| チョン・ジョンソ 전종서/全鐘瑞/Jeon Jong-seo(Jun Jong-seo) | |
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![]() 2025年トロント国際映画祭でのチョン・ジョンソ(出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:Desmond Herzfelder、CC BY 4.0) | |
![]() 『バーニング』で参加した2018年カンヌ国際映画祭でのチョン・ジョンソ(出典:ウィキメディア・コモンズ、撮影:Georges Biard、CC BY-SA 4.0) | |
| 誕生日 | 1994年7月5日 |
| 年齢 | 32歳 |
| 出身地 | 大韓民国・ソウル特別市 |
| 国籍 | 大韓民国 |
| 学歴 | 安養芸術高等学校卒業、世宗大学 映画芸術学科中退 |
| ジャンル | 映画、テレビドラマ、配信ドラマ |
| 活動期間 | 2018年〜 |
| 身長 / 体重 | 167cm cm / ― kg |
| 血液型 | A型 |
| 事務所 | アンドマーク(앤드마크、Andmarq)、UTA(米国) |
| 代表作 | 『バーニング 劇場版』『ザ・コール』『恋愛の抜けたロマンス』『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』『バレリーナ』『ウエディング・インポッシブル』『于氏王后』『プロジェクトY』 |
| その他 | 第57回百想芸術大賞 映画部門女性最優秀演技賞(2021年) |
| リンク | Instagram(@wjswhdtj94) |
概要[編集]
チョン・ジョンソ(전종서、全鐘瑞、Jeon Jong-seo、1994年7月5日 - )とは、韓国・ソウル出身の女優である。イ・チャンドン監督の『バーニング 劇場版』でいきなり映画デビュー&カンヌ入りを果たし、『ザ・コール』の怪演で百想芸術大賞主演女優賞を獲った、韓国映画界きっての「予測不能系」俳優である。
詳細[編集]
カナダ帰りの映画学科ドロップアウト[編集]
1994年7月5日、ソウル生まれ。子ども時代に家族でカナダへ渡り、現地のキリスト教系私立中学校に通っていたとされる。韓国に戻ってからは安養芸術高校を卒業し、世宗大学の映画芸術学科に進学した。ところが「撮る側」ではなく「演じる側」になりたい気持ちが勝ち、大学を中退して演技塾に通い始める。
海外での学生生活のおかげで英語も話せ、英語名は「Rachel Jun(レイチェル・ジュン)」。国際的なクレジットでは「Jun Jong-seo」表記が使われることも多く、のちのハリウッド進出でもこの語学力が武器になった。デビュー前の芸能歴はほぼゼロで、事務所に所属して下積みを重ねる…というよくあるルートを通っていないのがこの人の面白いところである。
2,000人の中から選ばれた「ヘミ」[編集]
2017年夏、イ・チャンドン監督が8年ぶりの新作『バーニング 劇場版』のヒロインを探すオーディションを開いた。応募者は約2,000人。その中から選ばれたのが、出演作ゼロのチョン・ジョンソだった。
役どころは主人公ジョンス(ユ・アイン)の幼なじみで、ふらりとアフリカへ旅立ち、謎めいた男ベン(スティーヴン・ユァン)を連れて帰ってくる女性シン・ヘミ。原作は村上春樹の短編「納屋を焼く」である。イ・チャンドンはオーディションでの彼女について「子どものような無垢さと同時に二面性を持っていた」と語り、韓国映画では「これまで見たことのない俳優」と評した。
デビュー作でカンヌ、そしてオスカーの最終候補へ[編集]
『バーニング』は2018年5月の第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品され、国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)を受賞。英スクリーン誌の星取表では史上最高点を記録したことでも話題になった。さらに第91回アカデミー賞外国語映画賞では、韓国映画として初めて最終候補9本に残っている。
