し、メインキャストも同じ顔ぶれで発表された。配信はNetflixほかで行われる予定である。
同じ7月5日の夜には、ライオス役の熊谷健太郎とマルシル役の千本木彩花がパーソナリティを務める番組『ダンジョン飯 迷宮探索ラジオ』が、KADOKAWAアニメのYouTubeチャンネルで復活放送された。2026年10月時点では、第2期の具体的な放送局や主題歌はまだ発表されていない。
受賞・反響[編集]
連載初期から評価は高く、2015年のコミックナタリー大賞で1位、宝島社の『このマンガがすごい!2016』オトコ編で1位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2016」で1位、Amazonランキング大賞2016のKindle漫画部門で1位(第3巻)と、各種ランキングを総なめにした。完結後の2024年には、日本のSFファンが選ぶ第55回星雲賞のコミック部門を受賞している。
海外での評価も高い。英語版はアメリカで新設されたアメリカン・マンガ・アワードで最優秀連載作品にあたる賞を受け、アメリカの漫画賞であるハーヴェイ賞でもマンガ部門の賞を受賞した。Netflixでの世界配信をきっかけにアニメから原作に入った海外ファンも多く、海外のアニメイベントではマルシルやライオスのコスプレがよく見られるようになった。
その一方で、2025年のクランチロール・アニメアワードでは16部門にノミネートされながら1部門も受賞できず、海外のファンの間で「最多ノミネートなのに無冠」として話題になったとされる。
国内では、2024年にアニメ放送とあわせて大規模な展覧会『ダンジョン飯 迷宮探索展』が東京や名古屋などで開かれた。2025年には居酒屋チェーンとのコラボで魔物料理をイメージしたメニューが登場したり、米菓メーカーとのコラボ企画が行われたりと、「作中の料理を実際に食べてみたい」という需要に応える企画が続いている。2025年4月からは熊本県民テレビでも放送が始まるなど放送地域が広がり、2025年10月にはニューヨークでも展示イベントが開かれた。
関連書籍・メディア展開[編集]
- ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル - 2021年に発売された公式設定資料集。キャラクターのプロフィールや種族・世界観の解説、センシの日記などを収録している。2024年2月15日には内容を増補した「完全版」が発売された。
- 九井諒子ラクガキ本 デイドリームアワー - 九井諒子の落書きやイラストをまとめた画集。
- モンスターイーター ~ダンジョン飯ボードゲーム~ - アークライトから2022年9月15日に発売されたボードゲーム。カードゲーム『モンスターメーカー』のシステムをもとに、ダンジョン飯の世界向けに作り直したもの。英語版も出ている。
- 食品サンプル - 2016年には単行本1〜2巻に登場する魔物料理を食品サンプルで再現する企画があり、東京・大阪・徳島で展示された。
余談[編集]
- アニメ化よりずっと前の2019年に、TRIGGERが手がけた本作のプロモーションCMが公開されている。のちにテレビアニメ版の制作も同じTRIGGERが担当することになり、CMからの縁がつながった形になった。
- アニメ化発表から放送開始まで約1年5か月あり、アニメ化発表の直前、2022年7月に開設されたアニメ公式Xのフォロワーは、2026年10月時点で15万人を超えている。
- 主人公のライオスは、魔物への熱意が強すぎて仲間に引かれる場面が多い。マルシルが嫌がりながらも結局おいしそうに食べてしまう、というお約束の流れは、作品を代表するギャグになっている。
- 迷宮や異世界と料理を組み合わせた作品は本作以外にも数多く、推しにささげるダンジョングルメ、飯バフ食堂、盛況なり、ハズレポーションが醤油だったので料理することにしましたなどがある。同じく迷宮もののダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかや、同時期に人気を集めた葬送のフリーレンと並べて語られることも多い。