チョン・ジョンソ自身も、米ハリウッド・リポーター誌の「2018年の国際的ブレイク俳優15人」に選ばれ、アジア映画批評家協会賞の新人賞を受賞。デビュー作1本で、いきなり世界の映画ファンに名前を覚えられることになった。日本では2019年に『バーニング 劇場版』のタイトルで公開されている。
演技スタイルと評価[編集]
チョン・ジョンソの持ち味は、なんといっても「何をしでかすかわからない」空気感である。韓国映画振興委員会(KOFIC)の俳優紹介では、彼女を「大胆で神秘的な魅力」を持ち、型にはまったカテゴライズを拒む俳優と紹介している。表情・身振り・セリフのすべてを細かくコントロールしながら、妥協のない役選びをしているという評価だ。
『バーニング』では、モデル、謎めいた旅人、誘惑する女性という複数の顔を冒頭のシークエンスだけで行き来してみせた。存在しないミカンを剥いて食べるパントマイムや、夕暮れの中でひとり踊る場面は、今も作品を語るうえで欠かせない名シーンとして語り継がれている。共演したユ・アインやスティーヴン・ユァンといった実力派を相手に、新人ながら画面をさらっていったと評された。
その後も、サイコパスの連続殺人鬼、テレパシー能力を持つ脱走者、元北朝鮮兵の強盗、ボディガード出身の復讐者、契約結婚する売れない女優、古代国家の王妃…と、作品ごとに180度違うキャラクターを選び続けている。「普通の人」をあまり演じないのに、どの役にも妙なリアリティがあるのがファンにはたまらないポイントである。
『ザ・コール』と百想芸術大賞[編集]
2020年の『ザ・コール』は、チョン・ジョンソの評価を決定づけた作品である。監督・脚本はイ・チュンヒョン。2011年の英国・プエルトリコ合作映画『ザ・コーラー』を下敷きに、古いコードレス電話で1999年と2019年がつながってしまう2人の女性を描くタイムスリップ・スリラーだ。
2019年側の主人公ソヨンをパク・シネ、1999年側のヨンスクをチョン・ジョンソが演じた。このヨンスクがとんでもないサイコパスで、ソヨンとの電話で「未来」を知ったことをきっかけに暴走していく。無邪気な笑顔と残虐性が同居するヨンスクは、まさにチョン・ジョンソにしかできない役と絶賛された。
本来は劇場公開予定だったが、新型コロナウイルスの影響でNetflix配信に切り替わり、2020年11月27日に全世界同時配信された。この演技で2021年の第57回百想芸術大賞映画部門・女性最優秀演技賞、第30回釜日映画賞の主演女優賞、2022年のディレクターズ・カット・アワードの映画部門女優賞を受賞。デビューからわずか3年で、韓国映画界の主演女優賞を手にしたことになる。
ハリウッド進出[編集]
2021年、イラン系アメリカ人監督アナ・リリー・アミリプールの『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』でハリウッドデビュー。精神科施設から逃げ出したテレパシー能力を持つ少女モナ・リザ・リーを演じ、ケイト・ハドソンと共演した。同作は第78回ヴェネツィア国際映画祭のコンペティション部門で2021年9月5日にワールドプレミアされ、米国では2022年9月に公開されている。
2021年にはアメリカの大手エージェンシーUTA(ユナイテッド・タレント・エージェンシー)と契約。そして2025年には、『ジョン・ウィック』シリーズの監督チャド・スタエルスキがメガホンを取るアマゾンMGMスタジオの『ハイランダー』リメイク版への出演が報じられた。主演はヘンリー・カヴィルで、ラッセル・クロウ、デイヴ・バウティスタ、カレン・ギラン、ジェレミー・アイアンズらと並ぶ豪華キャストの一員に名を連ねる。役どころは、不死者たちをひそかに監視する秘密組織「ウォッチャーズ」のメンバーとされる。
2026年1月のインタビューでは、イギリスで撮影中の『ハイランダー』について触れ、キャスティングの経緯を知って「すべての疑問が解けた」と満足げに語っている。
配信ドラマでの快進撃[編集]
映画で名を上げたあとは、配信ドラマでも主演級の活躍が続く。
2022年、Netflixの『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』で、スペインの大ヒットドラマ『ペーパー・ハウス』の韓国版リメイクのヒロイン「トーキョー」を演じた。Part1が2022年6月、Part2が同年12月に配信。韓国版のトーキョーは北朝鮮の元兵士という設定で、原作の感情的で衝動的なトーキョーに比べ、より理性的で教授の計画に忠実なキャラクターに作り替えられている。本人は銃器を扱う訓練に苦労したと明かし、リメイクへの賛否両論については「原作にもリメイクにも長所と短所がある」と冷静に受け止めた。また、それまで孤立した風変わりな役が多かったため、より観客に近い共感型の主人公を演じてみたかったとも語っている。
同じ2022年にはTVINGのスリラー『身代金 狂気の生き残りゲーム』(原題:거래/Bargain)で、チン・ソンギュと共演。全6話をほぼワンシチュエーションで描く尖った作品で、韓国ドラマとして初めてカンヌ国際シリーズフェスティバル(Canneseries)のコンペティション部門に招待され、2023年に脚本賞を受賞した。
2024年にはtvNのラブコメ『ウエディング・インポッシブル』で、財閥御曹司(キム・ドワン)から偽装結婚を持ちかけられる売れない女優ナ・アジョン役に挑戦。弟役ムン・サンミンとの掛け合いも話題になり、同時間帯1位を記録し続けた。同年8月にはTVINGの時代劇『于氏王后(うしおうこう)』で高句麗の王妃ウ・ヒを演じ、キム・ムヨル、チ・チャンウクらと共演。日本ではU-NEXTで独占先行配信された。
主な出演作品[編集]
映画[編集]
- 『バーニング 劇場版』(2018年) - シン・ヘミ役。映画デビュー作。
- 『ザ・コール』(2020年) - オ・ヨンスク役。Netflix配信。
- 『モナ・リザ アンド ザ ブラッドムーン』(2021年) - モナ・リザ・リー役。ハリウッドデビュー作。
- 『恋愛の抜けたロマンス』(2021年) - ハム・ジャヨン役。ソン・ソックとダブル主演。
- 『バレリーナ』(2023年) - チャン・オクジュ役。Netflix配信。
- 『プロジェクトY』(2025年/韓国公開2026年) - イ・ドギョン役。ハン・ソヒとダブル主演。
- 『ハイランダー』(公開時期未定) - 出演が報じられている。
ドラマ[編集]
- 『ペーパー・ハウス・コリア:統一通貨を奪え』(2022年、Netflix) - トーキョー役。
- 『身代金 狂気の生き残りゲーム』(2022年、TVING) - パク・ジュヨン役。
- 『ウエディング・インポッシブル』(2024年、tvN) - ナ・アジョン役。
- 『于氏王后』(2024年、TVING) - ウ・ヒ役(タイトルロール)。
『恋愛の抜けたロマンス』『バレリーナ』『プロジェクトY』[編集]
恋愛の抜けたロマンス[編集]
2021年11月公開。監督・脚本はチョン・ガヨン。恋愛はしたくないけど寂しいのはイヤな30代の男女が、マッチングアプリで出会って…という等身大のラブコメで、相手役はソン・ソック。チョン・ジョンソにとっては初のラブコメ挑戦で、それまでの「怖い・謎めいた」イメージを一気に塗り替えた。観客動員は約60万人で、2021年公開の韓国映画で9位のヒットとなり、翌年の百想芸術大賞では脚本賞を受賞している。
バレリーナ[編集]
2023年の『バレリーナ』は、『ザ・コール』のイ・チュンヒョン監督と再タッグを組んだアクション・スリラー。元ボディガードのオクジュが、親友を死に追いやった男への復讐に乗り出す物語で、2023年10月5日に釜山国際映画祭でプレミア上映され、翌6日にNetflixで全世界配信された。配信初週には1,470万ビューを記録し、Netflixの非英語映画グローバルTOP10で1位を獲得。批評家からは「チョン・ジョンソの演技こそが作品の救い」と、彼女のアクションと存在感が高く評価された。
プロジェクトY[編集]
イ・ファン監督の犯罪映画で、ハン・ソヒとのダブル主演。詐欺に遭った幼なじみの2人が、黒幕の犯罪組織から80億ウォン分の金塊を奪おうとするクライム・アクションで、チョン・ジョンソは運転を担うト・ギョン(イ・ドギョン)を演じた。2025年9月10日にトロント国際映画祭でワールドプレミアされ、釜山国際映画祭でもチケットが完売。ロンドン東アジア映画祭では最高賞を受賞し、韓国では2026年1月21日に公開された。本人は「これまで撮った作品の中で肉体的にいちばんきつかった」と語り、カーアクションの大半を自らこなしたという。
受賞歴[編集]
- 2019年 アジア映画批評家協会賞 新人賞(『バーニング』)
- 2021年 第57回百想芸術大賞 映画部門 女性最優秀演技賞(『ザ・コール』)
- 2021年 第30回釜日映画賞 主演女優賞(『ザ・コール』)
- 2022年 ディレクターズ・カット・アワード 映画部門女優賞
- 2023年 マリ・クレール・アジア・スター・アワード Beyond Cinema賞(『身代金 狂気の生き残りゲーム』)
このほか青龍映画賞や大鐘賞などにもノミネートされている。韓国映画振興委員会の「韓国俳優200人」(2021年)や、映画誌シネ21の「韓国映画NEXT 50」(2024年)にも選ばれている。
私生活[編集]
2021年12月、『ザ・コール』『バレリーナ』のイ・チュンヒョン監督との交際が報じられ、双方が認めた。2人は『ザ・コール』の撮影現場で出会ったとされる。2022年12月には自身のInstagramに、カフェで撮った2人の鏡越しのツーショットを「hype」というひと言とともに投稿し、隠さない「公開恋愛」ぶりが話題になった。
2023年12月に出演したYouTubeチャンネル「ピシック大学(피식대학)」では、交際について「最初から一度も隠さなかった」「プロポーズなしで結婚したみたいな感じ」とあっけらかんと語っている。撮影中は疲れすぎてケンカする余裕もないが、オフの日はよく言い合いになるとも明かした。
炎上とバズ[編集]
カンヌ出国時の「態度論争」[編集]
2018年5月、『バーニング』でカンヌへ向かう際、仁川国際空港で報道陣を前にパスポートで顔を隠し、不機嫌そうな表情を見せたことが「新人なのに態度が悪い」と批判された。本人は当時「個人的に悲しいことがあって泣いていて、カメラがあるとは知らなかった」と説明したが、そのそっけない釈明がさらに議論を呼んだ。
それから6年後の2024年、シン・ドンヨプがMCを務めるYouTube番組「チャンハンヒョン(짠한형)」に出演した際、デビュー当時に家族が大変な状況にあったことを明かし、仕事はうまくいっていたのに私生活は「腐っていくようだった」と振り返った。「みんなそれぞれ事情があるから、説明しなくてもいい」という言葉とともに、この件を見直す声が多く上がった。
ドジャース始球式でバズる[編集]
2024年3月17日、MLBソウルシリーズを前に行われたロサンゼルス・ドジャース対キウム・ヒーローズのエキシビションマッチで始球式を務めた。その姿がSNSで拡散され、ドジャースの選手たちが注目する様子まで話題になり、海外メディアでも「始球式でドジャースを魅了した女優は誰?」と紹介された。
余談[編集]
- 『ザ・コール』と『バレリーナ』はどちらも恋人のイ・チュンヒョン監督作品。公私ともにタッグを組む映画界の名コンビである。
- 『バーニング』の原作は日本の村上春樹の短編。デビュー作から日本とは縁がある。
- サッカーのキリアン・エムバペのファンとして知られると報じられている。
- 身長は167cmとされる。
- Instagram(@wjswhdtj94)のフォロワーは150万人超(2026年10月時点)。一方でフォロー中は25人、投稿数も約120件と、発信はかなり控えめで「たまに投稿するとニュースになる」タイプである。
- 『ペーパー・ハウス・コリア』で銃器の扱いを特訓したのがきっかけで、その後『バレリーナ』『プロジェクトY』とアクション作が続いた。
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